HiHi Jets出演! 青春ラジオ小説『オートリバース』原作者・高崎卓馬氏ロングインタビュー「80年代、ラジオはインターネットのようなものだった」

ジャニーズJr.内のユニット、HiHi Jets・猪狩蒼弥さん、作間龍斗さんが主演を務める青春ラジオ小説『オートリバース』が、12月7日(月)から民放ラジオ99局とラジコで放送・配信されます。本ドラマは1980年代、アイドル親衛隊として青春を過ごした二人の少年の姿を描いたストーリー。

原作はクリエイター・オブ・ザ・イヤー賞を二度にわたり受賞したエグゼクティブ・クリエーティブ・ディレクター・高崎卓馬さんの青春小説です。今回は原作者である高崎さんに小説執筆の経緯や、ラジオドラマ制作の背景、ラジオとの関わりや想いについて伺いました。

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HiHi Jets がラジオの魅力をPR! 青春ラジオ小説「オートリバース」のテーマソングを担当

小説執筆のきっかけは小泉今日子さん

――執筆のきっかけになった人物は小泉今日子さんだったそうですね。

10年くらい前ですけど、小泉今日子さんとアイドルの親衛隊の話になったんです。僕自身「そういえばテレビで叫んでいる人がいたな」というイメージくらいで、アイドルの親衛隊っていうもの自体をあまり知らなかったんですね。小泉さんに話を聞いた時に面白いなと思ったのが入り口でした。いろいろと聞いていると彼らの純粋さのようなものにすごく惹かれる自分がいました。でも、その頃の話ってネットもない時代だからか、あんまり残ってないんですね。それがとてももったいなく思って。

――アイドル親衛隊の活動内容がかなり詳細に書かれていて興味深かったです。

当時のアイドル親衛隊をやっていた方たちから話を聞くなど、かなり深く取材をしました。小説には書ききれてないこともたくさんあります。小説はあくまで主人公二人の物語なので。当時のことはそれを知らない世代が読んでもすっと理解できるようにいれていくという程度に触れているというか。戦国時代の物語でも、いくつかのディティールがあれば僕たちはその頃の状況をかなり想像できるのと同じですね。実際には彼らがいた場所を歩き回って距離とか風景とかを感じながら書きました。

――それはNHKホールや渋谷公会堂のあたりでしょうか。

どの場所も普段から知っている場所なんですけど、ノートを持ちながら街をずっと歩き回って、その時に感じたことを描写していく感じで。建物の前で「ここではこういう風に人が集まっていたんだな」とか想像して、頭の中に思い浮かべたものを書き写していく。半分以上想像ですけど。聞いた話と映像と建物の大きさとを自分の中でシャッフルして書いていきました。

――小説の主人公二人は小泉今日子ファンですが、高崎さんも追いかけていたアイドルはいましたか。

アイドルはそれほどでも(笑)。でも、アイドル雑誌「BOMB」は読んでいましたね。当時は僕のまわりはみんな読んでいましたから(笑)。小説は自分の中にあるものと、取材して知ったものとを混ぜて書いていて、登場人物全員に自分や近くにいた人の何かしらが入っています。

当時のラジオは今のインターネットの代わりみたいなもの

――この物語ではラジオが重要な役割を果たしていますね。

考えると、当時のラジオは今のインターネットの代わりみたいなものだったんじゃないでしょうか。アイドルが出てきて台本に関係なく喋っているのを聴けるのはラジオしかなかった。マイクに向かって2~3人がブースの中で喋っている感じの距離感。テレビの歌番組はアイドルと司会が少し喋ってすぐに歌うという感じだったので。ラジオはテレビには無い面白さが凝縮されていて、距離感も違う気がしました。みんなで見るものと自分ひとりで聴くもの。そういうところがネットにちょっと近いのかなって感じますね。すごくパーソナルなメディア。その時代に絶対欠かせないアイテムで、自分も聴いていたのでお話の中に入れました。

――高崎さんは学生時代、どんなラジオを聴いていましたか。

文化放送の『吉田照美のてるてるワイド』から『谷村新司・ばんばひろふみのセイ!ヤング』に行って、ニッポン放送の『オールナイトニッポン』というのがお決まりのコースになっていました。ほとんど毎晩深夜ラジオを聴いていて、学校に行くとラジオの話で大盛り上がり。番組でハガキを読まれた奴はヒーローでした。当時は中学生くらいで、(吉田)照美さんとかが喋るアイドルの話や芸能情報が聴きたかった。ちょっと背伸びしてお兄ちゃんたちが遊んでいるところの端っこに座らせてもらっているような感じで聴いていました。ラジオブースに透明人間になって行っているような感覚もありました。そういうのってラジオの良さだと思うんですよね。

HiHi Jetsを主人公に重ねて執筆

(写真左から)作間龍斗さん、橋本涼さん、髙橋優斗さん、井上瑞稀さん、猪狩蒼弥さん

――「オートリバース」執筆時、HiHi Jetsのメンバー写真も着想のヒントにしていたそうで。

小説を書いている時、具体的に描写するヒントが欲しくて、当時の写真など色々な資料を集めていました。主人公二人のイメージを思い浮かべるために見ていたのがHiHi Jetsのメンバー写真でしたね。主人公の頭の中に浮かぶビジュアルのヒントにしていました。

――ラジオドラマ化を前提に執筆されていたのでしょうか。

執筆中は小説として完成することしか考えていなくて、ラジオドラマや映像にするとかは一切頭に無かったです。映像化する前提だと動かす人数が多くなるので、渋谷公会堂のこととか書かないですしね。「小説は自由に縛りなく書く」という自分の理想のもとに仕上げていきました。

――書店に小説が並んでからはどんな想いが生まれましたか。

書店に本が並んでからは、「親衛隊の彼らがしていたことをいろんな人に知ってもらいたいな」という想いが強くなりました。これを原作にして色々発展できないかなと。小説を読んでくれた人の中で「ラジオがすごく向いている」と力説する方が何人かいて。ラジオドラマという体裁で、物語が音から入ったら自分の頭の中でビジュアル化できて楽しいだろうと。当時の音楽がすごくエモいし、たしかにラジオドラマは合うねという話になって。

ラジオと映像のシナリオは全然違う

――過去には映画の脚本を担当されていますが、ラジオドラマの脚本を制作してみていかがでしたか。

ラジオと映像のシナリオは全然違うんです。ラジオの場合は映像と違って画が無いので、「誰が喋っているのか」や「シーンが変わったこと」を早めに分からせてあげないといけない。ラジオを聴いている人にちゃんと画が浮かぶような順番で話をしていく必要があるんです。ガラッとドアを開けて、ガタって座ってから「あの人、誰?」「知らないよ」などの会話を始めないといけない。

小説とも映像とも違う、ラジオのシナリオを書くのにそこが苦労しました。誰からも頼まれてないのに小説もラジオも映像も全部冒頭だけ書いて検証をしてみたんです。「オートリバース」という物語は一緒なんですけど、それぞれのメディアによって物語の捕まえ方が異なるし、実際に書いてみるとシナリオそのものがまったく違うものになるのは驚きでした。

「オートリバース」キャスティングの決め手は声質

橋本直役:猪狩蒼弥さん(左)、高階良彦役:作間龍斗さん(右)

――青春ラジオ小説「オートリバース」では、猪狩蒼弥さんが控えめな性格の橋本直役を、作間龍斗さんが親衛隊でリーダー格となっていく高階良彦役を演じます。キャスティングはどうやって決定したのでしょうか。

最初に監督と猪狩蒼弥くんと作間龍斗くんの二人に会いに行きました。どちらの役をやってもらうかずっと悩んでいたので、会議室で二役両方やってもらいました。その帰り道に監督と意見が一致してすぐに決まりました。実は会う前には逆でイメージしていたんです。

――直役と高階役は逆だったんですか?

猪狩くんはリーダーシップもあるし、みんなを引っ張っていく高階タイプだと思っていました。でも、実際声だけで聴いてみると、作間くんの声はずっとブレない感じがあってそれが大人っぽいなと。猪狩くんの声は繊細な抑揚がずっとあってそれがあの役の繊細さにつながりそうだ、と思いました。ラジオドラマでは二人のビジュアルや普段の性格などを知らずに声だけで初めて接する人も多いと思って、先入観を捨てて声の質で配役を決めていきました。おそらくファンの人の中には「逆じゃない?」って思う人も結構いるかと思いますが、きっと聴いたら「納得!」ってなるんじゃないでしょうか。

――ラジオドラマではなく映像作品だったら逆になっていましたか。

そうかもしれない。映像だと逆の方が映えるかもしれないですね。声だけでやるとこのキャスティングが正解だと思います。二人に演じてもらった時に、猪狩くんの声がこもって聴こえたんですね。そのこもりから直のような、気持ちが少し内側に向いている雰囲気が感じ取れました。作間くんは高階のような外側に出ていく声をしていたんですね。ラジオドラマならではのキャスティング方法だと思います。

――猪狩さんと作間さんの二人は「カセットテープ」世代ではないですよね。

グラフィック撮影の時に、実際にWALKMANの音を聴きながら行いました。二人はこの時初めてカセットテープの音を聴いたらしく、「いい音がする」と言っていましたね。「オートリバース」っていう単語や意味も知らなかったと思います(笑)。

――HiHi Jetsが歌う「オートリバース」のテーマソング「ドラゴンフライ」の歌詞も手掛けられました。

元々歌詞を書くのが好きなんです。80年代のアイドル、80年代の歌謡曲の雰囲気っていうのを思い出しながらあの感じのエキスがどこかにあって欲しいなと思って書きました。80年代風に作るというわけではないのですが。

舞台のような臨場感 バイノーラル録音で収録

――今回のラジオドラマはバイノーラル録音という方法で収録されました。現場には立ち会われましたか。

360度の音声が録音できるマイクを使ったバイノーラルでの収録を行いました。枯葉をバーっと床に敷いたところを役者が歩いたり、立ち止まったりして話すというシーンを何往復かやりましたね。職員室のシーンでは応接セットの真ん中にマイクを立てて、その前で通しのお芝居をしてもらうような形で収録しました。

――映像作品を撮影するような収録方法ですね。

普通のラジオドラマの収録だとマイクに向かって台本を読んで演じると思うんですけど、どちらかというと舞台に近いかもしれないですね。マイクが聴いている人の耳になるので小声でささやくセリフは、マイクに近づいてささやくみたいな。そういう動きのルールを決めました。舞台のように役者のみなさんにはシーンごとのセリフを覚えてもらって収録したんです。

原点はラジオ、そして『スネークマンショー』

――高崎さん自身、2020年はオーディオコンテンツに関わる機会が多かったようですが、その点いかがでしょうか。

コロナになってから急にオーディオコンテンツやラジオとの関わりが増えたということではないんです。元々の僕の原点は『ラジオ』、そして『スネークマンショー』(※)なので。もともと何十年も前に『スネークマンショー』の最後の方で桑原茂一さんがやっていたラジオ番組の脚本を書いていました。バナナマンのラジオコントを書くなど、放送作家みたいなこともしていたんですね。

――CMにも通じるものがあるんですか?

その頃から音でコントを作るのが好きだったんです。CMでも『スネークマンショー』的な不条理なものがやりやすいですね。原点であるラジオコントからすべてが派生している感じがします。「キャプテン、ここは?」「次の惑星はなんとかです」というとすぐに宇宙船になるところなんかが大好きなんですよ。そういう予算がかからない感じがすごく好きで(笑)。音だけで作ると結構色々なことができるというのが初期体験にありますね。

(※)『スネークマンショー』
1975年末に桑原茂一と小林克也によりプロジェクトが開始されたラジオDJユニット、コントユニット。1976年春からラジオ大阪、ラジオ関東(現・ラジオ日本)、東海ラジオ、TBSラジオで音楽番組(『スネークマンショー』、『それいけスネークマン』)を担当。1976年末に伊武雅之(現・伊武雅刀)が加入したのちに、先鋭的な選曲とコント、ラジオ番組終了後もアルバムのリリースなどで人気を集めた。

コロナ禍でラジオとの相性や魅力を再確認

――コロナ禍になり、ラジオとの付き合い方は変わりましたか。

コロナ禍になって初めの頃にテレビからの情報が重く感じたこともあり、ラジオを聴く時間が増えました。朝にラジオを聴くのが習慣になり、『J-WAVE TOKYO MORNING RADIO』(J-WAVE 月曜〜木曜 6時〜9時放送 )で別所哲也さんが踊りながら歌っているのを聴くと、まるで隣の部屋で歌っているみたいな感じで。「おはようモーニング! きょうも元気だ、別所さん」みたいな(笑)。

ちょうどいい距離感がラクだったんですね。ラジオからのパーソナルな情報の方が体に合うなと再確認しました。「最近ヨーグルトにハマっちゃって…」という他愛のない話をしているラジオの方が自律神経がもつ感じ(笑)。みんなの話をみんなの一部として聴くことに疲れて、自分と関係ないひとりの話を情報として聴き流すラジオがマッチしているなと気づける時間でした。

――改めてラジオというメディアがご自分に合っていると……。

ラジオがスローなメディアというか。ずいぶん気持ちの良いものだなというのが僕の中で大きな出来事としてありました。検索して何かを調べて情報を得てっていうスピード感を持って生きていかなくてもいい、なんでもかんでも知らなくてもいいんだなと。早くないペースで想像力を持ち寄って生きた方が心地いいなと思いました。

オーディオコンテンツが自分の中で大きな柱に

――ラジオならではの力も再確認されたのでは。

そう考えるとラジオって想像力を刺激するメディアだなと。VRよりもラジオの方が宇宙船や月面を頭の中で作り上げる力が高い部分はあると思います。擬似体験とは違うリアルでパーソナルな経験を作り上げることができたりもする。自分にしかできない経験こそ僕たちが重ねていくべきもので、何回も、誰でも、というものに世の中は価値を求めがちですが、そうでもないんじゃないかなと。

ライブに行きたくなるのも、レストランでご飯を食べたくなるのも、そこにあるものと自分のその時だけの関係がやっぱりうれしくなるというか。技術が進んでいくと、今度は想像力を含む余地をどう作り上げるかが課題になる気もします。オーディオはそういう意味では可能性まだまだある分野ですよね。

「オートリバース」は普段ラジオドラマを聴いていなくても楽しめる!

――最後に、ラジオドラマ「オートリバース」の聴きどころを教えてください。

頭の中で画が浮かぶようにバイノーラルを使い、少し強めに耳を刺激して80年代にトリップしやすいようにしています。役者さんのお芝居がとてもいいので画を浮かべながら聴いてほしいですね。例えば、海外の小説も最初は読みにくいけれど、登場人物が頭の中に浮かんだ瞬間に読みやすくなることがあると思います。それと似ていますね。普段ラジオドラマを聴いていなくても、聴き方に体が慣れていなくても、あっという間に慣れるので目を閉じて聴いてほしいです。

――このドラマをきっかけに若い世代がラジオにハマってほしいですね。

HiHi Jetsのファンの人たちはラジオドラマをあまり聴いたことがないと思うので、どういう反応をするのか楽しみですね。きっと面白がってくれるんじゃないかと思っています。「ラジオってこんなに想像力を刺激して面白いものなんだ」ということを若い人たちが知るきっかけになってくれたらうれしい。そして、いろんなラジオ番組を聴いてくれたら素敵ですね。想像力がたくましい若者がどんどん増えてくれればいいなと思っています。

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【高崎卓馬氏プロフィール】
1969年福岡県生まれ。電通CDC所属。エグゼクティブ・クリエーティブ・ディレクター/小説家。二度のクリエイター・オブ・ザ・イヤーを受賞するなど国内外の受賞多数。主な仕事にJR東日本「行くぜ、東北」、サントリー「オールフリー」、ANA企業広告、BEAMS「会いたい」など。主な著書に小説「はるかかけら」(中央公論新社)「表現の技術」(朝日新聞出版)「面白くならない企画はない」(宣伝会議)などがある。

この記事を書いた人

高田りぶれ

大学卒業後にラジオ局アルバイトを経て、構成作家のキャリアをスタート。約 15年にわたって都内近郊のFM、AMラジオ・テレビ番組、お笑いライブイベントの構成を多数手がける。その後、IT会社のウェブメディア編集部に在籍し、ウェブライティングや編集などに従事。現在はフリーランスのライターとして活動し、コラムやインタビュー記事を執筆している。好きなジャンルはラジオ、ドラマ、演劇、お笑い、プロレス、Jリーグ、料理。

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yamaがZIP-FM『SWEET VOX』に登場!『くびったけ』レコーディング秘話を語る

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