【ラジオな人】夢を持つ若者たちの挑戦の扉を開ける番組『AKERU radio』。竹森マサユキさん(カラーボトル)にインタビュー!

Date fm(エフエム仙台)で 2018年4⽉に始まった『⽵森マサユキのAKERU radio』のパーソナリティを務めるのは、バンド「カラ ーボトル」のボーカルで仙台出⾝の⽵森マサユキさん。
話す上で気をつけているポイントやこれからどんな番組にしていきたいか、竹森さんの考えに迫りました!
生放送ならではの面白さを実感
――この『AKERU radio』はカラーボトルとしてではなく、竹森さん1人での生放送ですが、しばらく経っていかがですか?
正直、まだ慣れていなくて。自分の冠で生放送をやらせてもらったことがなかったので、体内リズムというか、放送前日ぐらいになると確認しだすといいますか……。
ゲストをお呼びするスタイルでやっていて、これからもできるだけこのスタイルを守っていきたいんですが、常にゲストのブッキングを考えて1週間過ごしていて。アンテナの張り方がちょっと変わったかなって思うところはありますね。
――ゲストのブッキングも竹森さんでされているんですか?
マネージャー、ディレクターと3人での共通LINEがあって、面白いと思ったものをドンドン投下していくっていう(笑)。「基本的に既読スルーで大丈夫です。こんな人と出会いました。どうですか?」みたいな、ネタ探しのようなことをします。
――以前の放送に比べると、だいぶ慣れたのかなと感じました。
生放送が終わったら、ラジコのタイムフリーで聴いて、1人で反省会をします。
「曲のイントロ◯秒で乗りましょう」とか、「今日はこれに挑戦してみようか」とディレクターが僕を育成してくれるんです。自分の中では「早く乗りすぎたかな」「時間のことを気にしてしゃべっていたのがあまり良くなかったな」と反省することもあり勉強中です。
――生放送は気持ち良く話せたりしますか?
時計が目の前にあるのに、見ることができなかったりするんです。番組の中で2回は「絶対に締めなきゃいけない」という時間があるんですが、それが怖くて(笑)。自分の中の1分を信じて、1分先を見ながら今をしゃべっています。今をないがしろにしちゃいけないと。生放送ならではだから、面白いですね。
インタビューで人の魅力を伝える難しさ
――1人で始めるという話があったとき、どんなイメージを持ちましたか? また、実際に始めてみてどうでしたか?
カラーボトルというバンドでデビューして、今までであれば、自分のプロモーションや音楽を伝えるためにしゃべるのが僕にとってのラジオだったんですね。でもこの番組は「人の魅力を伝える」こともコンセプトなので、きちんと考えて話さないとな……と。
始まった当時は、一つ一つギャップも伝えながら話していこうというスタンスでした。
――「こうしたかったけど、やってみるとできないな」ということはありますか?
インタビューですね。
僕はプロのしゃべり手ではなくてアーティストなので、噛んでもいいし、間違ってもとっちらかってもディレクターが何とかしてくれるという気持ちがあるんですが、いざインタビューでアーティストの方と向き合うと、魅力をどう伝えるかという点においては、すごく難しいです。質問で困らせちゃったり、せっかく面白いことを発言してくれても、的確な返しの言葉が出ないまま何となく時間が来て終わっちゃったり……。
特に電話ゲストだと事前情報が少なく、名前と年齢とかだけ聞いてスタートしたりするので、思っている以上に大変でした。
――もう少し自然体で臨めるかなと思っていたら……。
聴いているときは全く緊張しませんから、そのつもりで臨むんですけど、実際始まると「もう始まった~!!」みたいな(笑)。生放送を作っている緊張感はやってみないと分からないものだなと思いますね。
――その緊張感は心地良いですか? 責任感の方が強いですか?
両方です。でも、楽しもうと思うと楽しくなるんです。緊張感か責任感、どっちだろうと思っちゃったら責任が強いんだなぁと思うので、「俺は今、楽しいぞ!」と、なるべく自分をだます感じでいます(笑)。
曲が流れている間に次の準備をするのではなくて、リスナーと一緒に音楽を楽しみながら、聴いてどう感じたかをしゃべるぐらいの気持ちで向き合っています。まだしゃべり手として上手くないですが、僕自身もリスナーと同じくらい楽しみたいという気持ちはありますね。
メディアと夢を持った若手との媒介に
――「地元で頑張る人を応援する」という番組コンセプトですが、映像クリエイターやプロモーターの方など、様々な方がいらっしゃってますね。他にどんなジャンルの方を呼びたいですか?
表現者など発信している人たちを、もっと大きく伝えるための番組にしたいので、ジャンルレスです。人気がある・売れているに関わらず、熱がある表現者を地元で探していきたいと思います。
音楽ならば、ライブにはよく足を運び、常にアンテナを張っているつもりなんですけど、ヒップホップとかダンスとかは僕にないジャンルなので、そこで頑張っている人たちも巻き込みながら僕も一緒に知識を深めつつ、広めていく応援の仕方もあるのかなと思っています。
――“アーティスト・竹森マサユキ”としてしゃべっているときとの大きな違いですね。
東京から仙台に戻り、僕自身が次のシーンを担う若手とメディアとの媒介をする役目なのかもしれません。音楽の表現と同じぐらい、社会に対してやり甲斐は感じています。
――月並みな質問ですが、「社会に」と思ったのは東日本大震災の影響もありますか?
確かに東日本大震災は、僕も東北人としてラジオの意味をすごく考えさせられたんですけど、今回に関しては別ですね。
僕は今まで全国のラジオ番組に出させていただき、全国のパーソナリティの方と話させていただきました。これからは、媒介をする役目として、さまざまな情報を伝えていかなければならないと思っています。
「間」を詰めずに飲まれにいく
――10代、20代の子としゃべっているときの優しさが印象的です。
実は、年下の子と話すことが苦手なんですよ。『SCHOOL OF LOCK!』(※1)とかを聴いて、若者も大人も楽しめる番組にしようとしています。
僕は人見知りで、人と壁を作ってしまいがちなので、まずは人に興味を持ち、シンプルにコミュニケーションすることを心がけています(笑)。「僕の世界にいらっしゃい」じゃなくて、相手に飛び込んでいく姿勢は持っていたいと思っています。
――アーティストとしてのスタンスとは逆なのでは?
そうですね。だから、ライブのMCはすごくヘタなままで(笑)。
パーソナリティはまた別の脳というのか。アーティストさんとしゃべるときは、その人の「間」を大事にしたいと考えています。時間の制約があると、どうしても話を詰め込んでしまって、「ここは15秒でまとめよう」みたいな空気感が出てしまい、アーティストの魅力を引き出せなくなってしまうんです。だから、相手が何かを考えていたら、まずはきちんと待って、「飲まれにいく」ように相手の間でおしゃべりをします。
例えばバンドのメンバー同士でしか成立しない会話の内容や言葉の質感もありますが、その場でみんなが分かるように説明する必要はないと思います。曲紹介とか、そのアーティストさんが帰った後に「こうだったよね」ってリスナーに伝えてあげればいいんですよね。
アーティストはアーティストでいてもらって、気持ち良くしゃべって表現をしてもらうことは、うまくなっていきたいと思いますね。
仙台の音楽シーンを盛り上げる“何か”をしたい
――しゃべる上で気をつけていることはありますか?
今いったような間とか、あとは前日飲み過ぎないとかですかね(笑)。
――番組が始まる時間は夜なので、前の日に飲み過ぎても大丈夫なのでは?
気を抜くと痛い目に遭うと思っています。ライブを良いものにするためにコンディションを整えることと、生放送も同じくらい大切。
「コイツ、適当にやっているな」って、ラジオを毎日聴いている人には分かりますよね。なので、ラジオという媒体に敬意を持ち、飲み過ぎないようにしようとはしています。
――今、「番組も試行錯誤中です」とおっしゃっていますが、具体的にやりたいことはありますか?
先日6月9日に「とびAKE ROCKS!!」というイベントに出演しました。月曜日に中村マサトシさんがやっている『とび出せ 中村くん!!』(※2)と一緒に、仙台の音楽シーンを盛り上げるイベントです。
「とびAKE ROCKS!!」のイベントのように手を組みながら、いろんな人を巻き込んだ何かをしたいですね。ゆくゆくはフードやアパレルも絡めて、音楽を軸にしたイベントを「こういうのどうですか?」と楽しみながら提案をしていきたいですね。
番組だと、スポンサーさんについていただき、代わりに企業について熱を込めて紹介したいと思っています。いやらしい意味ではなく、宮城を盛り上げることに繋がるかなと。
「面白いヤツがいるな」とか、「こいつにCMをさせたい」と思わせるぐらいの熱を持って、突き進んでいきたいですね。
――先ほど『SCHOOL OF LOCK!』を聴いてとおっしゃっていましたけど、同じ空気感がありました。
本当ですか? この番組も特に10代、20代の頑張る子たちを応援するコンセプトで始まったので、嬉しいです。
これから自分がどんなふうに変わっていくかは分からないですけど、「自分はどんなだったっけなぁ」「自分の10代のときとはノリが違うよなぁ……聴いている音楽も違うし」と1つ1つ考えながら取り組んでいきます!
自分が熱を持って誰かの熱を伝えたい
――最後に、この『アケラジ』をどのような場にしていきたいですか?
番組をスタートするにあたって、やってみたいことを話していくなかで、たくさんアイディアが出てきました。そのとき自分が持っているとびっきりの武器は何なんだろう……って考えたら、やはり「熱」がキーワードだったんです。「僕が熱を持って、誰かの熱を誰かに伝える」ということ。ここは鼻息荒く、時間が経っても肩に力が入っているぐらいでありたい。もしかしたらスタイリッシュではなくていいのかなと思っています。
ラジオって1人で聴くものだけど、その先にみんながいるから楽しいんだと思いますね。特に10代、20代の夢を持って頑張っている子たちが、「アイツ頑張っているな」とか「鼻息を荒くしているな」とか感じてくれるように、僕自身も頑張りたい。ゲストの方はキラキラ輝いて見えますが、緊張もすること、うまくいかないこともあるなど、意外な一面やリアリティを伝えて、一体感を作っていきたいですね。
あと、タイトルの『AKERU radio』には、「扉を開ける」とか、「何かに挑戦するきっかけ」といった意味が込められています。この番組を聴いて、「この仕事は面白そう」「こんなことにチャレンジしてみたい」と思ってもらえたら嬉しいです。
(※1)JFN系列38局ネットで放送されている番組。中高生を応援する「ラジオの中の学校」。パーソナリティのとーやま校長、あしざわ教頭のインタビューは下記を参照。
前編:https://news.radiko.jp/article/edit/15287/intro/
後編:https://news.radiko.jp/article/edit/15304/intro/
(※2)毎週月曜日 20時~20時55分に同局で放送されている番組。『AKERU radio』と同じく2018年4月スタートで、姉妹番組でもある。
番組概要
2018年4月に始まった番組。竹森マサユキが地元・宮城県で頑張る10代、20代を応援・紹介するプログラム。さまざまな職種の人をゲストに招き、エンターテイメントや、チャレンジすることの面白さをリスナーに伝えている。
■放送局:Date fm
■番組名『竹森マサユキのAKERU radio』
■放送日時:毎週水曜日 20時~20時55分
出演者プロフィール
竹森マサユキ
1984年、宮城県出身。2004年にバンド「カラーボトル」を結成し、ボーカルを務める。2007年にデビュー。東京での活動を経て、2016年4月から竹森が拠点を仙台に戻し、2018年3月にはソロアルバム『五線譜』をリリースした。
インタビュー/カメラマン
豊田拓臣
1979年、埼玉県生まれ。
中学校1年生からラジオを聴き始め、ずっと聴き続けていたら、ラジオ番組の紹介記事やしゃべり手のインタビューをして原稿を書くことが仕事になっていたフリー編集者/ライター。
自称・ラジオ解説者。
著書に『ラジオのすごい人たち~今こそ聴きたい34人のパーソナリティ』(2012年、アスペクト)がある。
一般社団法人日本放送作家協会理事。
特定非営利活動法人放送批評懇談会正会員。
ラジコでラジオを聴こう!
▼スマートフォンで聴くなら
http://m.onelink.me/9bdb4fb
▼パソコンで聴くなら
http://radiko.jp/
▼プレミアム会員登録はこちらから
http://radiko.jp/rg/premium/
『radiko.jpプレミアム(エリアフリー聴取)』なら、全国のラジオ番組を楽しむことができます。