答えを教えたくなる。フレーベル館がつくる“見守る”遊び場キンダープラッツ

ゲストは、株式会社フレーベル館 こどもまんなかまちづくり推進室 子育ち施設プロデュース部長の田口将弘(たぐち・のぶひろ)さん。今回伺うのは、親子のための室内遊び場「フレーベル館 Kinder Platz(キンダープラッツ)」について。子どもに“教えすぎない”関わり方や、安全と挑戦を両立する遊び場づくりに迫ります。

絵本だけじゃない フレーベル館は遊び場もつくる

西田 フレーベル館。この名前、誰もがどこかで目にした記憶があると思うんですけど、改めてどんな歴史がある会社なんでしょう?

田口 1907年に創業し、来年2027年で120周年を迎えます。もともとは保育用品の研究・製造・販売からスタートしました。今では『アンパンマン』や『ウォーリーをさがせ!』など、絵本の出版社というイメージが強いかもしれません。

西田 『ウォーリーをさがせ!』は80年代後半に大ブームになりましたよね。子どもだけじゃなくて大人も夢中になった。そんなフレーベル館が、今は子どもの遊び場そのものもつくっている。

田口 「フレーベル館 Kinder Platz(キンダープラッツ)」という、親子のための有料の室内遊び場を運営しています。「キンダー」はドイツ語で子ども、「プラッツ」は広場という意味です。

西田 いつ頃から始まったんですか?

田口 2016年にスタートして、現在は関東近県で4店舗を展開しています。テーマは「創造性と主体性を育む」こと。約120年、幼児教育に携わってきたフレーベル館の経験を生かして、遊びながら子どもが育つ場所を目指しています。

大人は「教えたい」をぐっと我慢

西田 実際には、どんな遊びがあるんでしょう?

田口 例えば体を動かすエリアでは、乳幼児期に経験してほしいさまざまな動きが、自然に生まれるように遊具や環境を設計しています。

西田 登る、くぐる、渡る、飛ぶ、バランスを取る。いろいろな動きが入っているんですよね。

田口 そうですね。一連の遊びのなかで、自然にたくさんの動きを経験できるようにしています。

西田 そばには、子どもたちを見ているスタッフもいる。

田口 キンダープラッツでは子どもの主体性を尊重しているので、まずは遊んでいる様子をしっかり見守ります。そのうえで「次はどんな遊びをするだろう」と想像しながら、次の遊びにつながる環境を用意しているんです。

西田 あまり手を出さず、見守るんですね。

田口 大人はつい「これで遊んだら?」「こうやるんだよ」と言ってしまいますよね。でも、子どもが自分で悩んだり考えたり、遊びを選んだりするところから、創造性や主体性は始まると思っています。

ちょっとぶつけるのも経験

西田 一方で、子どもの遊び場となると気になるのが安全面です。

田口 安全性は非常に重視しています。法令や安全基準を守るのはもちろんですが、「子どもはここにつかまるかもしれない」「ここでぶら下がるかもしれない」と、実際の動きを想定しながら設計しているんです。

西田 子どもって、思ってもみないことをしますからね。これは長年の経験の積み重ねがあるからこそ、想像できる部分もありそうです。

田口 そうですね。これまでの経験から、子どもの動きをイメージして設計しています。

西田 でも「絶対に安全」だけを考えたら、何もない広場にクッションを敷いておくのが一番になってしまう。少し滑ったり、ぶつけたり、膝をついたりするのも、育つ過程の経験ですよね。

田口 おっしゃる通りです。

西田 最近は、成田空港にもキンダープラッツができたそうですね。

田口 今年4月9日に成田空港店がオープンしました。屋外エリアもあって、展望デッキには背の高い透明な遊具を設置しています。一番上まで登ると、フェンス越しではなく飛行機を直接見ることができるんです。

西田 旅行前の子どもだけじゃなく、近所のひとも遊びに来ているとか。

田口 そうなんです。海外へ出る前に遊んでもらうことを想定していたんですが、今は成田近隣の方々もお子さんを連れて来てくださっています。

西田 今後は、どんなことを目指していますか?

田口 これまでは幼稚園や保育園に通う子どもたちを中心にサービスを提供してきました。これからはキンダープラッツに加えて、自治体の室内遊び場や子育て支援施設など、さまざまな子どもの居場所づくりに関わり、子どもに優しい社会をつくっていきたいと思っています。

西田 今日は、株式会社フレーベル館の田口将弘さんにお話を伺いました。ありがとうございました。

田口 ありがとうございました。

(TBSラジオ『見事なお仕事』より抜粋)

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