尾崎世界観デザインに携わるイラストレーター・雪下まゆの世界観を深堀り
TBSラジオで放送中の「ACTION」。火曜パーソナリティは、クリープハイプの尾崎世界観さん。
8月4日(火)のゲストは、イラストレーターの雪下まゆさん。尾崎世界観さんが所属するバンド・クリープハイプのダイジェストムービーやイラスト、また尾崎さんの本の装丁も手掛けられるなど、尾崎さん仕事には欠かせないイラストレーターさんです。今日は雪下さんから、その独特な作風についてのお話を伺いました。
尾崎:今の作風になったのはいつ頃ですか?
雪下:クリープハイプさんの「泣きたくなるほど嬉しい日々に」のトレーラームービーのお仕事の前は、ガーリーというか、淡いイラストが多かったですね。でも自分が描きたいものとのズレが出てきました。
尾崎:ガーリーな依頼が多かったんですね。
雪下:そんなときにクリープハイプさんのお仕事をいただいて。そのときに自由に描かせてくださって。それがきっかけで、この画風を見てくださる人が増えましたね。
尾崎:じゃあ2018年ぐらいから、強い絵になっていったんですね。
雪下:そうですね。コントラストが強いものになりました。
尾崎:色がパキっとしてますよね。
幸坂:東京モード学園のCMの絵も強いですよね。
尾崎:ね!目だけまばたきしている独特なCMですよね。この仕事していると、「あの感じで描いてください」って依頼を受けるじゃないですか。外からの発注と自分のやりたいことのズレとかはないですか?
雪下:最近はないですね。クリープハイプさんのお仕事の前は結構ありましたが、自分の絵を見て発注してくださるので、今はあんまりズレはないですね。
尾崎:絵が仕事になる上で、「この絵が出発点だな」というものはありますか?
雪下:学生のころは恋愛観とかを絵にしていましたが、それがだんだんと自分のコンセプトじゃなくなってきたときが出発点かもしれません。
尾崎:そういう明確な変化ってありますよね。それって外からやってくることが多いかもしれません。仕事相手とかファンの人たちの求めるものとかで、気が付いたら自分の作風も変わっていたとか。自分の絵を好きでいてくれるファンに対しては、その期待に応えていきたいですか、それとも良い意味で裏切っていきたいですか?
雪下:良い意味で裏切っていきたいですね。最初のガーリーな絵のころから見てくださる人もずっといて。「私の描いているものが好き」と言ってくださる人もいるので、あんまり軸がブレないように描いていきたいですね。
尾崎:雪下さんの絵の印象的なところは徹底的に人間を描いているところですよね。たまに人がいないこともあるけど、人の持ち物とかだったりするから人間味を感じますよね。人間は好きですか?
雪下:人間は好きですよ…(笑)
尾崎:なんか変な質問しちゃいましたね(笑)
幸坂:妖怪に質問しているんじゃないんだから…(笑)
尾崎:でも人に対して興味があるってことですよね?
雪下:そうですね。描写でいうと、肌を描くことが好きなんです。
幸坂:肌の質感がすらっとしてて素敵ですよね。涙袋の白いところとかうるうるしていて。この『泣きたくなるほど嬉しい日々に』のジャケットの絵、雪下さんに似てませんか?
雪下:たまに自分を参考にするんですよ。
尾崎:雪下さんはお綺麗な人なんですよ。
幸坂:これはなにで描いているんですか?
雪下:iPadで描いています。
幸坂:iPadでこの質感が出るんですか!?
雪下:もともと油絵を描いていて、そこからデジタルへ移行したので、油絵のタッチをデジタルで描けたらと思っていますね。
尾崎:iPadで絵を描くとなんか、平面的なつるっとしたものになるかと思うんですが、ゴツゴツした手触りの絵になってますよね。そのコツってなんですか?
雪下:やっぱり油絵を通ったのは大きいですね。あと例えばモード学園のCMの「承認欲求」という文字は手で書いてスキャンしてますね。
幸坂:人物を描くときにはモデルさんはいらっしゃるんですか?
雪下:周りの友達が多いですね。
尾崎:雪下さんの友達、かっこいい人が多いんですよ。絵になる人が友達で多いのは恵まれてますよね。あとは友達を描いているから、さりげない表情や仕草も切り取れるんでしょうね。
雪下:知らない人にモデルを頼むのが苦手なんです。コミュニケーションを新しく取らなきゃいけないのは難しいですね。
尾崎:雪下さんに絵を描いてもらったら、魂を吸い取られる気分なんですよね。そういう持ってかれそうな絵なんです。俺よりも「世界観」あるもんね!(笑)
引き続き、雪下さんの絵についてお話を伺いました。