ゲストは、大正製薬株式会社 SM開発薬理研究室の田中良紀(たなか・よしき) さん。「ビオフェルミン」は、100年以上の歴史のなかで、配合する菌を増やしながら進化をつづけてきました。その裏側にあるのは、何百種類もの菌と向き合い、試行錯誤を重ねる研究者たちの地道な研究。今回は、ビオフェルミンの進化を支える腸内細菌研究から、ペット向け商品の開発まで、大正製薬の見事なお仕事をうかがいました。
西田 子どもの頃から大好きな薬がありまして、それが「ビオフェルミン」です。大人になった今でも、朝昼晩に3錠ずつ服用するのが毎日のたのしみになっています。もちろん「食べる」のではなく、正しく「摂取」しているわけですが(笑)。
田中 ありがとうございます。
西田 田中さんが所属されている「SM開発薬理研究室」の「SM」とは、「セルフメディケーション(Self-Medication)」のことですね。こちらについて、簡単に説明していただけますか?
田中 セルフメディケーションとは、ドラッグストアなどを通じて薬や健康食品を購入し、自ら体調を整えて治療することです。日頃から健康や薬の知識を身につけ、「未病(病気になる一歩手前の状態)」のうちに対策を立てることが大切なんです。
西田 大正製薬は、さまざまな医薬品や健康食品の研究開発・販売を行っていますが、代表的なブランドにはどのようなものがありますか?
田中 よく知られているものは、「リポビタンD」や 「パブロン」、「ビオフェルミン」、「リアップ」などです。多くのブランドを幅広く展開しています。
西田 SM開発薬理研究室では、どのような研究をされているのでしょうか?
田中 整腸薬である「ビオフェルミン」ブランドを中心に、プロバイオティクス(十分な量を摂取すると、健康に役立つ効果を発揮する生きた微生物 )や腸内細菌の研究を担当しています。
西田 「新ビオフェルミン」のように「新」という文字がついているものもあります。これは、なかの菌が時代とともに変化しているということでしょうか?
田中 その通りです。販売当初は1種類の菌からはじまりました。その後、よりよい効果を目指して菌の種類を増やし、2種類の菌を配合した「新ビオフェルミン」へ。そしてさらに進化を重ね、現在は3種類の菌を配合した「新ビオフェルミンS錠」が主流となっています。
西田 なるほど。手元の製品を見ると「プラス」と書かれているものもありますね。
田中 はい。この「新ビオフェルミンSプラス錠」は、計4種類の有用菌を配合した最新の製品です。
西田 田中さんたちの研究成果によって、ビオフェルミンは常に進化をつづけているんですね。
西田 研究は、事前の計画通りに進むものですか?
田中 そう簡単にはいきません(笑)。思い通りの結果が出ないことのほうが多いですね。そのなかで、安定して高い効果を発揮できる菌の組み合わせを、一つひとつ地道に探していきます。
西田 その発見は、知識があればできるものなんですか? それとも、長年の経験が重要なのでしょうか。
田中 経験からくる直感も大切ですが、それだけではありません。国内外の論文を徹底的に調べて、最新の研究成果を常に追いつづける必要があります。
西田 なるほど。ただ、論文に書かれている結果が、そのまま自分たちの実験で再現できるとは限らないですよね。そうした試行錯誤を重ねるなかで、「これは大きな発見だ!」と思える瞬間はあるのでしょうか?
田中 はい、あります! 非常に稀ですが、「すばらしい効果が期待できるかもしれない」という菌に出会えた瞬間は、研究者としておおきな喜びを感じます。ただ、そこから安全性や効果を確認し、実際に製品として皆様に届けるまでには、長い年月がかかるんです。
西田 製品化されるまでに、どれくらいの期間がかかるのでしょうか?
田中 安全性の確認や有効性の証明を徹底するため、新製品として世に出るまでには、どうしても5年ほどの歳月がかかります。
西田 息の長い、根気のいるお仕事ですね。何百種類もある菌の候補から、これぞという菌を選び抜く秘訣はなんですか?
田中 近道のようなものは一切なく、一つひとつの菌を顕微鏡で観察し、調べていくしかありません。そうして毎日菌と向き合っていると、不思議と菌たちに強い愛着が湧いてきて、心のなかで名前をつけて呼びたくなることもありますね。
西田 人間と同じように、菌にもそれぞれ個性があるわけですね。
西田 ところで最近、犬用の「わんビオフェルミンS」や、猫用の「にゃんビオフェルミンS」といった、ペット向けのビオフェルミンも登場して話題になっていますね。
田中:はい。今やワンちゃんやネコちゃんは、大切な「家族の一員」です。そこで、食事に混ぜやすい粉末タイプを開発しました。猫用にはタウリンを加え、犬用も健康維持に配慮した設計です。
西田 ひとだけでなく、ペットのお腹の健康も支えているのですね。最後に、これからの研究の展望をお願いします。
田中 ひともペットも、お腹から健康で笑顔に暮らせる社会に貢献したいと考えています。これからも腸内環境の研究を深め、一人ひとり、一匹一匹の健康を支えていきたいです。
西田 明日からビオフェルミンを飲むときは、田中さんや研究室の皆さんのお顔を思い浮かべながら、より美味しくいただきたいと思います(笑)。ありがとうございました!
<商品情報>
●ビオフェルミンVC
第3類医薬品
整腸(便通を整える)
●新ビオフェルミンS錠
指定医薬部外品
整腸(便通を整える)
●新ビオフェルミンSプラス錠
指定医薬部外品
整腸(便通を整える)
●わんビオフェルミンS
犬用健康補助食品
●にゃんビオフェルミンS
猫用健康補助食品
(TBSラジオ『見事なお仕事』より抜粋)