ポプコン出身のシンガーソングライター・松崎真人が、'70~'90年代の日本のポップスを中心に厳選してノーカットでお届けするSTVラジオ『MUSIC☆J』。1枚のレコードのA面とB面の曲を共に聴いて、その”分かれ目”をトーク展開する「ところでB面なんですが」では、榊原郁恵の「いとしのロビン・フッドさま」と、そのB面をピックアップします。(文中敬称略)
その前に20時台の1曲目に掛けた中島みゆきの名曲から。
M11「悪女/中島みゆき」(シングル・バージョン)
松崎:船山基紀(アレンジ)のシングルバージョンを掛けると必ず、「寒水魚」のアルバムバージョンが聴きたいというツイートが上がり、「寒水魚」バージョンを掛けると必ず船山基紀のシングルバージョンが聴きたいという声が上がるという、甲乙付けがたい、両方とも名アレンジです。
松崎:(シングルは)12弦ギターが左右に振ってあって、さらにハーモナイザーというのが掛かっていて、それで不思議なふわ~っとした雰囲気が出てるんです。1982年としてはかなり斬新な使い方ですね。名曲ですよね。1982年、これで年間6位だもんね。みんな歌ってたもんね。
そして、榊原郁恵のヒット曲。リスナーからB面の曲にリクエストも頂いていました。まずはA面曲から。
松崎:これ、ステレオでイヤホン(ヘッドホンでも)で聴いている方は途中、どっちかの耳からどっちかの耳に矢が突き抜けて行きますので、お気を付け下さい。
M14「いとしのロビン・フッドさま/榊原郁恵」
松崎:僕、このA面も凄く好きなんですよね。榊原郁恵は歌が本当に上手いので、作家陣もいろいろとチャレンジしてくるんですよね、リズムにしても、サウンドにしても。なので、売れた曲・売れない曲を取り混ぜて、なかなかチェレンジングな歌謡曲が多くて、割と今回も期待してB面を聴いてみたんです。こちら(このレコード)はA面が馬飼野康二のアレンジなんですけど、B面は小六禮次郎、「アル・パシーノ+アラン・ドロン<あなた」とか「夏のお嬢さん」とかで榊原郁恵と組んできたアレンジャーが担当してます。
松崎:つまり、これはどっちがA面になるか(発売直前まで)判らなかったパターンかも知れませんね。B面も良曲です。
M15「赤いブーツとつむじ風/榊原郁恵」
松崎:これもなかなかアダルトな路線への伏線を感じさせる曲ですが、やはり「ロビンフッド…」のインパクトに負けたのかしらねえ。当時はインパクト勝負を選択したと言うことでしょうか。本当に甲乙付けがたく「赤いブーツとつむじ風」を繰り返し聴いてしまった(リクエストしたリスナーの)気持ちがよく判ります。
ところで、この日のコーナー・ジングルは、松崎が当日の朝までかけて考えて作ってきた渾身の作。ぜひ、お聴き下さい。ちなみに、スタジオには寒風が吹き抜けたようですが…。
【編集後記】
「踊ろうよ/Birthday Suit」 たまには自作の解説を。この歌詞は、スタジオに相方の佐木伸誘とスタッフを待たせておいて、自宅のApple Macintosh LCIIIに向かって書き上げた。それをプリントアウトして(まだネット環境がなかったか繋がっていなかったので)FAXでSound City Studioに送信。自信満々で地下鉄に乗り、スタジオへ向かった。佐木とスタッフの機嫌がひどく悪かったのはご想像通り。だって、秋元康大先生のマネがしてみたかったんだもん!......というのは冗談で、この曲のためには妥協せず詞を突き詰めて良かったと思っている。2021年の選曲家・松崎真人が聴いても、この詞を粘って書いたことはほめてやりたい。(松崎 真人)