たまごの高騰、いつまで続く?

たまごの価格が上がっています。農林水産省が9月に発表した調査では、全国のスーパーなどで販売されたたまごの平均価格は、10個入りで309円でした。調査開始以来の最高値に並んでいます。家庭でも大きな負担となりますが、卵をたくさん使う飲食店は、今どうなっているのでしょうか。足立区にあるオムライス専門店「キッチンエッグス」のオーナー、神山雅明さんに聞きました。

今年は価格が高止まり。月見商戦の影響も

オムライス専門店「キッチンエッグス」オーナー・神山雅明さん

今年明けてから大体300円半ばぐらいの価格でずっと推移してて、ゴールデンウィークもそんなに上がるかって言ったらそんなに上がらなかったんですよね。それでゴールデンウィーク過ぎて下がるかって言ったら下がらないっていうかね。秋口ってなかなか購買力が上がるようなイベント事ってないですから、そう見るとどこの企業も月見、月見のような流れに今入ってるんですよね。うちの店は特にやってないです。月見はやってない。オムライスの上に目玉焼き乗せてみると思ったんですけど、それはどうかなと思ったんで。卵に卵ですから。

例年は、クリスマスケーキやおせち、おでんなどで需要が増える年末に価格が上がり、年が明けると一度下がります。さらに春に上がって、夏に向けてまた下がります。卵の価格には、こうした一年の波があるそうです。

ところが今年は、その「安くなる時期」がほとんどありませんでした。外食会社が卵を使った「月見商品」に力を入れたためです。月見商品は、1991年にマクドナルドが発売した「月見バーガー」が始まりですが、2022年ごろから各社の参入が相次ぎました。今ではハンバーガーチェーンだけでなく、喫茶店のデザートやピザ、ハンバーグにまで広がっています。

キッチンエッグスでは、一日におよそ300個の卵を使っているそうですが、先月、およそ2年ぶりに価格を改定し、人気のオムライスは1600円から1800円に値上げしたと話していました。

では、こうした卵の高値に、卸売店はどう対応しているのか。府中市の大東京綜合卸売センターにある、卵の卸売店「ジェイ・ワークス」のオーナー、長谷川仁さんに聞きました。

卸売店の企業努力

卵の卸売店「ジェイ・ワークス」オーナー・長谷川仁さん

自分のところでできる仕事はやると。パック詰めであったり、極力自分で品物を取りに行ったりとか。コストを抑えられるところはぐっと抑えると。今、配送コストもかかるんで、自分で引き取りに行った方が安いんで。数%ですけど、ただその数%の積み重ねなんで。例えば2円でも3円でも安く還元できればっていう感じです。常にギリギリで卸売市場ってお買い得なものを買いに来るじゃないですか大体。常に安く、どうしたら安くなれるかなみたいな。喜んでいただけるかなみたいな。そういった方向で一応頑張ってるんですけどね。厳しいですね。

<たまごをそのまま仕入れ、店内でパック詰めしています>
<超特売品は1パック220円!>

ジェイ・ワークスでは、あえてパックに入っていない状態で卵を仕入れ、お店で一日に200から300パックほどを自分たちの手で詰めて販売しています。配送も頼まず、自分たちで商品を取りに行くこともあります。こうして1円、2円というコストを削り、少しでも安くしようとしています。

こうした努力の裏で、実はまた新たな課題「エサ問題」が出てきています。

佐賀県の養鶏場「素ヱコ農園」によると、人が食べる米の方が高く売れるため、飼料用の米を作る農家が減ってしまい、今年はニワトリのエサに使う「コメ」が手に入りにくくなっているそうです。足りない米を麦などで補う動きも出ていますが、その麦の価格も5年前の1・5倍から2倍ほどに値上がり。鶏のエサは穀物が中心で、ほかに代えにくいため、高くても買わざるを得ません。

そして残念ながら、問題はまだあります。卵の価格が下がりにくい、もう一つの理由について、東京農業大学元教授の信岡誠治さんに聞きました。

卵を産むヒナも減っている

東京農業大学元教授・信岡誠治さん

大きな要因としては、ひよこの数が減少してるんですよ。卵を産むニワトリの数が減ってきてます。ひよこを作る親鳥、この数も減ってるんです。卵を産むひなを作る大元が減ってるわけです。ですから、増やそうにも、元がないわけですから増えないわけです。今、世界中で鳥インフルエンザが発生してます。だからそういう状態で非常に大元の種鶏を入れること自体が不安定になっているわけです。要するに、ひなも増産をしたいんですけど、元が入ってこないからできないということで、しばらくこういう高止まりは続く。

いま、世界中で鳥インフルエンザが発生しています。日本は親鳥を海外からの輸入に頼っているため、ニワトリを増やすための親鳥の確保が思うようにできていません。また、ヒナは注文してすぐに入れられるものではなく、半年先まではすでに契約で決まっていて、およそ1年先までもほぼ9割が契約で決まっているそうです。つまり、卵が足りないからといって、すぐにニワトリを増やすこともできない状況のようです。

エサは高く、ニワトリもすぐには増やせない。家庭で使う1パックにも、飲食店のオムライス1皿にも、こうした事情が重なっています。たまごの高値は、しばらく簡単には収まりそうにありません。

(TBSラジオ『森本毅郎・スタンバイ!』より抜粋)

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