山下達郎「YOUR EYES」の魅力を松崎真人「日本のポップスで、こんなに美しいサックス間奏はない」

ミュージシャンのクレジットは大事 ©STVラジオ

シンガーソングライターで"選曲家"の松崎真人が、'70~'90年代の日本の曲・日本語の曲を中心に"厳選かけ流し"(イントロからアウトロまでノーカット)でお届けするSTVラジオ『MUSIC☆J』。最近は洋楽も混じります。

今週は、6月26日に亡くなったサックス奏者・土岐英史さんが参加した山下達郎の名曲「LOVELAND,ISLAND」からスタートしました。

M01「LOVELAND,ISLAND/山下達郎」

松崎:これは「FOR YOU」のアルバムを売るために、わざとシングルカットしなかったと言う、もう「Ride On Time」からたった1枚で、それだけゆとりのプロモーションが出来るようになったと。また82年頃は、どちらかと言うとシングル買うよりは、お小遣い貯めてLP買おうという感じの文化でしたね。

松崎:ちなみに、サックスを吹いている方は、土岐さんですね。土岐英史さん。6月26日にお亡くなりになったと言うことで、非常に残念です。この曲を代表として、皆さん聴けば「あ、この曲も土岐さんが吹いてるんだ」という曲はたくさんあります。もちろんジャズ、フュージョンの世界でも活躍されてるんですけど、日本のポップスの中でも名演がたくさんある方でした。

この1曲目を伏線として、番組は進んで行きます。話題は10曲目に移ります。

M10「教室/森川美穂」

松崎:今回お送りしたバージョンは「HER-Best(ハーベスト)」という1985年から89年までの森川美穂さんのアルバムをまとめたものなんですが、こういうベストアルバムがあるとありがたいんですよね。1曲1曲すべて可能な限り、レコーディング・メンバーが書いてある。こういうことって大事なんですよね。(中略)

松崎:(「教室」は)スゴい衝撃的な歌詞だし、(デビュー時に在籍していた)ヤマハが担当して、しかも森川美穂さんの可愛らしい清純な雰囲気からして、ちょっと衝撃的な歌詞ですよね。作曲は、僕もお世話になったことのある、後にSMAPで大ヒットをいっぱい飛ばす小森田実さんですが、作詞が千家和也さんなんですね。初期の山口百恵、つまり阿木燿子さんと宇崎竜童さんコンビに手渡される前の、百恵さんのちょっとセンセーショナルな一連の歌詞を書いた千家和也さんに歌詞を振ったという。当時のヤマハの中でも、純ポプコン路線みたいなアマチュアリズムを大事にした路線と、プロフェッショナル中のプロフェッショナルとして磨き上げていく方向性と、両方あったんでしょうね。

そして、ラストの30曲目に…。

松崎:こちらの曲も、先ごろ亡くなられたサックス奏者の土岐英史さんが、間奏でサックスを吹いております。僕が知る限り、日本のポップスの歴史の中でも、これがサックスソロなのか、ある程度、山下達郎さんが譜面を書いているのか分かりませんが、こんなに美しいサックスの間奏は無い、と思っております。

松崎:この曲自体も素晴らしいんですが、ただ、この曲に関わった人がだんだん、お亡くなりになっていることを考えると、僕でさえ寂しいのに、達郎さんの心中やいかばかりかと思います。でも、作品は永遠ですね。

M30「YOUR EYES/山下達郎」
 
松崎:間奏のサックス、土岐さんの音、聴いていただけましたでしょうか。

<7月3日のプレイリスト>
M01「LOVELAND,ISLAND/山下達郎」
M02「色つきの女でいてくれよ/ザ・タイガース」
M03「あなたに逢いたくて~MissingYou~/松田聖子」
M04「バナナの涙/うしろゆびさされ組」
M05「いつも心に太陽を/郷ひろみ」
M06「銀河鉄道999/ゴダイゴ」
M07「Kageki na Shukujyo/YMO」
M08「ディープ・パープル/五十嵐浩晃」
M09「たそがれマイ・ラブ/大橋純子」
M10「教室/森川美穂」

M11「明日はどっちだ!/真心ブラザーズ」
M12「渚にまつわるエトセトラ/PUFFY」
M13「Ride on time/MAX」
M14「Lovin’You/横山輝一」
M15「東京砂漠/内山田洋とクール・ファイブ」
M16「バン・バン・バン/ザ・スパイダース」
M17「たどりついたらいつも雨ふり/ザ・モップス」
M18「きみ可愛いね/伊藤咲子」
M19「恋人/鈴木雅之」
M20「愛は花、君はその種子/都はるみ」

M21「夏の少女/南こうせつ」
M22「駆けてきた処女(おとめ)/三田寛子」
M23「夏の恋人/長渕剛」
M24「星影のバラード(MORE THAN I CAN SAY)/レオ・セイヤー」
M25「店の名はライフ/中島みゆき」
M26「SHERRY DARLING/BRUCE SPRINGSTEEN」
M27「この新しい朝に/浜田省吾」
M28「ジュジュ/佐野元春」
M29「逢いたくなった時に君はここにいない/サザンオールスターズ」
M30「YOUR EYES/山下達郎」

<松崎真人の編集後記>
「愛は花・君はその種子(THE ROSE)/都はるみ」オリジナルを歌っているベッド・ミドラーや、バーブラ・ストライザンドに肩を並べる日本の女性シンガーといえば、やはり都はるみ、ちあきなおみ…….と思い浮かんでしまう。歌うために生まれてきたような存在。このバージョンの編曲は星勝。きらびやかなストリングスが素晴らしい。都はるみはヴィブラートもこぶしも唸りも捨て去って、この歌世界に全身全霊を捧げている。
松崎真人

STVラジオ『MUSIC☆J』(毎週土曜 18:00~21:00)

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MUSIC☆J
放送局:STVラジオ
放送日時:毎週土曜 18時00分~21時00分
出演者:松崎真人(まつざき・まこと):シンガーソングライター(北海道出身)
番組ホームページ

70年代~90年代の日本のポップス・日本語のポップスを中心に"厳選かけ流し"でお届け。パーソナリティは、北海道出身のシンガーソングライター・松崎真人。音楽への深い造詣と知識に裏打ちされた含蓄あるトーク、選曲の幅広さでリスナーの支持を全国に広げている。松崎の"微妙な滑舌"も病みつきになるかも。(ナイターオフ期は、火~金19:00からで、広島・RCCラジオでも同時ネット)。

※該当回の聴取期間は終了しました。

村上春樹「『どうしてこんなにあるんだろう?』と不思議に思っていたのですが…」とあるアーティストのLPが自宅にたくさんある理由とは?

作家・村上春樹さんがディスクジョッキーをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「村上RADIO」(毎月最終日曜 19:00~19:55)。3月30日(日)の放送は「村上RADIO~二人の伝説のギタリスト チェット・アトキンスとデュアン・エディ~」をオンエア。今回は1950年代後半~60年代に活躍したアメリカのギタリスト、チェット・アトキンスとデュアン・エディに焦点を当てました。さらになんと、収録時に来日していたイギリスのロックバンド「ポリス」のギタリスト、アンディ・サマーズの飛び入り出演も!

この記事では中盤4曲(チェット・アトキンス)と「収録中のつぶやき」について語ったパートを紹介します。



◆「Concerto In C Minor」Chet Atkins
◆「I Feel Fine」Chet Atkins

チェット・アトキンスはカントリー音楽に限らず、ジャズからロックからクラシック音楽に至るまで、広いレパートリーの楽曲を取り上げて演奏しました。そしてどんな曲でも、自分のスタイルに引き寄せて楽々と心地よさそうに演奏しました。YouTubeで彼の演奏ぶりを見ることができますので、是非ごらんになっていただきたいのですが、なにしろすごいテクニックです。

彼の演奏は「ピッキング・スタイル」と呼ばれていまして、独特のものです。ピックをつけた親指で低音弦を弾き、トントントンと軽やかなベースノートをつけます。そして残りの3本の指でメロディーを奏でます。よくまあそんな器用なことができるものだと感心してしまうのですが、本人はニコニコしながら演奏しています。昔はYouTubeなんてありませんでしたから、「いったいどうやってこんな演奏ができるんだろう?」と不思議に思っていたものです。

それでは彼の広いレパートリーの中から、チャイコフスキーのピアノ協奏曲 第1番 第1楽章と、ビートルズの「アイ・フィール・ファイン」を聴いてください。でもね、僕の持っているレコード・ジャケットのクレジットはチャイコフスキーではなく、「ラフマニノフのハ短調ピアノ協奏曲」になっています。チャイコフスキーとラフマニノフ、どっちでも同じようなものだと思ったんでしょうかね。しかし考えてみれば、とんでもない間違いですよね。

◆「One Mint Julep」Chet Atkins
◆「Bluesette」Chet Atkins

うちにはチェット・アトキンスのLPがけっこうたくさんあります。どうしてこんなにあるんだろうと自分でも不思議に思っていたのですが、要するに中古レコード屋さんに行って、レコードあさりをしていて、ジャズにもクラシックにもロックにもめぼしいものがなく、しょうがないからカントリー音楽のコーナーをぱらぱらと見ているようなとき、アトキンスのレコードが安い値段で売られていると、つい買ってしまうんですよね。そういう事情もあります。せっかくレコード屋に来たからには、何か買って帰りたいと。

あと2曲かけましょう。レイ・チャールズの歌でヒットした「ワン・ミント・ジュレップ」と、ハーモニカも吹くジャズ・ギタリスト、トゥーツ・シールマンズが作曲した「ブルーゼット」です。

<収録中のつぶやき>
これは親指で低音を引きながらこっちでメロディーを引く。すごくややこしいでしょ。テクニックがすごいんだよね。でも、それを感じさせないんですよね。のんびり弾いているように聴こえてしまう。

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3月30日(日)放送分より(radiko.jpのタイムフリー)
聴取期限 4月7日(月)AM 4:59 まで
※放送エリア外の方は、プレミアム会員の登録でご利用いただけます。

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<番組概要>
番組名:村上RADIO~二人の伝説のギタリスト チェット・アトキンスとデュアン・エディ~
放送日時:3月30日(日)19:00~19:55
パーソナリティ:村上春樹
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/murakamiradio/

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