9月1日は防災の日です。関東では先日も未明に地震がありましたが、実は6月に、政府が閣議で、首都直下地震の犠牲者の6割以上は火災によるという予測があるため、人口密集地域の火災拡大防止がもっとも重要だとして、揺れを感知すると自動で電気を遮断する「感震ブレーカー」を対策の切り札とする、という方針を示しました。
感震ブレーカーの設置率が100%なら焼失棟数を現状から7割減らせるという試算をして、10年間でおおむね設置を目指すとしています。
ちなみに、内閣府の調査では埼玉、千葉、東京、神奈川の延焼の危険性が高い地域の、2024年度の設置率は約3割。購入費の一部を国が補助する制度もありますが、対象は危険な密集市街地があるところのみ。首都圏だと5つの市や区のみ!これは・・・普及にはかなり時間がかかりそうです。
そんな中、国が言い出す前から、町内の全戸1500世帯に感震ブレーカーを付けよう、と動いた人がいました。さいたま市浦和区前地地区自治会長の佐々木弘さんにお話を伺いました。
さいたま市・前地地区 自治会長 佐々木弘さん
「1500世帯で1軒だけ付けても1499で火出る確率高いだろ?だから面で入れないと、安全性が高まらないんだよ。っていうのも、8時間で全部燃えちゃう町なんだから、だから、全部付けとこうよって、どっから火が出ても行っちゃうから、少しでも火が出ないようにしようってみんなに話して。だから絶対に火を出したらばこの町は終わりなんだから、色んな映像を見せたり、冊子を見せたり、パンフレット、色んな手を使ってやって来てる。
うん、付けてるよ。俺、だって付けたもん。(付けて回ったんですか?)だって、そういえばさ、ウチにも感震ブレーカーあるんだよ、あるんじゃねえだろ、付けといてくれって言ってんだって。そういうところに、またしょうがないから行ってさ。このまま置いてあるわけだよ。(箱ごと?)手順書なんか全世帯に配ったんだって。それでもさ、これだよ(笑)。だからそんなもんなんだって。だからもう、しつこく積み重ね。あ、いや、粘り強くだ、ごめんごめん、しつこいじゃない。ま、しつこいって言われてるんだけど(笑)。」
なかなか大変なんです、全世帯に付けるのは。(受け取っても箱のまま置いてある、なんて話は、そういうことあるよな~と思いましたもん。)
市が作ったシミュレーションで、前地地区は火が出たら8時間でほぼ全焼してしまう、という結果を見て、このままではだめだ、と動き出しました。
どの感震ブレーカーが良いかを決め、5年かけて毎年少しずつ配りました。最初は自治会のお金だけで買っていたので、買える分で少しづつ。今は、市からの補助が6割、自治会が4割。住民は負担ゼロです。(やっと市が動いてくれた!)
こうして、時間をかけて、ほぼ100%になったのですが、今の時代ならではの問題も新たに出てきているんです。再び佐々木さんのお話。
さいたま市・前地地区 自治会長 佐々木弘さん
「今、問題が起きてるのが、再開発で土地売っちゃう人いるじゃない?そうするとさ、3階の賃貸住宅ドーンと建てちゃう。だから一番大事なのは自治会に必ず入ってもらう。でも、それが今通用しない部分が徐々に徐々に増えてきて、今1800世帯になってるの。だけど僕の方で話が付いてるのが1535世帯なのよ。300くらいはどっか遠いところのオーナーがいて経営してる。そういうところのアプローチが物凄く難しいのよ。
賃貸でどんどん増えてくる部分が、旧商店街通りとかが多いんで、火の道筋になっちゃうんで、なんとしても付けたいんだけど、手が届かなくなりつつある。そこら辺がものすごくつらい。
で、ウチが発信してる情報っていうのが、自治会に加入してる人たちには濃密なんだけど、そういう人たちには、いわゆる掲示板とか市の広報誌を通さないと、で、だいたい次の週のさ、資源ごみの日に捨ててんだわ!だからそこらへんが怖いところ。」
再開発や相続で土地を手放す、という話はよく耳にします。そうした場所に新しく来た住民にも、感震ブレーカーを付けてもらうということに、非常に苦労しているんです。
今までは、賃貸住宅でも管理会社などに働きかけて「全戸に付けて」と、請求書と共に届けていたそうですが、遠くのオーナーにはそれも出来ず・・・。しかし、諦めずになんとかがんばるよ、とおっしゃっていました。(本当に頼もしいです!)
ただ、どこにでも佐々木さんがいるわけではないので、自力でもなんとかしなければいけませんよね。
ただ、付けたいという人の6割が「入手方法が分からない」、3割が「値段が高い」と答えたというデータもあるのです。
そんな中、500円で感震ブレーカーを作ろうというワークショップをした人がいました。中央大学杉並高校の防災担当、菊地明範先生にお話を伺いました。
中央大学杉並高校防災担当 国語教諭・菊地明範先生
「自分の家に感震ブレーカー買わなきゃいけないなと思っていたんですけれども、その時に各務原市(岐阜県)の消防署がユーチューブで500円で作れる感震ブレーカーというのを紹介していたので、それをまず作ってみたというのがキッカケです。
おもりを落としてブレーカーを切るという単純な仕組みなんですけれども、おもりを乗せておく受け皿に、ペットボトルのフタが使えるぞ、ということに気づいて、これなら生徒たちにも紹介できるんじゃないかなって思って、ワークショップを考えてみました。
釣り具のおもりと、フック、たこ糸等があれば、簡単に作れてしまいますので、難しいことはちっともないです。知っている子のお家にはもう付いてます。で、知らない子は何それっていう感じなので、啓発活動も含めてということで、通電火災が怖いんだということだけは、ぜひ知っといてほしいなと思っています。おそらくですね、作ったぞということで、生徒たちが体を動かすことによって、記憶に残ったりして、防災意識が高まっていくんなら、それはホントにいいな、と思っています。」
実は、菊地先生も、買おうと思って探したら、高いな、と思ったお一人。
そこで、手作りに挑戦しました。材料は、おもりは釣り具店に売っているものですが、あとは100均などで揃うものばかり。私も、先生と一緒に作りましたが、本当に簡単でした!
まず知って、意識してみることから、防災は始まると菊地先生。
夏休みの自由研究や工作がまだの人、通電火災について調べて、手作りの感震ブレーカー、いいかもしれませんよ!?(中央大学杉並高校のYouTubeに詳しい材料や作り方は載っています。)
みなさんのお宅には、感震ブレーカー、付いていますか?
(TBSラジオ『森本毅郎スタンバイ』より抜粋)