今年も厳しい暑さが続いています。その影響で野菜を作る農家も困っています。例えばトマトやなすが高温で実をつけにくくなったり、実が割れてしまうため日よけなどの対策が必須となっています。
そんな中、こうした厳しい環境でも育てやすい農作物として、いま「サボテン」が注目されています。
サボテンといえば、観賞用のイメージですが、実は食べられるものもあります。一体どんなものなのか。サボテンを研究する、中部大学 准教授 堀部 貴紀さんに聞きました。
中部大学 准教授 堀部 貴紀さん
サボテンは、なんと2000種類ぐらいあるんです。その中の10種類ぐらいをよく食用に使う、果物とか茎を食用に使うっていうものがあって、食用サボテンというのは大体ウチワサボテンのことを指します。うちわ形の平べったいやつです。サボテンって体の部分が全部茎なんです。葉っぱって思われる方多いんですけど、茎なんです。栄養は、カルシウム、マグネシウム、食物繊維なんかが多いです。茎の方は、なんかヌルヌルして酸っぱい味がするんです。なんでオクラとかめかぶみたいな味がします。
実際どんな味なのか気になりますよね。今回、食用ウチワサボテンを扱う綿半トレーディングから、生のウチワサボテンをご提供いただきました。トゲを処理して、食べやすく切ったものです。
メキシコなどではすでに身近な野菜で、サラダや炒め物、肉料理の付け合わせなど、日常的に食べられています。
〈食用サボテン:お肉の付け合わせ〉
〈サボテンサラダ〉
また、種類にもよりますが、40度くらいの暑さでも問題なく育てることができるそうです。さらに乾燥にも強く、水やりは週に1回程度。堀部先生によると、月に1回でも枯れないほどです。日本でも動きが出ていて、先月、スーパーなどを展開する綿半グループは、ウチワサボテンの販売数が去年の6倍に増えたと報じられました。現在は、長野や愛知などにある一部店舗で販売されているそうです。
そんなサボテンを試験的に育て始めたのが、千葉県の大多喜町です。農家の高齢化などで、使われなくなった農地が増える中、町ではその活用方法を探っています。なぜ、サボテンだったのか。大多喜町役場 農林課 新倉 真梨奈さんに聞きました。
大多喜町役場 農林課 新倉 真梨奈さん
まずメキシコ大使館からの紹介があったんです。メキシコ大使館の方で、メキシコから ウチワサボテンを輸入している業者さんがいて、日本での栽培地を探しているっていう相談がメキシコ大使館の方にあったそうで。メキシコと大多喜町って友好関係にあるので、メキシコ大使館の方から「大多喜町さんどうですか」ということで推薦されたと聞いています。大多喜町の土の性質として、水を通しにくい「重粘土質」っていう土の性質がありまして、それでも育てられる栽培が可能で、かつ有害鳥獣の被害を受けにくい作物、あとはできるだけ労力のかからないものっていうのを模索しています。
大多喜町では2年前から試験栽培を始め、現在は町内2か所でおよそ40株を育てています。実はメキシコとは、江戸時代の海難事故に由来する縁があり、今も交流が続いています。 一部は冬の霜で枯れましたが、最初に植えた株の中には、うちわ形の茎が3段に重なるほど育ち、そろそろ収穫できそうなものもあるそうです。
一方、愛知県春日井市では、すでに食用サボテンを町の名物として広げています。
どうやって町のグルメとして広げてきたのか。春日井市経済振興課 栁田 一哉さんに聞きました。
春日井市経済振興課 栁田 一哉さん
サボテングルメの試作を重ねる中で、サボテンってメイン料理ではなくて「馴染みつつ主張する名脇役」、そんな食材であって「和洋中どんな味にも合う」っていうことがわかったんです。平成19年から学校給食にもサボテンが出るようになったんです。ウチワサボテン入りツナサラダっていうのが給食で出たときの反応が出てるんです。「好評でおかわり続出、食べ残しなし」ということでした。子供たちのコメントとしては「苦くてしょっぱいと思ってたけど、そんなことなく美味しく食べられた」とか、「ネバネバしてオクラみたいだった」「食感がコリコリ、シャキシャキして美味しい」っていうそんな反応でしたので、好評なのかなと思います。
市によると、春日井市では30店舗以上の飲食店や小売店でサボテングルメを提供しています。例えば、豚肉とサボテンを交互に刺した串焼き「サボマ」や、麺にも具にも、さらにスープにもサボテンを使った「サボテンラーメン」など、いろんな形で食べられています。こうした取り組みもあって、市民の9割以上が「サボテンは春日井の特産品」「食べられる」と知っているそうです。
〈(学校給食)サボテンコロッケ献立〉
〈(学校給食)サボテンスープ〉
ちなみに、食用サボテンには、こんな加工品もあります。生姜風味の「うめぇサボテン」と、かつお風味の「食べるサボテン」。ご飯のお供にもできるそうです。春日井市に続いて千葉県・大多喜町でも今後サボテングルメが名物になるのか、期待です。
(TBSラジオ『森本毅郎スタンバイ』より抜粋)