生活困窮者向けのスマホ充電、無料Wi-Fi支援

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今回のテーマは「生活困窮者向けのスマホ充電、無料Wi-Fi支援」

炊き出し会場の一角に「充電ブース」

豊島区の東池袋中央公園では毎月第2・第4土曜日にNPO法人「TENOHASI」がホームレス状態の人など生活困窮者向けの炊き出しを行っています。前回開催の1月14日(土)には主催者発表で512人にお弁当などが配布されました。高齢者から子供連れのお母さんまで幅広い年齢層の方がいたのが印象的でした。また、会場内で行われた生活相談は19件、世界の医療団による医療相談は69件の利用があったということです。

この炊き出し会場の複数の個所に、こんなチラシが貼られました。「相談会に来られた方へ。無料Wi-Fi使えます。スマホ充電できます。」Wi-FiのIDとパスワードも記載されていて、チラシの一番下には「くわしくは充電ブースまで」と書かれています。このサービスを行っているのは生活困窮者の支援団体、一般社団法人つくろい東京ファンドの新規事業部長・佐々木大志郎さんです。詳しいお話を伺いました。

「今現在ホームレス状態の方も、ほとんどスマートフォンを持っている。ただ、スマホ自体は、料金の未払いで電話回線が止まっていると。それで、フリーWi-Fiを使って私達の方にSOSのメールを送ってきたといった状態がわかりまして、フリーWi-Fiというのが一つのセーフティネットになっていると。もう一つはやはり充電ですね。私との連絡途中でスマホの充電が切れて連絡が取れなくなった。そこでちょっと無用なトラブルに巻き込まれてしまった方もいらっしゃったので、充電とフリーWi-Fiを僕らの方でも設置して対応していこうと。(一般社団法人つくろい東京ファンド・新規事業部長・佐々木大志郎さん)」

つくろい東京ファンドでは、コロナ禍で、困窮状態にある人向けの緊急相談対応を今も続けているのですがその中で、街の中のフリーWi-Fiを使うことで、つくろい東京ファンドとつながることができた人がいると知り、佐々木さんは支援団体の側からも無料Wi-Fi、充電スポットを提供しようと、2020年10月頃からこのサービスを始めました。池袋を拠点とするTENOHASI以外にも、新宿や渋谷で活動する団体も含め3団体と協力してスポットを設置しているそうです。佐々木さんはこうしたサービスについて、「生活のインフラとして提供しているので、相談のための利用に限らず、例えば動画を見るなど、どのように使ってもらっても構わない」といいます。

所持金4円。パチンコ屋にも入れない…

無料Wi-Fiは、チラシを見た人が各自パスワードを入力して利用するので、当日の具体的な利用実態は分からなかったのですが、スマートフォンの充電は佐々木さんが立つブースに直接立ち寄って端末を預けるという流れになっていて、この日の利用は3名でした。利用者のお話です。

「パチンコ屋さんに今、USBで差すところがあるんですけど、私,4円しか持ってないんでパチンコできないんですよ。さすがにそれは電気泥棒になるじゃないですか。マクドナルドとかガストに入るお金も無いし。ネットカフェに入るお金もないし。どうしようかなって悩んでたんですけど、助かりました」

「携帯ショップなんかでも、コロナの関係でなかなか充電をさせてくれなかったり、誰かが使ってたらできないし。それは助かりますね、ここだと。」

特にコロナ禍では充電サービスを提供している飲食店などの営業時間も短くなり、より充電の機会が少なくなっているため、炊き出し現場での充電スポットはとても助かるという声もありました。また佐々木さんによりますと、無料Wi-Fiについて困窮者の方はこれまでコンビニが提供するサービスを利用することが多かったそうですが、去年、大手が相次いで撤退したことで、困っている人も多いといいます。そのため佐々木さんはこうした炊き出し現場以外にも常設のフリーWi-Fiを増やしていきたいとしていて、試験的に、千代田区の聖イグナチオ教会や、台東区・山谷のお寺などで設置を行っているそうです。

スマートフォンを無料で貸し出し、生活再建へ

こうした中、何やら、Wi-Fiや充電以外の目的で佐々木さんのもとに立ち寄る人がいました。話を聞いてみると、料金の未払いでスマートフォンを持つことすらできなくなってしまった「ブラックリスト」状態にある人に、つくろい東京ファンドがスマホを無料で貸し出す「つながる電話」プロジェクトの契約者で、この日はアフターフォローを行ったということです。佐々木さんに詳しく聞きました。

「電話がブラックになってしまうと、結局生活保護を利用して仮の居所を安定させたとしても、不動産が借りられないじゃないですか。電話番号って実は社会的にはIDになっているという状態があると。そういう方に対して私達はスマートフォンの通話アプリを開発して、それをインストールしたスマートフォンを2年間無料でレンタルするという事業を2020年の7月からスタートして、今現在250台以上、全国の25団体以上の方と対応しながら連携しながら対応しているという状態になっています。」(一般社団法人つくろい東京ファンド・新規事業部長・佐々木大志郎さん)

インターネットや電話回線が使えることが当たり前となっている今、いかにそれを、生活困窮者にも提供していくか。佐々木さん達は様々な取り組みを行っています。さらに佐々木さんは、インターネットを通じて、生活困窮者に向けた具体的な支援情報を提供していくことも重視していて、その一環で、「生活保護おじさん」というアカウント名でTwitter、TikTok、Instagramなどでの発信も行っています。「生活保護おじさん」でぜひ検索してみてください。

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