中国とフィリピンが首脳会談~南シナ海における中国のプレゼンスを認めるということ

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(8月30日放送)に外交評論家・キヤノングローバル戦略研究所研究主幹の宮家邦彦が出演。中国の習近平国家主席とフィリピンのドゥテルテ大統領が29日に行った会談について解説した。

ロドリゴ・ドゥテルテ-Wikipediaより

中国とフィリピンが首脳会談~南シナ海の開発で政府間組織を立ち上げへ

中国の習近平国家主席は29日、北京を訪れたフィリピンのドゥテルテ大統領と、釣魚台迎賓館で会談した。両首脳は経済分野での両国の関係強化で一致し、南シナ海における天然ガス共同開発の実質的な進展を図るため、政府間組織を立ち上げることで合意している。

飯田)メールもいろいろいただいています。“ほまれっつ”さん、足立区の46歳会社員の方。「懸案の南沙諸島について話し合われたかどうかはわかりませんが、フィリピンの国民感情からしてみれば、きちんと話し合ってほしかったはずではないでしょうか」。スプラトリー諸島というのは、両国の問題のあるところです。

宮家)勝負あったとは言わないけれど、日本にとっては非常に悪い方向へ動いているような気がします。いちばん気になるのは、南シナ海の開発で政府間組織を作る、つまり共同でやるということですよね。中国政府の公式のプレゼンスが南シナ海にできる。そしてフィリピンと一緒やるということは、中国のプレゼンスを認めるということです。ここにはいくつかの島、あるいは岩がありますが、そのなかにスカボロー礁というのがあって、場所的にはフィリピンに近い。これにも中国が触手を伸ばしています。今回の動きは中国の艦船、もしくは公船が南シナ海の争いになっている海域を通ることを、フィリピンが事実上認めたということだと思います。ドゥテルテ政権が出来たころは彼も威勢のいいことを言っていました。フィリピンは問題を国際仲裁裁判所に提訴して、結構いい判決・判断を得たわけです。法的にはいいのだけれど、経済協力の部分では中国に完全に取り込まれてしまっていますよね。日本もアメリカも、やれることには限度がありますからね。中国は徹底的にやるでしょう。

埋め立てが進むスビ礁(2015年5月)(南沙諸島海域における中華人民共和国の人工島建設-Wikipediaより)

中国とは喧嘩できないというフィリピンの判断

宮家)私の見立てによれば、ドゥテルテ政権は「いま、フィリピンが中国と喧嘩などしたら島を全部取られてしまう。だからいまは、中国から経済協力を取れるだけ取る。最後はアメリカの言うとおりに中国と戦うのだけれども…」ということでしょう。これも短期的な判断としては間違っていないとは思うけれど、フィリピンがそれを続けていけばいずれは今のようになるわけです。結局は外堀を埋められ、内堀も埋められはじめているのですから。いまごろになって、アメリカは南シナ海で頻繁に「航行の自由作戦」をやっていますが、やるならもっと早く、中国が埋め立てる前にやらなくては。埋め立てが終わったところでやっても、中国は痛くも痒くもないでしょう。

飯田)もう全部できてしまっていますものね。埋め立てがはじまったときというのは、オバマ政権のときですよね。

宮家)そうです。あのときにシリアなどでドタバタしていて東シナ海には関心が薄かった、その間に中国は見事に1年半で埋め立てをやってしまった。あんなに早くやれると思わなかったけれど、さすがに中国の土木の力はかなりのものですよ。その結果、南シナ海ではやられてしまった。フィリピンがこういう状況だと、将来も厳しい、こうした状態が当面続くでしょうね。

飯田)南シナ海を、中国としては自分の内海にした。そうすると、更に外に出て来る可能性があるというか、当然そうなって行くわけですよね。あるいは、東シナ海でも同じようなことをして行く。

宮家)そういうことでしょうね。だけど、そういうことがいつまで続くのか。中国の経済成長が鈍化して来て、右肩上がりがなくなったときにどうなるか。逆に言うと、中国との我慢比べですね。

第7回アフリカ開発会議(TICAD7)で記念撮影に応じる安倍晋三首相(右から3人目)ら=2019年8月28日午後、横浜市 写真提供:産経新聞社

中国の有利な構造を日本がどう切り返すか

飯田)いま、横浜ではアフリカ開発会議(TICAD)が開かれている。そこで総理も中国を念頭に発言していますが、29日はビジネスの会議のなかで、中国から借金漬けにされている国々への手助けや、きちんとした透明な形での開発、資金提供を日本は進めると言っています。

宮家)それは正論ですよね。中国のやり方はえげつないというか、とにかくトップに擦り寄って、いろいろ立派な建物を建ててあげて、権力の中枢に入り込んで行く。でも実際はその国のためというより、中国人の、中国人による、中国人のためのプロジェクトをやって、それで中国にしてやられてしまったアフリカの国も多い。逆に日本はどうですかね? 経済規模も小さな貧しい国に、日本の最先端の商品を持って行っても、高すぎて誰も買ってくれません。質は悪いかもしれないけれど、中国の商品や技術は値段的にちょうどいいのです。「日本のものはいいのですが、少しお高いですからね」となれば、なかなか日本の経済協力はうまく行かないという話も聞きました。そういう意味では、アフリカなど途上国では構造的に中国に有利になっていることは事実です。安倍総理がそういう形で反論し切り返す。それをアフリカの首脳たちにどれだけ理解してもらえるかがカギですね。

飯田浩司のOK! Cozy up!
FM93AM1242ニッポン放送 月-金 6:00-8:00

radikoのタイムフリーを聴く

「朝礼で立っていられない」「雑巾がけができない」…子どもの運動機能が低下!? 心身の成長に悪影響を与える「子どもロコモ」に注意

杉浦太陽がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「SBI損保 presents TOKYO こども TIMES」(毎週土曜14:55~15:00)。“パパ・ママとキッズの会話の架け橋に”をコンセプトに、保育園や幼稚園、学校の子どもたちの間で流行っているもの、子どもたちが考えていること、さらには話題の子ども向け玩具やイベントや、さまざまなジャンルで活躍するスーパーキッズまで、子どもに関するトピックを紹介します。
3月29日(土)の放送では、「ロコモティブシンドローム(運動器症候群)」について取り上げました。


パーソナリティの杉浦太陽



◆近年増えている「子どもロコモ」とは?

ロコモティブシンドローム(通称ロコモ)とは、筋肉、骨、関節などの運動機能が低下して、歩行や立ったり、座ったりが困難になる状態のことです。日本語では「運動器症候群」と言い、進行が進むと介護が必要になってしまいます。

ロコモは中高年に起こる症状ですが、最近はバランス能力や柔軟性が低下した、いわゆる「子どもロコモ」が増加傾向にあります。

<子どもロコモの症例>
・朝礼で立っていられず、足がすぐつる
・バランスが悪く、雑巾がけができない
・転んだときに手をつけない
……など

子どもロコモは、体を動かすことを億劫にさせ、成長過程で心身に悪影響をおよぼし、大人になってからの生活習慣病に繋がると専門家は指摘します。子どもロコモかどうかは、以下の方法でチェックできます。

<子どもロコモチェック>
・片脚立ち(5秒以上できない、ふらつく)
・しゃがみ込み(途中で止まる、踵が上がる、うしろに転ぶ)
・両腕を垂直に上げる(垂直に上げられない)
・体前屈(指が床につかない)

以前、埼玉県でこの4項目の検証をおこなったところ、1つでも問題がある児童生徒は4割を超えたといいます。子どもロコモの主な原因は、姿勢の悪さと運動不足の2つです。ゲームやスマートフォンを長時間利用したり、外で遊ぶ時間の減少などが、ロコモの引き金になっています。

来週からは新年度がスタートします。杉浦は「子どもたちの適度な運動や正しい姿勢にも注意を払って毎日を送るのも、親としての務めですよね」と呼びかけました。

----------------------------------------------------
3月29日(土)放送分より(radiko.jpのタイムフリー)
聴取期限 4月6日(日)AM 4:59 まで
※放送エリア外の方は、プレミアム会員の登録でご利用いただけます。

----------------------------------------------------

<番組概要>
番組名:SBI損保 presents TOKYO こども TIMES
放送日時:毎週土曜14:55~15:00

Facebook

ページトップへ