今年の9月は本当に雨続き。東京は今日で35日連続で雨だそうです・・・。また台風が来ていますし、冠水被害も多いです。
そこで今日は、冠水した道を歩くのがいかに大変なのか、普段着で冠水した道を歩く疑似体験をしてきました。
実験にご協力いただいたのは、以前このコーナーで、40センチの津波でも立っているのは難しい、というお話をおしえてくれた、中央大学理工学院、海岸・港湾研究室の有川太郎教授。
横10m、高さ2m、奥行2.2mの大きな水槽で、真ん中に衝立があり、衝立の周りに、コの字型に1m幅の通路があります。
そこに水を入れて、冠水した道路に見立てて、一回目の実験開始です。
☆(近堂)水深はどれくらいですか?
★(有川先生)だいたい20センチくらい、くるぶしの上くらいかなというくらいです。水の流れは、秒速でだいたい0.5m~1mくらいで、緩やかな坂道を流れると、だいたいこんなもんだと思います。
☆では、実際歩いてみたいと思います。水の流れに逆らって歩いてみます。 まだ足を上げるのが大変ということはありません。 よいしょ、うーん、足を挙げた瞬間に、ちょっと思わぬ方向につま先が動いちゃうという感じはあります。足さばきが悪いです。 ただ、歩く分にはそうでもないです。先生、意外と歩けますね。
★はい、歩けると思います。まだ、ふらついてもたぶんそこまでの力はかからないと思うので、転ばずに歩ける、おおよそ限界くらいなのかもしれないですね。
水の流れを作って、冠水した坂道を上る状況にしました。
この日は、普段着のズボンとスニーカー。水の入ったスニーカーはやや重いですが、なんとか歩けました。
水深20センチの冠水道路は、転ばずに歩ける限界、と有川先生はおっしゃっていましたが、では、もっと雨が降って、水深が深くなったらどう変わるでしょうか?二回目の実験です。
☆(近堂)40センチの水深で、膝が半分くらい隠れてるかな。いや、もう立ってるだけで、流れを感じて大変です。では行ってみます。足を上げるぶんには上がりますが、これは結構重たくなりますね。足を高く上げると体がよろけそうです。 うわ~これは、こんなに水深が深くなった時には歩くのは危険だなという感じがします。
先生、これずいぶん違いますね。20センチと40センチは。
★(有川先生)そうですね、さっきは数キロくらいでしたけど、今は10キロから20キロくらいかかるような状態ですから、ちょっと油断すれば流されるという状態に近くなっていると思います。
倍の深さになるとかなりしんどくなりました。流れの速さは、先ほどの水深20センチの時と同じなのですが、深くなっただけでかなり水の力を強く感じました。
足を床から上げると、後ろに流されるような感じがあり、一歩が重たい!どこに足を下ろそうか、探っていると体がふらつく感じがあって怖かったです。
実は、流れが起きる前は、40センチの水深でも、これなら大丈夫じゃないか?と思っていたんです、と有川先生に伝えると、止まっている水は全方向から同じ力が加わるので水の力を感じないんです。動いている水が怖いんです、とおっしゃいます。
中央大学理工学院 都市環境学科 海岸・港湾研究室 有川太郎教授
「水の力が発生する要因としては【水位の差がついたとき】か【流れがあるとき】。
例えば、細い所から広い所になったりすると、細い所では水が上がったりしますし、壁の前は当然水が上がったりしますから、水位の差がついて危なくなるという感じでしょうか。
また、先ほど実験したのは秒速で1mくらいですので、それが例えば、速さが突然、倍になったりすると、今度は4倍くらいの力がかかってくるので、そうすると5キロだったものが20キロ。
深さもやっぱり倍になると力は倍になりますので、そういった意味では、危なくないかな~と思って歩いていても、急に雨強くなってきたなとか、そういうような状態で、ちょっと速度が変わったり水深が変わったりするだけで、倍の力になったりしますので、そしたらスルっと足を持って行かれるということも充分ありえるというようなことになりますね。
やっぱり、水の力っていうのは、思っているよりは、普段、お風呂とか、我々って水に近い存在なんですけど、意外とそれに対してどういう力がかかっているかっていうのは、あんまりよく理解されてないので、突然のことで危なくなったりもしますので、そこはホントに充分気をつけてもらいたいですね。」
「水位の差」と「流れ」。
冠水して、玄関の向こう側に水が溜まれば、水位の差が出来て、扉は開かなくなります。水深によりますが、10~20センチくらいで、水の力は20~30キロの重さになります。また、流れの速さが倍になれば力は4倍に、深さも。
ちょっと条件が変わるだけで、私たちが受ける水の力は、一気に危険なレベルに変わるのです。実際、水深20センチの時に、コの字のカーブのところは、そこだけ流れが速く、さっきまで余裕だったのに、足をもっていかれそうになりました。危険度は水深だけでは分からないですね。
この日、私は、2回の実験で、だいたい小一時間くらい、流れる水の中で歩いていましたが、帰り道には足はだるい、腰も痛い、肩や首も筋肉痛に・・・。二日経った今日も、実はまだ体が痛いです。かなりの力で踏ん張っていたことが、よく分かりました。
実際の冠水被害の際には、道には勾配があり、細い道大きな道があり、建物の塀があり、車が通れば波が起きる。とてもじゃないですが、歩くのはかなり危険だと思いました。
水が出てから動くのは、やはり危険。避難は早めにと肝に銘じましょう。
(TBSラジオ『森本毅郎スタンバイ』より抜粋)