ボールペンの寿命は半分!?左利きたちの意外な苦労と文房具

世界でおよそ10%の割合でいるとされる左利き。 先週の「生活情報」では、「日本左利き協会」発起人で『左利きの言い分』著者の大路直哉さんに、左利きの方たちが抱えているプチストレスやグッズについて教えていただきました。

ただ、時間の都合でどうしてもカットしてしまった部分がありました。そこで今週は第2弾として、リスナーの皆さんから届いた声と合わせて、改めてご紹介します!

かつては破談の理由にも?「左利き矯正」の歴史

まずは、リスナーの皆さんから届いたメッセージをご紹介します。第一弾で大路さんが解説してくださった「左利きを取り巻く環境と歴史」について、かつては悔しい思いをしたという声も寄せられました。

【お名前のない方】

初めてメッセージ送ります。左利きだと破談になった……というのは、昔、農家では結構あったようです。稲刈りの鎌は右利き用に作られているので、役にたたないという理由からです。私は小学校に勤めていましたが、今から30年程前は、左利きの子供がいると、親に『直しますか?』と確認していましたが、その後はそんなこともなくなりました。夫は左利きですが、テストの丸付けと帳簿に転記するのが一緒にできて、逆に羨ましいと思っています。

【ラジオネーム:やんやんさん】

私は30年ぐらい前にバイトの面接で、左利きは就職する時に不利になるから直した方が良いと言われて、私は直す気があまりなかったので、その事を伝えると、後悔することになるわよと罵られました。習字を書く時ぐらいしか不便さを感じたことがなかったので、びっくりしたのと悲しい気持ちで、右手で練習しないといけないのかなとしばらく悩んだ記憶があります。

昔は親や周りの大人が「直す」のが当たり前だった時代。時代とともに左利きが自然に受け入れられるようになった背景には、こうした歴史がありました。

リスナーから寄せられた「日常のプチストレス」

先週の放送では、左利きが日常で苦労している点として、次のような「あるある」をご紹介しました。

こうした苦労について、リスナーの皆さんからも共感や新たなプチストレスのメールが届いています。

【ラジオネーム:787Bさん】

自分も左利きなんですが、意外と財布がプチストレスです。「左利き用の財布」があるのは知っているんですが、そこまではいないって思うんです。諦めと言うか、今更というか。でもやっぱり財布が使いづらいんですよね。仕方ないと思っていても何気に広げる財布に、ため息をつくばかりです。わかってくれるかな、宇賀神さん。

【ラジオネーム:ポジ子さん】

先日、娘と旅行に行きました。そこは朝晩がビュッフェだったのですが、おかずを取る時、誰も何も言わないけど、左手にお皿を持って並び、時計回りにぐるぐる回りながらサーブして行くんです。当然、右利きの方は右手にトングを持ち、難なくおかずを取れますが、左利きの娘はいちいち立ち止まり、体の向きを変えなくてはならず、大変だと憤慨していました。私が気づいて大変だねと声をかけたら、「気づいてくれてありがとう!」と言われました。左利きレーンがあればいいのにね。

【ラジオネーム:ぽんず侍さん】

私も一部左利きなのでラジオの前で頷いていました。「一部」というのは、筆記は左で、お箸は右など道具によって利き手が違う「クロスドミナンス」という分類に当てはまるからです。ちなみに、最近左利きで使いづらいと思ったものは「計量メジャー」。右手で取っ手を持った時に、目盛りが見えるように印字されているので、いつも腕をぐねって使っています。

財布、ビュッフェの動線、メジャーの目盛り……。木曜パートナーで自身も左利き(クロスドミナンス)の宇賀神アナウンサーも、思わず深く頷いてしまうようなエピソードばかりでした。

寿命が半分に!?「ボールペン」に潜む難題

そしてもう一つ、意外と知らなそうな左利きの苦労について、大路さんに教えていただきました。それは、毎日のように使う「ボールペン」です。

大路さんによると、ボールペンのペン先のボールはとても繊細に作られているとのこと。右手で書く人の場合は「引く」動作がメインになるため、あまり力を入れなくてもスルスルとインクが流れていきます。 しかし、左手で文字を書く場合は、どうしてもペン先を「押す(突く)」動作が強くなるため、右利きの人よりも一筆一筆に力が入り、インクの流れが悪くなってしまうそうです。

「特に水溶性のものや、今の消せるボールペンなどペン先が細いものは、右手で書く人に比べて寿命が半分以下じゃないかなと思います。だから私も文章を書く時は、油性ですごくインクの流れのいいもの、ペン先の細さが0.7ミリ以上とかでないと早く寿命を迎えるので。その点においては、ボールペンっていうのも左利きにとっての一つの難題です」と大路さんは指摘します。

ワンタッチで切り替え!左右兼用ハサミ

ここからは、先週ご紹介できなかったおすすめグッズをご紹介します。 まずは、文房具の定番「ハサミ」です。

大路さんが「社会的に包摂の思想を具現化した左右兼用のユニバーサルデザイン商品として画期的」と絶賛し、ご自身でも3個購入したというのが、文具メーカー「レイメイ藤井」が2009年に発売したペン型ハサミ「ペンカット」です。

当初の開発担当者は左利きの方で、「全ての人が使いやすい道具」というコンセプトのもと開発。特許も取得し、過去4度のモデルチェンジを重ねているといいます。 特筆すべきは「ワンタッチで変わる左右切り替えレバー」。

レバー操作一つでハンドルループの出し入れや刃の合わせが変更でき、使う人の利き手に一瞬でフィットします。13cmほどのコンパクトなサイズで、子どもでも使いやすい一品です。 (「レイメイ藤井」の「ペンカット」は税込660円)

引き算のいらない「左利き用定規」

続いては、文房具から「定規」です。 長年文具を開発・販売されているメーカー「クツワ」の、左右兼用と左利き専用の直線定規です。

通常、定規は左から右へ数字が「1、2、3…」と大きくなりますが、この「左利き用直線定規」は右端が「0」になっていて、左に向かって数字が大きくなります。 

大路さんによると、左利きの子どもが左端が0の定規を使う際、「15センチから10センチ引いて…」といった逆算を強いられることが多いそうです。しかし、この定規なら逆算に頼らず、目盛り通りの長さでスッと線が引けます。

「左利きかつ、引き算でつまずく幼児とか、入学直後の児童にとって、心強い支えになって学習意欲を高めるという思いで販売を続けられている」という、メーカーの温かい配慮が詰まっています。 (「クツワ」の「左手用メタクリル直線定規18cm」は税込264円。※右利き仕様をベースにしつつ左右兼用として使える「両端はじまりの目盛りつき直線定規」も販売されています)

道具選びから始まる、互いへの理解

最後に、こんなメールも紹介します。

【ラジオネーム:レンレンさん】

我が家は私と主人は右利きですが、息子だけ左利きです。息子が小学生のときにコンパスが必要で、特に何も考えず文房具屋で適当に選んで持たせたことがありました。 本人から授業で「マルを書くのがうまくできない」と言われ、面談でも担任の先生に「コンパスを使うのがとても苦手なようで、お家でも教えてあげてください」と言われました。 そこで調べてみたら、右利きの人が時計回りに回すのは簡単だが、左利きの人には結構難しい。さらに左利き用のコンパスや彫刻刀が売っていることもそこで知りました。今は私も何かを教えるときに息子に「こっちで持てる?どっちの手でやったらやりやすい?」と気にかけることができるようになりました。

左利きの人も右利きの人も、互いに理解を深めていけるといいですね。 大路さんも、2週にわたってありがとうございました!

(TBSラジオ『ジェーン・スー 生活は踊る』より抜粋)

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