和歌山県議会がIR誘致を否決 藤井教授は「カジノは外貨を稼ぐ集金マシンに徹するべき」

和歌山県議会が、カジノを含むIR(統合型リゾート)施設の事業内容をまとめた区域整備計画を否決した。4月21日の「おはよう寺ちゃん」(文化放送)では、木曜コメンテーターで京都大学大学院教授の藤井聡氏が、寺島尚正アナウンサーからこの件について意見を求められる場面があった。

「極めて発展途上国的で品性下劣な話」

国への申請期限が4月28日に迫るなかで行われた県議会の決議は、賛成18票に対し反対22票が上回った。横浜市のように市長変更後に取り下げられた例がある一方で、すでに3月に決定した大阪市や、和歌山県議会が否決した同じ日に可決した長崎県議会など、IR誘致への取り組みを進める自治体もある。

この件について寺島アナが意見を求めると、藤井氏は経済対策にIRを使うこと自体を厳しく批判した。

「日本政府ならびに各自治体は、経済対策のつもりでIRなるものを進めていますが、そこで動くキャッシュの大半が、いわゆる博打、カジノになっているわけですよね。つまり『博打で経済対策しましょう』と言っているわけですから、極めて発展途上国的で品性下劣な話だと思います」(藤井氏)

続けて藤井氏は、仮にIRを誘致するのなら外貨獲得の手段に徹するべきと付け加えた。

「実際にIRを進めるのであれば、外貨を稼ぐための集金マシンと認識いただいて、日本人の娯楽ではなく、諸外国で適用されているような外貨を稼ぐためのものにしてほしいですね。(外国企業にIRを運営させるなら)何の経済対策にもならず、金を吸い上げられるだけです。日本の企業が運営会社となり、客は外国人だけにすることで、日本の被害を最小化できます。外国人が運営して、日本人が金を使うのだけは阻止していただきたいですね」(藤井氏)

さらに藤井氏は、「やらないのが一番ですが」と反対の姿勢を明確にした。

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10年間で5兆円投資“国産旅客機”再挑戦 「技術におぼれるな。いいものが売れるのではなく、売れるものがいいものだ」石川和男が指摘

政策アナリストの石川和男が4月20日、自身がパーソナリティを務めるニッポン放送Podcast番組「石川和男のポリシーリテラシー」に出演。経済産業省が3月27日、次世代の国産旅客機について、今後10年間で官民あわせて約5兆円規模の投資を行うと公表したことについて「いいものが売れるのではなく、売れるものがいいものだ」という認識が必要だと指摘した。

スペースジェットの開発状況を視察した際の赤羽国交大臣(当時)令和2年1月19日  ~国土交通省HPより https://www.mlit.go.jp/page/kanbo01_hy_007313.html

経済産業省は3月27日、大臣の諮問機関である産業構造審議会の会合で航空機産業戦略の改定案を示した。そのなかで、次世代の国産旅客機について、2035年以降の事業化を目指し、今後10年間で官民あわせて約5兆円規模の投資を行うと明らかにした。国産旅客機の開発をめぐっては2023年2月、約15年かけて国産小型ジェット旅客機「三菱スペースジェット(MSJ/旧三菱リージョナルジェットMRJ)」の事業化を進めていた三菱重工業が事業からの撤退を表明している。

MSJの事業撤退表明から約1年、一部では「唐突」との声もあがるタイミングで政府が官民あげての国産旅客機事業化を掲げたことについて、ゲスト出演した元桜美大学客員教授で航空経営研究所主席研究員の橋本安男氏は「私は唐突とは思わない。(MSJの開発は)8合目まで行ったと言われているが、開発費を使い過ぎて事業性のめどが立たなくなって、撤退を余儀なくされた。ただ、それまでに獲得したノウハウや技術を無駄にするのはもったいない。放っておくと無くなってしまうので、残っているうちに糧にして次のステップに進むべきだ」と、今回の政府の戦略案を評価。一方で、世界では脱炭素を目指し、水素燃料電池を使った航空機の試験飛行が始まっているとして「日本にはスピード感が足りない。国が支援してでも、早くローンチ(販売や提供の開始)しないといけない」と指摘した。

また、約15年かけて事業化を進めたMSJが撤退を余儀なくされた背景について橋本氏は「市場の見極めに疎かった。ものづくりはすごいが、インテグレーション能力=事業を可能にする能力が足りなかったのだろう」と述べ、原因のひとつとして「最初に作った『M90(旧MRJ90)』が、アメリカのパイロット組合が設ける重さ39トン、座席数76席という“スコープ・クローズ”(航空会社とパイロット組合の契約の一部で、リージョナル航空機の機体重量や座席数などの制限値を定めたもの)の条項を見誤った」と言及。「製造過程で、この問題が解消されたと勘違いしていたことが大きかった。新たにこの条項に適合した『M100』を設計しなおしたが、『M90』の製造にかかった5000~6000億円と同等のコストが再度かかるという負担が重く、頓挫した」と経緯を詳細に述べた。

石川がアメリカの型式証明取得をめぐって、当局に「いじわるされたのでは?」との見方を指摘すると、橋本氏は「それはうがちすぎだし、負け惜しみ。謙虚になるべき」ときっぱり。「ブラジルやカナダのメーカーは、アメリカのボーイング社と競合するような機体でも、ちゃんとアメリカの型式証明を取っている」と指摘した。

石川は、今後の国産旅客機開発の再挑戦について「日本は技術的に素晴らしいものがたくさんある。航空機以外にも、携帯電話やスマートフォンも本当は技術的にはすごいのに、技術におぼれてしまってコストをかけすぎてしまって、“こんな高いもの、高いレベルの機能はいらない”となってしまう。いいものが売れるのではなくて、売れるものがいいものだ」と持論を述べた。

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