死刑執行の告知をめぐる問題とは?

ニュースキャスターの長野智子がパーソナリティを務める「長野智子アップデート」(文化放送・月曜日~金曜日15時30分~17時)、3月19日の放送に毎日新聞論説委員の小倉孝保が出演。死刑執行の告知をめぐる問題について解説した。

鈴木敏夫(文化放送解説委員)「死刑執行当日に告知するのは不服を申し立てられずに違法である、ということで確定死刑囚2人が訴えていた裁判があります。大阪高裁がおととい(17日)、訴えは不適法であるとして、一審判決が却下した部分を取り消して。つまり審理を大阪地裁に差し戻しました。死刑執行の告知はかつて数日前でしたが、前日に死刑囚が自殺した、というケースがあったため、現在は1、2時間前に、と変更されています」

長野智子「死刑の問題を小倉さんはずっと取材していらっしゃるということで。まず死刑囚2人が訴えた内容について教えてください」

小倉孝保「おととい高裁の判断が出たんです。きのうの新聞各紙が少し報じていますけど、僕の感覚よりもずっと扱いが小さい。今回の高裁の判断は本当に大きなものです。どういうことかというと、本人への告知の仕方ですね。何日にあなたの死刑を執行しますよ、ということをどのように伝えるか。そのやり方の問題なんです」

長野「うん」

小倉「死刑そのものの是非については別のところで議論があります。死刑を維持するにしてもどう運用するか、それはできるだけ人権を尊重した仕方で行いましょう。ということでいろいろな裁判が起きていて。それが全部、大阪なんですね」

長野「ああ……」

小倉「大阪の、僕の知り合いの弁護士たちがやっているんですね。3つ大きなものがあるんです。1つは再審請求中の執行はおかしい、という話。2つ目は、本人に告知されずにコンコン、と(ドアを叩いて)『きょう出てこいよ』と刑場に引っ張り出される、というあり方の問題。もう1つは絞首刑という執行の仕方がおかしい、という3つ。2つ目って非常に珍しいんですよ。絞首刑や執行の仕方がおかしい、というのはアメリカでもよくある」

長野「そうですね」

小倉「その場で告知してすぐ執行される、というのは日本とベラルーシだけ。どんな国でも事前にいつ行う、という話をして。家族と会う時間をつくって、手紙が書きたいなら書いて、ということで執行、と。僕がアメリカで取材したとき、死刑囚にインタビューなんかもしている。その死刑囚は1ヶ月以上前には、何日に執行、とわかっているんです」

長野「はい」

小倉「僕が会いに行ったときは5日後に執行される、とわかってインタビューをしている。でも日本の場合、本人に知らされず、家族、弁護士にも知らされない。刑場に連れていかれて2時間後には執行される。そのあと家族に『遺体をどうしますか』と連絡している。それはさすがにおかしいじゃないか、と不服を申し立てる時間もないから、これは憲法に違反する、国際人権法に違反する、といって大阪地裁に提訴していました」

長野「はい」

小倉「一審ではほぼ門前払い。執行の仕方は国が決めるもので、認めたところで憲法に違反はしないと。だけど控訴して、ここが新しいところで、たとえば数日前に告知したところできちんとした執行はできるんじゃないの、と。ものすごく大きくいうと、そういうことなんです。絶対にこの告知の仕方でないといけないわけではない、審議を尽くしたといえないから、もう少し尽くしなさい、ということで差し戻しているんです」

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