とても大切な高額療養費制度、負担増への対策は?

ニュースキャスターの長野智子がパーソナリティを務める「長野智子アップデート」(文化放送・月曜日~金曜日15時30分~17時)、2月13日の放送に経済評論家の佐藤治彦が出演。厚生労働省が利用者負担を引き上げる方針で、それに反対する癌患者らとの溝が取り沙汰される、高額療養費制度について解説した。

長野智子「まず高額療養費の負担増、具体的にはどんな内容なのか教えてください」

佐藤治彦「来年から3回にわたって負担額を上げていく、という部分がメインになっています。高額療養費制度はとても大切な制度です。たとえば保険の治療として、癌などになって100万円かかったとする。3割負担ですから本来なら30万円なんですけど、30万円だって、払えと言われると困りますよね。なので保険で払う窓口負担の1ヶ月の上限額を決めたのが高額療養費制度で。もともとなかった制度なんですね」

長野「はい」

佐藤「1973年に始まりました。いまのような制度になったのは1984年、まだそんなに昔じゃないんです。いま年間でどれだけの人が恩恵にあずかっているかというと、現役世代だけで年間400万人」

長野「ああ~……」

佐藤「高齢者の方も含めると1250万人の方が使っているという、大切なもので。世界でも類を見ないような制度なんです。どれぐらいの費用がかかっているかというと、高齢化が進んだこと、それから医療の進歩で医療費がものすごくかかるようになり、薬もよくなってきた。いいことですけどそれによって、この10年間で30%のも支出が増えてしまって。いま年間でだいたい30兆円ぐらい」

長野「はい」

佐藤「ということは国民1人あたり、ざっくり3万円近く、毎年、高額療養費制度のために負担していることになります」

長野「高齢化社会で、どんどん増えていきますよね」

佐藤「そうなんです。私、値上げは大嫌いな人間ですけど、高額療養費制度がなくなってしまうともっと困る。今回、この高額療養費制度を持続させるために値上げさせるというんですけど、全部が全部、今回の改正でダメなわけじゃないんです。どういうことか。昔は1ヶ月の上限の負担額が国民みんな一緒だったんです」

長野「はい」

佐藤「それを年収別に分けた。いま住民税非課税世帯を除くと4段階なんです。でもあまりにざっくりしていませんか、という部分が今回の改正のひとつであるんですね。年収370万円の人も770万円の人も毎月の上限額は一緒なんです。少しでも超えてしまうと2.5倍になってしまう」

長野「ああ、そうか」

佐藤「だからこれを、なだらかにしましょう、と。いま住民税非課税世帯も入れると5つに分けているものを13個に分けて、年収によって毎月の上限額を変えましょうね、と」

このあとも高額療養費制度についての解説が続いた。さらに番組内で教育無償化についても佐藤が解説した。

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幼少期の“愛読書”は『家庭の医学』!? 作家・小川洋子「人間に対する興味のスタートでした」

フリーアナウンサーの唐橋ユミがパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「NOEVIR Color of Life」(毎週土曜9:00~9:30)。“生きること、輝くこと、そして人生を楽しむこと”をテーマにした、トークと音楽が満載のプログラムです。各界を代表して活躍する女性ゲストが、自らの言葉でメッセージを伝えます。

今回の放送ゲストは、作家・小川洋子さんです。読書の原点や、社会人生活を経て得た視点などについて語ってくれました。


小川洋子さん



小川さんは岡山市生まれ、早稲田大学文学部卒。1988年「揚羽蝶が壊れる時」で海燕新人文学賞を受賞。1991年「妊娠カレンダー」で芥川賞、2004年「博士の愛した数式」で読売文学賞、本屋大賞を受賞するなど、数多くの小説・エッセイを執筆しています。

◆「家庭の医学」で人間の神秘に気づいた

唐橋:最初の読書体験が「家庭の医学」だったとお聞きしました。本当ですか?

小川:(笑)。我が家は両親ともにあまり本を読む家ではなく、家に文学書がなくて。「お菓子の焼き方」や「熱帯魚の飼い方」「家庭の医学」などしかなかったんです。仕方なく「家庭の医学」のページをめくりますと、いろいろと人体の不思議が載っていて、「人間とはなんて不思議な生き物なのだろう!」と。人間の内側には目には見えない神秘的な世界が隠れているのか……というのが、人間に対する興味のスタートでした。

唐橋:だからこそ、本のなかに身体の一部が強烈に残る描写があるんですね。

小川:そうですね。私も話していて自分で気が付きましたけど、確かに「家庭の医学」から事が始まっていたかもしれません(笑)。

唐橋:理解がどこまでできるかはわかりませんが、確かに子どもにとっては何時間でも読めるものですよね。

小川:児童文学も好きでしたが、まったく感情が入っていない植物図鑑や動物図鑑の説明文の、客観的な記述がとても想像力をかき立ててくれました。作家としても、図鑑的な文章と言うのでしょうか。書いている本人の主張とか、「私ってこんないい文章を書けるんだ」という自己顕示欲を消した、本来持っている書き方をそのまま差し出せたらな、と思って書いています。

唐橋:家に本があまりなかったということですが、本屋さんや図書館に行かれていたのですか?

小川:学校の図書室が一番好きな、心落ち着く空間でした。あまり友達がたくさんいるタイプではなかったのですが、図書室って1人でいて、じっと黙っていても変じゃないですよね。そういう自分を受け入れてくれる場所が図書室でした。

唐橋:図鑑のほかに、何か好きな作品はありましたか?

小川:小学校の図書館の図書カウンターのそばに、くるくる回る本棚があったんです。そこはすべて岩波少年文庫の棚で、それを「全部読みたい!」と思っていました。エーリッヒ・ケストナーとかフィリッパ・ピアスとか、岩波少年文庫にはずいぶんお世話になりましたね。今思い出しても、胸がキュンとするような作品と出会いました。

唐橋:「いつも岩波の本を借りている子だ」って、図書室の人も覚えているでしょうね。

小川:図書室の先生がストーブの上でパンを焼いて、半分分けてくれたこともありました(笑)。

唐橋:本以外で夢中になっていたことはありますか?

小川:1人で静かに本を読んでいるかと思えば、けっこうおてんばなところもあって。弟がいて、近所に年上の男の子のいとこが2人いたので、いつも男の子と一緒に泥だらけになっていました。家の裏の川に何度落ちたことかってくらい、身体を動かすのも好きでした。

唐橋:本も読みながら、ちょっとやんちゃなところもあったのですね。

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作家・小川洋子 社会人生活で得た“視点”「小説を書くためには、自分の中に色々なものを溜め込んでおかないと」

唐橋:小川さんは大学卒業後、川崎医科大学中央教員秘書室に就職されたのですね。

小川:そうですね、よく秘書をやれたなと思います(笑)。お給料をもらいながら、世の中の常識を教えていただいた時期でした。コピーの取り方から電話の受け答え、自分は社会人として本当に何も知らない、なんてダメな人間なんだ……ということを教えていただきました。自分の人生には必要なことでした。

唐橋:そこで気づかされたのですね。

小川:小説を書くというのは、どうしても1人で完結してしまうので、みんなに協力してもらったり先輩に意見を伺ったり、医学部の先生方に、どう満足していただくかを考えたり。他者と関わることも必要な体験でした。やはり就職して社会に出て、だんだん視野を広げていく。小説を書くためには、自分のなかにいろいろなものを溜め込んでおかないと。自分がどれだけ人間として想像力を働かせることができるかどうか、それはいろいろな人と関わって蓄えておかないと、(小説は)書けないですね。

唐橋:お仕事をしながらも、ずっと筆は止めることなく小説は書かれていたのですか?

小川:それだけが楽しみでしたね。先輩に怒られてしゅんとして、トボトボ家に帰っても、小説の続きを書く。それがどんなに下手くそな小説であっても、「ようやく自分の場所に戻って来られたな」という感じでした。

3月のマンスリーゲストは庄野真代さんです。

<番組概要>
番組名:NOEVIR Color of Life
放送日時:毎週土曜 9:00~9:30
パーソナリティ:唐橋ユミ
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/color/

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