ビッケブランカ、ナオト・インティライミらが登場!『BEST HIT RADIO CONCERT(1970-2025)』レポート公開!

ナオト・インティライミとビッケブランカなどが出演するライブイベント「大阪国際文化芸術プロジェクト『BEST HIT RADIO CONCERT(1970-2025)』」が、2月9日に大阪・フェスティバルホールで開催された。本イベントはまもなく開幕する「2025年大阪・関西万博」への機運醸成に繋げるために開催されたスペシャルイベント。1970年の大阪万博から、2025年大阪・関西万博までの55年の間に、様々な文化が創出されたなか、音楽シーンでもまた、数々の名曲が生み出され、ラジオを通じて届けられてきた。また、2025年3月は日本で本格的なラジオ放送が開始されてから100年と、記念すべき年。洋楽と邦楽を問わず、ラジオで一度は耳にしたことがある名曲のカバーがストリングスを加えたスペシャルバンドとともに披露された、一夜限りの特別なステージの模様をお届けしたい。

今回のイベントにはJ-POPの技巧派と謳われる、ナオト・インティライミとビッケブランカを中心とした豪華アーティストが出演。2人はコロナ禍も音楽の歩みを止めることなく、コラボレーションでの配信ライブなどを展開。さらに今回のイベントに向け、大阪のラジオ局・FM802の番組「802 BINTANG GAREDN」のなかで選曲について2人がたっぷりとミーティングしたトークも放送。珠玉の名曲で綴られる、特別な一夜になるに違いないと確信を持ったファンが集まり、イベントのチケットは早々とソールドアウト。満員の会場には、世代を超えた観客が集まり、開演の時を今か今かと待ちわびていた。

開演前にはMCを務めるFM802のDJ大抜卓人が登場。イベントの趣旨を説明しつつ、「日本の音楽史に輝く、グローバルな素晴らしい曲の数々で紡がれる特別な時間をめいっぱい楽しんで」と、開幕の言葉を告げると、さっそく1曲目「夢の中へ/井上陽水」へ。ご機嫌にステップを刻みながらステージに登場したナオト・インティライミとビッケブランカの2人。歌詞の言葉をジェスチャーで表現したり、美しいハーモニーを響かせたりと、観客を楽曲の世界観へと導いていく。

「この2人の組み合わせ、観たことある?」と、観客に2人の共演について尋ねるナオト・インティライミ。FM802が主催するライブイベント「MEET THE WORLD BEAT」や、コロナ禍のコラボ配信ライブなどで共演の機会があったものの、これだけの規模のライブは初めてらしく、互いにワクワクしていると語る。ビッケブランカも「歴史的な曲を紡ぐライブの経験はなかった。今日は記念すべき日になるはず」と、期待の高まるコメントを送る。

この日はナオト・インティライミやビッケブランカが互いにソロやメドレーでコラボするほか、一夜限りのスペシャルバンドとして横山裕章(Key)、安達貴史(Ba)、エリアス チアゴ(Gt)、若山雅弘(Dr)、岡部磨知Strings(Strings)、加藤いづみ(Cho)、真城めぐみ(Cho)が。さらに、アディショナルアーティストとしてSINON、Fluffy、2人のシンガーも出演するなど、多彩な顔触れが次々に登場。

まずは2人それぞれの音楽のルーツを感じられる楽曲を披露するソロステージへ。ナオト・インティライミは「物心がつくかつかない頃、初めて触れたであろう洋楽を」と「Yesterday/ザ・ビートルズ」で柔らかく芳醇な歌声を披露。この日のステージをきっかけに曲が持つ力に改めて魅了されたこと、そしてこれまで洋楽をカバーする機会はあまりなかったと語っていたこともあり、観客は貴重な瞬間をしっかりとその目に焼き付けていく。続いては敬愛している日本の音楽をと、「星空のディスタンス/THE ALFEE」へ。憧れのアーティストへの思いだけでなく、初めて武道館で観たステージ、ライブのチケットを取る苦労など、アーティストとして活動をするもっと前、ひとりの音楽好きな少年が魅せられた音楽に、リスペクトとたっぷりの愛を込めて熱唱。

”ポップの魔術師”の異名を持つビッケブランカがソロステージ1曲目に選んだのは、”キング・オブ・ポップ”の名曲「Thriller/マイケル・ジャクソン」。軽妙なファルセットは楽曲の世界観にぴったりとハマり、ご機嫌なリズムがバンド全体のテンションを高めていく。間髪入れず、次曲は「CAT’S EYE/杏里」へ。女性シンガーの楽曲も自慢のハイトーンボイスで軽々と歌いこなす姿に観客も称賛の拍手を送る。

今回のイベントは国内外からの多くの来阪者に大阪の文化芸術を楽しんでもらうためのイベントのひとつ。「大阪は“面白いをやる!”、それを象徴するようなイベント。他の街にはない取り組み」(ナオト・インティライミ)、「音楽を文化として捉え、それを残そうと大阪府や大阪市が率先して取り組んでくれるのはうれしい。やりがいがあるし、僕たちのフィーリングにもよく合う」(ビッケブランカ)と絶賛。また、今回の選曲について「大喧嘩でしたよ!(笑)」(ビッケブランカ)と、熟考に熟考を重ねてセレクトしたとか。「大好きな曲をカラオケでなく、こんな豪華なバンドと生オケでできるなんて、一生に一度のこと!」(ナオト・インティライミ)と興奮しきり。

続いてのコラボステージでは「いっぱい聞いてほしい曲がある。良いとこ取りでぶつけていきたい!」(ビッケブランカ)と、70年代メドレーへ。「やさしさに包まれたなら/松任谷由実」、「ルージュの伝言/松任谷由実」、「乾杯/長渕剛」と、それぞれお気に入りの曲を披露。「学園天国/フィンガー5」では2人のコラボだけでなく、観客も一緒にコール&レスポンスで大はしゃぎ♪

ナオト・インティライミは続くソロステージで、アコースティックギターでの弾き語りに「あの素晴らしい愛をもう一度/加藤和彦・北山修」をセレクト。日本での活動だけでなく、世界への挑戦として1人きりでアメリカ・マイアミでも活動を展開している彼。ラテン風にアレンジした同曲で、改めて日本の名曲の良さ、そして彼の卓越したポップセンスを見せつけていく。初見の観客もさらりと巻き込んでしまう、フレンドリーなライブパフォーマンスが魅力の彼は今年でナオト・インティライミとして活動をはじめ、今年でデビュー15周年を迎える。オリジナル曲の披露では「思っていればいつか夢が叶う」と、「いつかきっと/ナオト・インティライミ」でバイタリティ溢れる歌声で気付けば観客は総立ちに。

ビッケブランカのソロステージではナオト・インティライミへのリスペクトを語りつつ、「この曲だけは譲れない! この曲は絶対に僕が歌うんだ!」と、「どんなときも。/槇原敬之」へ。稀代のメロディメーカーが生み出した名曲は歌っている本人でさえも「最高の気分です♪」と、楽曲に酔いしれるシーンも。もちろん、ビッケブランカが誇るポップセンスはオリジナル曲「Ca Va?/ビッケブランカ」でもたっぷりと♪ ストリングスも加わった贅沢なバンドサウンドをバックに、イノセントに歌い踊る姿に誰もが夢中になっていた。

この日はナオト・インティライミ、ビッケブランカのほか、アディショナルアーティストとしてSINON、Fluffyが出演。大阪出身、19歳のシンガーソングライター・Fluffyははつらつとした歌声で「異邦人/久保田早紀」のカバーやオリジナル曲「かさぶた/Fluffy」を。青森出身で大阪を拠点に活動するシンガーのSINONは「青春の輝き/カーペンターズ」で”奇跡の歌声”と称される豊潤な歌声で観客の心を惹きつける。

また、スペシャルバンドにコーラスで参加する加藤いづみ、真城めぐみもメインボーカルとしてその美声を披露。「My Revolution/渡辺美里」や「LOVE LOVE LOVE/DREAMS COME TRUE」、「待つわ/あみん」など、女性アーティストの名作を次々に歌い上げ、これまでとはまた違った和やかな空気を作り上げていく。さらにFluffyやSINONも加わり、4名の女性ボーカリストによる女性アーティストメドレーも。「S・O・S/ピンク・レディー」や「飾りじゃないのよ涙は/中森明菜」、「CAN YOU CELEBRATE?/安室奈美恵」、「アジアの純真/PUFFY」など、個性の異なるボーカリストたちが昭和から平成まで幅広い年代の楽曲を歌い上げ、観客を大いに楽しませてくれた。

イベント後半は再びナオト・インティライミ、ビッケブランカがステージに登場。この日互いに披露した楽曲のセレクトについて語りつつ、「年齢が少し違うからこそ、思い入れのある曲も違ってくる。2人だからこそできたステージ」(ビッケブランカ)と、イベントへの思いを語る。そして今回のイベントの開催地である大阪でのパフォーマンスについても「(大阪は)波長が合う場所。そんな場所で歌えることが感慨深い」(ナオト・インティライミ)と、集まってくれた観客へ感謝の思いを伝える。

そして、最後のコラボステージでは1979年生れのナオト・インティライミ、1987年生れのビッケブランカにとって、強い思い入れのある90年代の音楽メドレーへ。「音楽にルールはない。歌いたいと思ったら歌おう!」と、会場一体となってイベントを楽しもうと声を掛けると、イントロだけで瞬時に歓声が沸き起こるようなミリオンヒットの名曲を連発! 「シーソーゲーム〜勇敢な恋の歌〜/Mr.Children」、「チェリー/スピッツ」など、個性の異なる2人の歌声はもちろん、楽曲の魅力を改めて体感。本編最後の「それが大事/大事MANブラザーズバンド」では会場にいる全員で大きな声で大合唱に!

アンコールではMCの大抜卓人が再び登壇。2020年のコロナ禍で行われた2人のコラボレーション配信ライブや同年に開催された大阪文化芸術フェス主催の「OSAKA GENKi PARK」を振り返りつつ、「素晴らしい楽曲の数々を今日こうやってみんなと一緒に大きな声で大合唱しながらライブを楽しめていることが本当にうれしい」と感慨深げに語る。

イベントの最後を締めくくるのは「愛は勝つ/KAN」。「最後にふさわしい曲」(ビッケブランカ)と出演者全員で想いを込めて歌い上げ、全33曲2時間30分にわたるイベントは終幕へ。

「大阪国際文化芸術プロジェクト『BEST HIT RADIO CONCERT(1970-2025)』」は一夜限りの特別なイベントだったが、2025年4月13日からは「2025年大阪・関西万博」がスタート。どんな体験ができ、どんな未来が待っているかはこれからのお楽しみ。世界中からたくさんの人が来阪し、文化、芸術があふれる大阪の魅力を知ってもらえる機会はこれらからもっともっと増えるに違いない。

文=黒田奈保子、撮影=渡邉一生

BEST HIT RADIO CONCERT(1970ー2025)
放送局:FM802
放送日時:2025年2月23日 日曜日 25時00分~27時00分
出演者:【DJ】 大抜卓人 【出演アーティスト】 ビッケブランカ/ナオト・インティライミ 【additional アーティスト】 SINON/Fluffy 【バンドメンバー】 Key:横山裕章/Ba:安達貴史/Gt:エリアス、チアゴ/Dr:若山雅弘/Strings:岡部磨知 Strings/Cho:加藤いづみ、真城めぐみ

※該当回の聴取期間は終了しました。

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16kg以上の“重い軽石”発見「広い視野で自然を学び、感じてほしい」

3月18日付の琉球新報に、こんな記事を見つけました。『国内最大級、軽石なのに“重い!”でっかい! 巨大さに「びっくり」 沖縄の「海中道路」で親子が発見』。

2025年2月18日、丸谷親子が発見した60cmの巨大軽石(撮影:丸谷由さん)

それぞれの朝は、それぞれの物語を連れてやってきます。

この巨大な軽石を発見したのは、沖縄県中城村に住む丸谷由さん(44歳)と、娘の夏瑠沙さん(7歳)。丸谷さんは、沖縄に移り住んで今年で25年になります。もともと東京都の出身ですが、自宅が町田市の郊外にあって、自然豊かな環境の中で育ちました。

幼い頃から自然の中の生き物に興味を持ち、将来は「生物」の研究をしたいと思っていましたが、当時、環境教育が注目され始めていたこともあって、琉球大学の教育学部に進学。大学院では生涯教育を専攻しました。

在学中に、自然環境のサークル「ネーチャー・エデュケーショナル・カフェ」(通称・ネコ)を立ち上げ、野外教育に携わった経験を活かして、現在は「一般社団法人 ネコのわくわく自然教室」を運営しています。

この教室では、沖縄の豊かな自然の中で遊んだり、キャンプをしたり、さまざまな体験が楽しめるプログラムを、年間を通じて開催しています。

そんな丸谷さんの人生を大きく変える出来事が起こります。

左:2021年10月25日 沖縄に漂着した大量の軽石の帯、右:2021年に丸谷親子が発見した大型軽石(43cm、福徳岡の場由来。沖縄県立博物館へ寄贈)(撮影:丸谷由さん)

2021年10月、沖縄の海に大量の軽石が押し寄せ、大ニュースになりました。海面を覆い尽くす軽石……、青い海を灰色に変え、漁船やフェリーが出航できず、テレビのニュースは、軽石を“悪いもの”として報じていました。「本当に軽石は悪いものなのか?」丸谷さんは首をかしげました。

軽石の大量漂着は国内では100年ぶりの現象のため、多くの人が驚きました。この時に流れ着いた灰色の軽石は、福徳岡ノ場という小笠原諸島の海底火山からのものでした。日本では、海底火山は伊豆諸島や小笠原諸島に多くあり、陸上の火山は、日本各地にあります。その火山から噴出するマグマが軽石の素になっています。

軽石が最初に流れ着くのは、沖縄を中心とする南西諸島で、さまざまな海底火山から日常的に少しずつ軽石が流れ着いていることは、あまり知られていません。それに大量の漂着は稀な現象なので、専門的な研究があまり進んでおらず、一般にもほとんど認知されていない自然現象の一つでした。

「海底火山の噴火で生まれ、海の流れに乗って旅をする、そこに軽石の魅力を感じました」と語る丸谷さんは、独自に軽石の研究を始め、地元のラジオやYouTubeなどで情報を発信し、娘の夏瑠沙さんと沖縄周辺の海岸で軽石の調査を行っています。

左:軽石が誕生する仕組みを説明する丸谷さん、右:自作の絵本で軽石の誕生を説明する丸谷さん(撮影:丸谷由さん)

今年2月18日のこと、沖縄県うるま市の海岸で軽石を探していると……

「パパ、あれ!」

海岸に、ひと抱えほどもある大きな黒い石を見つけました。表面に無数の穴が空いていて間違いなく軽石ですが、重くて持ち上がらない。大きさは60cm、重さは16kg以上もありました。やっとのことで車に積んで持ち帰った丸谷さんは、国立科学博物館の知人に連絡し、その巨大軽石を送ることにしました。

調査の結果、「平成以降に漂着した軽石の中では国内最大級」だと判明します。

海底火山の噴火で誕生した軽石は、マグマの成分によって色や模様、形が異なるため、どこで生まれたのか、ある程度、特定することができます。今回の巨大軽石は、2023年10月、小笠原諸島・硫黄島の噴火によって生まれたものと考えられています。

「マグマが噴出した直後の軽石は、乗用車ほどの大きさのものもあるんです。軽石は海を数千km、数ヶ月漂流することがありますが、その過程で細かく砕け、10cm前後の大きさになります。そうした中で、60cmもの大きさを保ったまま、1年半も海を漂ってきた軽石は、学術的にも貴重なサンプルになるので国立科学博物館に寄贈しました」

左:ネコのわくわく自然教室(沖縄県中城村にて子ども達の海の体験)、右:軽石の上で半年以上かけて大きく育ったサンゴ(撮影:丸谷由さん)

丸谷さんが運営する「ネコのわくわく自然教室」では、「軽石から学ぶ体験プログラム」が人気講座となっています。

「沖縄に大量の軽石が押し寄せたとき、軽石は海を汚す悪いもの、といった報道ばかりでしたが、よくよく考えてみると、それは人間の都合なんですね。海に漂う軽石は、貝やカニ、小さな魚などの生き物を遠くに運ぶという役割も果たしています。海岸に流れ着くと、やがて砕けて砂になり、島の一部となります。ペットボトルやビニールとは違い、軽石漂着は地球の営みの一環なんです。子どもたちには、そうした広い視野で自然を学び、感じてほしいと思っています」

1000km以上離れた場所から、海を渡って沖縄にやって来る軽石。そこには、子どもたちが自然環境を学ぶ教材としての可能性が、たくさん詰まっています。

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