村上春樹、小澤征爾さんから聞いた“野球”にまつわるジェームス・テイラーとのエピソードを明かす「すごい話です」

作家・村上春樹さんがディスクジョッキーをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「村上RADIO」(毎月最終日曜 19:00~19:55)。4月29日(月・祝)15時00分~16時50分は、特別番組「村上RADIO特別編~小澤征爾さんの遺した音楽を追って」をオンエア。
今年2月に逝去した世界的指揮者小澤征爾さんと親交が深かった村上さんが、小澤さんを偲んで、自宅から持参したレコードをかけながら、良き音楽を求め続けた小澤さんの足跡を辿りました。
この記事では、小澤さんとジェームス・テイラーとの思い出を語ったパートを紹介します。



◆小澤征爾指揮サイトウ・キネン・オーケストラ「ディヴェルティメント ニ長調 K.136 第1楽章:Allegro」

モーツァルトの「ディヴェルティメント ニ長調 K.136」は征爾さんにとっては大事な意味を持つ曲になっています。これは彼が桐朋学園時代に、恩師である齋藤秀雄さんにみっちり念入りに叩き込まれた曲であり、征爾さんが若い学生たちを仕込むときに必ずと言っていいほどテキストとして取り上げてきた曲でした。
僕は彼がオーケストラのリハーサルをするのを見ているのが好きだったので、この曲はいやというほど聴きました。モーツァルト初期の作品で、簡潔にシンプルに書かれていて、演奏すること自体はそんなに難しくないんだけど、実は奥が深い。普通にさらっと演奏しただけでは、けっこうつまらない曲になってしまいかねません。それをいかに生き生きと深く聴かせるか、そこが肝になります。
ここでは1992年に録音されたサイトウ・キネン・オーケストラの演奏をおかけします。心のこもった演奏というのは、きっとこういう音楽のことを言うのでしょうね。欲張ったところのない、純粋に求心的な音楽です。
モーツァルト「ディヴェルティメント ニ長調 K136」の第一楽章です。

◆Bonney, Kirchschlager, Ainsley, Tokyo Opera Singers, Saito Kinen Orchestra, Seiji Ozawa「ミサ曲 ロ短調 BWV232 グロリア9.合唱:世の罪を除かれるお方よ、10.アリア:父の右に座すお方よ、11.アリア:なぜならば、あなたのみが聖」

小澤さんはなぜかバッハを演奏する機会があまりなかったようです。だからこのサイトウ・キネン・オーケストラとの「ロ短調ミサ」BWV232の録音はとても貴重です。現代オーケストラによる演奏ですから、最近主流になっているピリオド楽器演奏によるバッハとはかなり音楽の傾向が違っています。しかしこの慈しみの気持ちにあふれる「ロ短調ミサ」は他の演奏には替えがたいものがあります。心が洗われるようです。
「グロリア」第9曲のコントラルトのアリア、第10曲のバスのアリア、第11曲のコーラスを続けて聴いてください。コントラルトはアンゲリカ・キルヒシュラーガー、バスはアラステア・マイルズ、オーボエ・ダモーレは宮本文昭さん。合唱は東京オペラシンガーズ。2000年、松本での録音です。



先日東京でジェームズ・テイラーのコンサートがありまして、行ってきたのですが、コンサートのあとでテイラーさんと楽屋で話をする機会がありました。そこで2人でずっと征爾さんの話をしていました。テイラーさんはマサチューセッツ州タングルウッドにある征爾さんの家のすぐ隣に住んでいて、とても親しかったんです。征爾さんの80歳の誕生日には、わざわざ松本まで来て、「ハッピーバースデイ」を歌ってくれたほどです。征爾さんが亡くなったことを、彼は本当に寂しがっていました。

これは征爾さんから聞いた話ですが、あるシーズン、ボストン・レッドソックスの開幕試合の日に、小澤家のテレビがたまたま故障してしまって、征爾さんがテイラーさんのうちに電話をして「これからお宅にテレビを観に行かせてもらっていいかな?」と訊いたら、テイラーさんは「僕はこれから球場にオープニングの国歌を歌いにいくから、好きにうちに来てテレビを観てくれていていいよ」と言ったそうです。しかしすごい話ですね。

番組では他にも、2人の対話集『小澤征爾さんと、音楽について話をする』の取材のために録音された会話の一部を特別公開する場面もありました。

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4月29日(月・祝)放送分より(radiko.jpのタイムフリー)
聴取期限 5月7日(火)AM 4:59 まで
※放送エリア外の方は、プレミアム会員の登録でご利用いただけます。

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<番組概要>
番組名:村上RADIO特別編~小澤征爾さんの遺した音楽を追って
放送日時: 2024年4月29日(月・祝)15:00~16:50
パーソナリティ:村上春樹
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/murakamiradio/
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16万人が熱狂した、伝説のイベント!「オードリーのオールナイトニッポン in 東京ドーム」公演を記念した書籍が7月18日に発売決定!

2024年2月18日に開催され、5万3千人のリスナーが集い、ライブビューイングと配信を含めると合計16万人が熱狂したイベント「オードリーのオールナイトニッポン in 東京ドーム」。この伝説のイベントを記念した書籍『オードリーのオールナイトニッポン in 東京ドーム 公式余韻本』(著者・オードリー)が、イベントからちょうど5か月後となる2024年7月18日(木)に、新潮社より刊行されることが決定した。

『オードリーのオールナイトニッポン in 東京ドーム 公式余韻本』

イベント当日、朝から終演後までオードリーのふたりに密着した様子、本番中の全コーナーを捉えた250点以上の写真と1万4千字のレポートを収録予定。「公式余韻本」の名の通り、まさに、イベントの感動の“余韻にひたれる”豪華カラーページになっている。

さらに、この本だけの特別企画も満載!

イベントでの共演を振り返る、春日×フワちゃん、若林×星野源の対談/オードリーがリスナーの質問に答えるインタビュー/イベント当日のゲストへのインタビュー【ビトタケシ、ニッチロー、TAIGA、ダブルネーム・ジョー、松本明子、フワちゃん】/2.18目撃者インタビュー【はなわ、谷口大輔、千葉雄大】/人気漫画『1日外出録ハンチョウ』特別コラボ漫画/高田文夫エッセイ/石井玄(製作総指揮)×安島隆(総合演出)の対談……などなど。

イベントをご覧になっていてもいなくても、リトルトゥース(リスナー)のみなさんに間違いなく楽しんでいただける内容です。

■書籍内容紹介
<16万人が熱狂した、伝説のラジオモンスター。最高にトゥースな、2.18東京ドーム公演!>
250点以上の写真と1万4千字の密着レポート、若林×星野源の対談、春日×フワちゃん、オードリーがリスナーの質問メールに答える企画も収録。オープニング、トークゾーン、ひろしのコーナー、プロレス、DJプレイ、ラップ、死んやめ、エンディング、漫才……。全コーナーの興奮と感動の余韻に浸ってください!

『オードリーのオールナイトニッポン in 東京ドーム 公式余韻本』

■書籍データ
【タイトル】『オードリーのオールナイトニッポン in 東京ドーム 公式余韻本』
【著者名】オードリー
【発売日】2024年7月18日(電子書籍版も同時発売)
【造本】B5判・ソフトカバー・104ページ
【定価】2200円(本体価格)、2420円(税込み)
【ISBN】978-4-10-355432-5
【URL】https://www.shinchosha.co.jp/book/355432/
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