秋は美味しい果物がたくさん出回る季節です。そのまま食べても美味しいですが、ひと手間加えてデザートにするのもおすすめです。「ジャムはよく作るけれど、コンポートって何だっけ?」と疑問に思う方もいるかもしれません。そこで、料理家で発酵マイスターの榎本美沙さんに、「コンポート」の基本から、ご自身のおすすめの作り方まで詳しく教えていただきました。
果物を使った保存食やデザートとして、ジャムとコンポートはどちらも人気があります。しかし、この二つの違いを明確に説明できる方は意外と少ないかもしれません。ジャムはゼリー状になるまでしっかりと煮詰めるのが特徴です。果物の形はあまり残らず、糖度が高いため長期保存に適しているという利点があります。
一方、コンポートについて榎本さんは次のように説明します。「コンポートというのは、果物をシロップなどで煮るデザートのことを言います。時間をそんなにかけずに煮るので、果物の形が残っていて、お砂糖も比較的少なくて、果物の風味も残るようなものになります」。つまり、コンポートは短時間で仕上げる「果物のシロップ煮」と言えます。
また、コンポートには大きな魅力があります。「コンポートのいいところは、生で食べると甘みが弱いとか、失敗してしまったというフルーツでも、コンポートにすると美味しく食べられたりする」と榎本さんは語ります。少し甘みが足りなかった果物も、コンポートにすれば立派なデザートに生まれ変わるのです。
では、どのような果物がコンポートに向いているのでしょうか。榎本さんによれば、「比較的幅広い果物に向いていて、梨や洋梨、桃、イチゴ、リンゴ、ビワなどが多いです」とのことです。特に、梨やリンゴ、洋梨のように形がしっかりしている果物は、煮崩れしにくいため初心者にもおすすめの食材です。
一方で、コンポートにはあまり向かない果物も存在します。榎本さんは、「例えば柔らかすぎるバナナや、水分が多すぎるスイカなどはあまり美味しくできないと思います」とアドバイスしています。他にもキウイなど、水分が多すぎたり、火を通すと食感が失われやすいものは避けた方が無難でしょう。
今の季節なら、スーパーや直売所で手に入りやすい旬の果物を使うのがぴったりです。そのまま食べてみて少し味が薄いと感じた時こそ、コンポートを試す絶好のチャンスです。ご自宅にある果物がコンポートに向いているか、ぜひ一度確認してみてください。
コンポートの基本の作り方は、フルーツ、砂糖、水、そして味を引き締めるためのレモン果汁などを鍋に入れて火にかけます。しかし、榎本さんの作り方には少し工夫があります。「私は、お砂糖よりもハチミツで作ることが多いんですけれども。お砂糖ではなくハチミツで作ることで風味が加わってより美味しくなる」と語ります。
ハチミツを選ぶ際のポイントもあります。「あまりクセのないハチミツがおすすめですね。アカシアのようなさっぱりしたハチミツだと、果物の風味も生きやすいと思います」とのことです。また、みりんを使って煮て、和風のコンポートに仕立てるというユニークなアイデアも教えていただきました。
さらにお鍋を使わず、電子レンジで作ることも可能です。「果物とお砂糖とレモン果汁をレンジにかけて、果物が柔らかくなるまで加熱すればできると思います。ただレンジの場合は少し加熱ムラができたりするので、混ぜるなど、少し工夫していただいた方が美味しくできる」そうです。火にかけすぎて煮崩れる失敗を防ぐためにも、加熱時間には注意が必要です。
ここで、榎本さんがおすすめするハチミツを使ったコンポートの具体的な作り方をご紹介します。今回は小粒のいちご1パック(250g)を使ったレシピです。材料は、いちごに加えて、はちみつ100g、そして酢大さじ1を使用します。他のフルーツでも基本の工程は同じなので、ぜひ応用してみてください。
作り方はとてもシンプルです。まず、いちごのヘタを取って小鍋に入れ、はちみつと酢を加えてよく和えます。梨やリンゴを使う場合は、食べやすいお好みのサイズに切ってから鍋に入れてください。次に中火にかけ、混ぜながら加熱していきます。はちみつは熱を加えると液体になるため、水を加えなくてもしっかりと煮込むことができます。
煮立ってきてアクが出たら取り除き、弱火にしてさらに1~2分ほど加熱します。いちご以外の果物であれば、アクは取らなくても大丈夫です。粗熱が取れたら清潔な保存瓶などに移し、冷蔵庫で保存します。ジャムほど糖度が高くないため日持ちはしません。なるべく早めに食べ切るようにしてください。
出来上がったコンポートは、そのまま食べても美味しいですが、ヨーグルトに合わせたり、バニラアイスにかけるのもおすすめです。今回は、ジェーン・スーさんと宇賀神メグさんが、実際に3種類のコンポートを試食しました。まずは、酢を使った「梨のコンポート」にヨーグルトを合わせた一品です。
一口食べた二人は「美味しい!酸っぱくした方が美味しい意味が分かった。お酢が梨の甘味と相まって、食感もぷにぷに&シャキシャキ。これ、ホテルの高級デザート!」と大絶賛。「ハチミツの風味と甘みがすごく美味しい!ヨーグルトの酸味ともよく合いますね」と深い味わいに驚いていました。
続いて、レモン汁を使った「リンゴのコンポート」です。スーさんと宇賀神さんは「梨とは全然違う。レモン汁のほうがさっぱりした酸味。でもお酢のコンポートのほうが好きかも!塩気すら感じる奥深さがある」と、果物と酸味の組み合わせによる違いを楽しみました。
最後に試食したのは、レモン汁で作った「桃のコンポート」にバニラアイスを乗せたデザートです。二人は「高級桃缶みたいな贅沢さ!バニラアイスに乗せると酸味が和らいで、めちゃくちゃ食べやすい」と笑顔を見せました。
さらに「想像を超えて美味しすぎる(笑)。安くて甘くなさそうなフルーツを買ってきてコンポートにするの、絶対やった方がいい!」と、その手軽さと完成度の高さにすっかり魅了された様子でした。
お手頃な価格の果物や、想像していたよりも甘くなかったフルーツも、コンポートにすることで想像を超える美味しさに生まれ変わります。実りの秋の果物を使って、ぜひご家庭で手作りコンポートに挑戦してみてはいかがでしょうか。
(TBSラジオ『ジェーン・スー 生活は踊る』より抜粋)