“0歳~7・8歳”は「脳の発達」において影響を受けやすい時期…“子どもの成長”を支えるための考え方「はじめの100か月の育ちビジョン」について解説

杉浦太陽と村上佳菜子がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「杉浦太陽・村上佳菜子 日曜まなびより」(毎週日曜 7:30~7:55)。「学びと成長」をコンセプトに、毎回さまざまなゲスト講師をお招きして、明日の暮らしがもっと豊かになる情報や気になるトピックをひも解いて、今よりもちょっと成長することを目指す番組です。

5月5日(日・祝)の放送テーマは「はじめの100か月の育ちビジョン」。玉川大学教育学部教授の大豆生田啓友(おおまめうだ・ひろとも)さんをゲストにお迎えして、2023年12月に閣議決定された「はじめの100か月の育ちビジョン」について伺いました。


(左から)杉浦太陽、大豆生田啓友さん、村上佳菜子


◆子どもの「はじめの100か月」は生涯の幸せを育てる期間

放送日の5月5日(日・祝)は「こどもの日」。そこで今回は、子どもの幸せにつながる「はじめの100か月の育ちビジョン」について学びます。

「はじめの100か月」とは“母が子どもを妊娠してから小学1年生(7歳)までの期間”を指し、この期間が人生において非常に重要な時期であることから、みんなが大切にしてほしい子育ての考え方をまとめたものが「はじめの100か月の育ちビジョン」です。ここでいう“みんな”とは、子育てに関わる人だけではなく、社会をつくるあらゆる人が対象です。

「はじめの100か月の育ちビジョン」の策定に携わった大豆生田さんによると、0歳から7・8歳までの期間は、脳の発達において特に環境の影響を受けやすい時期であると言われており、生涯の健康や特定の病気へのかかりやすさは“胎児期や生後早期の環境の影響を強く受けて決定される”との考え方もあるそう。さらには“質の高い幼児教育は長期にわたって影響を与える”というアメリカの研究発表もあり、世界中で幼児期までの育児期間が重要視されています。

しかし、その大切な時期を健やかに過ごせる子どもばかりではありません。「貧困や虐待などにより、厳しい状況にある子どももいます。実際、児童虐待により亡くなる子の約半数は0歳から2歳。つまり、はじめの100か月の時期にあたる子どもです」と大豆生田さん。

少子化が進んできょうだいの数が減ったため、保育園などに通うまで、子ども同士で育ち合う機会や保護者以外の大人と関わる機会、さまざまな社会文化や自然などの環境に触れる機会も各家庭の環境によって左右されます。

こうした背景などもあり“こどもまんなか社会”の実現を目指す、こども家庭庁を中心とした政府が「はじめの100か月の育ちビジョン」をまとめました。このビジョンには、置かれた環境に関わらず、すべての子どもが通る「はじめの100か月」をみんなで支えて応援していきたい、との思いが込められています。すべての人にこの思いを共感してもらうことで、社会の考え方を変えていくきっかけになったり、国や自治体がどのような政策に取り組むべきかを指し示す“羅針盤”のような役割を担うことが期待されています。

◆「はじめの100か月」を応援するための“5つのビジョン”

「はじめの100か月の育ちビジョン」では、こどもの育ちにおいて大切にしたいことを5つのビジョンにまとめています。

1.子どもの権利と尊厳を守る
2.「安心と挑戦の循環」を通して子どものウェルビーイング(※)を高める
3.「子どもの誕生前」から切れ目なく育ちを支える
4.保護者・養育者のウェルビーイング(※)と成長の支援・応援をする
5.子どもの育ちを支える環境や社会の厚みを増す

※ウェルビーイング…“身体”“心”“取り巻く環境や社会の状況”のすべてが良好な状態・幸せな状態であること

番組では、5つのビジョンのなかで気になるポイントをピックアップ。まず2に記載された「安心と挑戦の循環」について、大豆生田さんは「子どもは、不安な気持ちを持ったときに、大人が寄り添うアタッチメント(愛着)によって安心します。これを土台として、遊びと体験による“挑戦”を繰り返しながら子どもは成長していきます。だから“遊び”がすごく大事になるわけです」と解説します。

続けて、3の“「子どもの誕生前」から切れ目なく育ちを支える”について。子どもの成長過程は、下記のように分けることができます。

・妊娠期
・乳児期
・おおむね1歳から3歳未満
・おおむね3歳から幼児期の終わり
・学童期
・思春期
・青年期

成長に応じた環境の変化でつまずくことがないように、すべての関係者が連携して育ちを支えることが重要です。そして保護者は、育児の妨げとなる問題が発生しないように働き方を見直したり、学童や地域のサービスを検討する必要があり、「このような連携がスムーズに、当たり前にできる社会をつくっていくことが望まれます」と力を込めます。

子どもや子育てに直接関わりがない人であっても、すべての人が“子どもの育ち”にとって大切な役割を担っています。地域において、さまざまな人が関わり合い、つながっていくことで、子どもの育ちを支える環境や社会の厚みが増していきます。

最後に大豆生田さんは、「『はじめの100か月』は人生の幸せな状態“ウェルビーイング”で過ごすために特に大切な時期です。すべての子どもが等しく健やかに育つことができるように、ぜひこのビジョンを知っていただき、社会のすべての人が、それぞれの立場で子どもの育ちを支え、応援する社会を目指していければと思います」と呼びかけました。

番組のエンディングでは、杉浦と村上が今回学んだ「はじめの100か月の育ちビジョン」について復習。村上が注目したのは“ウェルビーイング”について、「(説明を聞いて)内容までしっかり理解できたと思います!」と声を大にします。続けて、杉浦が挙げたポイントは、「やっぱり“社会全体でみんなで子育て”。親プラス周りの方などをはじめ、いろいろな支えがいますから大事(な考え方)ですよね」とコメントしました。

「はじめの100か月の育ちビジョン」の詳細はこども家庭庁のホームページをご確認ください。


(左から)杉浦太陽、村上佳菜子



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5月5日(日・祝)放送分より(radiko.jpのタイムフリー)
聴取期限 2024年5月13日(月)AM 4:59 まで
※放送エリア外の方は、プレミアム会員の登録でご利用いただけます。

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<番組概要>
番組名:杉浦太陽・村上佳菜子 日曜まなびより
放送日時:毎週日曜 7:30~7:55
パーソナリティ:杉浦太陽、村上佳菜子
番組Webサイト:https://audee.jp/program/show/300007925
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いざという時に備える。車に積んでおく「防災ボックス」とは

このゴールデンウィーク、高速道路の渋滞もずいぶんすごかったですが、今日は、大渋滞の時、大雨や大雪の時などの、いざという時のために、車に積んでおく防災用品のお話です。

大雪でホワイトアウト。事故をきっかけに開発!

おそらくウチが日本で初めて「車に防災」と銘打った防災ボックスを作ったのでは?という、静岡市のファシル株式会社・代表取締役、八木法明さんに、車用防災ボックス誕生のきっかけを伺いました。

ファシル株式会社代表取締役 八木法明さん

「これきっかけはですね、十年くらい前に、北海道で一回ホワイトアウトがあったんですね。で、その時に50代くらいのお父様が自分の娘さんを送りに行って、その迎えの時に、普段行き慣れた道なんですけども、ホワイトアウトで道が分かんなくなって、ガソリンが無いということで、娘さんを連れて降りて歩いて行って、結局、納屋の前で娘さん抱っこしたまま亡くなったっていう事故があったんですよ。

で、ちょうど防災の仕事やってたもんですからね、もし車の中に何かこうカイロとかポンチョとか、暖を取るようなものが、もしあったら、もう5分とかね、誰か見つけてくれたかもしれないと思ってちょっと調べたんですね。

でも、その当時はほとんどどこも無くて、トヨタ自動車さんだけは、ちょっと大きな黒いリュックの中に、バッテリーが上がった時に使うようなブースターとか、大きなジャンパーとか携帯トイレが少し入ってたのがあったんですけども、もっとこうコンパクトで、もっと細かいものは入って無かったんですよ、他の自動車メーカーも一切。」

ちょっと意外な気もしますが無かったんですね。それで作った、ということなのです。(トヨタのはバッテリー上がりの対策というアイテムですね。)

こちらが、その防災用品ボックス。

コンパクトな箱に入れることに一番こだわりました。小さくないと邪魔になって積み続けてもらえないから、と。(箱のサイズは26cm×12.8㎝×16㎝)

中身は、携帯トイレが二種類。反射材付きのグローブ。3WAYのポンチョ(防寒と雨具とトイレの目隠しとに使える仕様。)水とクッキー、カイロ、ホイッスル、防塵のマスク、使い捨て簡易ライト、車の窓ガラスに書ける防災ペンなど12アイテム。ホントに必要最低限ということでした。


ちなみに、携帯トイレは、開発時、国内の携帯トイレを全部集めて自分で試して、一般的な容量の500mlだと容量が足りないと実感して、700mlと、容量を大きくするなど工夫して、車に積むのに最適なものを集めています。

車に防災用品!?あんまり気にしてなかった!

こうして誕生した防災用品ボックスですが、街の人は車に防災用品を積んでいるのか?聞いてみました。

「いや、積んでないですね。全然無いです、あんまり気にしてないですね、はい。そうそう、まったく普段から意識してなくて。」

「近所にしかお出かけしないんで、めったに乗らないんで、何も入っていないです。」

「食料品ですか、東北とか雪の深いところ行ってたんで、店がなかなか無いので積んでましたね。お菓子とか水ね。降りられないというか、動かなくなったりね、たまにあったんで、雪で。」

「なんか必要だなって思って、ハンマーみたいなのは入れてんのかな?入ってるかな~?わかんない(笑)。あとは携帯トイレくらい。今日、積んで来たよね。今日は実は愛知県から来たの。なので、途中で渋滞になるから携帯用トイレを持って来たくらいです。そうそう、トイレ途中で行けなくなったらどうしようと考えて。すごかったですよ、30キロくらい。」

東北で、大雪のために車が動かなくなった経験があった方は、水とお菓子を入れていました。あとは、ゴールデンウィーク中の高速道路の大渋滞を覚悟して、今朝、携帯トイレを積んできたという方もいました。

が、車の防災用品?あんまり考えたことがなかったな、という反応の方が多かったです。みなさん、ご自宅の防災セットはありますよ、と言うのですが、車には無いんです。

純正オプションで、標準装備ではないので・・・

この防災ボックスは2018年の発売。つまり、発売からはもう結構経っているのにもかかわらず、こういうボックスがある、とほとんど知られていませんでした。

ところが、発売後にメーカー各社から問い合わせが相次いだ、と言うんです。いったいどういうことなのか?再び八木さんのお話です。

ファシル株式会社代表取締役 八木法明さん

「ありがたかったのは、ホンダさんが採用して頂いて、今も採用頂いてるんですけども、それがきっかけで今、ダイハツ、三菱、いすゞ、日産、日野自動車とか、7社くらいの純正の車載用には採用して頂いてますね。

いや、ただですね、これ純正品というのは標準装備じゃないんですよ。

ですから、カーディーラーの営業マンが言わない限りは売れないんですね。純正のオプションなんですね。クルマ屋さんはどっちかっていうと、ナビとかドライブレコーダーを勧めますけども。

面白いのは、自動車メーカーさんに採用されて半年後くらいに、なんとなくこう、お客さんのフリしてお邪魔してですね、『車の防災って聞いたんですけど』って言ったら、『いや、そんなものウチにありません』って言われたんですけどもね。意外と知らない方、まだまだ多いと思いますね。

ただ、キャンペーンをやると、新車を購入するとコレを差し上げるとかをやってらっしゃる、そうするともう1000個単位で動くわけですよ。今の時代、そういうのもらったら嬉しいもんだと思うんですけども、だから本当はディーラーさんが、売るんではなくて差し上げるといいんですけどね。」

純正品として、各社採用していました。しかし標準装備ではないんです!

だから、ディーラーの営業マンが売ってくれないと、車を買うお客さんたちは知らないまま・・・。新車購入の際に、付けてくれたら嬉しいですけどね・・・。

まずは知ってもらうことから、と、今は、レンタカーやカーリースの車、企業の営業車に積んでもらえないかと働きかけるために、八木さんは日本中を飛び回って、目にする機会を増やして知ってもらう努力を続けています。

これからは大雨や台風がある時期、またお盆には渋滞もひどくなります。いざという時は、車の中かもしれません。

改めて車の防災、確認してみるのも大事ですね。

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