『シン・ラジオ』火曜日DJ鈴木おさむにインタビュー

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31年間続いた番組の後継として、今年4月にスタートした『シン・ラジオ-ヒューマニスタは、かく語りき-』。DJとして白羽の矢が立つも、息巻いて臨んだ新番組への反響は、想定していたものとは正反対だった。百戦錬磨の放送作家・鈴木おさむが今、抱く思いを語った。

逆風にさらされた新番組

――シン・ラジオが始まって四ヶ月。ここまでを振り返ってください。

 グランジ・遠山大輔、関根勤さん、髭男爵・山田ルイ53世、そして友近。シン・ラジオには個性的なヒューマニスタ※が揃っています。番組開始に先がけ、僕は火曜日を自分の信念や熱い思いを中心に語る3時間にしたいと思っていたのですが、肝心な僕に新型コロナウイルスの陽性反応が出て、2週間、番組をお休みすることになりました。その間、ライスの関町知弘君、平成ノブシコブシの徳井健太君に代打を務めてもらったのですが、メールやTwitterにはたくさんの厳しい意見が寄せられました。3週目になってようやく僕が復帰したのですが、逆風は止まりませんでした。これもエンタメかと思い、番組であえて厳しい意見を読み上げたこともあるのですが、正直言って落ち込みました。

 前身の『The BAY☆LINE』は31年間も続いた番組です。強い拒絶反応があることは想像できましたが、それを終わらせるという重大な決断をしたbayfmにも、新たな番組にかける強い思いがあります。それなのに、前身の番組のリスナーが求めていることをそのままやっても意味がないし、何のために放送作家である僕に声をかけてくれたのか。期待に応え、シン・ラジオを軌道に乗せ、かつ、週替わりパートナーが出演する各週で違う色を出していくか。模索の日々が続きました。

※ヒューマンとファンタジスタを合わせた造語

――番組の転機となったのは?

 映画評論家の松崎健夫さんが初出演した回です。3時間、映画の話だけをしたんですが、こんな番組は他にありません。松崎さんの強烈な映画オタクっぷりを引き出しながら、リスナーから映画にまつわるメッセージを募集し、たくさん紹介した。流す音楽も映画にまつわるものだけ。このハマりがすごく良くて、ひとつのテーマを深掘りしていくことにおもしろさを感じたんです。それが僕にも向いているのかもしれないし、リスナーもメッセージを送りやすいのではないか。ひとつの答えが出た瞬間でした。

 その翌週は僕と関町君がはじめてタッグを組んで放送に臨んだのですが、さまざまなコーナーを展開するより、松崎さんとの放送のように、思い切ってひとつのことに特化した3時間にしてはどうか。しかも僕と関町君には、サザンオールスターズが好きという共通点がある。こうして、選曲対決「サザン選曲じゃんけん」が生まれました。さらに、その翌月に小室哲哉さんプロデュースの楽曲縛りで「TK選曲じゃんけん」をやってみたところ、リアクションがめちゃくちゃよかった。こうして、音楽を中心としたパッケージが誕生しました。

 残すは徳井君ですが、僕とはじめて放送に臨む日に“神風”が吹きました。この日、たまたま彼が再婚したことが発表されたのですが、リスナーから「徳井さん、再婚して“邪”な感じが抜けましたね」「キャラ変わりましたね」と、いじられるようになったんです。前身の番組とは明らかに違うんですが、シン・ラジオの火曜日らしい、リスナーとのコミュニケーションができるようになってきた。しかも、僕と徳井君には「いい話」が好きという共通点があることもわかった。こうして、ようやく各週の色が確立したんです。

――徳井さん、関町さん、松崎さんの印象は、番組開始前後で変わりましたか?

 徳井君と関町君は予想通りで、僕が彼らに期待していたのは、ラジオ番組ならではの「やさしいツッコミ」なんです。僕はシン・ラジオでは自由なスタンスでいたかったので、彼らにその役割を担ってもらいたくて。特に関町君は回を重ねるごとに慣れてきて、東京は恵比寿で生まれ育った彼ならではの、品のある、程よいツッコミをしてくれます(笑)。

 松崎さんは僕が思っていた以上の映画オタクでした。毎回、大きなリュックにこれでもかと映画のグッズを詰め込んでくるんですが、子供の頃に買った映画のパンフレットをいまだに保存しているんです。さらに、これは僕もスタッフも驚いたんですが、英語で書かれた映画の脚本やノベライズまで持っている。それなのに、松崎さんには知識をひけらかす様子がないんです。純粋に、映画のおもしろさを多くの人に伝えたいという思いの塊なんです。

放送作家・鈴木おさむの矜持

――ところで、意識するラジオパーソナリティーはいますか?

 マンボウやしろです。彼は僕の出身高校の後輩で、子供の頃から知っています。僕らのラジオ番組に臨むスタイルは真逆で、僕は流れに応じて内容をフレキシブルに変えていくタイプなんですが、彼は丁寧に作り上げていくことが得意なタイプ。しかも、リスナーへの対応は丁寧で、単純に聴いていておもしろい。彼が担当する番組のことは意識するし、違う方向を目指さなければと思っています。

―――前号のタイムテーブルでグランジの遠山大輔さんに話を伺ったときも、やしろさんの話が出ました。

 当然でしょうね。遠山もやしろのことは強烈に意識しているはずですよ。やしろは今、日本のラジオパ ーソナリティーの中ではトップクラスだと思っていて、僕は彼が成長していく姿を間近で見てきました。

――最後に、シン・ラジオを今後、どのような番組にしていきたいと考えていますか?

 時間はかかりましたが、火曜日はようやく形ができてきました。徳井君、関町君、松崎さんと3つの色が確立し、これからもさらに進化していくと思います。さらに、7月から新たな週替わりパートナーとして、元NHKのプロデューサー・河瀬大作さんが加わりました。年齢が近い僕と河瀬さんで、番組がどのような形になっていくのか。それは僕自身にもまだわかりません。軌道に乗るまで、きっと時間はかかるでしょう。それでも僕は勉強しながら、そして、週替わりパートナーから刺激を受けながら、毎週異なる色の番組をお届けしたいと思います。

――放送作家・鈴木おさむならではの「企みごと」に期待しています。

 振り返ると、火曜日はリスナーから強烈なお叱りを受けたあの日から、すべてが始まったのかもしれません。僕は放送作家ですから、過度に迎合することなく、これからもおもしろい企画を探り当てていきますよ。

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■平成ノブシコブシ・徳井健太

作家界の片岡鶴太郎さんである

めちゃくちゃ有名で才能もあって、結果も充分過ぎるくらいに出している大作家・鈴木おさむさん。それなのに僕とはじめての放送回では、リスナーの罵詈雑言に耳を傾け、傷付き、さまざまな意見を受け止め、立ち上がり、自分や想定が変化することをひとつも恐れなかった。

■ライス・関町知弘

AIロボットである

おさむさんはインプット力が普通の人とは違うのでしょう、ジャンル問わず知識量がケタ違い。しかも処理能力とアウトプットも凄いから、知りたいことを簡潔に教えてくれて、しかも熱量もあるから刺さるんです。僕はSiriよりOsamuです。

■松崎健夫

スピードを伴って好奇心旺盛に行動する人である

仕事柄「オススメの映画は何ですか?」と聞かれることがある。しかし、本当に観てもらえるのは稀だったりする。ところが、鈴木おさむさんは、必ず、そして、すぐに観てくださるのだ。それは、あれだけの仕事量をこなす<秘訣>なるものを、僕が垣間見る瞬間なのである。

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Text:Takahiro Shibayama
Photo:Kei Katagiri(Lingua Franca)

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シン・ラジオ-ヒューマニスタは、かく語りき
放送局:BAYFM78
放送日時:毎週火曜 16時00分~18時52分
出演者:鈴木おさむ、徳井健太、関町和弘、松崎健夫
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※放送情報は変更となる場合があります。

東急のDXの取り組みとは?

株式会社L is Bの代表である横井太輔氏がパーソナリティを務めるラジオ番組

「L is B presents 現場DX研究所」(文化放送 毎週月曜日20:00~20:30)

5月20日放送には、「東急株式会社 URBAN HACKS VPoEの宮澤秀右氏をお迎えし、力を入れる取り組みなどについて詳しくお話いただいた。

松井佐祐里アナ(パーソナリティ)「まずは、企業プロフィールをご紹介させて頂きます。東急株式会社は 交通事業、不動産事業、生活サービス事業、ホテル・リゾート事業を事業分野とする東急グループの中核企業です。“まちづくり”を事業の根幹に置きつつ、 長年にわたって、東急線沿線を中心としたお客さまの日々の生活に密着した、さまざまな領域で事業を進めています。そして2021年、東急線沿線の顧客とビジネスのために、徹底した顧客視点でグループを横断するサービス開発、体験設計を実行するプロセス・組織体制“URBAN HACKS”を発足させました」

L is B代表・横井太輔氏(パーソナリティ)「URBAN HACKSとはどういう意味ですか?」

東急株式会社 URBAN HACKS VPoEの宮澤秀右氏「URBANというのは都市。HACKSというのは、技術を使って何か便利なものを作り出すっていう意味なんです。URBAN HACKSというのは、まち作りのDXを推進する組織という意味でこの組織にこの名前をつけさせていただきました。」

横井「今取り組んでいらっしゃるお仕事は具体的にはどんなものになりますか?」

宮澤「東急がしっかりとした地盤で沿線のお客様にリアルのビジネスを中心とした体験価値を提供できてきたこの100年間で、これからの100年間デジタルを使ってどういうふうにお客様に、便利な体験を提供していくかっていうところを考え始めました。そのことにおいての重要なポイントというのがやはりソフトウェアの技術をどういうふうに使っていくかということ。我々の今の組織が主にやっていることは、ソフトウェアの開発になります。最先端のソフトウェアの技術を使って沿線を中心としたお客様の暮らしをどういうふうに便利に豊かにしていくかっていうことを突き詰めていく組織なんですね」

横井「次の100年の礎を、ソフトウェアを踏まえて作っていくお仕事ですね」

松井「今力を入れている取り組みは何ですか?」

宮澤「東急の沿線を中心としたお客様の体験価値を向上させていくというところに力を入れています」

横井「詳しく教えてください」

宮澤「我々は、東急線アプリというアプリケーションを提供しています。例えば、バスに乗る時に、もう既に家を出る前から今バスがどこを走ってるのかがわかるようになっています。デジタルITが世の中に現れたことによって、お客様に対する便利さを提供できるようになってきたんですよね。これは世の中全体で起きていることで、我々東急だけがやってることではなく、いろんなデジタルの会社がそういったビジネスを展開しています。その中で今までリアルを中心とした鉄道、不動産みたいなものを東急が提供できてきたんですけど、世の中のそういったお客様の便利さを我々も追求していく必要がある。そのために我々も自分たちのリアルで提供しているもののサービスをデジタルを融合させることによって、どういうふうに価値を向上させていくかということをやっていかなきゃいけないということなんですね」

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