今年7月に発生した「令和8年熊本地震」から、9月28日で2か月です。県内の住宅被害は7万棟以上。今もなお、壊れた家屋の片付けや、解体・撤去の作業が続いています。そんな災害現場で、ボランティアに注意が呼びかけられているのが、吸い込むと肺がんなどを引き起こすおそれがある「アスベスト」です。どういうことか、熊本学園大学の教授、中地重晴さんに聞きました。
熊本学園大学・教授・中地重晴さん
今回の令和8年熊本地震とかではボランティア向けにアスベストの危険性を訴えるチラシを配布したり、あるいはボランティアの募集のときに、注意喚起をするような取り組みをするようになった。基本的にはそのボランティアは解体作業はしてはいけないっていう原則があるんですけど、建物の中からタンスとか家財道具を片付けたりするところまではボランティアでやるわけですが、部分的に崩れてるからそれだけを廃棄物として取り出そうとかっていうことにボランティアが手伝ったりもしたりするので、そこら辺の境界がよくわからないんですよね。
アスベストは燃えにくくて安いため、長らく建材に使われてきました。しかし2006年から新しく作ることも使うことも原則禁止されましたが、それより前に建てられた家には、天井や壁、屋根の中などに、今も残っています。壁の中にあるだけなら飛散しませんが、地震で壊れたり、片付けや解体でこわしたりすると、飛び散るおそれがあるんです。
災害現場でアスベストが問題になるのは今回が初めてではありません。NPO法人「中皮腫・じん肺・アスベストセンター」の永倉冬史さんに聞きました。
「中皮腫・じん肺・アスベストセンター」永倉冬史さん
能登半島地震の後にその年の9月頃に洪水が起こって、その洪水によって建物が流木によって破壊されて、そこからアスベストが露出してしまったと。そういう状況の中でボランティアの人たちがすぐそばの川の建物の中で食器を洗ったり、ボランティア活動をしていたという現状があって、それも注意させていただいて、ちょっと危ないから気をつけてくださいというようなことを申しあげたりっていうことはしてきました。
アスベストが露出する可能性があるのは、災害のときだけではありません。いま全国の駅周辺などでは再開発が進み、アスベストが多く使われていた時期に建てられた古い建物も解体の時期を迎えています。身近なところでは、今年8月、東京メトロ半蔵門駅で換気設備から落ちた素材にアスベストが含まれていることが分かり、一部区間が運休。
だからこそ、地震や水害が起きる前から、街のどこにアスベストが残っているのかを把握し、飛散しやすいものを「減らしておく」ことが大事だと、永倉さんは話していました。
ただ、取り除く側にも問題があるそうです。
「中皮腫・じん肺・アスベストセンター」永倉冬史さん
アスベストの除去業者さんそのものがなかなか少ないのと、アスベストの除去業者さんでもレベルの高いところと低いところにまだまだ差があって、何でそんな差があるかというと、国はアスベストの除去業をする業者さんに対して、ライセンス制を取っていないんですね。海外ではいろんな国でライセンス制を作って、ライセンスを取ったところしか、アスベストの除去ができないという、当たり前のことなんですけども、発がん物質ですから。そういうことをやっているんですが、日本ではまだそれができていないという現状があります。
ライセンスとは、国が業者を審査して出す免許のこと。ダメな仕事をすれば取り上げられることもありますが、イギリスやフランス、ドイツ、アメリカ、韓国など主な先進国にはありますが、日本にはないそうです。
国の審議会でも2018年、「ライセンス制がなく誰でもできてしまう」という指摘が出ていたようですが、しかし2020年の答申には入らず、先に進んだのは「解体前の調査の義務化」。それから6年、ライセンス制度はまだありません。
アスベストの入った建物の解体は、2028年ごろがピークと見込まれています。取り除く業者の質を国が保証しないまま、その山を迎えようとしています。
(TBSラジオ『森本毅郎・スタンバイ!』より抜粋)
今年7月に発生した「令和8年熊本地震」から、9月28日で2か月です。県内の住宅被害は7万棟以上。今もなお、壊れた家屋の片付けや、解体・撤去の作業が続いています。そんな災害現場で、ボランティアに注意が呼びかけられているのが、吸い込むと肺がんなどを引き起こすおそれがある「アスベスト」です。どういうことか、熊本学園大学の教授、中地重晴さんに聞きました。
熊本学園大学・教授・中地重晴さん
今回の令和8年熊本地震とかではボランティア向けにアスベストの危険性を訴えるチラシを配布したり、あるいはボランティアの募集のときに、注意喚起をするような取り組みをするようになった。基本的にはそのボランティアは解体作業はしてはいけないっていう原則があるんですけど、建物の中からタンスとか家財道具を片付けたりするところまではボランティアでやるわけですが、部分的に崩れてるからそれだけを廃棄物として取り出そうとかっていうことにボランティアが手伝ったりもしたりするので、そこら辺の境界がよくわからないんですよね。
アスベストは燃えにくくて安いため、長らく建材に使われてきました。しかし2006年から新しく作ることも使うことも原則禁止されましたが、それより前に建てられた家には、天井や壁、屋根の中などに、今も残っています。壁の中にあるだけなら飛散しませんが、地震で壊れたり、片付けや解体でこわしたりすると、飛び散るおそれがあるんです。
災害現場でアスベストが問題になるのは今回が初めてではありません。NPO法人「中皮腫・じん肺・アスベストセンター」の永倉冬史さんに聞きました。
「中皮腫・じん肺・アスベストセンター」永倉冬史さん
能登半島地震の後にその年の9月頃に洪水が起こって、その洪水によって建物が流木によって破壊されて、そこからアスベストが露出してしまったと。そういう状況の中でボランティアの人たちがすぐそばの川の建物の中で食器を洗ったり、ボランティア活動をしていたという現状があって、それも注意させていただいて、ちょっと危ないから気をつけてくださいというようなことを申しあげたりっていうことはしてきました。
アスベストが露出する可能性があるのは、災害のときだけではありません。いま全国の駅周辺などでは再開発が進み、アスベストが多く使われていた時期に建てられた古い建物も解体の時期を迎えています。身近なところでは、今年8月、東京メトロ半蔵門駅で換気設備から落ちた素材にアスベストが含まれていることが分かり、一部区間が運休。
だからこそ、地震や水害が起きる前から、街のどこにアスベストが残っているのかを把握し、飛散しやすいものを「減らしておく」ことが大事だと、永倉さんは話していました。
ただ、取り除く側にも問題があるそうです。
「中皮腫・じん肺・アスベストセンター」永倉冬史さん
アスベストの除去業者さんそのものがなかなか少ないのと、アスベストの除去業者さんでもレベルの高いところと低いところにまだまだ差があって、何でそんな差があるかというと、国はアスベストの除去業をする業者さんに対して、ライセンス制を取っていないんですね。海外ではいろんな国でライセンス制を作って、ライセンスを取ったところしか、アスベストの除去ができないという、当たり前のことなんですけども、発がん物質ですから。そういうことをやっているんですが、日本ではまだそれができていないという現状があります。
ライセンスとは、国が業者を審査して出す免許のこと。ダメな仕事をすれば取り上げられることもありますが、イギリスやフランス、ドイツ、アメリカ、韓国など主な先進国にはありますが、日本にはないそうです。
国の審議会でも2018年、「ライセンス制がなく誰でもできてしまう」という指摘が出ていたようですが、しかし2020年の答申には入らず、先に進んだのは「解体前の調査の義務化」。それから6年、ライセンス制度はまだありません。
アスベストの入った建物の解体は、2028年ごろがピークと見込まれています。取り除く業者の質を国が保証しないまま、その山を迎えようとしています。
(TBSラジオ『森本毅郎・スタンバイ!』より抜粋)