シリアから帰国・安田純平氏が生出演。『大竹まこと ゴールデンラジオ!』

文化放送『大竹まこと ゴールデンラジオ!』(月-金 午後1時00分~3時30分)の本日の放送に、ジャーナリストの安田純平氏が生出演し、以下のようにコメントしました。

大竹:「40ヶ月拘束されたわけですけど、隣の部屋で拷問があったり、飲まず食わずの20日間をやり通したり、ご自身も覆面した人たちにボコられたりして、心の方は大丈夫ですか?」

安田:「今のところはフラッシュバックみたいなものはそんなにないんですけども、たとえば向こうで寝てるときに夢を見て、自分の家にいてドアを開けて出ればそのまま逃げられるんじゃないかというように思って、そこで目が覚めると周りがコンクリートということがあった。でも今、家にいるわけですよね。で、目が覚めると家にいて、これは自由なのかあの時の夢の続きなのかがわからないときとかあって。そういう、まだ現実なのかどうかがわからなくなることがありますね」

大竹:「拘束中、(安田さんが)壁を蹴ったりして暴れた後はどうなるんですか?」

安田:「無視というか。周りにも囚人がいて、周りと喋ってはいけないということになっているんですけど、本当にこちらがバランスを崩してしまうと全部喋ってしまうかもしれない。そうするとまずいから、逆に扇風機とかを盛大にまわしてうるさくして…。扇風機がまわってないと静かなので全く身動きとれないんですけど、まわるとうるさくなるので音を立てても良いので楽になるんです。こちらがキレてしまったと向こうが思ったら、奴らは逆にうるさくしてそれ以上はしないようにする。寸止めをするというか」

大竹:「コーランもお読みになって、向こうの宗教のことがより深くわかるようになったと」

安田:「そうですね。ある程度勉強はしていたんですけど、イスラム教の中で特に自分でも胸に落ちる部分とかは結構あってですね。人間は弱いものであると。だからそれぞれもっている能力以上を神が求めることはないとか、神というのは慈悲深いものであるとか。アラビア語と英語両方書いてある本をくれたので、コーランの勉強をしながらアラビア語の勉強にもなってそれはすごく助かりました」

大竹:「一番苦しかったのはどの時期、何ですか?」

安田:「やはり身動きしてはいないという話がどんどんエスカレートして、24時間扇風機もまわさないでまったく身動き取れないときが3ヶ月ほど続いて。このままへたすると、永遠に出られないかもしれないなと思ったり」

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大竹まこと ゴールデンラジオ!
放送局:文化放送
放送日時:毎週月曜~金曜 13時00分~15時30分
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亡き夫からバトン受け継ぎ叶えた夢「EVのハーレー」

桜から新緑の季節、ツーリングにはたまらないシーズンがやってきました。なかでも、バイク好きの方にとっての憧れといえば、「ハーレーダビッドソン」! 人生で一度は乗ってみたいと思う方もいることでしょう。

今回は、この「ハーレー」のEV(電動)化に成功した、あるご夫婦のお話です。

上野悠子さん

それぞれの朝は、それぞれの物語を連れてやってきます。

栃木県宇都宮市の郊外に、「ハイフィールド」というバイクのカスタムショップがあります。代表の上野悠子さんは、1978年生まれの46歳。2018年に結ばれたご主人の誠さんが開いたお店を受け継ぎました。

アメリカンカルチャーが好きだった誠さんは、「ハーレー」を取り扱うお店に勤めた後、20年ほど前に独立して、27歳のときに「ハイフィールド」を開きました。“カッコいいバイク”にこだわって、一時は海外での事業展開も進め、東南アジアと日本を行ったり来たりしながら、こんな夢を語っていました。

「アジアの国々を見ていると、日本のバイクも、今に電気の時代が来る。タバコだって、煙をもくもく上げて吸っていたのが、すっかり電子タバコになっただろう。きっと、同じことがガソリンエンジンでも起こるから、ハーレーをEV化したいんだ!」

しかし、まちの小さなバイク屋さんには、技術もお金もありません。誠さんは、サポートしてくれるパートナーを探して、全国を走り回りました。

そして、横浜の自動車技術会社と繋がり、経済産業省の補助金の存在を知ります。ちょうどお店も移転して、『さあ、これから』という時に誠さんは体の不調を訴えました。

バイクのカスタムショップ「ハイフィールド」

「じつはずっと胃がムカムカするんだ。東南アジアで辛いものばかり食べていたからかな」

大きな病院で告げられた病名は「胃がん」、それもステージ4でした。

「ステージ4だって、3年生きた人もいるというじゃないか。俺の体、あと3年持ってくれ。そうすれば絶対、ハーレーをEVにできる!」

誠さんはそう言って、つらい抗がん剤治療を受けながら、仕事を続けました。2022年8月には、経済産業省に補助金の申請を行って、資金調達に望みをかけます。

でも、その年の11月、誠さんは病状が急変、力尽きました。まだ43歳の若さでした。

誠さんの葬儀が終わると、奥様の悠子さんは、ご縁のあった方々を一人ひとり訪ねました。行く先々で誠さんが愛され、ハーレーのEV化に強い意欲を持っていたことを知ります。

そんな悠子さんのもとへ、経済産業省から「補助金採択」の知らせが届きました。事情を知った事務局の方からは辞退を勧められましたが、悠子さんは迷いませんでした。

上野悠子さん

「彼がずっとやりたかったハーレーのEV化、やれるところまでやってみます!」

思い切って一歩を踏み出した悠子さんですが、実はバイクの免許も持っていなければ、車体の仕組みも知りませんでした。まず『バイクに乗る人の気持ちを知ろう』と教習所へ通って、普通二輪の免許を取ります。バイクの仕組みについても、お店のスタッフの方に1から教えてもらいました。

ただ、肝心のEV化した「ハーレー」の設計図は、誠さんの頭の中にしかありませんでした。悠子さんは、改めて取引のあった人を訪ねて、誠さんとどんなことを話したのか、手掛かりを求めて、少しずつ聞き取り調査を進めて、概要を把握していきます。すると、エンジンをモーターに置き換えることで話が進んでいたことが分かってきました。

とはいえ、単純にエンジンをモーターに置き換えてしまうと、排気管やギア操作など、バイクが好きな皆さんのこだわりの多くが失われてしまいます。デザイン、配置、安全性、操作性、重量など、試作を繰り返すたび、空にいる誠さんに「これでいいの?」と問いかけますが……、もちろん、返事はありません。

『そうか、彼はこの決断、決定を、毎日毎日1人で繰り返していたんだ』

いつしかそう思えるようになった悠子さんは、苦しい気持ちが、次第に誠さんへのより強い尊敬の気持ちに変わっていきました。

EV化したハーレー(画像提供:株式会社チームハイフィールド)

そして数々の苦労を乗り越えて、2024年2月、ついにEV化した「ハーレー」が完成。長年、誠さんと仕事をしてきたスタッフも「これは面白い」と太鼓判を押してくれました。

面白い理由、それはズバリ「音」です。EV化であのエンジンの爆音は無くなり、ほぼベルトとタイヤの音だけが響き渡ります。実際に走らせると、鳥の鳴き声や街の音が耳に入ってきて、とても楽しいという。そんなスタッフの方の言葉に自信を持った悠子さんは、こう話してくれました。

「静かなハーレーなんて……、とおっしゃる方は少なくありません。でも、いつか爆音を鳴らして、排気を撒きながら走ることがカッコ悪くなるかもしれない。その時の選択肢の一つとして、必要とされる日が来ると信じています」

大きな音と共に、自分だけの世界を楽しむツーリングから、風や音を感じて、周りの世界と繋がる楽しさも秘めたツーリングへ。上野誠さん・悠子さんが夫婦でつないで生まれた「EVのハーレー」は、もしかしたら、次の時代の“カッコいいバイク”になるかもしれません。

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