警察犬も多様化の時代 小型犬が捜索の現場へ

今日は、「警察犬」の話題です。事件の捜査や、行方不明になった人の捜索で活躍する警察犬ですが、シェパードなどの大きな犬を思い浮かべるかもしれません。ところが今、その顔ぶれにある変化が起きています。

警察犬にビーグル!?

 家庭犬のしつけなども行っている、嘱託警察犬訓練士の朝重 慧乙さんがいま訓練している警察犬は、どんな犬なのか聞きました。

嘱託警察犬訓練士 朝重 慧乙さん

ビーグルになります。本当に皆さんとのワンちゃんのペットと変わらないような生活をしていて、やるときはやるけど、普段はもう本当にぐったりしていてのんびりしてる子っていう感じです。元々うちにいるシェパードがもう警察犬だったので、警察犬種外でも警察犬になれるってなったときに、うちのビーグルもやってみようかなと思ったのがきっかけですね。可能な限り毎日、最低でも1時間以上は練習をしているという状態で。いつ何どきでもできるように育てているっていう感じです。足跡追及と言われるもので、人が歩いた足跡の上を匂いで追っていって、その人の匂いがついてる物を、落としたものを発見するという形です。

お話に出てきたビーグルは、朝重さんが訓練する「はなちゃん」で、垂れた耳が特徴です。体重はおよそ11キロ。

〈ビーグル はなちゃん〉
〈提供:千葉県流山警察署〉

40キロを超えることもある大型の警察犬と比べると、かなり小柄です。去年の審査会に合格し、今年から千葉県警の嘱託警察犬になりました。

〈朝重 慧乙さんとはなちゃん〉

実は、全国で活躍する警察犬の9割近くは、警察が直接飼う犬ではなく、民間で訓練され、審査に合格した「嘱託警察犬」なんです。警察犬はこれまで、シェパードなど日本警察犬協会が指定する7犬種の、中・大型犬が主流でした。一方で、住宅事情の変化で大型犬を飼いにくい家庭が増えているともいわれています。

〈ビーグル はなちゃん〉
〈提供:千葉県流山警察署〉

全国では嘱託警察犬の数も減っていて、犬種の枠を広げる県警も出ています。千葉県警では今年、ビーグルとジャック・ラッセル・テリアが、指定7犬種以外で初めて採用されました。

小型犬ならではの強み

こうした小さな警察犬は、大型の犬と比べて、ある強みがあるそうです。再び、朝重さんに聞きました。

 嘱託警察犬訓練士 朝重 慧乙さん

例えばシェパードを連れて歩いてると、別に警察犬じゃなくても、「あれって警察犬じゃない?」って言われることが多いんですけども、ビーグルを連れて歩いてて「あれって警察犬じゃない?」って言われることは全くないんですよね。なので、たとえば捜索してるということを知られたくないときとかに、ビーグルで歩いてるとただのお散歩にしか見えないので。あと、もしばったり会ってしまったときにはやっぱシェパードって威圧感が強かったり、ゴールデンレトリバーだと、ワンちゃん嫌いな人とかも逃げたくなるぐらいの大きさだと思うので、その辺はビーグルだと、怖い方でも、怖いと思ってもそこまでではないのかなっていうのはありますね。

実際に現地でシェパードに会いましたが、とても大人しくて優しい性格だったので頭を撫でたり、餌をあげたりすることはできましたが、立ち上がると大人の胸ほどまで届く大きさに驚きました。ただ、小さいほど警察犬として有利というわけではありません。朝重さんによると、歩幅が短い分、長い距離を探すには、大型犬より体力や集中力が必要になるそうです。

〈ビーグル はなちゃん〉
〈提供:千葉県流山警察署〉

実際、家庭で飼っている犬でも警察犬を目指せるのでしょうか。県警によって応募できる犬種などの条件は違いますが、朝重さんによると、例えばトイプードルでも、鼻を使って探すのが好きなど、その犬の性格や能力によっては目指せるそうです。

〈ビーグル はなちゃん〉
〈提供:千葉県流山警察署〉

小型警察犬 捜索の現場では

そして実際に、小型犬が現場で活躍した例もあります。栃木県警では今年、初めて小型犬2頭を採用。そのうち1頭、ジャック・ラッセル・テリアの「カノン君」は、2月、行方不明になった高齢者を見つけるきっかけを作りました。

〈ジャック・ラッセル・テリア「カノン君」〉

どんな捜索だったのか、栃木県警察本部 刑事部 鑑識課  山崎さんに聞きました。

 栃木県警察本部 刑事部 鑑識課  山崎さん

午後10時頃から捜索が開始になりました。その後3時間ぐらい、長い時間、カノン君頑張ってくれて、そのときは発見できなかったんです。しかし、活動を終了して、カノン君を車に乗せて指導手の方が帰ろうとしても、まだ何か探し足りないような様子だったらしいんです。それで指導手の方がカノン君が少し気になっているような様子があった別のルートを車で窓を開けながら、走行していたらしいんです。そのとき突然カノン君が鼻息を荒くしだして、車の中で飛び跳ねたり、アクションを起こしだしたので「どうしたんだろう」って指導手の方が車の中から、目をこらして見てたら今回の行方不明の対象になっていた高齢男性だったということになります。

栃木県警によると、今回の発見は「小型犬だったから」というより、カノン君自身の嗅覚や粘り強さが発見につながったのではないかとみています。

〈ジャック・ラッセル・テリア「カノン君」〉

実際、小型犬を採用してみると、大型犬と比べて体力や匂いを追う力にも、大きな差はなかったといいます。

〈ジャック・ラッセル・テリア「カノン君」〉

栃木県では、先月までに警察犬が出動した行方不明者の捜索が83件ありました。こうした捜索では小型犬も新たな選択肢になります。一方、犯人の捜索やイベント会場の警戒など、体格や威圧感が求められる場面では、大型犬が向いていることもあるそうです。

(TBSラジオ『森本毅郎スタンバイ』より抜粋)

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