絶対権力の歪さと、それに翻弄される市井の人々……『エドガルド・モルターラ ある少年の数奇な運命』

ニッポン放送「ひろたみゆ紀のサンデー早起き有楽町」(日曜朝5時~)で、おススメの最新映画をご紹介しているコーナー『サンデー早起キネマ』。4月28日は、素晴らしい監督に感情を揺さぶられる3本をご紹介しました。

その1本には、実話にひたすら驚き、理不尽さにやりきれない気持ちになりました。イタリア史上最大級の波紋を呼んだ衝撃の史実を巨匠マルコ・ベロッキオ監督が映画化 『エドガルド・モルターラ ある少年の数奇な運命』。

『エドガルド・モルターラ ある少年の数奇な運命』  (C)IBC MOVIE / KAVAC FILM / AD VITAM PRODUCTION / MATCH FACTORY PRODUCTIONS (2023)

時は、イタリア統一に向けて世の中が揺れていた1858年。当時はローマ教皇を君主とする教皇国家に属していたボローニャのユダヤ人街で平穏に暮らしていた男の子が、教皇領の警察に突如連れ去られた「エドガルド・モルターラ誘拐事件」。悲嘆に暮れながらも息子を取り戻そうと奔走する両親と、権力強化のため決して返還に応じようとしない教会側の争いは、イタリアをはじめ時の皇帝ナポレオンやロスチャイルド家ら、全世界を巻き込んだ論争を紛糾させました。

この実話にスティーヴン・スピルバーグが魅了され映像化しようとしましたが、実現したのはイタリアの巨匠マルコ・ベロッキオでした。

『エドガルド・モルターラ ある少年の数奇な運命』  (C)IBC MOVIE / KAVAC FILM / AD VITAM PRODUCTION / MATCH FACTORY PRODUCTIONS (2023)

ある日、モルターラ家に押し入る教皇直属の兵士達。6歳の息子エドガルドを連れ去るのが目的でした。実は、彼は生後間もない頃、父母が知らぬ間にベビーシッターから勝手に洗礼を授けられていたのです。教皇の命令は絶対であり、洗礼者はカトリック教育を受けなければなりません。「この少年を誘拐するのは神の思し召しである。ましてや親元に返すなどあり得ない。洗礼を受けたこの子は、永遠にカトリック教徒なのだ」……時の教皇ピウス9世の断固たる意志表示でした。取り乱したエドガルドの両親は、息子を取り戻すためにあらゆる手を尽くします。

世論と国際的なユダヤ人社会に支えられ、モルターラ夫妻の闘いは政治的な局面を迎えることに。しかし、教会とローマ教皇は、ますます揺らぎつつある権力を強化するために、エドガルドの返還に応じようとはしませんでした……。

『エドガルド・モルターラ ある少年の数奇な運命』  (C)IBC MOVIE / KAVAC FILM / AD VITAM PRODUCTION / MATCH FACTORY PRODUCTIONS (2023)

教皇権力の尊重から自由の尊重へと変化しつつあった時代に、権威の崩壊を食い止めようとした誘拐事件により、エドガルドが、理解どころか想像さえできない人生を歩んだ、歩まされたという現実が、166年後の私たちに重くのしかかります。

『エドガルド・モルターラ ある少年の数奇な運命』  (C)IBC MOVIE / KAVAC FILM / AD VITAM PRODUCTION / MATCH FACTORY PRODUCTIONS (2023)

信仰まで覆されたエドガルドの人生への責任は、一体誰がとれたというのでしょうか。いや、誰もとりはしないのです。絶対権力の歪さとそれに翻弄される市井の人々……度合いは違っても今も繰り返される現実は、人間の業なのでしょうか? そして、被害を被った人間はどうなってしまうのか? 人間の心の不思議さを感じずにはいられません。

『エドガルド・モルターラ ある少年の数奇な運命』  (C)IBC MOVIE / KAVAC FILM / AD VITAM PRODUCTION / MATCH FACTORY PRODUCTIONS (2023)

『エドガルド・モルターラ ある少年の数奇な運命』
4月26日(金)よりYEBISU GARDEN CINEMA、新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ有楽町他にてロードショー

監督:マルコ・ベロッキオ
脚本:マルコ・ベロッキオ、スザンナ・ニッキャレッリ
出演:パオロ・ピエロボン、ファウスト・ルッソ・アレジ『シチリアーノ 裏切りの美学』、バルバラ・ロンキ『甘き人生』、エネア・サラ、レオナルド・マルテーゼ『蟻の王』
2023/イタリア、フランス、ドイツ/カラー/イタリア語/134分/原題:Rapito/映倫:G
配給:ファインフィルムズ

(C)IBC MOVIE / KAVAC FILM / AD VITAM PRODUCTION / MATCH FACTORY PRODUCTIONS (2023)

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小倉智昭「“どう火消しすればいいか”まで考えて…」自称“炎上王”の炎上対策に山崎怜奈も興味津々!

山崎怜奈(れなち)がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「山崎怜奈の誰かに話したかったこと。(ダレハナ)」(毎週月曜~木曜13:00~14:55)。5月15日(水)の放送は、フリーアナウンサーの小倉智昭(おぐら・ともあき)さんをゲストに迎えお送りしました。


(左から)パーソナリティの山崎怜奈、小倉智昭さん



◆小倉智昭「先まで考えて炎上させている」

1999年〜2021年にかけて放送されていた朝の生放送番組「情報プレゼンター とくダネ!」(以下:「とくダネ!」/フジテレビ系)をはじめ、数多くのテレビ番組やラジオ番組で活躍されてきた小倉さん。「皆さんからいろいろな反応をいただくような番組ばかりをやっていたし、僕は特に炎上させることが多かったから“炎上王”と言われるぐらい」と振り返ります。

小倉さんいわく“炎上する”とわかっていても、言わないと気が済まない性分だそうですが、「その後の火消しをどうすればいいか、先まで考えて炎上させている。そこは勉強したほうがいいよ(笑)」とれなちにアドバイスを送ります。

◆れなちに会いたくて「ダレハナ」出演!?

そんな小倉さんは、「とくダネ!」のコメンテーターだった社会学者の古市憲寿(ふるいち・のりとし)さんとの共著「本音」(新潮新書)を今年2月に発売しました。まず本書を出版するまでの経緯を伺うと、「食事の席で、僕と古市が話しているのを編集者の方が聞いて『2人の話が面白いから本にしよう』と切り出したんです、そうしたら古市も『出したい、俺がインタビュアーをやりますよ』と言って、あっという間に決まった」と言います。

その対談相手の古市さんについても、「彼はしゃべりやすいですよ。年齢はだいぶ違うけど、かわいいし、あいつがヘマをすると“よ~し、やった”と思ったりしてね(笑)。でも例えば(『とくダネ!』の)打ち合わせで『この話はするなよ』っていう話題に限って本番でワザとブッ込んでくるんだよ(笑)! それでまた本番中に言い合っちゃう」と楽しそうに話します。

また、この日はリスナーからたくさんのメッセージが寄せられましたが、そのなかで「日々の生活での楽しみはありますか?」という質問に対して、「今は思うように仕事ができない。これでもがん患者で治療中だし、余命宣告もされているから“あとどれくらい仕事ができるのかな?”と思う一方で、何かあっちゃいけないから、仕事もたくさん受けられないんだよね」と心中を吐露。

そのうえで、「今日は、れなちゃん(の番組)だから受けたの。一度話してみたいなと思っていたから。もともと達者だなと思っていて、朝のコメンテーターもあそこまでなかなかできないし、たまに上から目線になるのがいいんだよね(笑)。将来、安藤優子やホラン千秋を超えるかなと思っているくらい期待している」との告白に、恐縮しきりのれなちでした。

そして最後に、「特に若い人たちは積極的に発言すればいい。みんな“こういう感じじゃないかな”って勝手に配慮して、自分のバランスで物事を判断しちゃうけど、あまり空気を読んではダメ。ただ、批判されても大丈夫なように自分を構築しておくことが大事」とメッセージを送っていました。

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5月15日放送分より(radiko.jpのタイムフリー)
聴取期限 2024年5月23日(木) AM 4:59 まで
※放送エリア外の方は、プレミアム会員の登録でご利用いただけます。

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<番組概要>
番組名:山崎怜奈の誰かに話したかったこと。
放送日時:毎週月~木曜 13:00~14:55
パーソナリティ:山崎怜奈
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/darehana/

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