ラッパー・漢 a.k.a. GAMIとD.Oが生放送で語る、ヒップホップ解体新書

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火曜日の『シン・ラジオ』は文系CLUBラジオ!1月17日(火)はスペシャルゲストとして、ラッパーの漢 a.k.a. GAMIさんとD.Oさんを迎え、そもそもヒップホップとは何か、日本でのラップ始まりはいつなのか、鈴木おさむさんが携わったあの伝説のフリースタイルバトルの番組についてなど、ヒップホップのディープな世界を語っていただきました。

この2人がこの時間帯のラジオに出る衝撃

鈴木おさむ(以下、鈴木) わたくし今年からラップをはじめまして、その先生であるお二人を今日お呼びしました。
漢 a.k.a. GAMI(以下、漢) はい、漢です宜しくお願いします
D.O 親父(鈴木さん)有難うございます! 楽しみにしていました。
鈴木 あんまりないかな?
D.O 俺はあるかな。
漢 さすがですね(笑)! 僕みたいなペーパーは初めてでございます。
鈴木 漢さん、いまおいくつですか?
漢 いま44歳ですね。ラップは18歳から始めて、CDでデビューして20年目くらいですかね。
鈴木 D.Oさんは漢さんと同じ歳なんですよね?
D.O 同じ歳で、僕も18くらいから本格的にやらせていただいています。で、僕は自己紹介させていただくときは、「どうも、ヒップホップ界の悪いお手本のD.Oです」と。
(一同爆笑)
鈴木 今日は僕がお二人の曲を選んでいるんですが、まず選んでいるときに「これはかけていいんだろうか」という(笑)
D.O そこのジャッジはあの、こちらのスタジオの方々に決めていただければと(笑)
鈴木 ふつうは「漢さんはどんな幼少時代を過ごしたんですか」とか聞きたいんですけど、漢さんの自伝的書籍『ヒップホップ・ドリーム』(河出文庫)を見ていたんですが、あまり話せることがない……
漢 (笑)でも意外とね、一般的な小学生だったかとは思います。
鈴木 新宿育ちなんですよね。親のご職業はちゃんとしてる。でもお二人に共通してますがいきなり貧乏になるというか。
漢 時代ですよね、バブルはじけたりとか。
D.O あのとき突然転校しちゃったやつとか。大人になって気が付いたことがありますね。僕らの世代はよくいたと思います。
鈴木 D.Oさんは親が虫プロ(手塚治虫が関係するアニメ制作会社)ですね。
D.O 両親がそちらの関係で仕事をしてたんで、ガキの頃から漫画やアニメは近い存在でして。特別に英才教育させてもらって、おかげさまで今も漫画・アニメ大好きです。
漢 やっぱそんな風に漫画やアニメ好き過ぎると、悪いお手本が出来上がるんだな。
D.O 虫プロと漫画とアニメと悪党は関係ないから(笑)

ラップ、ヒップホップとは?

鈴木 リスナーの方の中には、ラップやヒップホップって何なんだろうって、聴くに聴けないまま大人になっている人も多いと思うんですけど。
漢 ヒップホップやラップの前にブレイクダンスがあって。ヒップホップの黎明期である70年代から活動しているアフリカ・バンバーダという人がいて、当時ギャング抗争が多かった時代に、殺し合いじゃなくてダンスで競おうっていうのがスタートですね。
鈴木 うんうん。
漢 そこからラップに派生していったり、ロックからヒップホップに転向していったり。そんな流れがあった黒人文化です。
鈴木 僕らの年代だとRUN DMCとかが80年代に売れて、ラップというのを僕ら知るようになるんですけど。その辺からですか、一気に世界中に広がりだしたのは?
D.O もっと前の世代もいましたけどね。ヒップホップ、ラップ、DJ、グラフィティライターという4大要素があって。
漢 もともとはダンス、DJがあって、ラップとグラフィティは同時に派生していった感じがありますね。一番初めはダンスを楽しむというDJプレイから始まっているんで。そこからあるDJがループというレコード2枚使いを生み出して。
D.O ブレイクと呼ばれる曲と曲の間の、歌詞がのっかっていない部分ですね。そこをDJが2枚使ってラップするとかダンスするとか……
漢 ダンスを煽るMCがラップでもある。
鈴木 それは何年代のころですか?
D.O 70年代とか、それで80年代に形になってきたかな。
漢 フロアを盛り上げるラップがあり、MCの、DJの脇役的な部分から、メッセージを伝えるラッパーが現れだしたんですよ。
鈴木 アーティストになりはじめた感じですね?
漢 そこでMCバトルも同時に生まれています。
鈴木 日本でいうと誰が発祥になるんですか?
漢 伊集院光の荒川ラップブラザーズが僕は最初でしたよ。
D.O 僕らの世代はみんなそれ言います。いかにもやばそうなことも言ってるし、あれは小学生の頃に入ってきたよね。
鈴木 ラップに触れたのは?
漢 スチャダラパーとかEAST END×YURIがそうで、彼らで流行り出したのは間違いないんですが、同時期にアンダーグラウンドでよりアメリカの本物志向なヒップホップの思想を取り入れているラップグループは存在していましたね。

この先もディープでコアな、今の日本ヒップホップを支える創世記の話があり、バブルを挟んで90年代のクラブミュージックが流行る一方でいかにヒップホップが成長していったのか、そして現在とこれからの潮流も語っていただきました。

ヒップホップがTVに進出した、あの番組

鈴木 漢さんのあまり紹介できない本をみると(笑)、プロになってからの氷河期(2010年くらい)があったようで、あのときはどんな時代だったんですか?
漢 もともとは先輩と会社作ってレーベルを立てようとしていたんですが、きちんと取り決めもなく「気持ちでやってる」ような形で始めてしまったので、トラブルが生まれ、裁判沙汰となって村八分となり孤立していったようなことがありました。2010~2013年位のことですかね。
鈴木 そのころ、2015年に『フリースタイルダンジョン』というテレ朝の番組で、フリースタイルバトルをテレビでやりたいということになり、その番組で僕は漢さんに出会いました。
漢 そうですね。
鈴木 で今も思い出すんですけど、番組が始まるときにZeebraさんに会ったんですけど、そのときにZeebraさんがパソコンをガッとひらいてキーボードをポーンと押したら、画面に「MAKE MONEY」って出てきて。
漢・D.O 笑
鈴木 要はラッパーがなかなかお金を稼げないということで。だからちょっと夢がある賞金100万円とかでフリースタイルバトルをやりたいという熱い思いを頂きました。ただTVではタトゥーがダメ、言えない言葉もめっちゃあるということをいうと、「え、そうなの!?」となって。それで最初の打合せで、こりゃなかなかハードル高いなと。
D.O 地獄絵図が思い浮かびました、今(笑)。
鈴木 そんなところからどうにかこうにか構築して、始まったのがあの番組だったんです。
漢 僕も自分からアプローチして、どれだけ本物志向のやつが出るのか問い合わせしました。そしたらZeebraさんが「え、まさか漢出てくれるの?」となって。それで出ることになりました。
鈴木・D.O そうなんですね。
漢 Zeebraさんからしたら、まさか漢がTVなんかにって感じだったんでしょうね。
鈴木 それで深夜番組ってお金がないんですよ。でも2回目の収録でもうラスボス出てきちゃって。で、勝たれちゃうと100万円あげなきゃいけない。それで台所事情を握るプロデューサーが、R-指定が負けて勝ち進んでしまった時に、酒飲み始めちゃって(注:番組は挑戦者が凄腕ラッパー、通称”モンスター”とバトルを進めていき、ラスボスを敗ると賞金100万円を獲得できるシステムだった)。
(一同爆笑)
鈴木 で、ガチで般若(注:初代ラスボス)を応援したんですけど、その空気がすごかった……
D.O そっちの方を撮るべきだったんじゃないですか?
鈴木 でもあの温度感があったから成功したんじゃないかな?
漢 色々ありますね。
D.O 面白いですね~
鈴木 とにかくその番組ではみなさん怖いんで、一番怖そうな人と仲良くなろうと思いまして。でも漢さん最初の打ち上げも来なかったですよね?
漢 そうですね、すみません(笑)
鈴木 打合せどころじゃないですよ、リハも全然こないし。歯が痛いって酒飲んじゃうし。ほんと問題児。
漢 今思うと、どうかしていたかなという頃なんです。
鈴木 まあそれで漢さんが一番怖かった、ギャング感があって。
漢 誇らしいです(笑)
鈴木 なんてことを(笑)
漢 でも般若も十分怖くて。初めての収録のときにミット打ちのトレーナー連れてきて、トイレに行く階段を塞いでミット打ちするもんだから、誰もトイレに行けない……
D.O もうそれでエンジン掛けてたんだね。
鈴木 D.Oさんは『フリースタイルダンジョン』が始まったときは、どう見ていたんですか?
D.O 別世界でした。TVをよそよそしく見てたんですけど、一方でフリースタイルってこういう感じなんだとか、ステージの距離感とかを学びました。僕も番組でバトルを知って好きになった一人ですね。
漢 それで好きすぎて毎回現場に来るようになって、ピーピーと鳴らすようになって「あいつ誰だ」といわれ、おかしい人なんじゃないかということで、特別室が用意されていました。
D.O 僕らだけ特別席で、飲食ダメなのにそこだけ持ってきてもよくなってて。恩恵を受けてるのかと思ったらただ邪魔だったという。
鈴木 違うんですよ、ラッパーの数だけやり方があるんです。勝手なんですよ皆さん。裏では揉めるし……そういうことに対してスタッフも段々慣れてきて、トラブルを減らすために「じゃあ、あの人はあの部屋にとじこめちゃえ」って(笑)。
漢 あの番組でヒップホップの状況が大きく変わりましたね。客層が上品になったし、フェスでお金が稼げるようになり、時間帯も昼で一般層にもMCバトルというものが伝わったし。そこから深く掘ってくれたり、コアにも流れていって、みんなのSNSもフォロワーが急に増えたり。
D.O TVの力を知ったという感じですね。

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「出張」中の話を赤裸々に告白

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鈴木 漢さんは今週日曜に『KING OF KINGS』という1年1回のMCバトルの大会があるんですよね?
漢 はい、今回は『KING OF KINGS 2022』ということで、1年を通して各大会の優勝者を翌年集め、1番を決めています。
鈴木 かなりの面子ですよね。その中で注目はありますか?
漢 半分近くが若手(全国区ではないラッパー)という中、晋平太というラッパーがいて、ドラマを生んでくれる一人ではないかと。
鈴木 フリースタイルバトルでも大変でしたよね。もうぶん殴るんじゃないかという勢いで。若手との絡みも楽しみですね。D.Oさんも来られるんですよね?
D.O はい、これは鎖グループの一大イベントなので全員で押しかけさせていただきますけど、僕はコンプラなのかお呼ばれされてはいないんです。
漢 前回、出張から帰ってきてこの席用意したんですけど、まさかの前日コロナになって…
D.O だからそのせいで今年もやらせて頂けないんですかと、俺もだんだん不信感になって(笑)
鈴木 いま出張とおっしゃいましたけど、出張なのか刑期を終えて復帰してるのかどうなんですか? 長期出張?
漢 業界ではショートと呼ばれています(笑)
D.O ショートのほうでございます。僕が出張中にものすごく助けられたのがラジオで、日本全国の留置・拘置・ム所の兄弟たちはラジオにとんでもないラブと勇気をいただきました。
漢 まじめな話、もし許していただけるなら、今年はそうした場所に慰問に伺えたらなとも思っています。
D.O 東京はないですけど、千葉県警でしたら移送車の中でラジオをかけてくれる時もありましたから。例えば今、おさむさんが頑張れというだけで、かなり勇気づけられると思います。
鈴木 これすごいですよ、ラジオを刑務所目線で語った人は初めてかもしれない。
D.O でも僕が出張していた期間、一度も僕の曲は聴けなかったということで(笑)。でもとにかくラジオはよく聞いていて、ラジオライフでしたよ。
鈴木 2人とも普通のラッパーとは違う人生を歩んできたと思いますが、そういうことが起きた時は、やっぱり歌にしますか。
D.O 僕にとってはそうしたストレスや痛みはラッパーとしての活力に変えていて、だからこの間の出張も、僕の中では有意義な社会科見学でして。またそれをプラスに持っていけるように、悪いお手本なりに伝えたいこともあって、そういう悪い状況になったときに、どうジャッジすべきか、いかに向き合うかを伝えるのもヒップホップの重要な役割の一つだと思いました。
漢 僕も基本的に、経験したことは曲に織り込んでいます。ヒップホップの強みは、ネガティブなことを変換して、ポジティブに曲に切り替えたりできることですね。

そんなD.Oさんは、出張中の日々の様子を日記形式で綴った『just prison now D.O獄中記』(彩図社)を昨年12月に出版しています。番組はその後も吉幾三はラップなのか、ダウンタウンの言葉を生み出す能力、ラップでの韻の踏み方などで話題は尽きず、何の打合せもなく3時間はあっという間に経過しました。 そんな濃厚な番組内容は、radikoでチェック!

シン・ラジオ-ヒューマニスタは、かく語りき-
放送局:BAYFM78
放送日時:毎週火曜 16時00分~19時00分
出演者:漢 a.k.a. GAMI、D.O
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人間特化型・情豊ワイド番組、2022年4月、bayfmから発進!
強い、濃い、熱い、厚い!言葉の浸透力を持った“ラウド・スピーカー”達が曜日ごとに登場、
5曜日5者5様、「ヒューマニスタ」として、それぞれの部屋に「言葉の力」で大胆にあなたを吸引。
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今までもラジオを愛し聴いてくれるリスナーも、また、これまでラジオは聴いたことがないという人も、
全ての方々に、「ラジオって、こういうことなら・・・いよいよ本気で好きになっちゃうな」と感じさせる、
そんな新しいラジオです!

出演番組をラジコで聴く

※該当回の聴取期間は終了しました。

有吉 高速道路で“自動車トラブル”に遭遇…カーディーラーの対応に怒り心頭「普通は『大丈夫ですか? 大変ですね』でしょ!」

有吉弘行がパーソナリティをつとめるラジオ生放送番組「有吉弘行のSUNDAY NIGHT DREAMER(サンドリ)」。4月21日(日)の放送は、アシスタントにタイムマシーン3号の山本浩司とアルコ&ピースの酒井健太を迎えてお送りしました。


(左から)酒井健太、有吉弘行、山本浩司



有吉は先日、高速道路を走行していたところ、急に“バッテリーが低下しています。至急、車を停めてください”との表示が出たそう。そこで有吉は、慌てて近くのパーキングに車を停めて、すぐにカーディーラーがおこなっているサービスセンターに電話し、現状を説明。すると、電話対応したスタッフからは「バッテリーは走行を続けることによって充電されるものです」と求めていることとは違う説明をされたそう。

有吉も、それはわかっているだけに「“至急、車を停めてください”っていうマークが出たんです!」と改めて対処法を求めるも、相手は「そうですか。じゃあ、車体番号を教えてください。車はいつ買われましたか?」など、終始平然と対応されたと言います。

最終的に一度エンジンを入れ直したことで表示は消えたものの、対応したスタッフと自分とのあまりの温度差に「あの対応は何なの!?“緊急停止してください”って出ているんだよ。まず普通は『大丈夫ですか? 大変ですね、今どういう状況ですか?』とか言ってほしいじゃない? あなたのところの車が、バッテリー低下のサインを出して“緊急停止をしろ”って言っているのに『車は走ることによってバッテリーが回復されますので……』じゃないよ!」と怒りが爆発。

さらには、「『“緊急停止してください”と出ました』っていう報告を受けたら、まずは『場所はどちらですか?』『JAF(日本自動車連盟)をお呼びしますか? それを『バッテリーというのはですね……』じゃないよ、俺だってそう思ったよ。高速道路でそのサインが出て、どれだけドキドキしたか。心と心でやろうよ」と強く訴えていました。

<番組概要>
番組名:有吉弘行のSUNDAY NIGHT DREAMER
放送日時:毎週日曜 20:00~21:55
放送エリア:TOKYO FMをのぞくJFN全国25局ネット
パーソナリティ:有吉弘行
番組Webサイト:https://audee.jp/program/show/27400
スマホアプリ 「AuDee(オーディー)」ではスペシャル音声も配信中!

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