太田光と地方局ラジオの出会いとは!?『JUNK 爆笑問題カーボーイ』を徹底解剖!

お笑いコンビ・爆笑問題のライフワークともいえるのが、TBSラジオ『JUNK 爆笑問題カーボーイ』。爆笑問題は、同番組と同局で放送中の『爆笑問題の日曜サンデー』での活躍が評価され、「第57回ギャラクシー賞」(2019年度)のラジオ部門DJパーソナリティ賞を受賞しました。

今回は、2022年4月に放送25周年を迎え、『JUNK』ブランドの看板として深夜ラジオをけん引し続ける『爆笑問題カーボーイ』の魅力と、太田光さんのラジオ愛が爆発した放送回をピックアップしてご紹介します。

バナナマンら輩出「ラ・ママ新人コント大会」から人気お笑いコンビに

日本大学芸術学部演劇学科の在学中に出会った太田光さんと田中裕二さんは、1988年3月にお笑いコンビ「爆笑問題」を結成。渡辺正行さん主催「ラ・ママ新人コント大会」でデビューを果たすと、政治経済や芸能、スポーツなどの時事ネタによる切れ味鋭い漫才で注目を集めます。1993年に「NHK新人演芸大賞」を受賞すると、翌1994年には『GAHAHAキング 爆笑王決定戦』(テレビ朝日系)で10週勝ち抜き、初代チャンピオンに輝きました。

その後は『タモリのSUPERボキャブラ天国』や『森田一義アワー 笑っていいとも!』(ともにフジテレビ系)など、人気テレビ番組に多数出演。『ポンキッキーズ』(フジテレビ系)では「爆チュー問題」として、子ども向けのコントコーナーに出演し、全国区のお笑いコンビになります。『爆笑問題のバク天!』(TBS系)、『爆笑問題の検索ちゃん』(テレビ朝日系)、『太田光の私が総理大臣になったら…秘書田中。』(日本テレビ系)といった数々の冠番組も人気を博しました。

書籍では、さまざまな社会問題を漫才スタイルで活字にした『爆笑問題の日本原論』シリーズがベストセラーに。太田さんは小説『マボロシの鳥』(新潮社)、『文明の子』(ダイヤモンド社)、田中さんは『田中裕二(爆笑問題)のザ・ガール』(宝島社)、『猫と田中』(太田出版)と個人名義での書籍も刊行しています。

現在は『サンデー・ジャポン』(TBSテレビ)や、『JUNK 爆笑問題カーボーイ』、『爆笑問題の日曜サンデー』(ともにTBSラジオ)など多数の番組で活躍。1996年から2ヶ月に一度開催されている「タイタンライブ」では新作漫才を披露するほか、時事ネタを漫才で総括した集大成ともいえるDVD『漫才 爆笑問題のツーショット』シリーズを毎年リリースしています。

放送1300回、今年で25周年…『JUNK』の看板番組『JUNK 爆笑問題カーボーイ』

TBSラジオで爆笑問題がパーソナリティを務める『JUNK 爆笑問題カーボーイ』は、1997年4月に『UP'S〜Ultra Performer'S radio〜』(略称:『UP'S』、1995年10月〜2000年4月)内で放送がスタート(当時は『火曜UP'S 爆笑問題カウボーイ』)。放送開始当初から現在に至るまで火曜深夜のパーソナリティを務めており、2022年3月には放送1300回、翌4月には放送25周年を迎え、今も高い人気を誇るラジオ番組です。

聴きどころは、1週間で気になったニュースやプライベートでの出来事をネタにするフリートーク。現在も時事ネタ漫才を作り続け、偶数月に「タイタンライブ」で新作漫才を披露しています。まさに、この番組で放たれるフリートークは「漫才のプロトタイプ」。この番組で生まれた掛け合いが後にブラッシュアップされ、漫才ネタとして昇華されていくのです。

JUNK 爆笑問題カーボーイ
放送局:TBSラジオ
放送日時:毎週火曜 25時00分~27時00分
出演者:爆笑問題
番組ホームページ
公式Twitter

Twitterハッシュタグは「#bakusho」

出演番組をラジコで聴く

※放送情報は変更となる場合があります。

ラジオにまつわる話題がとにかく豊富なのも特徴で、『ビートたけしのオールナイトニッポン』(1981年~1990年、ニッポン放送)に大きな影響を受けた太田さんの「ラジオ好き」は有名な話。現在はラジコの「タイムフリー」機能、「エリアフリー」を駆使して、首都圏のキー局からローカル局のラジオ番組までくまなくチェックしています。その濃厚な太田さんのラジオ話を受け止める田中さんのラジオ愛も深く、文化放送でアルバイトの経験があり、ラジオのディスクジョッキーを目指していたと言います。イントロ内できっちり収める美しい曲紹介も聴き逃せません。

ハガキ職人たちのハイレベルなセンスが光る人気コーナー紹介!

怒りんぼ田中裕二

身近で起こった怒りのエピソードを募集するコーナー。「こんばんは 〇〇の田中裕二です」から始まり、男性看護師や30代主婦などさまざまな職業・年代の人々が田中さんとして登場、怒りの度合いを「超ムカつく」、「ムカつく」、「平気」で判定します。怒りまくる田中さんを演じる太田さんの迫真の演技は必聴です。リスナーに共感し、寄り添う2人の温かい人柄も◎。

CD田中

アニメやJ-POPなど楽曲の途中に、番組で田中さんがしゃべったセリフを入れて作品を作るコーナー。最近では、3人のリスナーから同時に寄せられたSEAMOさんの『ルパン・ザ・ファイヤー』がヒット。田中さんが言った「うーぱん」関連のセリフが4回にわたって差し込まれる秀作で、大いに盛り上がりました。

そのほか、千葉ロッテマリーンズ・佐々木朗希投手のように、自分も"令和の怪物"だと思うエピソードを募集する「そんな俺も令和の怪物」は、架空の話と実話が混在する不思議なコーナーです。真理をついているように聴こえる哲学的な言葉を募集する「哲学的」や、次週の放送で実現する可能性が低い出来事を予想する「カーボーイ大穴予想」など、いずれのコーナーもハガキ職人たちのセンスが光り、爆笑問題を唸らせるレベルの高い作品ばかりで聴き応えも抜群です。

過去放送のエピソード紹介

地方局ラジオとの出会いはラジオ維新!?その立役者は…(2022年5月3日放送)

この回の放送では、太田さんが地方局のラジオ番組にハマるきっかけとなったエピソードを明かしました。2022年春にスタートした『おとなりさん』(文化放送)に、『ドッキリ!ハッキリ!三代澤康司です』(ABCラジオ)を担当する三代澤康司アナウンサーがゲスト出演した際、アンガールズ・山根良顕さんが発した"ラジオ維新"について言及した部分を振り返ります。

太田:こないだ、文化放送で山根がやってる『おとなりさん』に、地方のパーソナリティを呼ぶコーナーがあって。三代澤(康司)さんが出てさ。山根が「実は(太田さんが)地方のラジオを聴くきっかけになったのは、自分なんです」って。俺はちょうど、ラジコが地方の(ラジオ番組)を聴けるようになったころで、「何か良いのあるかな」ってみんなに訊いてたときに、山根が(RCCラジオ『平成ラヂオバラエティ ごぜん様さま』)教えてくれたんだよ。それで、山根はどうも、安仁屋(宗八)さんの日(月曜)を勧めたらしいんだけど。でも俺は横山(雄二)を聴いてて「こいつ何だろう、おもしろいな」と思って、そこから始まったの。

それをね、いろいろな横のつながりができたりなんかしているのをね、「最初のきっかけは僕がやったと自負しているんです」って山根が言っててさ。「これを僕の中では"ラジオ維新"と呼んでいるんです」(笑)。何を大げさなこと言ってるんだ(笑)。「明治維新に例えるならね、僕が吉田松陰で太田さんが坂本龍馬なんです」。良いこと言うな、その通りだと思って。

田中:ラジオ維新(笑)。

太田:司馬遼太郎も言ってるんだよ。吉田松陰のように哲学を作る人がいて、坂本龍馬や高杉晋作、中岡慎太郎のように実行に移して、ぐしゃぐしゃに世の中をかき回す、世を洗濯したいと思う人がいて。その後、伊藤博文のように今度はそうなった世を治める人。「革命ってのは3段階に分かれているんだ」っていうのを司馬遼太郎が言ってて。だから山根は「僕が吉田松陰だとすれば、太田さんは坂本龍馬なんです」。良いこと言うなあ、と思って。で、徳川慶喜はお前。最後の将軍。

田中:俺? でも、すごいことですよ。徳川慶喜はね。

太田:そうだよ! 坂本龍馬と慶喜の一つの想いが通じ合って、江戸城が無血開城になったわけだから。だから最後は、坂本龍馬は何としてでも慶喜の命を守るっていう、徳川家最後の将軍の命を守るって誓うんですから。良いシーンですよ、そこは。『竜馬がゆく』の中でも。

爆笑問題、森谷佳奈アナのギャラクシー賞受賞に感激!(2022年5月3日放送)

先日、太田さんが愛聴する番組『森谷佳奈のはきださNight!』(BSSラジオ)のパーソナリティで、山陰放送・森谷佳奈アナウンサーが「第59回ギャラクシー賞」(2021年度)のラジオ部門DJパーソナリティ賞を受賞しました。森谷アナを番組初期から見守ってきた、太田さんと田中さんがしみじみと喜びを噛みしめるシーンからは、ラジオ愛が溢れていました。

太田:そういえば、ギャラクシー賞、森谷佳奈ちゃんがね、獲ってて。

田中:森谷佳奈ちゃんね。『はきださNight!』ね。

太田:『はきださNight!』を聴いてたら嬉しそうで。今度の授賞式が6月かなんかにあるんだけど、司会が鬼頭(里枝)ちゃんなんだって。『テキトーナイト!!』(SBSラジオ、2009年4月~2022年3月)の。彼女もかつて獲ってて(※1)。森谷佳奈ちゃんは、鬼頭ちゃんと仲良くなって「"いずれ鬼頭さんのようなディスクジョッキーになりたい"っていうのが夢だったのが叶って。自分ではちょっと早すぎると思ってるんですけど」なんて言いながら、「鬼頭さんが司会で、自分が…」って言ってて。ああ、よかったなあと思ってさ。

最初から知ってるわけじゃん、俺らはさ、言ってみりゃさ。(『日曜サンデー』の)「新番組選手権」(※2)でさ。その人がだよ、ギャラクシー賞を獲るまでに……。すごいよね、そう考えてたら。横山も獲ってるわけじゃん(※1)。

※1:鬼頭里枝アナウンサーは第56回(2018年度)、RCC・横山雄二アナウンサーは第52回(2014年度)の「ギャラクシー賞」ラジオ部門DJパーソナリティ賞を受賞。

※2:毎年4月に『爆笑問題の日曜サンデー』内で開催される特別企画『全日本ラジオ新番組選手権』。『森谷佳奈のはきださNIGHT!』は2016年度にノミネートされ、リスナー投票によりグランプリを獲得。

太田、フワちゃんモノマネ爆誕の瞬間に感動!(2020年5月13日放送)

ニッポン放送の長寿昼ワイド番組『高田文夫のラジオビバリー昼ズ』の熱心なリスナーである太田さん。ビバリー金曜日のアシスタント・磯山さやかさんが繰り出すフワちゃんモノマネのクオリティの高さにいち早く気づいて注目。フワちゃん本人を「磯山」と呼んで迷惑がられたり、テレビ番組『太田上田』の『太田上田アワード2021』に磯山さんをゲストで呼んだりも。太田さんがビバリーで遭遇した磯山さんのフワちゃんモノマネ爆誕シーンを熱く語ったシーンを振り返ります。

太田:聴いた? 金曜日の『ビバリー』。

田中:あ、聴いてない聴いてない。

太田:もうさ、最高だったんだよ。

田中:……あ、今あの新ネタ、磯山の……(笑)。

太田:磯山がさ、どんどん腕上げてんだよ! この時期。

田中:らしいね(笑)。

太田:もうさ、危機的状況の中で芸って育つんだろうな。すごいんだよ、とにかく! (高田)先生がさ、ガンガン振るわけ。無茶振りで。千本ノック状態なんだよ。磯山は全部それを振るんだけど、ほとんど空振りするんだけど、たまに真芯で捉えるときがあるの。

田中:あるんだね(笑)。スパーンっとね。

太田:すごいんだよ! それがフワちゃんだったのよ。もうびっくりするぐらい似てんだよ、フワちゃんが! 「やーだ、先生。ウケる―! 文夫ちゃんウケるー」とかやってるんだけど。もう磯山本人も、まさかこんなに似るとは(笑)。自分でも「これ似てる」って(笑)。

田中:自分でもね、こんなにハマるとはみたいな(笑)。

太田:なんか芸が生まれる瞬間をさ、目撃したような。「なに感動させてるんだ、こいつ」って思ってさ。すごいんだよ!

田中:いいよね、フワちゃんね。

太田:フワちゃん(のモノマネ)をやってる人って、いないじゃん。

田中:そういや、まだいないか。

太田:だからさ、「こういうとき、芸って生まれるんだな」って思ってさ。

田中:意外にも無茶振りがいいかもしれないね。

太田:俺、すごく感動しちゃってさ。奇跡の瞬間を目撃したみたいな感じでさ。

爆笑問題の漫才になる前の"素材"が生まれる、密室から毎週届けられる新鮮で極上の笑い。そして太田さんの溢れる熱い地方局ラジオ愛、それをしっかり受け止める田中さんのラジオ愛も深い。火曜深夜に響き渡る、ラジオLOVERSの共鳴をチェックしてみてください。

この記事を書いた人

高田りぶれ(たかだ・りぶれ)

山形県生まれ。ライターなど。放送作家のキャリアを生かし、テレビ・ラジオ番組のおもしろさを伝える解説文を年間150本以上執筆。趣味は観ること(プロレス、サッカー、相撲、ドラマ、お笑い、演劇)、遠征、料理。

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「観光客」だけでなく「地域住民」の満足度も目標値に オーバーツーリズム対策と課題

ジャーナリストの佐々木俊尚が10月4日、ニッポン放送「新行市佳のOK! Cozy up!」に出演。オーバーツーリズム対策について解説した。

※画像はイメージです

オーバーツーリズム対策、宮島では訪問税がスタート

世界遺産・厳島神社で知られる宮島(広島県)を訪れる観光客らから、廿日市市が1人100円を徴収する「宮島訪問税」が10月から始まった。観光客が過剰に訪れ、環境や住民生活に悪影響を及ぼす「オーバーツーリズム」対策に役立てられる。

新行)「宮島訪問税」は市が制定した条例に基づく地方税で、島に渡るフェリーの乗船料に上乗せされます。市は年間で約3億円の税収を見込んでおり、公衆トイレや旅客ターミナルの維持管理、電柱の地中化などにあてられるそうです。

佐々木)ある程度対策しないと成り立たないぐらい、観光客がたくさん来てしまっている状況ですよね。海外からの観光客は、これまでだと2000万人台ぐらいでしょうか。コロナ禍から復活してきていますが、中国人はまだそれほど来ていないので、中国からの観光客が全面的に回復すると3000万人くらいになるかも知れません。

新行)そうですね。

佐々木)外国からの観光客が世界一多いのはフランスで、ヨーロッパ大陸内だからというのもあるけれど、6000万人~7000万人くらいだと言われています。日本もその数字を狙っていますが、日本人の半数ぐらいの人口が来たらどうなるのか。

特定の観光地に偏りすぎている ~「何を魅力として打ち出すか」を考える

佐々木)ただ、数を見るとすごく偏っています。山だったら富士山しか行かないとか、京都や宮島、東京であれば銀座など、特定の場所に集中してしまう問題がある。まずはこれを分散させることですよね。

新行)分散させる。

佐々木)そのためには「何を魅力として打ち出すか」を、もう少し考えた方がいいのではないでしょうか。

観光名所に行っても人が多すぎて楽しめない

佐々木)昔、キューバのハバナへ旅行に行ったことがあります。ハバナにはヘミングウェイが通っていたバーがあるのです。カウンターで「渋い夕暮れを眺めながらモヒートを飲みたい」と思って行ってみたら、「100人いるか」と思うほど多くの観光客がいました。

新行)そうなのですね。

佐々木)大群衆になっていて、まったく楽しめませんでした。そんなところに行っても観光的な風情がないではないですか。

新行)ゆっくり楽しむという感じではなくなってきますよね。

佐々木)昔は観光地に行き、「観光地の名前が入った土産を買って帰る」というパターンが多かったと思いますが、現在はそういうものを求める人は減っていると思います。

観光客が少ない「自分だけが知っている店」に行きたい

佐々木)私の友人が「Airbnb(エアビーアンドビー)」という民泊の物件を持っているので、外国からの観光客がどんなことを言っているのか聞いたら、「観光客の来ないところを教えてくれ」と言われるそうです。

新行)なるほど。

佐々木)中国や台湾からの観光客も、何度も日本に来ていると、最初は富士山や銀座に行くけれど、「観光客が少ない自分だけが知っている店に行きたい」となってくる。渋谷の代々木上原は、あまり外国人に知られていない街だと思いますが、おしゃれな店が多いですよね。なぜか台湾人の観光客が、あの辺りの飲食店で食べているのです。

新行)そうなのですか?

佐々木)店の人たちにそれとなく「あの人たちは台湾から来ているようだけれど、なぜこんな店を見つけたの?」と聞いたら、「SNSの口コミで見つけた」と言っていたそうです。共有されている「密かな情報」があるらしいので、そういうものをうまく活用することが大事ではないかと思いますね。

「何もないけれど素晴らしい土地」が日本にはたくさんある ~富山県の素晴らしさをイギリスの記者が紹介

佐々木)『クーリエ・ジャポン』という海外メディアを紹介する日本のウェブサイトがあって、そこに英紙『デイリー・テレグラフ』の記事が紹介されていました。デイリー・テレグラフの記者が富山県に行くのですが、「富山はどんなところか?」と日本で周りの人に聞くと、「山があって海がある」しか答えないのです。

新行)そうですか。

佐々木)自分の周りでも、海外から来た観光客で富山に行った人は誰もいない。でも富山に行ってみたら、素晴らしくよかったそうです。北アルプスの雄姿が広がり、目の前には魚の旨い富山湾があって、素晴らしい水田が広がっている。昔からの板塀の日本家屋が並んでいて、「これぞ日本の極地」というような場所であり、「みんなここに行った方がいい」という記事を書いているわけです。

新行)なるほど。

佐々木)金沢や軽井沢は有名だけれど、同じ北陸新幹線でも富山にはあまり行きませんよね。日本人でさえ行く人は少ないのではないかと思います。でも、そういう「何もないけれど素晴らしい土地」が日本にはたくさんあるのです。

「住民なりきり旅行」のようなオーバーツーリズムにならない打ち出し方が必要

佐々木)私は最近、旅行に行くとホテルではなく民泊に泊まるのです。民泊だとキッチンがついているではないですか。料理するのが好きなので、地元の道の駅や農協の直売所、漁協などに行って魚や野菜を買い、地元住民になりきった気持ちで料理して食べるのです。

新行)いいですね。

佐々木)町を手ぶらで歩き、「この町にも長い間住んでいるな」と勝手に思い込むような、ロールプレイング的な「住民なりきり旅行」も楽しいです。そういうものはオーバーツーリズムにならない、別の打ち出し方ではないかと思います。

新行)観光名所だけを打ち出すのではなく。

「地元の人も満足できて観光客も満足できる」というところを最終的な目標地点にする

佐々木)観光が目指すべき目標値において、みんな「観光客の満足度」や「観光客の数」を言うではないですか。それだけではなく、ハワイが実施していますが、「地域住民の満足度」も目標値に入れようと動いています。

新行)住んでいる方々の環境なども考えなければいけないですよね。

佐々木)観光客の人も、地元住民から嫌われたくはないでしょう。でも、もはや京都の人は観光客を嫌っていると思います。バスも乗れないですし。それでは観光の目標値になっていない。「地元の人も満足できて、観光客も満足できる」というところを最終的な目標地点にすることが大事ではないでしょうか。

2024年から日帰り客への入域料を導入するベネチア

新行)読売新聞には、ベネチアの例が大きな記事で出ています。宿泊ベッドが人口を超えたそうです。

佐々木)すごいですね。

新行)ベネチアは来年(2024年)春から試験的に、日帰り客を対象に入域料を導入するそうです。

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