直木賞作家も読み解けない『SPY×FAMILY』

TBSラジオ『井上貴博 土曜日の「あ」』毎週土曜13時から放送中!

9月30日(土)放送後記

ゲストコーナー「あの人」には、井上アナとも親交の深い…直木賞作家の今村翔吾さんにお越しいただきました。井上さんの著書『伝わるチカラ: 「伝える」の先にある「伝わる」ということ』の中で対談をしたことがきっかけで制作が決まった?!今村さんの新書『教養としての歴史小説』について話を伺いました!その中から今村さんがオススメする歴史小説家の話になり…

『ONE PIECE』、『HUNTER×HUNTER』の先駆けは山田風太郎?!

井上「一度は触れてほしい。歴史小説家ってどなたですか?」

今村「小説界の第3世代が最強の布陣なんですよ」

井上「第3世代?」

今村「僕からしたら神々の世代で…司馬遼太郎、池波正太郎、遠藤周作、山田風太郎、この辺強いんですよ。圧倒的に」

井上「おぉ!」

今村「僕はよく池波さんのこと言うけど、若者に触れてほしいとすればやっぱり山田風太郎さんかな」

井上「それは何故?」

今村「例えばさ、漫画とかで能力バトルってわかる?『HUNTER×HUNTER』とか『ONE PIECE』も能力バトルや。あれを世界で初めて考えたが山田風太郎ですよ」

井上「あのフォーマットは今当たり前のようになってるけれども、突き詰めると?!」

今村「そうなんですよ!これを研究してる人がいて、日本の山田風太郎かマーベルやったんですよ」

井上「マーベルと並べられるほど!」

今村「調べたらマーベルより2年先やったってことがわかって、たぶん山田風太郎さんが先駆けなんですよ」

田中「能力バトルって色々突飛な能力が出てきたりするじゃないですか?」

今村「伝奇小説的な部分もある。例えば敵の肌に触れたら血吸い取る能力とか。要はちょっとフィクション性が強い時代小説というか、歴史小説というか」

井上「そういうのはがウケるんだ」

今村「実は昔の時代の方が自由で、今の時代の方が実は堅苦しい。山田さんもむちゃくちゃで、今やったら絶対怒られそうやけど、「何とかはジャンプした!」「2mの間隔を空けて手裏剣を投げた!」とか。やっぱり歴史小説家って言われてても大衆作家なんですよね。僕らも」

井上「そうなんだ」

今村「純文学とか俺は難しいと。要は大衆が喜んでもらう読みやすい、受け入れられるためにエンタメとして最大の努力をした人たちの世代なのかなって」

井上「ある意味かっこいいですね。なんか読者の方に向いてるんだ」

今村「そう。読者の方向いてるんすよ。だから直木賞とかも全部断った人もいるし、逆に「これの部数が3万部いかなかったら辞める」って言った人とか」

井上「直木賞を断れる?!」

今村「要は読者からの賞やったらもらうけど、文学の賞はいらんって言った人とかね」

井上「今度それ言ってみてよ(笑)」

今村「文学賞いらん!は言いたいけどな…やっぱり正直欲しいんだよね(笑)」

井上「人間くさくてとてもいい!」

「進撃の巨人」を分解したら結末を予想できた?!

今村「漫画家さんは大変よ。作家は1回失敗しても何冊か本を出せるけど、漫画家さんは1発勝負みたいなところはあるから」

井上「そういうものなんですか?!」

今村「1つの作品でヒットさせつつ20年後も続くような普遍的なテーマであって、20年後を予測したテーマでもやらなあかんっていう」

井上「そこまで考えて…」

今村「たぶん考えてると思う。だからどういう風にこの物語を構成したんやろっていうのは僕も分解して考えてて…表現できないけど、ここでこの伏線振って、こうやってこの順番で物が出てきたなぁとかっていうのを」

井上「漫画を分解する?」

今村「『進撃の巨人』読んでても感じるし…ただ全く気付かんくて、どうなってるんだろう?と思ったが『SPY×FAMILY』。どういう発想からこうなったんやろってのが分解できんかって…興味を持ってすごい好きやね」

井上「分解できるのとできないのがあるんだ」

今村「着想の意味がわからなくて。たぶん1人じゃないような…編集さんとの相談の中で生まれたような気もするし…、どうやって作ったんやろ??っていうので興味が尽きないね」

井上「なぜSPY×FAMILYなんだと」

今村「スパイからなのかファミリーから先なのかも含めて…簡単なとこで言うたらね」

井上「うん」

今村「逆に言うと、すごくバランスが取れてる作品ですよね。それこそ海外に通じるタイプの作品で、家族っていう普遍的なものだし。実写化したとしても外国の方がやっていけそうなくらい」

井上「他の作品をそうやって見てると勉強みたいにな感じになりますよね?」

今村「職業病ね…『進撃の巨人』は結構早い段階で最後が分かってたよ」

井上「え?!」

今村「最初の方で「こうなるんじゃないかな?とは何となく気づいてた部分があって…「これがこうなったらすごいよなぁ」って思ってたら、やっぱそうだったって」

井上「分析して最後が予想つくんだ」

今村「僕もああいうことをやりたかった(笑)「こうなってたらすげえ作品になりそう!」って思って読んでたらそうなったりして…」

井上「同じクリエイターとしては後出しだもんね」

今村[だからやるにしても、やり方をずいぶん変えなあかんなったんよ。こういうのやりたいと思ってても先にやられると、自分で書き方変えて…」

井上「脱線させながら変えていくんだ」

今村「1発勝負でこういうのやっていくから、やっぱり漫画家の人はよく練られてるなぁ!と思う」

来週もお楽しみに!

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