新型コロナウイルス~気になる“突然変異”

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(3月27日放送)に外交評論家・キヤノングローバル戦略研究所研究主幹の宮家邦彦が出演。新型コロナウイルスへの日本政府の対応について解説した。

電子顕微鏡写真(2019新型コロナウイルス-Wikipediaより)

新型コロナウイルス、政府が対策本部の初めての会合を開催

安倍総理は26日、新型コロナウイルスの感染拡大に備える改正特別措置法に基づく政府の対策本部を設置、初めての会合を総理官邸で開催した。今後は総理が私権制限につながる緊急事態宣言に踏み切るかどうかが焦点となるが、対処方針の原案では、都道府県知事が要請する外出自粛や学校などの施設の利用制限期間は「21日程度が妥当」との目安を示している。

安倍首相)この国難とも言うべき事態を乗り越えるため、国や地方公共団体、医療関係者、事業者、そして国民の皆様が一丸となって、新型コロナウイルス感染症対策を更に進めて行くことが重要です。関係閣僚におかれては、西村担当大臣及び厚生労働大臣を中心に、特措法に基づく基本的対処方針を速やかに策定してください。

飯田)対策本部会合での総理の発言をお聞きいただきました。3週間程度の目安ということも出て来ています。速報が入って来ましたが、アメリカのジョンズ・ホプキンス大学の集計によると、アメリカの新型コロナウイルスの感染者が、中国を抜いて世界最多になったという一報が入りました。
宮家)日本政府の対応は当然です。対策本部をつくって準備を進めているということだと思います。アメリカの感染者数が世界1位になった。中国の数字は信用できないので何とも言えませんが、恐らくそうなのでしょう。中国で起きたことがイランに行って、イランからイタリアに行き、その後はイタリアからニューヨークに行った。ニューヨークの次はロスになるのではないかと、ロスの市長が心配していましたが、1つ間違えたら日本だってそうなるということです。

記者が座る椅子がそれぞれ1メートル以上離して配置された米国防総省での記者会見=2020年3月10日 ©産経新聞社

クラスターに注意するべき~気になる突然変異

宮家)日本でいちばん心配しなければならないのは、見えないクラスターです。見えないクラスターがたくさん出たら、いくら日本人が綺麗好きとは言え、ニューヨークのようになる可能性はあります。いまは重要な時期に来ていると思います。ですから、21日程度というのが正しいかはわからないけれども、相当の危機感を覚悟しなければなりません。スペイン風邪やペストのような過去の例をみても、波は1回では終わりません。1波、2波、3波と来るわけです。いま仮に我々が封じ込めたとしても、決してこれで終わりではない可能性が高い。これからは南半球が寒くなります。南半球で流行が始まったら、またこちらが寒くなるころに逆流するかもしれない。もう1つ気になるのは、国連の事務総長が言っていた、突然変異するかもしれないということです。いまの段階では、どちらかと言うと致死率は低く、感染力が強くて、若い人が重篤化しにくいということだけれども、それが違うウイルスになる可能性もゼロではありません。

飯田)致死率が高くなるとか。

宮家)そうです。そうなった場合のことを考えると、まだとても気を抜ける状況ではないと思います。

飯田)ワクチンの開発が急がれます。

宮家)既存のものでも、もし効く薬があったら使うということですので、少し希望が湧いて来ましたけれども。

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16kg以上の“重い軽石”発見「広い視野で自然を学び、感じてほしい」

3月18日付の琉球新報に、こんな記事を見つけました。『国内最大級、軽石なのに“重い!”でっかい! 巨大さに「びっくり」 沖縄の「海中道路」で親子が発見』。

2025年2月18日、丸谷親子が発見した60cmの巨大軽石(撮影:丸谷由さん)

それぞれの朝は、それぞれの物語を連れてやってきます。

この巨大な軽石を発見したのは、沖縄県中城村に住む丸谷由さん(44歳)と、娘の夏瑠沙さん(7歳)。丸谷さんは、沖縄に移り住んで今年で25年になります。もともと東京都の出身ですが、自宅が町田市の郊外にあって、自然豊かな環境の中で育ちました。

幼い頃から自然の中の生き物に興味を持ち、将来は「生物」の研究をしたいと思っていましたが、当時、環境教育が注目され始めていたこともあって、琉球大学の教育学部に進学。大学院では生涯教育を専攻しました。

在学中に、自然環境のサークル「ネーチャー・エデュケーショナル・カフェ」(通称・ネコ)を立ち上げ、野外教育に携わった経験を活かして、現在は「一般社団法人 ネコのわくわく自然教室」を運営しています。

この教室では、沖縄の豊かな自然の中で遊んだり、キャンプをしたり、さまざまな体験が楽しめるプログラムを、年間を通じて開催しています。

そんな丸谷さんの人生を大きく変える出来事が起こります。

左:2021年10月25日 沖縄に漂着した大量の軽石の帯、右:2021年に丸谷親子が発見した大型軽石(43cm、福徳岡の場由来。沖縄県立博物館へ寄贈)(撮影:丸谷由さん)

2021年10月、沖縄の海に大量の軽石が押し寄せ、大ニュースになりました。海面を覆い尽くす軽石……、青い海を灰色に変え、漁船やフェリーが出航できず、テレビのニュースは、軽石を“悪いもの”として報じていました。「本当に軽石は悪いものなのか?」丸谷さんは首をかしげました。

軽石の大量漂着は国内では100年ぶりの現象のため、多くの人が驚きました。この時に流れ着いた灰色の軽石は、福徳岡ノ場という小笠原諸島の海底火山からのものでした。日本では、海底火山は伊豆諸島や小笠原諸島に多くあり、陸上の火山は、日本各地にあります。その火山から噴出するマグマが軽石の素になっています。

軽石が最初に流れ着くのは、沖縄を中心とする南西諸島で、さまざまな海底火山から日常的に少しずつ軽石が流れ着いていることは、あまり知られていません。それに大量の漂着は稀な現象なので、専門的な研究があまり進んでおらず、一般にもほとんど認知されていない自然現象の一つでした。

「海底火山の噴火で生まれ、海の流れに乗って旅をする、そこに軽石の魅力を感じました」と語る丸谷さんは、独自に軽石の研究を始め、地元のラジオやYouTubeなどで情報を発信し、娘の夏瑠沙さんと沖縄周辺の海岸で軽石の調査を行っています。

左:軽石が誕生する仕組みを説明する丸谷さん、右:自作の絵本で軽石の誕生を説明する丸谷さん(撮影:丸谷由さん)

今年2月18日のこと、沖縄県うるま市の海岸で軽石を探していると……

「パパ、あれ!」

海岸に、ひと抱えほどもある大きな黒い石を見つけました。表面に無数の穴が空いていて間違いなく軽石ですが、重くて持ち上がらない。大きさは60cm、重さは16kg以上もありました。やっとのことで車に積んで持ち帰った丸谷さんは、国立科学博物館の知人に連絡し、その巨大軽石を送ることにしました。

調査の結果、「平成以降に漂着した軽石の中では国内最大級」だと判明します。

海底火山の噴火で誕生した軽石は、マグマの成分によって色や模様、形が異なるため、どこで生まれたのか、ある程度、特定することができます。今回の巨大軽石は、2023年10月、小笠原諸島・硫黄島の噴火によって生まれたものと考えられています。

「マグマが噴出した直後の軽石は、乗用車ほどの大きさのものもあるんです。軽石は海を数千km、数ヶ月漂流することがありますが、その過程で細かく砕け、10cm前後の大きさになります。そうした中で、60cmもの大きさを保ったまま、1年半も海を漂ってきた軽石は、学術的にも貴重なサンプルになるので国立科学博物館に寄贈しました」

左:ネコのわくわく自然教室(沖縄県中城村にて子ども達の海の体験)、右:軽石の上で半年以上かけて大きく育ったサンゴ(撮影:丸谷由さん)

丸谷さんが運営する「ネコのわくわく自然教室」では、「軽石から学ぶ体験プログラム」が人気講座となっています。

「沖縄に大量の軽石が押し寄せたとき、軽石は海を汚す悪いもの、といった報道ばかりでしたが、よくよく考えてみると、それは人間の都合なんですね。海に漂う軽石は、貝やカニ、小さな魚などの生き物を遠くに運ぶという役割も果たしています。海岸に流れ着くと、やがて砕けて砂になり、島の一部となります。ペットボトルやビニールとは違い、軽石漂着は地球の営みの一環なんです。子どもたちには、そうした広い視野で自然を学び、感じてほしいと思っています」

1000km以上離れた場所から、海を渡って沖縄にやって来る軽石。そこには、子どもたちが自然環境を学ぶ教材としての可能性が、たくさん詰まっています。

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