キャンセルのピンチを売り上げに「キャンセルリカバリー」?7割が再購入も
インターネットで商品を購入する方が本当に増えたと思いますが、気軽に購入できる分、購入をキャンセルするお客さんも多いそうです。
キャンセルリカバリーとは
商品の購入をキャンセルした客に対応する「キャンセルリカバリー」というサービスが登場しました。どんなものなのか、サービスを開発して販売している株式会社リターンズの後藤鉄兵社長のお話です。
株式会社リターンズ 後藤鉄兵社長
ECサイト、インターネット通販のお店、みなさんもご利用いただいたことがあるかなと思うんですけど、よくお客様ってご注文をお間違いになることが多くて、ご注文をお間違いになった後のお客様に対して、販売促進、再来店を促すような仕組みを送信するような仕組みになっています。キャンセルしたお客様をリカバリーして、もう一度お店に来ていただく、そういう仕組みになっています。購入者の方が「キャンセルしたいな」と申し込んできたときに、キャンセルする理由を1つだけお答えしていただくようになっています。その理由ごとに、どういう接客をしたいかというのは、利用者様が自由にシナリオを組んだいただいて、30分以内にすぐメールを送るということもできますし、1日置いてからクーポンをお届けするということも可能です。

リターンズの調査では、注文をキャンセルするユーザーは全体の5%ほどいるそう。キャンセルリカバリーは、キャンセル理由に応じて、再びアプローチすることで購入に繋げようというものです。
お客さんは、購入をキャンセルする際、「間違えて注文した」「配送予定日が遅い」「配送料が高い」「配送先を変更したい」「支払い方法を変更したい」「クーポンの利用を忘れた」の6つのキャンセル理由から1つを選びます。
このそれぞれの理由に対して、例えばメールを送る、クーポンを送る、など企業ごとにあらかじめシナリオを設定し、キャンセルに対して自動で対応できるという仕組みです。
また、商品の購入やキャンセルは週末や夜間に集中しがちなので、これまではスタッフが週明けに手作業で対応する必要があって、時間や手間がかかっていましたが、それも自動化することでスタッフの負担も軽くなるメリットがあります。
注文をキャンセルした人の7割が再購入
では、実際にどんな効果が出ているのか、リターンズのグループ会社のTシャツ販売サイトでの導入事例について再び株式会社リターンズ 後藤鉄兵社長に伺いました。
株式会社リターンズ 後藤鉄兵社長
「Tshirt.st」というサイトでは、キャンセルしたお客様のうち約7割が再度ご購入いただくという実績が出ています。キャンセルして、せっかく売り上げたものがマイナスになってしまったものが、キャンセルリカバリーを使っていただくことで、戻ってきていただける、それが7割くらいに達するというのは非常に大きい成果だなと、自分たちも実感しています。例えば、住所を間違えただとか、決済方法を間違えましたといった方には、再注文した時に、お届け先の住所はこちらで入力するんですよ、みたいなご案内を差し上げるみたいなシナリオを組むことができますし、単純に気が変わったっていう方は、理由がいろいろありますので、メッセージだとか、時には電話での接客も対応していたり、そういうシナリオを作っています。やっぱり圧倒的に「間違えて注文した」が多いです。この間違えて注文した、の中に、接客をすることでリカバリーいただけるお客様が潜んでいると思いますので、いろんな接客をアプローチしていただきたいなと思っています。
例えば「8000円以上で送料無料のところ、7000円で注文してしまったので一度キャンセルしたい」という方も多いそうですが、これもキャンセルリカバリーで、理由を選んでスタッフとのやりとりを介さずに、自分で簡単に再注文できます。仕組みを作っていれば、時間も手間もかけずに再購入に繋げられるということなんです。
一方で、高額な注文のキャンセルがあった場合は、すぐ電話をして「何か満足いただけない点がありましたか?」などと接客・対応することで、再購入に繋げやすくするというシナリオもあります。
ドタキャン対策 対象を絞って来店をアプローチ
ここまでは、インターネット通販の話でしたが、美容院やネイルサロン、エステサロンなどの美容業界でもキャンセルが多いそうです。こうした状況を受けて、ドタキャンのリカバリー対策などのシステム「サロンズソリューション」を提供している株式会社WiLLDo 営業部の大杉英和さんのお話です。
株式会社WiLLDo 営業部 大杉英和さん
サロンズソリューションは、来店の1日前とかにLINEの中で、リマインド「お客様いついつ予約を入れられていますよ」というLINEが届くようになっているのと、消費者の場合、そこで悪気のないドタキャンとか変更とかもやっぱりしたくなりますので、そのときにお客様が簡単に変更ができるのもやはりLINEを使って、すぐ空いている日にちを確認して、変更ができるような仕組みですね。さらに、キャンセルがあった場合に、前回の来店から1ヶ月経っているお客様、回数チケットを購入されているお客様、スタッフさんの指名がある方などを絞り込んでサロン側からメッセージ配信することができるようになっています。消費者は次々、隣のサロンを選んでいってしまう傾向がありますので、リピート率を上げていくとか、消費者をしっかり獲得する上では、リカバリーはすごい重要になってくるのかなと思います。
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サロンズソリューションは、全国でおよそ5000のサロンが導入しています。LINEで、お客さんも空き状況がリアルタイムで分かるので、突然空いてしまった空き枠を、すぐに予約で埋めることができます。また、ドタキャンがあったときに、来店につながりそうなお客さんに、対象を絞ってLINEでメッセージを送ることで、より効果的にキャンセルのリカバリーができるということです。
売り上げを伸ばすのも簡単ではない今の時代、「キャンセルリカバリー」が広がっていくかもしれません。
(TBSラジオ『森本毅郎・スタンバイ!』取材・レポート:西村志野)