仁徳天皇陵古墳を世界遺産登録してもよいものか

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(5月14日放送)ジャーナリストの有本香が出演。仁徳天皇陵古墳がユネスコ世界遺産登録されることについて私見を述べた。

大仙陵古墳の空中写真(大仙陵古墳 – Wikipediaより)

仁徳天皇陵古墳がユネスコ世界遺産登録へ

文化庁によると、ユネスコの諮問機関は5月13日、日本最大の前方後円墳、仁徳天皇陵古墳を含む、大阪府南部の「百舌鳥・古市古墳群」を世界文化遺産に登録するよう勧告した。全49基の古墳が対象となる。6月30日~7月10日にかけて、アゼルバイジャンで開かれるユネスコ世界遺産委員会で正式に決まる見通しである。

飯田)天皇や皇族が葬られた陵墓ということがあるので、是非の議論を呼ぶところでもありますが。

有本)最初に大阪府が、文化庁に世界遺産登録を提案したのが2007年です。相当長い取り組みだったのです。
いきなり私見を申し上げて恐縮ですが、私はあまり賛成ではありません。1つは、これはお墓ですよ。

飯田)お墓。

有本)実際、日本国内でも特にこういった古代の天皇陵墓に関して、宮内庁は天皇のお墓だと決めていますが、発掘調査させないのです。

飯田)そうですね。

有本)どうしてかと言うと、お墓だからということです。それを世界遺産にするのはどうなのだろうという疑問があります。世界遺産にすることによって、そのままの形で保護されるという点はあるけれど、世界遺産になると観光客が呼べるというお墨付きみたいに長らくなってしまっているわけです。
仁徳天皇と言えば、例の民のかまどのエピソードがあります。そういう、日本人にとっては政の根本のような天皇でもあります。そのお墓ということですから、別にユネスコにお認めいただかなくても、日本人が大事にして行けばいいものなのではないか、ということがあります。

飯田)民のかまどの逸話は教科書に載っていますが、民のかまどから煙が上がらなくなっているのを御所から見て、これは景気が悪くなっているのかと。

有本)生活が苦しいのかということで、税を取るのをやめた。

飯田)自分の御所がボロボロになっても、いやいや待て、まだ民のかまどから煙が上がっていないではないかと。

有本)そして、もう1回延期したという話です。

飯田)増税を延期したという話ですね。

有本)いまと同じ状況なのですよ。

飯田)響き合いますね。

有本)響き合います。それを、特にユネスコが決めるということがそんなにありがたがることなのか、という点が2つ目としてあります。
世界的に危機的な遺産、あるいは自然環境があって、それを保護しようというものがもともとの趣旨で、90年代初めくらいまではその趣旨がある程度活かされていました。当時、私は旅行雑誌をやっていましたから、その趣旨には賛同しました。それが徐々に商業主義と結び付くようになってしまった。世界遺産に登録になったので観光客を呼び込むとういうような形になって、むしろ、その周辺が荒れてしまったケースも散見されています。

飯田浩司のOK! Cozy up!
FM93AM1242ニッポン放送 月-金 6:00-8:00

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「戦争ができる国ではない」日本、軍事優先社会でいいのか?

大竹まことがパーソナリティを務める「大竹まことゴールデンラジオ」(文化放送・月曜日~金曜日13時~15時30分)、4月16日の放送にジャーナリストの吉田敏浩が出演。発売中の新刊『ルポ 軍事優先社会――暮らしの中の「戦争準備」』をもとに、日本の「軍事優先社会」について解説した。

大竹まこと「『ルポ 軍事優先社会――暮らしの中の「戦争準備」』という御本です。“いま、この国に必要なのは他国を攻撃できるミサイルか 生きるためのケアの充実か”という帯がついております。裏側には“新しい戦前”という言葉が。これはタモリさんがおっしゃっていましたね。アメリカがああいう動きをとって。日本はくっついていかざるをえないような現実が迫っています」

吉田敏浩「今年3月31日、アメリカのヘグセス国防長官が初来日して、中谷防衛大臣と対談しました。そのあと共同記者会見で、ヘグセス長官が台湾有事を念頭に『西太平洋におけるあらゆる有事に直面した場合、日本は最前線に立つことになる』と発言したんですね」

大竹「うん」

吉田「仮に台湾で独立のような動きが起きたとして。中国側が軍事介入を指導、アメリカ軍が沖縄、あるいは九州、本州の在日米軍基地から出撃、軍事介入をした場合。自衛隊がそれを後方支援すると。それがエスカレートして集団的自衛権の行使のような状態になり、日本も自衛隊も参戦すると。日本にある在日米軍基地、自衛隊基地、港、空港……。中国からのミサイルで反撃される、つまり日本が戦場になるということで、民間人を含めて多大な犠牲を強いられるわけですね。最前線に立つことによってアメリカの、中国に踏み込もうとする戦略は、日本を盾にして、あるいは捨て石のようにして」

大竹「うん……」

吉田「アメリカ本国まではならないけど日本や台湾、中国が戦場になる。そういう大きな被害、流血や破壊となりかねないと。このまま主体性もなく軍備拡大していくだけでいいのか、ということが問われている。こういう発言に中谷防衛大臣は反論もしていないんですよ」

大竹「はい」

吉田「政府はそういった危険、仮に有事になったら、それだけの被害が国民、市民に及ぶんだ、という説明責任を果たさぬまま、軍備拡大、長射程ミサイルの導入などを進めていると。一方で暮らし、社会保障費、医療費、教育費、そういったものが軍事予算の拡大と反比例するように抑制されたり削られたり、という問題がある」

大竹「はい」

吉田「こういった状態でいいのか。他国を攻撃できるミサイルか、生きるためのケアの充実か、ということがひとつ、今回の本のテーマになっているんですね」

大竹「考えたくもないけれど、そうなったら相手は中国。やりあって……」

吉田「(勝つのは)無理ですよね」

大竹「原発が50基もある日本が戦で勝てるとは思えません」

吉田「仮に戦争になった場合。日本という国土が、島国ですし、原発やいろいろな重工業施設が海岸部にある。攻撃されて破壊されて、様々な被害が及ぶ。さらにいまお米不足で、主食を充分に供給できない。食料が途絶、戦争が長引く、あるいは経済関係が混乱に陥って貿易ができない場合、日本社会が成り立たなくなると。都市化、工業化が進み、輸出入に頼っている、自給自足もできない。戦争ができる国ではないと思いますね」

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