取材先でおこられ、正座!『家庭画報』編集長・千葉由希子
TBSラジオ「コシノジュンコ MASACA」毎週土曜夕方5時から放送中!
2021年6月13日(日)放送
千葉由希子さん(part 2)
香川県高松市出身。女性誌の編集や通販カタログ企画・製作を歴任後、webメディア「家庭画報.com」編集長に就任。2018年10月より『家庭画報』編集長として活躍しています。

出水:今日は編集長・千葉さんの審美眼についてお伺いしていこうと思います。小さいころから美しいものや本がお好きだったんですか?
千葉:本はやはり大好きで、近くに宮脇書店という大きな書店があって、そこにいつも行って、漫画もそうですし雑誌もそうですし、参考書まで(笑)入り浸ってました。
JK:そういう思い出ってありますよね。私も小学校のとき、隣が本屋さん。だいたい学校の近くに本屋さんってありません? 帰りに立ち読みしてると怒られて(笑)
千葉:そうですね。親から「良書悪書はない、本だったら何を読んでもいい、良いか悪いかを決めるのは自分だから何でも買ってあげる」って言われて。だから本は山のようにありましたね。
JK:だから運命の道がこうなったのね! 編集長になっちゃったんだもの。
千葉:まさにこの番組の通り、それはマサカでしたけれど(^^)
出水:当時好きだったのはどんなジャンルですか?
千葉:やっぱりファッション誌が好きでしたね。家が商売してまして、当時珍しかったと思うんですが、化粧品と小間物を売っているような家だったんですが、いち早くクリスチャン ディオールとかイヴ・サンローランとか海外のものを入れてたんです。こういうパッケージのものは見たことないな、とか、こういう色があるんだ、とか、家で見てるようなところはあったんです。
JK:だからやっぱり行先は『家庭画報』の編集長だったのよ! だってマルチですもん。お化粧品ありファッションあり、和もあり洋もあり、本当感性のカタマリみたいなものですもんね。それにたくさん本を見てないと、本の質感がわからないものね。
千葉:いやあ、でもそれは自分ではまだまだだと思います。

JK:千葉さんは高松でしょう? 私高松空港で盆栽を買うのが好きで! でもうまく育てられなくて結局枯らしちゃうんだけど(T.T) 重たいんだけど、毎回必ず買っていくの。
千葉:あ、売ってますね! 盆栽有名なんですよ。
JK:香川県ってマルチですよね。歴史的にも金毘羅さんがあったり。私も行きましたよ、うちの母と! 母が市長さんと仲が良くて、金毘羅歌舞伎のチケットを取ってくれて。それからも何度か行きましたけれど・・・そのまんま江戸時代からあるってすごいことですよね! 奇跡みたい。
千葉:本当そうですよね。
出水:千葉さんはかがわ21世紀大賞も受賞していますが、『家庭画報』でも香川を特集したことはあるんですか?
千葉:実は去年初めて特集したんです。それまでは、例えばしまなみ海道ですとか、ひとつひとつをトピックで扱うことはあったんですが、香川とか四国で特集したのは初めてで。非常にご好評いただき、またやろうと思っています(^^)
出水:工芸品がたくさんあるんですよね。
千葉:香川漆芸と毎年取り組みをしているんです。これを言うと自分の無知をさらすのですが(^^;)香川県庁の方たちが何年か前にご相談に見えたんです。「香川県には江戸時代からの香川漆芸という技術があるんだけれども、実際世の中の人はあまり知りません」と。
JK:そうですね、輪島とか山中とかは有名だけど、聴いたことない。
千葉:それでどうにか広めたいけれど、一緒にやってくれないか、というお話をいただきまして。ここが笑い話なんですが、私も香川県の出身で、通っていた高校が漆芸研究所の前にあったんですけれど、まったく知りませんでした(^^;)誰でも入れるところなので入ったこともあるんですが、「えっ、そういうところだったんですか?!」って(苦笑)
JK:それを賢三さんと組んでやったんでしょ? 私もパリで見たんですよ。それが最期だったの! 去年の2月。賢三さんがインテリアの展示会をやってね。ちゃんと見届けました。
千葉:そうだったんですね! 今現在は誌面でご紹介して、たくさんの方にご購入いただいています。香川漆芸は江戸時代の参勤交代のときに、献上品として発展したんですね。もともと玉楮象谷という彫り師がいらして、色漆をかけて彫る。非常に気の遠くなるような、時間のかかるものなんですけど、井伊直弼などが気に入ってコレクションしていたそうです。
JK:そういうの知らないわよね! 私も知らなかった。香川県というと石の産地でもあります?
イサム・ノグチさんとかすっごいアーティストがそこで目覚めてるのよね。
千葉:そうですね、庵治石で有名です。まだまだ特集ができますね(^^)


JK:先ほどもいっぱいマサカのお話が出てきましたが、まとめてひとつ何でしょう?
千葉:私のマサカですか?? 私のマサカはこの番組に呼んでいただいたことです!
JK:確かに珍しいですね、編集長がこの番組にいらしたのは初めてです。でもご縁ってマサカなんですよね。私が言っちゃいけないけど(^^)
千葉:光栄です! さっきも漆芸の話が出ましたが、そこで賢三さんとお仕事させていただいて、その後ジュンコ先生とこのようにお会いすることが叶って。賢三さんにも先生と結びつけていただいたような気がしますし。ご縁があるものって繋がってるんですね。
JK:理屈じゃないですね。ちゃんと道が開かれてる。気が付いたら、ああそうだったの!って感じ。
出水:千葉さんはお子さんが2人いらっしゃると伺っていますが、編集者として忙しく働きながら子育てって大変だったんじゃないですか?
出水:ひとつには、世界文化ホールディングスの社長が女性なんですね。だから女性のライフステージが変わっていくことに理解があって。たしかに子供がちっちゃいときは締め切り前はすごく大変だったんですけど、私はこの仕事がすごく好きで苦じゃないんですね。どんなに遅くまで原稿書いてても、読んでくださる方がいると思うとどんどんノッきて書いちゃう。子供に対しては、保護者会に行けないこともあったり運動会に行けなかったりすることがあるんですが、子供の方が逆に「お母さんがんばってる」って言うのを見ててくれて。
JK:わかってるのよね。私もうちの母の背中を見て育ちましたから。まじめに一生懸命お仕事してるのが丸見えなほうがいいですよ! それが子供に影響する。将来的に、何年後かに『家庭画報』の編集長になるんじゃないですか(笑)
出水:お忙しい毎日で、自分へのご褒美は何かありますか?
千葉:ご褒美ですか?? そうですね・・・でもこうやっていろんな方にお目に書かれることがご褒美です。
JK:大失敗は? 人に言えない大失敗をここで言っちゃって(笑)
千葉:大失敗は数限りなくあります(^^;)取材先で自分が無知であったために、正座させられたことがあります。「半日間そこに座っておれ」って(苦笑)それは京都だったんですけれど、取材のためにお軸もきちっとしてくださってるし、お花もその日のためにしつらえてくださって、いろんな器を見せてくださって・・・ちゃんと指輪を外して見るところまでは良かったんですが、当時器のこともよく知らなくて、「素敵です」「きれいです」という言葉しか浮かばなくて。
JK:お抹茶の器?
千葉:はい。私のためにしてくださったしつらえへの感謝がちゃんと言えなかったんでしょうね。「あなたには見せるものがない」って言われて・・・カメラマンさんもライターさんもみんな一緒に正座して「ごめんなさい、私のせいで」みたいな感じだったんですけど(^^;)そこで私もめげずに、「すいません、ずいぶん正座したんで、取材してもいいですか?」ってお声をかけて(笑)
JK:あらそうですか! でもいい試練ですね。いいお勉強ですね。
千葉:私はそれを人生の宝だと思っていて。そこから取材させていただいて、「もうかなわんなあ」って言って最後はお蕎麦もごちそうになって!
JK:結果的によかったですね(笑)私『家庭画報』の中でよかったのは、親孝行じゃないけど、絶景特集で岸和田を特集してくださったでしょう! 「みんな『家庭画報買うのよ!』」って言って(^^)
千葉:いまわかりました、先生のおかげだったんですね! その号はほぼ完売だったんです。
出水:ジュンコパワー!
JK:あらっ、本当ですか?! 岸和田城とだんじりで、いい写真なの! 市長さんからみーんな喜んで。
千葉:これはコロナの緊急事態宣言のはじめのほうで、雑誌もなかなか取材にあちこち行けなくて。どうしようかと編集のみんなで知恵をしぼって、日本国内の有名人の心に残る絶景をめぐっていこうということになりまして、全都道府県を伺って、先生には岸和田だんじりのキーワードをいただいたんですよね。
JK:絶景っていうとふつうは人が出てこないでしょ? でも私の場合は人なんです。人がたくさん映ってるのはここだけだったね、ってみんなで言ってたの。
千葉:あのページからは私たちもたくさんパワーをもらいました! 先生ありがとうございます!

=OA楽曲=
M1. 街の女マリー/エディット・ピアフ