安さだけじゃない? アパート人気

ここ最近、アパートの人気が高まっています。

不動産情報サイト「アットホーム」によりますと、東京23区のアパート1物件あたりの問い合わせ数は、7月時点で前年より59%増。マンションの25%増を大きく上回っている。

いまアパートが選ばれる理由

背景には、家計の見直しや働き方の変化など暮らしを取り巻く環境の変化があると言われていますが、アパートを選ぶ人が増えているのはどんな理由があるのか。アットホームラボ株式会社 データマーケティング部 部長 磐前淳子さんのお話です。

アットホームラボ株式会社 データマーケティング部部長 磐前淳子さん

アパートは非常に人気です。家賃が手頃であることが最も大きく、アパートはマンションより2~3割安いというのが平均的で、例えば東京23区だと、シングル向きマンションの家賃が平均10.4万円に対して、アパートだと6.9万円という感じです。アパートの方がマンションよりも2~3割安いということは同じお金を払うと広さを得られるというところも人気だと思います。例えばマンション1部屋分の家賃が10万円超ですがアパートだとそれでシングル向きからカップル向きに広さを大きくできる点も魅力だと思います。          

家賃の上昇、物価高などの生活コストの増加もありますが、リモートワークの定着で、自宅で過ごす時間が増え、「同じ家賃なら少しでも暮らしやすくしたい」というニーズが高まっている。

また、これまでは「日当たりの良い南向きが人気」というのが常識でしたが、いまは夏が暑すぎるので「北向きの部屋」を選ぶ人も増えているそうです。

しかし一方でアパートは木造や軽量鉄骨が多いので、鉄筋コンクリートのマンションの方が外気の影響を受けにくく、省エネの面ではマンションの方がやや有利といわれています。

例えば、30平米前後の単身者向け物件では、年間の冷暖房費がマンションの方が1万円ほど安くなるケースも。とはいえ、家賃自体はアパートの方が2~3万円低く、トータルではアパートの方が経済的と言えそうです。

実際に住んでみて アパート派?マンション派?

では実際にアパートやマンションに住む人たちに、選んだ理由や住んでみて感じたことについて聞いてみました。

「自分はアパートです。コスパも良ければ住宅街にあってゆっくりできるし。困ってはいない。生活音は正直ありますよね。気にならないくらいだけど、でっかいくしゃみしたら聞こえる。」

「アパートです。隣の人の生活音とかそんなんです。上が小さい子がいるんでわーて叫び回ってるときがたまにあります。」

「マンション。やっぱ耐震性。設備が整ってるとか。オートロックがちゃんとしてるとか。」

「マンションです。やっぱり遮音性かな。周りが静かで隣の音もめったに聞こえないんで。私楽器やるんですよね。それで家で練習しても、隣から苦情が来たためしがないです。夜9時までしか練習しないんだけど。」

アパートは構造上、木造や軽量鉄骨のものが多く、マンションに比べるとどうしても防音性の面では、差が出やすくなっています。

アパートに住む人は「他人の生活音も暮らしの一部」として受け入れていますが、マンションの人は「設備」や「防音性」を重視する傾向がありました。

増える音問題 トラブルとその工夫 

住まいに求めるものは人によって違いますが、その中でも、「音」を気にする人は多い印象です。再び、アットホームラボ株式会社 磐前さんに話を聞きました。

アットホームラボ株式会社 データマーケティング部部長 磐前淳子さん

実は今在宅時間が増えている分、音のトラブルというのは増えています。アパートは構造上、ややマンションよりは防音性が懸念されるという点があるので、例えばお子さんがいる人は1階に住むですとか、テレワークが多い方は1番端っこの角部屋を選ぶとかをされてる方が多いです。あとは、防音対策で壁に吸音パネルを設置するとか、窓に防音カーテンをつけるとか。対策をしている物件が増えてくるかと思います。ただそうなると、単価的には高くなってしまう可能性もあります。

最近では、インターネット無料やエアコン完備、防音対策をするアパートも増えていますが、そうなると家賃が高くなり、「安さ」というアパートの魅力が薄れてしまいます。コストと快適さのバランスをどう取るかが、住まい選びのポイントになりそうです。

(TBSラジオ『森本毅郎スタンバイ』取材・レポート:森本茉菜)

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自動車修理工場の女性社長が「自動販売機のハンバーガー」を開発

トラックなどのドライバーさんのなかには、昭和の頃は、よく幹線道路沿いにあった自動販売機のハンバーガーで、お腹を満たした経験がある方もいらっしゃることでしょう。じつは最近、令和版の「自動販売機のハンバーガー」がじわりじわりと増えているんです。今回は、この自動販売機のハンバーガーを手掛けている自動車修理工場の方のお話です。

ハンバーガー自販機と小林さん

それぞれの朝は、それぞれの物語を連れてやってきます。

東京・新宿から中央道の高速バス、または新幹線と飯田線の特急「伊那路」を乗り継いで、およそ4時間の長野県飯田市に「ガレージいじりや」という自動車修理工場があります。敷地内には、トヨタ・パプリカ、マツダ・シャンテをはじめ、昭和の車がズラリ。しかも、工場の前にある懐かしい自動販売機コーナーが目を引きます。

お店の代表・小林由季さんは、埼玉県出身の41歳。小さい頃、ちょうどミニ四駆が大人気だったこともあって、クルマに興味を持ちました。19歳でオートマチック車限定の運転免許を取ると、街を颯爽と駆け抜けていった、白い「マツダ・RX7」に心躍ります。

『カッコいい!あのクルマに乗りたい!!』

そう思った小林さんは、知り合いの自動車関係者に相談すると、軽くあしらわれました。「RX7? アンタ、あのクルマ、マニュアルだし、ロータリーエンジンって知ってるの? 乗りたいなら、自分で自動車が整備出来ないと、まず無理だよ」

愛車のマツダ・シャンテと小林さん

マニュアルもロータリーエンジンも、全くチンプンカンプンだった小林さんですが、乗りたい思いが高まって、マニュアルで免許を取り直し、自動車整備士を目指します。男社会の自動車修理工場で、厳しい試練を乗り越えて、見事、整備士資格を取得。縁あって信州に移り住むと、趣味で借りたガレージで、ノーマルタイヤからスタッドレスタイヤへの履き替えを請け負ったことをきっかけに、2010年、自ら自動車修理工場を立ち上げました。

やがて、工場のスタッフが昭和43年製・スバル360の修復を成し遂げたことから、小林さんも古い車に興味を持ち、旧車が続々持ち込まれて、車雑誌にも注目されます。あれよあれよと、旧車好きならまず知らない人はいない工場に成長。小林さんは雑誌連載企画で、旧車でレトロな自動販売機巡りをすることになりました。

ところが、ここで小林さんは大変なことが起きていたことに気付くんです。

『大きな道路沿いにたくさんあったハンバーガーやうどん・そばの自動販売機コーナーがどんどん無くなっている……』

24時間営業のコンビニエンスストアが増えた一方で、自動販売機は経年劣化、オーナーさんの高齢化も進んで、自動販売機コーナーは次々と姿を消していたんです。そんな折、小林さんはお祖父さまを亡くしたことで、小さい頃、自動販売機のハンバーガーをなかなか買ってもらえなかった記憶がよみがえりました。

『あの思い出の、自動販売機のハンバーガーを残したい。ならば、ハンバーガーを作っている食品メーカーを助けよう!』

自動販売機コーナー

そうひらめいた小林さんは、さっそく自動販売機用のハンバーガーを仕入れます。自動車工場の前に冷蔵機能付きの自動販売機と電子レンジを設置して販売を始めると、ちょうどコロナ禍と重なったことで、テイクアウトのニーズをつかんで大繁盛。各地のレトロ自動販売機で売れたハンバーガーのおよそ4倍を1台で売り上げました。

小林さんはもうイケイケドンドン、自動販売機を増やして各地で大人気となりますが、あまりの売れ行きにハンバーガーメーカーのほうが悲鳴を上げてしまいます。安定した納品が出来ないので、もう勘弁してくれませんか、と言われてしまったのです。代わる製造業者も無く、困り果てた小林さん、思い切りました。

『ハンバーガーを作ってくれる会社が無いなら、自分の会社で作ってしまおう!』

もちろん、小林さんは自動車整備士ではありますが、食品の知識は全くゼロ。体当たりで、様々な食品製造に関する許可や食品衛生を、片っ端から学んでいきます。食品部門の「いじりやフードサービス」も立ち上げ、ハンバーガーを作ってみましたが、パンはパサつき、肉の脂は溶け出し、レタスなどの生野菜は安全性の面で使えません。しかも、自動車修理工場と食品工場の二刀流で、睡眠時間3時間の日々が続きました。

ふんわりバンズのチーズバーガー

それでも試行錯誤を繰り返し、味やソースにもこだわったチーズバーガーに辿り着いて、安定した製造、出荷も出来るようになりました。今は、全国で39台の自動販売機が元気に稼働中。自動車修理工場生まれの自動販売機とハンバーガーは、各地域で話題になっています。

「気合と根性でやってきました」と笑う小林さんですが、やりたいことはいっぱいです。

「レストランもやってみたいですし、クルマのテーマパークがあっても面白いですよね。ハンバーガー片手にみんなに巡ってもらって。夢は大きく持てば、きっと叶います!」

「RX7に乗りたい」から始まった小林さんの夢、今はまだ、その途中です。

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