野島裕史も感激! 声優・小野大輔、生涯サイクリスト宣言「人と人がつながっていく乗り物だなと改めて感じました」

声優界随一のサイクリスト・野島裕史がパーソナリティをつとめ、自転車をテーマにお届けするTOKYO FMのラジオ番組「サイクリスト・ステーション ツアー・オブ・ジャパン」。4月14日(日)の放送は、前回に引き続き、声優の小野大輔(おの・だいすけ)さんを迎えて、お届けしました。


(左から)パーソナリティの野島裕史、小野大輔さん



◆あえて余白を…野島のこだわり

野島:先週に引き続きスペシャルゲストをお迎えしています!

小野:チネラー、チネリストの小野大輔です!

野島:チネラー(笑)。自転車大好き声優に加え、チネラー、チネリスト、(イタリアの自転車ブランド)cinelli(チネリ)のSUPERCORSA声優・小野くんです。

小野:SUPERCORSA声優! それ、いいですね(笑)。

野島:先週、小野くんも僕も(小野くんの新車SUPERCORSAについて)たっぷり語るも語り足りず、今週も引き続きお話を伺っていきたいと思います。

小野:自転車に関して「これほど語れるものなのか!」と先週も思いましたけど、前回お話できなかったところでいうとペダルですかね?

野島:そうですね。今回、ペダルはすごくリーズナブルで、カンパ(イタリアのブランドCampagnolo(カンパニョーロ))ではないんです。これには理由があって、(事前に)小野くんと擦り合わせてはいなかったんですけど、僕のなかで考えていた予算がオーバーしつつあったんですよね。

僕のこだわりとして、いくらこだわりの自転車とはいえ、無尽蔵に予算をかけたくないと思ったんですよ。それこそお金をかければ全部スペシャルビンテージにできる。それはぶっちゃけ簡単なんですけど、イヤだなと思って。

小野:そうですよね。

野島:丼勘定でしたけど、ペダルまでビンテージにこだわると……。しかも、ペダルのビンテージって安くはないので。探せば安いものもあるかもしれないですけど、僕が見つけたものは高かったので、(今回ペダルは)とりあえず的なものをつけました。でも、意外と合っていると思いますよ。

小野:めちゃくちゃ合っているんですよ。しかも、ペダルストラップとかボトルケージとかまだついていない部分、余白の部分があるんですけど、僕はペダルを含めて、あえて余白を作ってくれたんだなって思ったんです。選択肢を与えてくれたのかなと。

野島:そうなんです! ペダルも余白のひとつなんです! ビンディングペダルをつけてもいいと思いますし、ひと手間かかるけどクラシカルなビンディングを探してもいいし。やっぱり、余白を作っておいたほうがカスタムする楽しみがありますから。完全に作っちゃうと何も変えようがないじゃないですか。

小野:すごいな~、面白い。完成じゃなくて先があるっていう。最高じゃないですか!

◆小野大輔、待望の新車の乗り心地は?

小野:ちなみにボトルケージはどうしたらいいと思いますか?

野島:実は(小野くんの新車に合いそうなものが)あったんですけど、あいにくそれはペットボトル専用のもので……。オススメは後でLINEします。

小野:もうこの半年くらいおびただしい量のLINEをしていますよね(笑)。(ボトルケージ選びで)難しいなと思ったのが、フレームが美しいから邪魔をしないようなものがいいなと。

野島:大丈夫です。細くてクラシカルでピッタリなボトルケージがありますから。

小野:スタジオでも頼りになるけど、この人は自転車屋さんとしての信頼度もハンパない(笑)。

野島:それは嬉しいですね。でも、(小野くんの自転車づくりは)本当に自分の自転車を組むのと同じくらい楽しかったです。

小野:納車で『CorsaCorsa』さん(東京・目黒の祐天寺にある自転車ショップ)に行くときも、(2人の)スケジュールがなかなか合わないから「僕が(1人で)取りに行きましょうか?」って連絡したら、「絶対に一緒に行くよ!」って言っていましたよね(笑)。

野島:なんとかスケジュールを合わせて行ったね。しかも、その日は結構寒かったんだけど、僕が先にお店に着いても店に入らず。

小野:そう、外で待っていてくださったんですよね。

野島:なぜなら(小野くんと)一緒に見たいから! 一緒にその瞬間を共有したい!

小野:いい人なんだけど、ちょっとこだわりが……(笑)。

野島:そこはさすがに僕が先に見てはいけないなと思って。

小野:見た瞬間も僕よりも喜んでいるし(笑)。

野島:「ウォー!」って叫んじゃったもんね(笑)。

小野:でも、これは大切に乗らないといけないなと、自転車への愛が深まった、いい経験でした。

野島:(自転車は)“乗る工芸品”だからね。

小野:お~、すごい表現。でも、恐る恐る乗るようになっちゃうかなと思ったら、最近めっちゃ乗っています。

野島:絶対に乗ったほうがいいですよ! 一番聞きたかったことなんですけど、(SUPERCORSAは)クラシカルなバイクで(フレームが)クロモリ(鉄製)。人によってはカーボンのほうが乗りやすいとか、新しいバイクのほうが乗りやすいって方もいるんですけど、乗ってみてどうですか?

小野:これがむちゃくちゃ気持ちいい! 何がいいってレスポンスが速いんですよ。クロモリって(鉄製なので)重いはずですよね。前に乗っていたアルミ(フレーム)はいい意味でしなりがあって、カーボンほどではないにしろペダリングの力を吸収しているなと思っていたんです。でも、SUPERCORSAに乗ったら自分の力がダイレクトに伝わる感覚がして。

野島:なるほどね。それは硬さがちょうど体型に合ったのかもしれないですね。身長や手の長さなど全部測って作っていますし。

小野:そうか! (自分の体に)フィットしているというのもあるんですね。すごくダイレクト感が増していて、自分の意のままに乗れる感じがあって気持ちがいいです。そして、何よりもかっこいい!

◆野島のお気に入り自転車あるある

野島:気に入っている自転車あるあるなんですけど、(自転車に乗って)走っているときに街中にあるウインドウとかに映っている自分の姿を見て、自分ではなく自転車が“かっこいい!”って思うんですよね。

小野:さすが(笑)。

野島:僕のこだわりなんですけど、やっぱり自転車は人が乗って完成なんです。で、そのシルエットがどうなっているのかが僕は一番気になってしまって。自転車だけの写真もよく撮るんですけど、僕が実際に乗ってみるとどう見えるのかが大事。

小野:それはわかりますね。

野島:自転車と自分のフィット感、それが合わさってかっこいいなって思うんですけど、ぜひ小野くんも見てみてください(笑)。

小野:でも、そういう場所ってありますよね。それこそ笹塚と幡ヶ谷の間の81プロデュースの養成所のところとか。鏡ばりになっていてよく映る。

野島:あそこね! わかる(笑)。

◆小野大輔の不安…野島に聞く自転車盗難対策

小野:ちょっと不安もあるんですよ。あまりにもいい自転車なので盗まれないかなって。

野島:そこは一番注意したほうがいいです。

小野:ここはぜひお聞きしたいなと思ってました。とりあえずABUS(アブス)のチェーンロックは買ったんですけど、究極的にいうと(自転車の)全部のパーツが盗まれる対象になってしまうので、今は外ではほとんど止めず家のなかに連れて帰っています。

野島:それしかないんですよね……。コンビニとかに寄りたいときもありますけど、そういうときはできるだけお店に近いところ、電柱や車止めとかに地球ロック(地面に固定されて動かすことができないところでロックすること)しつつ、常にコンビニの店内から目を配るみたいな。

小野:なんかもっとスマートなやり方があるのかなと思ったら、やっぱりそれなんですね。涙ぐましい努力しかないと(笑)。

野島:(他に方法は)ないですね。カフェに入っても(自転車は)見えるところに置いて、窓際やテラス席に座る、それしかない。いろいろなロックがあるんですけど、盗まれない方法はないと言ってもいいぐらいですからね。

盗まれにくくするためにはロックを二重でかけたり、(盗むのが)面倒だなと思わせることで多少の抑止力にはなるものの、盗まれない方法は絶対にないと思っていいと思います。なので、目を離さないのが一番ですね。

小野:タメになりました。でも、(自転車のことを)話せば話すほど、子どもみたいな存在だなって。目を離さないとか、自転車を見てニヤニヤしたり。

野島:そうそう。だからこそ絶対に盗まれないように。家でも室内に入れて、スタジオも最近はほとんどのスタジオで中に入れさせてくれるので入れたほうがいいです。

小野:まだ仕事場には乗って行ったことがなくて、今回TOKYO FMに来たのが初めてなんですけど、ここの方に聞いたら最近は自転車で来る方が多いらしいですね。まぁ、TOKYO FM周辺、半蔵門は自転車に乗っていても楽しいですよね。

野島:走りやすいですし、皇居の周りは自然がいっぱいできれいだし、走っていてもすごく気持ちいいですね。それに(自転車の)イベントもあったりするんですよ。

小野:そうなんですね。それはぜひ参加したいですね。

野島:一緒に参加したいよね。そのときは僕も(倉庫から)SUPERCORSAを引っ張り出して。買ってから17年くらい経っているので、さすがにボロがきているのでリペアやリペイントをして。

小野:リペイント!?

野島:ずっと乗っていたので、もう色が剥げているんですよ。

小野:でも、それすら愛おしいですよね。もうすでに輪行でクイックリリースを何回かやっていて、すでに塗料が少し剥げてきた部分があって。

野島:そうやって育っていくんですよ。

小野:ちなみに何色にするんですか?

野島:小野くんの(新しい自転車の色)Azzurro Laser(アズーロレーザー)を見たら僕も同じ色にしたいなと。お揃いにしたい(笑)。

小野:それは激アツじゃないですか(笑)。

◆小野大輔、生涯サイクリスト宣言!

小野:今回、自転車ってただ乗るだけのものじゃなく、人と人とのコミュニケーション、つながっていく乗り物だなと改めて感じました。

野島:そうだね。僕も自転車に乗るようになって声優以外の友達が圧倒的に増えたしね。いろいろな世界の人と知り合えたという意味では、自転車は本当に世界を広げてくれたという感じがします。

小野:いい話!(野島は)もう声優じゃないですね。プロのサイクリストです(笑)。

野島:まだまだお話をしたいところなんですが、そろそろお別れの時間ということで、今後もいろいろ、この番組の企画も含め一緒に自転車に乗る機会がありましたらよろしくお願いします。

小野:こちらこそぜひ。それこそお兄ちゃん(野島)が「小野くん、これは一生ものの自転車になったね!」って言っていましたけど、僕もそう思いました。車とかもそうですけど、自転車も一生ものの宝物になるんだなと思いました。僕も一生サイクリストでいたいなと思います。

野島:いい言葉をいただきました! じゃあ、一生自転車に乗っていくということで。ちなみに僕はトライアスロンもやるんですけど……。

小野:それはちょっと待ってください! ツーリングからとかじゃないんですか(笑)。

野島:ゆくゆくはトライアスロンも一緒に。

小野:ポタリング(目的地もなく自由に自転車で巡ること)って言葉もありますよ(苦笑)。

野島:ごめんなさい、一足飛びになりました(笑)。ぜひポタリングから。

小野:よろしくお願いします。

野島:かしこまりました。今後ともお互いサイクリストとしてよろしくお願いします! 今回のゲストは小野大輔さんでした、ありがとうございました!

4月21日(日)の「サイクリスト・ステーション ツアー・オブ・ジャパン」は、1ヵ月後に開催が迫る「Mt.富士ヒルクライム」特集をお届け。70歳にして初参加となる声優の井上和彦さんをゲストにお迎えします。お楽しみに。

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▶▶この日の放送内容を「AuDee(オーディー)」でチェック!
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<番組概要>
番組名:サイクリスト・ステーション ツアー・オブ・ジャパン
放送エリア:TOKYO FMをはじめとする、JFN全国24局ネット
放送日時:TOKYO FMは毎週日曜 朝5:00~5:30(JFN各局の放送時間は番組Webサイトおよびアプリ「AuDee(オーディー)」でご確認ください)
パーソナリティ:野島裕史
番組Webサイト:http://www.jfn.jp/toj
サイクリスト・ステーション ツアー・オブ・ジャパン
放送局:
放送日時:2024年4月14日 日曜日 5時00分~5時30分

※該当回の聴取期間は終了しました。

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ハンセン病療養所『多磨全生園』内で開かれた『あおぞら絵画教室』

かつてはハンセン病にかかると、長く続いた国の誤った政策で、強制的に療養所に隔離されました。東京・東村山市のハンセン病療養所「多磨全生園」に暮らした患者や治った回復者たちが「絵を描いた活動」の歴史をたどる企画展が、隣の国立ハンセン病資料館で開かれています。「絵ごころでつながるー多磨全生園絵画の100年」。
この企画展の関連イベントとして、3月30日(土)、多磨全生園の中で、「あおぞら絵画教室」が開かれました。担当学芸員の吉國元さんは参加者を前に「現在、当事者の皆様が高齢化しているということで、園内の描き手たちはやがていらっしゃらなくなります。それを踏まえて、多磨全生園の描き手たちは、どういった思いを込めて、絵を描いたのだろうと。そういったことを想像しながら、絵を描ければいいなあと思っています。「記憶の継承」。そういったことをですね、このイベントを通じて皆様と一緒に考えていきたいです」と趣旨を説明しました。

吉國元学芸員による説明(国立ハンセン病資料館提供)

多磨全生園の中には、入所者が地域の人たちとの交流を願って、戦後、植樹した約3万本の樹木が豊かな森を作っています。「あおぞら絵画教室」では、園内の一角、黄色い菜の花畑と紅色の陽光桜が咲く緑地で、水彩絵の具を使って描きました。12組の参加者のうち、4組が親子連れ。資料館が用意した絵の道具や紙をまず配った時、1人の母親は「ここの植物の表情はたくましくもあり、皆さんが思いを込めて植樹されてた木なんだなっていうのも相まって、いい場所だなと思います」と話しながら、子供と使う絵の具の色を選んでいました。

絵具を配る

菜の花や陽光桜のそばには、戦前、療養所を囲む堀を入所者が掘った時、余った土を盛り上げ、小山にして、その上に登って、みな故郷をしのんだという「望郷の丘」があります。園内の小中学校があった場所も近くです。近くに住んでいて、園内をよく散歩するという参加者もいれば、入るのが全く初めてという参加者もいました。絵を描くのにちょっと飽きた小さい子は緑地を走り回り、その横で、1人であちこち歩き回って考えながら、描いている参加者もいました。

陽光桜と菜の花畑(国立ハンセン病資料館提供)

お昼休みをめどに、描き終わり次第自由解散で、絵を提出する親子、お昼ご飯を食べに行く人、描き続ける人それぞれでした。その時点で聞くと、「なんかいろんな植物が混ざっていて、地域の方とか子供連れの方も多いですし、すごい溶け込んでみんな調和があるような感じを受けています」「すごく独特の空気感があって、すごい素敵なところだと思います。ここにいると、いっぱい絵の題材になるような場所が見つけることができそうです」「普段訪れる時は、家族とか友達とかと普通に遊ぶときもあれば、お花見するぐらいなんです。きょうは、絵を描くために集中するのでいつも見てたのとちょっと違う感性が生まれる感じです」と様々な感想が返ってきました。

陽光桜と菜の花畑(国立ハンセン病資料館提供)

参加者の絵を描く経験は様々だったので、最初に、美術家でもある学芸員の吉國さんがちょっとしたコツを伝えていたんですが、その時、隔離政策の下、子供を持つことが許されなかった療養所の入所者たちの中の描き手の一人が、桜並木の下で、花見をしているであろう家族の描いた絵に吉國さんは触れました。「ハンセン病回復者は家族が持てなかった人たちなんですね。そういった人たちが、こういった絵にどういった思いを込めたのか、切ないような、あるいは、憧れのような思いかもしれません。絵を単に上手く描く、とかではなくて、そこの場所にどういった意味があるのか、入所者がどういった思いを込めたのかっていうのを知っていただきたいと思い、この絵を紹介をさせていただきました。ある意味、そういった思いが形とか描き方を作っていくわけなんです」。

ハンセン病資料館2階では企画展が開催中

参加者の作品は、6月5日(水)~7月31日(水)、国立ハンセン病資料館の1階ギャラリーで、成果発表展として展示されます。2階では企画展「絵ごころでつながる-多磨全生園絵画の100年」が開かれているので、合わせて観ることができます。企画展では、療養所の絵を描く活動が、サークルとなって療養所の入所者同士や入所者と職員をつなぎ、戦後は、作品が上野の東京都美術館の美術団体展などに入選、展示されたりと、描き手と社会をつなぐものであったことが、作品や様々な資料から伺えます。企画展は9月1日までです。

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