大沢伸一、音楽は「非日常的な検索」でみつける─その方法とは?

音楽家、作曲家、DJ、プロデューサーの大沢伸一が、最近の音楽の聴き方や、例外的に尊敬するアーティスト、出演するクリス・ペプラープロデュースのイベントについて語った。

大沢が登場したのは、J-WAVEで放送中の番組『SAPPORO BEER OTOAJITO』(ナビゲーター:クリス・ペプラー)。ビールを飲みながら、クリスとゲストが音楽談義を繰り広げる番組だ。オンエアは4月27日(土)。

この番組では、ゲストがビールに合う“おみや”を紹介する。大沢は成城石井の「ハンターズ 黒トリュフフレーバーポテトチップス」を持参し、ビールとともに楽しんだ。

音楽の見つけ方は「非日常的な検索」

サブスクリプションなどの影響で音楽の聴き方が多様化する中、大沢自身もこの5、6年で音楽の聴き方が変わってきたと明かす。

大沢:1つのアーティストやジャンル、曲にいくっていうよりも、プレイリストの考え方が柔軟になってきたじゃないですか。その中で、誰かも言っていますけど、出会った日が新譜みたいなところってあるじゃないですか。その考え方で言うと、昔の曲だけど人生で出会わなかったような曲をプレイリスト単位で探すことが増えましたね。

クリス:ネットの進歩と共に新譜・旧譜っていう概念がないですよね。その中で大沢さんはどう選曲していきます?

大沢:例えば新しい音楽を積極的に探すということはなくて。それはこの10年、20年の中でストリーミングがスタンダードになったあとに生まれてきた音楽は多少なりともアルゴリズムの影響を受けているので、その影響の下で作られたものって良いか悪いかは別にして、昔の音楽に比べてレンジが狭くなっていると思っているんですよ。その狭いレンジの中で何かを探すというよりは、その枠からもれて今まで出会っていなかったものを探すことに特化しているというか。

クリス:アルゴリズムだとかなり大まかなものになってしまう。

大沢:似たようなものばかりになっちゃいますよね。だからおすすめを拾うというよりは自分でとんでもな文言をタイプして、そこで引っかかって面白いなと思ったらそこからまた旅をしていくとか。

クリス:例えば?

大沢:「非日常的な検索」というか、「Indian Hardcore」や「Spooky Tiki」、そういう文言を入れたときにヒットするもの。それが曲名であれプレイリストであれ、1曲面白いものが見つかったら、この人は他にどんな曲をやっているの、その人のことを好きな人は何を聴いているのっていう旅の仕方をしますね。

大沢は「おすすめは、そこから階層を深く旅をしてほしい」と口にする。

大沢:1つのレイヤーで止まってしまうとその人のプレイリストで止まっちゃうじゃないですか。そうじゃなくてその1曲からまた違う、深さや横のレイヤーにいって、違うプレイリストや違うアーティストにたどり着いたりっていうのがインターネットの面白い使い方だと思いますね。

坂本龍一への特別な思い

大沢は1993年にMONDO GROSSOのメンバーとしてメジャーデビュー。そこから30年近くキャリアを重ねてきたが、“1人を除いて”音楽人生であまりアイドル的な存在はいなかったと話す。

大沢:1人だけ例外的な方がいて、それが坂本龍一さんなんですね。当然、坂本さんの作品が全て好きかと言われるとそうじゃないものも当然あるんですけど、彼は僕にとって特別な感じがあって。彼の音楽に出会ってなかったら自分の音楽をここまで全うできてなかったんだろうなっていう思いがあるんですよね。その理由があって、彼だけは例外的に好きですね。ずっと尊敬していますね。

大沢は坂本さんが亡くなる1年前の2022年に、MONDO GROSSOの『IN THIS WORLD feat. 坂本龍一[Vocal:満島ひかり]』で共演している。



クリス:この時期だと坂本さんのご病気が進んでいるときですよね。

大沢:そうですね。セッションも一緒にはできなかったので、データでやり取りをするしかできなかったでね。

クリス:それ以前から教授(坂本さん)とは接点があったんですか?

大沢:最初は90年代にフォーライフ・レコードで一緒だったんですよ。レーベルメートではあったし実際にお会いする機会もあったんですけど、なんとなく触れてはいけないような気がしていて。教授が主催の小さいところでやる集まりがあって、ピアノを披露されると。「MONDO GROSSOでデビューした大沢くんもこの集まりに入っていいよ」って言われたんですけど、入るまで30分くらい表で立っていたんですよ。自分が入っていいものなのかわからなくて。最終的に入ったんですけど。当然紹介してくれる人もいたけど、坂本さんのところにはいけなかったんです。だからお会いしたことも言葉を交わしたこともないんです。

クリス:なるほど。

大沢:謙虚とかではなくて、しかも恐れっていうわけでもないんですけど、なんとなくアプローチを僕がするわけではなく、自然にそのタイミングが来るまで何もしてはいけない気がしていて、そういう影響の受け方を勝手にしていたというか。それで結果的によかったと思います。

坂本さんとの曲作りの話題になり、大沢は敬意の大きさゆえに「正直に言うと、この曲をやりたくなかった」と驚きの発言をした。

クリス:なぜやりたくなかったんですか?

大沢:だって、僕が曲を書くんですよ。僕が書いたメロディーを坂本龍一に弾かせるんですよ。それはやっちゃダメでしょ。

クリス:でも教授はやりたくないことは絶対にやらない人だったから。

大沢:もちろん。でもそれは僕にとっては最後の誰かに対しての優しさとか、いろんな関係性の中で実現したことだと思っているので、本当に僕の人となりがわかって「じゃあやろうよ」って言ってくれたこととはちょっと違う気がしていて。だから本当にやりたかったことは、「今、実際に坂本さんは何がやりたいですか? 僕ができるのはこれです」「じゃあ大沢くんこれをやろうよ」ってことが本当はいちばんやりたかったし、その曲が例え一般的に多くの人が称賛されなくても、僕にはそれがベストだったんですよ。でもこの曲もベスト。なぜかと言うと、結果的にそういう何かの批評や批判の対象にもなりませんでしたし、変な負の遺産にもならなかったし、僕が一緒にした理由があると思うんですよね。

DJでMONDO GROSSOの音楽をあまりかけない理由

大沢は、クリスがプロデュースする5月10日(金)にザ・ガーデンホールで行われる「Celebrate 30th Anniversary of YEBISU GARDEN PLACE with SHINICHI OSAWA -MONDO GROSSO DJ SET- Produced by クリス・ペプラー」に出演する。当日は、大沢率いるMONDO GROSSOのDJセットに加え、ゲストのDONGURIZU、RHYME、オープニングアクトにNao Kawamuraが登場する。

クリス:どういうセットを考えていますか?

大沢:基本的にDJでオファーされるときにMONDO GROSSOの音楽はほとんどかけないんです。DJとしての自分とMONDO GROSSOの音楽って分けて考えているところがあるんですけど、すごく特別な状況に限り、MONDO GROSSOの曲をメインにしてDJをすることがあって、「MONDO GROSSO DJ SET」や「MG SET」と呼んでいます。今回はご依頼の内容から考えてこれをやらせてもらえるんじゃないかってことで、このセットでいこうと思っています。

クリス:なんでDJだとMONDO GROSSOはあんまりやらないんですか?

大沢:MONDO GROSSOってバンドのイメージがあるじゃないですか。だからDJであまり安請け合いしたくないなっていうところと、やるんだとしたら本当に映像とシンクロしてMONDO GROSSOがきちんとDJとして成立しているよっていうことがやりたかったので、ちゃんと機会を見分けてやらせていただきたいと思っています。こうやってDONGURIZUが入ったりRHYMEが入ったりすることで、今回は非常に楽しみです。

MONDO GROSSOは2月にニューアルバム『BIG WORLD』をリリースした。その他の情報は、MONDO GROSSOの公式サイトまで。

番組の公式サイトに過去ゲストのトーク内容をアーカイブ。オンエアで扱った音楽の情報も掲載している。

・過去ゲストのアーカイブページ
https://www.j-wave.co.jp/original/otoajito/archives.html

『SAPPORO BEER OTOAJITO』では、毎週さまざまなゲストを迎えてお酒を飲みながら音楽トークを繰り広げる。放送は毎週土曜18時から。
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SixTONESジェシー「コミュニケーションを取るのが苦手だったんですよ」デビュー当時から“最も成長した”と感じるメンバーは?

ジョージ・ウィリアムズ、安田レイがパーソナリティをつとめるTOKYO FMの生放送ラジオ番組「JA全農 COUNTDOWN JAPAN」(毎週土曜 13:00~13:55)。今回の放送は、SixTONES(ストーンズ)のジェシーさんが登場。5月1日(水)にリリースしたニューシングル「音色」などについて語ってくれました。



◆SixTONESで最も成長したメンバーは?
――SixTONESは5月1日で結成9周年を迎えましたが、ジェシーさんから見て、この9年間で最も成長したメンバーは誰ですか?

ジェシー:松村北斗は、コミュニケーションを取るのが苦手だったんですよ。だから僕が「マネージャーさんに、自分がやりたいこととかをどんどん言ったほうがいいんじゃない?」っていう話をしたら、それからいろいろな人と話をして、コミュニケーションをたくさん取るようになり、ドラマや映画に出たときも、スタッフさんやプロデューサーさんとご飯に行ったりしてコミュニケーション(の幅を)を広げるようになったので、それがすごくいいなと思います。

――松村さんが“人付き合いが上手になってきたな”と感じた瞬間はありましたか?

ジェシー:2015年にSixTONESを結成したときから(松村は)顔もキリッとしてかっこいいんですけど、しゃべらないとちょっと怖い印象があって。そこって、周りから見たらマイナスな部分でもあるじゃないですか。そういうところも含めて話をしたら、北斗はいろいろ調べたりしながら改善していったので“すごく成長したな”って感じますね。

◆仲が良いからこそ出る新曲「音色」の魅力

――今年は、2月からドームツアー「SixTONES LIVE TOUR 2024『VVS』」を開催。大阪府、福岡県、愛知県と巡り、4月のファイナルでは東京ドームで3デイズ公演がおこなわれました。このツアーを振り返ってみていかがでしたか?

ジェシー:合計10公演やらせていただいたんですけど“こんなに熱いライブがもう終わっちゃうんだ”という印象があって。“もっとたくさんの人に見ていただきたかった”っていう思いがありつつも、SixTONESとしては、今年ようやく初めて4大ドームツアーをやらせていただいたんですけど、これからもどんどんやっていきたい気持ちがありますし、“やっぱりSixTONESはライブだな!”って。

個々でもいろいろなお仕事をさせていただいていますけど、(全員が集まって)ライブをすると本当に“SixTONESの世界”になるので、そこがうれしいですね。僕自身も自由にやらせていただいています。

――結成記念日の5月1日(水)には、ニューシングル「音色」がリリースされました。こちらは、どういった楽曲になりましたか?

ジェシー:メンバーの京本大我の主演ドラマ「お迎え渋谷くん」(カンテレ・フジテレビ系)の主題歌なんですけど、結成日に発売できることが奇跡ですし、(楽曲が)ドラマとすごく合っているんですよね。そして、僕たちSixTONESは“絆”“仲間”というのがテーマとしてあるんですけど、それにもすごくマッチしていて、いろいろな人にハマる曲だと思います。

――SixTONESといえば「激しい楽曲」「ダンス」のイメージがありますが、今回はとても優しい印象があります。最初に聴いたときの印象はいかがですか?

ジェシー:“難しいな”と思いましたね。いま流行っている曲とか、ちょっと前に流行った曲をいろいろミックスしたのが「音色」かなと思いますし、オシャレすぎて、最初は“どうやって歌うんだろう?”って思いました。

でも、歌えば歌うほどより良くなってきて、メンバーを見ながら歌う演出とかもあって、ちょっとウルッとくる部分もあります。仲が良いからこそ出る「音色」の良さが今後もどんどん出てくると思います。

――歌詞に関してはいかがですか?

ジェシー:すごくいいですよね。ストレートに伝えてくれるシンプルな言葉が一番わかりやすくて刺さるのかなって。SixTONESらしい歌詞でもあるので(歌うたびに)大好きになってきていますね。

次回5月25日(土)の放送は、フレデリックから、三宅健司さん(Vo./Gt.)、高橋武さん(Dr.)をゲストに迎えてお届けします。

<番組概要>
番組名:JA全農 COUNTDOWN JAPAN
放送エリア:TOKYO FMをはじめとする、JFN全国38局ネット
放送日時:毎週土曜 13:00~13:55
パーソナリティ:ジョージ・ウィリアムズ、安田レイ
番組Webサイト:http://www.tfm.co.jp/cdj/

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