寡占状態による"手数料の高止まり"を解消か?「スマホソフトウェア競争促進法」を専門家が解説

杉浦太陽と村上佳菜子がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「杉浦太陽・村上佳菜子 日曜まなびより」(毎週日曜 7:30~7:55)。「学びと成長」をコンセプトに、毎回さまざまなゲスト講師をお招きして、明日の暮らしがもっと豊かになる情報や気になるトピックをひも解いて、今よりもちょっと成長することを目指す番組です。

3月23日(日)の放送テーマは、「選ぶ自由を! スマホソフトウェア競争促進法」。公正取引委員会の鈴木誠也さんから、2024年6月に成立した「スマホソフトウェア競争促進法」について伺いました。

(左から)杉浦太陽、鈴木誠也さん、村上佳菜子



◆目指すは“公正かつ自由な競争”の回復

スマートフォン(以下:スマホ)は、電話やSNSだけでなく交通系IC、キャッシュレス決済、ゲーム、動画観賞など、さまざまな機能・サービスが利用できます。また、9割の世帯に普及しており、インターネット利用者の割合は、パソコンよりも多い状況で、現代の国民生活と経済活動の基盤となっています。

こうした背景から、新たに国会で成立した法律が「スマホソフトウェア競争促進法」です。これは、スマホ利用に欠かせない4つのソフトウェアを「特定ソフトウェア」と位置づけ、その市場において優越的な地位にある事業者に対して、明確な禁止事項などを設けることで規制し、適正な競争が生まれるような環境整備を図るものです。2024年6月に国会で成立し、すでに一部が施行されていて、今年12月19日(金)までに全面施行されます。

法律の対象になっている特定ソフトウェアとは、スマホを動かすための基本的なソフトウェアである「モバイルOS」「アプリストア」「ブラウザ」「検索エンジン」のことで、「こうした特定ソフトウェアについては現状、一部の大手事業者による寡占状態(一部の事業者が市場を支配している状態)です」と鈴木さん。

寡占状態では、一部の大手事業者にとって有利なルールが設けられ、他の中小規模の事業者が、新しいアプリやサービスを提供しづらくなり、価格競争も起こりづらいことから、ユーザーは一部の大手事業者が提供する値段で商品やサービスを買わざるを得ない状況になってしまいます。

そのため、スマホソフトウェア競争促進法では、公正かつ自由な競争を回復すべく、「寡占状態の環境を整備して、全面施行後は競争を通じて多様な主体によるイノベーションが活性化し、消費者がそれによって生まれる多様なサービスを選択し、その恩恵を受けられることを目指します」と説明します。

◆高額な手数料がイノベーションの足かせに

スマホソフトウェア競争促進法では、市場を寡占していた一部の有力事業者を「指定事業者」とし、指定事業者に対して遵守しなければならないことや禁止事項を定めています。寡占状態による弊害の1つとして“手数料の高止まり”があります。指定事業者は、アプリストアを使う事業者から、アプリ売上高の30%の手数料を徴収しています。高額な手数料は開発コストの削減につながり、イノベーションの足かせとなっています。

スマホソフトウェア競争促進法では、指定事業者に対して“提供されるアプリストアを自社のものに限定する”といった、他の事業者によるアプリストアの提供を妨げることを禁じています。

これにより、中小の事業者がアプリストア市場に参入しやすくなり、多くの事業者がアプリストアを展開するようになれば、適正な競争が起こり、手数料が引き下げられる可能性があります。また、鈴木さんは「子ども向けやより安全性の高いストアなど、アプリストアのバリエーションが増えることも予想されるため、ユーザーの選択肢が広がります」と補足します。

◆「スマホソフトウェア競争促進法」の禁止事項

スマホソフトウェア競争促進法では、禁止事項に「アプリにおいて、Webサイトで販売するアイテムなどの価格や、Webサイトに誘導するリンクを表示することを制限してはならない」と定めています。

アプリに関連するアイテムやコンテンツは、アプリ内で課金するよりもWebサイトからのほうがリーズナブルな価格で購入できるケースがあります。しかし、指定事業者がWebサイト側の誘導や価格の表示を制限していたため、ユーザーは安く購入できる他の選択肢に気付くことが難しくなっていました。

それをスマホソフトウェア競争促進法で規制したことで、今後は、アプリ内にWebサイトへの誘導リンクを貼るなどして、ユーザーにわかりやすく情報提供がなされ、ユーザーはアイテムやコンテンツなどをリーズナブルに購入することが可能になります。加えて「Webサイトにおけるアイテム等の販売を妨げてはならない」という禁止事項も定められているため、今後は購入場所の選択肢が増えることが期待されています。

一方、いろいろな事業者が参入することで、安全性に問題のあるアプリが紛れ込んだり、粗悪品が出回る可能性も懸念されますが、鈴木さんは「スマホソフトウェア競争促進法では、セキュリティ、プライバシー、青少年の保護について遵守されるように定めています。そのうえで、多様な主体によるイノベーションが活性化し、ユーザーがそれによって生まれる多様なサービスを選択でき、その恩恵を享受できることを目指しています」と力を込めます。

そして、最後に「全面施行は今年12月と少し先ですが、これから徐々に変わっていきますので、スマホユーザーの方はこれからのスマホの世界に理解を深めていただければと思います」と話していました。

番組のエンディングでは、杉浦と村上が今回学んだ「スマホソフトウェア競争促進法」について復習。2人が特に注目した点をピックアップして発表します。村上は今回のテーマ“スマホソフトウェア競争促進法”と書き、「スマホソフトウェア競争促進法というものがあることを知っていただきたいです!」と呼びかけます。続いて、杉浦は“アプリ事業者もユーザーもwin-win”とポイントを挙げ、「スマホソフトウェア競争促進法について詳しく知りたい方は、公正取引委員会のホームページをご覧ください」とコメントしました。

(左から)杉浦太陽、村上佳菜子



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3月23日放送分より(radiko.jpのタイムフリー)
聴取期限 2025年3月31日(月)AM 4:59 まで
※放送エリア外の方は、プレミアム会員の登録でご利用いただけます。

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<番組概要>
番組名:杉浦太陽・村上佳菜子 日曜まなびより
放送日時:毎週日曜 7:30~7:55
パーソナリティ:杉浦太陽、村上佳菜子
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/manabiyori/
杉浦太陽・村上佳菜子 日曜まなびより
放送局:TOKYO FM
放送日時:2025年3月23日 日曜日 7時30分~7時55分
公式X

※放送情報は変更となる場合があります。

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古いけど新しい。大阪・関西万博の「挑戦」に邦丸・内藤が寄せる期待

野村邦丸アナウンサーが大将を務める「くにまる食堂」(文化放送・毎週月~金曜9時~13時)。3月27日(木)の最初のコーナー「ニュース一番出汁」では、邦丸アナとパートナーで俳優の内藤剛志が、まもなく開催される大阪・関西万博のシンボルである「大屋根リング」について期待を寄せた。

野村邦丸アナ「大阪・関西万博に出店する回転寿司チェーンの『くら寿司』が、長さ135mの回転レーンを備えた万博会場の店舗を報道関係者に公開しました。世界から多くの人や 物が集まる万博らしく、各国を代表する料理との出会いが楽しめるということで、この店舗、定番の寿司ネタとともに、万博に参加するおよそ70の国と地域の料理が提供されるということです。
大阪・関西万博、開催までこちらもカウントダウンが始まってますけども、これいいですね、くら寿司の135mの回転レーン。新聞の写真にはマグロ、イカ……その隣にメキシコ料理のタコスが」

内藤剛志「色んな国の料理がレーンを回るっていうことですね。僕は一日消防署長で行きますけど」

邦丸「あっ、万博?」

内藤「万博行きます行きます。5月あたりに。ちょっと日にちは今、わからないけど。会場の中に消防署が多分あるんだと思います」

邦丸「臨時消防署がね」

内藤「そこの一日消防署長をやります。どういう風にするのか、これから打ち合わせですけど。だから、万博がどんな感じかそれで観られるなと。一日警察署長は何度かやったことがありますけど、消防署長は初めてなんです」

邦丸「ただ、関西万博って面白いなって思うのは、火星の石だとか、このくら寿司の135mのレーンとか色々いわれてるんだけども、一番の目玉っていうのは、万博会場の周囲を作っているシンボル、木造の大リングです。未来を見据えた万博なんだけども、おそらく誰もが注目するのが、会場に入る時出る時、あるいは周囲を見回すと、木造の大リングが構えていると」

内藤「だから『新しいものって何だ』って話になりますよね。木造だから古いってわけでもないっていうことじゃないですか。僕、1970年の大阪万博、当時15歳だったかな? 行きましたけど、それは完全に新しいものでしたね。つまり未知なものが並んでいるのが大阪万博でしたよ。今回は、そういう意味でシンボルを木造で造るっていうのは、知らない材料で作ってあるものが新しいわけじゃないっていうことですね」

邦丸「『温故知新』っていう四字熟語がありますね」

内藤「そうそう。また、話が長くなりますけどすみません、やりますか?」

邦丸「『温故知新』について?1分半でやって!」

内藤「いやいや無理無理無理(笑)。でもホントそう思います。新しくなくてもいいものってたくさんありますからね。全部否定するのもイヤだし。ただ、新しいものを否定する感覚もいやなんですよ。せっかく同時代に生きてるんだから、万博を拒否してしまうのもつまらないとは思いますね」

邦丸「おそらくね、行けば楽しいんだと思います」

内藤「そうそう、そう思う。だから全然知識無かったけど、木で出来た万博のシンボルにはものすごくワクワクしています。『あ、これが新しい木の使い方か』と思えたら最高でしょ?」

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