「正直に言うと、やりたいですよ」新型コロナでライブ中止、尾崎世界観の葛藤

TBSラジオ「ACTION」月~金曜日の15時30分から生放送。火曜パーソナリティはクリープハイプの尾崎世界観さん。

2020年3月3日(火)のACTION。オープニングではクリープハイプの尾崎世界観さんが、新型コロナウィルスの影響で、自身のライブが延期・中止の危機になっていることについて語りました。

尾崎:もうやってらんねぇよ、本当に…。

幸坂:どうしましたか?

尾崎:ライブが延期になったりして。

幸坂:コロナの影響ですね・・・。

尾崎:小雨のときに街を歩いていて、傘をさしたいんだけど、周りの人がさしていないとさしづらい、あの感じがする。自分は濡れたくないと思ってるけど、「ここでさしたら恥ずかしいと思われるのかなぁ」という感じがするんですよね。まぁ、日常があってこそのエンタメというのは分かっているんですけどね。健康と安全が確保されたうえで芸術を楽しむ点は理解できるんですけど。誰が悪いわけではないけど、本心としては、正直に言うと、ライブをやりたいですよ。嫌だ。延期にしたくないし、中止にしたくない。で、こういうことを言うのも今って変な感じじゃないですか?結果的に、クリープハイプという僕のやっているバンドはライブをずっと延期にしているし。

この番組でもプロジェクトで進めてきた台湾公演も、もう言っちゃうけど、まだ発表になっていないんですが、中止になるんです。それがね、すごく悔しいですね。で、中止にしたり延期にしたりしてるけど、「悔しい」とか「やりたい」とかも言っちゃいけない空気でしょ?それは言いますよ。結果的に苦渋の決断をしているけど、なんでその決断をしたのか、どういう気持ちで決断をしたのかは言っていいと思うんです。

で、チケットを持って楽しみにしていた人も、なんとなく我慢しなきゃいけない空気になっていると思うけど、「行きたかった」って言えばいいと思うし。「見たい」って。そうしたらそのアーティストも「そういうことがあるなら、なかなか会場取れないけど、頑張ってやろうかな」と思うかもしれないし。

本当に会場が取れなくてね、特にでかい会場を見てもらえたら分かると思うんですが、アリーナクラスはほとんど延期じゃなくて中止になっちゃうんですね。で、僕らみたいな個人事務所の人たちってなかなか会場も押さえられないんです。本当に苦労して今回、幕張メッセと大阪城ホールっていう一番大きな会場をツアー後半でセミファイナルとファイナルと最後2本あったんですが、その2本の会場を押さえるのが本当に苦労して。

大阪城ホールなんて2年以上前から決まっていて。「どうやって1万人以上のキャパを埋めていくか?」ということで、ちょっとずついいタイミングで発表してみたいな、いろんな段取りをして。それでチケットも売り切れて、本当に支えだったんですよね。今まで売ったことがない数のチケットですよ。いろんな辛いことがあっても、これだけチケットが売れている、これだけ未来に賭けてくれているお客さんがいるということを支えにね。

まだ幕張メッセと大阪城ホールも分からないんですけど、やっぱりやりたいし、「やりたい」と言っていかないとダメですね。

中止にしたら事務所が潰れますよ。会場費だけじゃなくて、チケット払い戻しの手数料も莫大なお金になっちゃうので、何万人となると。エンタメ業界で仕事している人はいっぱいいますからね。どうしても楽しませるというイメージがあるから、仕事になかなか簡単に結びつかないと思うんですが、出番直前まではシビアに頑張って準備して、いろんなことを考えてやっていくなかで、ライブが始まったら楽しくやりますけど。

なかなか裏側を見せることがないから、そこを理解はしづらいかと思うのですが、ものすごい数の人が仕事を失っているので。傘をさすのと一緒で、やっぱりライブのスタッフさんって大勢いるので、「じゃあいいですよ、ギャラはいりません」とか、「こういう時ですからお金はいりませんよ」って言わざるを得ない空気になってきますよね。そこは難しいところで。誰が悪いってわけじゃないですが。確実に苦しい人は増えてますよね。もちろんウィルスも流行して大変な思いをしている人もいるから、そっちもすごく大変だし。だからどう落とし所を見つけたらいいのか分からないんだけど。

スポーツとかはまだ無観客で試合ができるから。(野球の)オープン戦も始まって見てたりしてたんですが、それはそれで普段聞こえないベンチの音や、打球音とかが聞こえたりしていいなと思ったり。あと相撲も無観客でやったり。でもああいうのって相手がいるじゃないですか?悔しさや虚しさみたいなものを試合、勝負を通して相手に話せたりできるかなと思うんですが、ライブはどこに向けていいか分からないですよね。

謝ることしかできないのが情けないし、改めて無力だなって思い知らされますね。ただやっぱり、さっきも言いましたが、想いはどんどん発信していっていいと思うし、言ったってしょうがないんですが、単純になにも言わないで「中止になりました、延期になりました」となるのと、「納得できなかったけど中止になりました」と言うのは、子供じみているかもしれないけど、そういう自分の内側にある想いまでも消す必要はないかなって本当に思いますね。

あとライブに関しては生配信したアーティストも結構いましたね。そのときに実力の差が出てきますね。すぐフットワーク軽く、「配信しましょう」となって配信で見せられるというのは実力のある人たちでしょうね。そこで早く行動できるのはいいことだと思うのですが、ただ配信と生のライブは全然違うものだし。その行動力と勇気はすごく羨ましいと思うけど、自分が見せたいのはそうではないですね。

ライブのある程度閉じた空間、好きでいてくれてチケットを取ってくれて、楽しみに待ってくれていた人に届けるということを本当にやりたいし。もしこれでやれたらもっと頑張るだろうなって。「こうなる前から思っておけよ」という話なんですが、もっとやれることがあったなと今更ながら思ったりするので、一刻も早く日常が戻って楽しくライブしたいと思いますね。

ライブを強行して批判されているアーティストもいますけど、でも分からないですよね。それが正解かもしれないし、今後もっと酷くなって、もっとやりづらくなってくるかもしれないから、「あのときにやってみてよかった」と言われるかもしれないし、こればっかりはなんとも言えないですよ。まぁ、延期・中止になっていない公演に関してはまだ諦めていないし、やるときには全力でやりたいと思います。で、こういうときにラジオは強いと思うので、楽しくやりたいですね。

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北部九州・山口災害情報パートナーシップを結ぶコミュニティFM各局とRKBによるコラボ番組『ローカる!』。地域密着のコミュニティFM局のパーソナリティにとっておきの街ネタを紹介してもらう。4月は熊本県熊本市にある「熊本シティエフエム」とのコラボでお送りする。20日の放送では、熊本市中心部のアーケード・上通にある建物「オモケンパーク」を紹介した。(報告:『ローカる!』ディレクター荒木風花)

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