村上春樹、クラリネット奏者リチャード・ストルツマンと小澤征爾さんとの貴重なエピソードを披露

作家・村上春樹さんがディスクジョッキーをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「村上RADIO」(毎月最終日曜 19:00~19:55)。4月29日(月・祝)15時00分~16時50分は、特別番組「村上RADIO特別編~小澤征爾さんの遺した音楽を追って」をオンエア。
今年2月に逝去した世界的指揮者小澤征爾さんと親交が深かった村上さんが、小澤さんを偲んで、自宅から持参したレコードをかけながら、良き音楽を求め続けた小澤さんの足跡を辿りました。
この記事では、リチャード・ストルツマンと小澤さんとのエピソードを語ったパートを紹介します。



◆San Francisco Symphony Orchestra Seiji Ozawa「バレエ組曲<ロミオとジュリエット>作品64 第1番、第2番から『モンタギュー家とキャピュレット家』『踊り』」

小澤さんはトロント交響楽団の音楽監督を務めたあと、サンフランシスコ交響楽団の音楽監督に就任し、1976年までその地位に留まりました。これはその時代の吹き込みですが、とても印象的な名演だと思います。プロコフィエフのバレエ組曲「ロミオとジュリエット」から「モンタギュー家とキャピュレット家」そして「踊り」の楽章を聴いてください。
まだ若い頃の演奏ですが、この人の作る音楽の特徴がよく出ています。
その曲の持っているコア=中心軸みたいなものをぎゅっと掴(つか)んで、それを最後まで手離さない。自分のメッセージは怠りなく述べるけれど、決してやり過ぎない。無理に枠をはめたりはしない。音楽に自由に息をさせ、そこから自然な動きを導き出す。これは言うなれば、小澤征爾の音楽の神髄みたいなものですね。

バレエ組曲「ロミオとジュリエット」から「モンタギュー家とキャピュレット家」そして「踊り」。小澤征爾指揮サンフランシスコ交響楽団です。

◆Wolfgang Amadeus Mozart, Harold Wright, Sherman Walt, Boston Symphony Orchestra, Seiji Ozawa「Konzert Für Klarinette Und Orchester A-dur KV 622 2. Adagio」

名手揃いのボストン交響楽団、その首席奏者たちをソリストに据えて吹き込んだモーツァルトの管楽器協奏曲集、その中からクラリネット協奏曲(K.622)を聴いてください。
高名な第二楽章、クラリネットソロはハロルド・ライト。仲間同士の演奏だけあって、隅々にまで親密な空気が漂っています。まるでファミリー・パーティーみたいに。征爾さんは微笑みを浮かべつつ、オーケストラを穏やかに優しく導いていきます。

僕がアメリカに住んでいるとき、クラリネット奏者のリチャード・ストルツマンさんがうちに来たことがあります。マサチューセッツ州のウェルズリーというところに住んでいたのですが、その近くにクラリネットを修理する職人がいて、彼はそこで楽器を修理してもらって、その帰りにうちに寄ったんだけど、「ちょっと試し吹きをしていいかな?」と言うので、「いいよ」と言ったら、うちの台所でこの二楽章をそっくり吹いてくれました。奥さんのミカさんがオーケストラ・パートを口真似で受け持ってくれました。よく晴れた日曜日の午後で、それは本当に素晴らしい体験でした。

ストルツマンさんは若いときに、サンフランシスコ交響楽団の楽団員になるための面接を受けたんだけど、そのとき音楽監督だった征爾さんに見事に落とされたんだそうです。「でもそのおかげで、ソリストとしてやっていこうと思ったんだ。だから小澤さんには感謝しているよ」ということでした。

番組では他にも、2人の対話集『小澤征爾さんと、音楽について話をする』の取材のために録音された会話の一部を特別公開する場面もありました。

----------------------------------------------------
4月29日(月・祝)放送分より(radiko.jpのタイムフリー)
聴取期限 5月7日(火)AM 4:59 まで
※放送エリア外の方は、プレミアム会員の登録でご利用いただけます。

----------------------------------------------------

<番組概要>
番組名:村上RADIO特別編~小澤征爾さんの遺した音楽を追って
放送日時: 2024年4月29日(月・祝)15:00~16:50
パーソナリティ:村上春樹
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/murakamiradio/
タグ

春風亭一之輔 × 草彅剛 初対面で意気投合 「今日から友達」「もちろんですよ!」と固い握手

俳優・草彅剛が5月17日(金)、落語家・春風亭一之輔がパーソナリティを務めるラジオ番組『春風亭一之輔 あなたとハッピー!』(ニッポン放送 毎週金曜8時~11時)に生出演、初対面ながら2人のトークは盛り上がり、「今日から友達」宣言のもと、固い握手を交わした。

春風亭一之輔、草彅剛

史に刻まれた古典落語の名作「柳田格之進」を白石和彌監督が完全映画化した草彅剛主演の時代劇映画『碁盤斬り』が5月17日(金)に公開となったが、「柳田格之進」は誇り高い武士の生きざまを描いた人情噺で、一之輔も同作品を口演している。

ひと足早く映画を鑑賞している一之輔が、柳田格之進という人物について、草彅自身の性格との相違を訊くと、「全然違いますね。(演じているとき)イライラしましたね」と明かす草彅。「すごく実直で、曲がったことが大嫌い」と一之輔がその役柄を言及すると、「でも、(格之進の役を)やっているうちに、僕の中にそういうものがないし、もしかすると現代に忘れ去られてるような、この格之進の貫き通す気持ちというのは大事なんじゃないかなと思えてきた」と語り、「そこからもう、このポスターの顔ですよ」と、同映画のポスタービジュアルで厳しい表情をしている経緯を明かした。

映画『碁盤斬り』 (C)2024「碁盤斬り」製作委員会

そして「ある男が言いました」として、伝えられた感想を次のように語った。「この映画は言葉の一言一言に重みがある。今、携帯とかテクノロジーが発達した時代だけど、この時代は携帯電話もないし、手紙を書いたりそこまで足を運んだりする。そういった意味では今この時代だからこそ見る映画なんじゃないかなと」……これが誰の発言なのかを一之輔が訊ねると、「香取慎吾くんが昨日言ってました。いい言葉だなと思ってジンとしちゃって」と明かした草彅。

また、稲垣吾郎についても「『新しい剛の顔が見られる』と映画コラムですごく褒めていただいて」と、嬉しそうに語ると、「『碁盤斬り』を見ると新しい草彅さんがわかる」と、一之輔も同意した。

春風亭一之輔、草彅剛、ニッポン放送・増山さやかアナウンサー

そして草彅が「ぜひ一之輔さんの『柳田格之進』を聴きたい」と熱望すると、「やりますよ。一対一で」と即答する一之輔。草彅が埼玉県春日部市出身であり、一之輔が埼玉県立春日部高校出身であるという共通点でも盛り上がると、初対面だった2人の距離はぐっと縮まり、「今日から僕たち、友達ということで」(一之輔)、「もちろんですよ!」(草彅)と言葉をかけあうと、固く握手を交わす2人であった。

 

映画『碁盤斬り』 (C)2024「碁盤斬り」製作委員会

映画『碁盤斬り』 5月17日(金)全国公開
(C)2024「碁盤斬り」製作委員会
配給:キノフィルムズ

STORY
浪人・柳田格之進は身に覚えのない罪をきせられた上に妻も喪い、故郷の彦根藩を追われ、娘のお絹とふたり、江戸の貧乏長屋で暮らしている。しかし、かねてから嗜む囲碁にもその実直な人柄が表れ、嘘偽りない勝負を心掛けている。ある日、旧知の藩士により、悲劇の冤罪事件の真相を知らされた格之進とお絹は、復讐を決意する。お絹は仇討ち決行のために、自らが犠牲になる道を選び……。父と娘の、誇りをかけた闘いが始まる!

radikoのタイムフリーを聴く

Facebook

ページトップへ