公開続く“女王映画”…劇中の宮廷ファッションを楽しむポイントを解説!

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J-WAVEで放送中の番組『ACROSS THE SKY』(ナビゲーター:玄理)のワンコーナー「DIANA Shoes NEW LOOK」。3月3日(日)のオンエアでは、服飾史家の中野香織さんをゲストに迎え、「女王映画」の衣装について訊きました。


■1人で着られない服は権力の象徴

今年のアカデミー賞の衣装デザイン賞は、ノミネート作品のうちの2本がイングランドやスコットランドの「女王」にスポットを当てた作品でした。

日本でも、2019年の1月に『ヴィクトリア女王 最期の秘密』、2月には『女王陛下のお気に入り』、3月は『ふたりの女王 メアリーとエリザベス』と、「女王映画」が続々と公開されています。

玄理:日本で偶然時期が被っただけなんですか?
中野:製作時期は微妙にズレているので、偶然公開時期が被ったところがあります。強いてその背景を考えると、「プリンセス」から「クイーン」へ。「選ばれるほうではなく、私が選ぶ」というメンタリティを持った女性が増えてきて、そういう女性にアピールする映画だなと思います。
玄理:すごい納得できます! 「王子様に選んでもらってなんぼ」という時代じゃないってことですよね。

『女王陛下のお気に入り』は18世紀・イングランドの宮廷が舞台。そして『ふたりの女王 メアリーとエリザベス』は16世紀・スコットランドの女王とイングランドの女王が主人公です。きらびやかな宮廷ファッションは、ある点に注目するとより楽しめるそうです。

中野:宮廷で生活してらっしゃる方は社会構造上のトップにいる方で、服を1人で着られない人なんです。テーラードの技術は19世紀に発達したので、これらの映画の時代の服はまだ縫い合わせていません。
玄理:じゃあ1枚の布からできてるんですか?
中野:女王の服ひとつ取っても、コルセットやパニエなどを膨らませて、スカートを上から被りますが、上の服は体にピタッと合うように毎回侍女が縫い付けるんです。
玄理:そうなんですか!?
中野:眠る時には、それをほどいて元に戻します。1人で着られない服を着ているということが権力の象徴でもあります。
玄理:なるほど!
中野:そういう人たちが織りなす泥臭い人間ドラマというのが、この時代のコスチュームドラマの面白さじゃないかなと思います。
 


アカデミー賞で惜しくも衣装デザイン賞を逃した『女王陛下のお気に入り』。こちらのメイク・衣装の見どころを訊きました。

中野:衣装の構造は18世紀初頭のそのままですが、素材は現代的な解釈をしたものを使っています。例えば、召使いにはこの時代にまだ無いデニムを敢えて使っていたり、ビニールやレザーを非常に大胆に使っています。さらに女性にモノトーンの衣装、男性にパステルカラーなど華やかな印象を与える衣装を使っています。「女性が政治を司っていますよ」ということをアピールするために、ナチュラルメイクでモノトーンの衣装を着せているというのが現代的な解釈です。

 

 


今回、中野さんが解説してくれたポイントも踏まえて『女王陛下のお気に入り』、3月15日(金)から公開される『ふたりの女王 メアリーとエリザベス』などをチェックしてみると、より楽しめるかもしれません。

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【番組情報】
番組名:『ACROSS THE SKY』
放送日時:毎週日曜 9時-12時
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/acrossthesky/

 

 

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アカデミー賞作品賞『グリーンブック』、人種を超えた友情を描く本作の見どころは? 宣伝担当者に訊く

J-WAVEで放送中の番組『SUNRISE FUNRISE』(ナビゲーター:レイチェル・チャン)のワンコーナー「THERMOS SOCIAL PLAYGROUND」。3月3日(日)のオンエアでは、「第91回アカデミー賞授賞式」で作品賞・助演男優賞・脚本賞の3部門を受賞した『グリーンブック』を紹介しました。


■白人の用心棒と黒人の天才ピアニストの友情

舞台は1960年代のアメリカ。主人公のトニー・“リップ”・バレロンガ(ヴィゴ・モーテンセン)は、NYのナイトクラブで用心棒の仕事をしていましたが、2ヶ月間お店が休業に入るため仕事を探すことに。そんなときに黒人の天才ピアニスト、ドクター・ドナルド・シャーリー(マハーシャラ・アリ)と出会います。

シャーリーは人種差別の色濃く残る南部にツアーに行くということで、白人のトニーに「用心棒兼運転手として雇いたい」とオファー。ここから、ふたりの旅が始まります。トニーはもともと黒人に対して差別意識がありましたが、ふたりで旅をして色々な想いを語り合うことで、友情が芽生えていくというストーリーです。

1960年代、アメリカの特に南部は、法として差別が成立していた時代です。そのため、黒人が白人を雇い、南部の州に行くことは画期的なことでした。『グリーンブック』は、実在した人物による実際にあった話で、実際のトニーの息子で、共同で脚本を手がけオスカーを受賞したニック・バレロンガが50年間も温めていたものです。

作品のタイトル『グリーンブック』は、当時、黒人たちが利用できるホテルやレストランなどの施設を紹介した旅行ガイドブック。1960年代半ばまで、毎年出版されていました。


■思わず入り込む粋で聞き心地のよい会話劇

『グリーンブック』の宣伝を担当している、TOHOマーケティングの担当者に本作の見どころを伺いました。

担当者:宣伝をすることを前提で映画を観るので「こういったところをフィーチャーしたら面白いんじゃないかな」と観るのですが、『グリーンブック』は全くそういうことを考えずに入り込んでしまいました。ふたりの友情が面白く、会話劇が本当に粋でシャレていて、聞き心地がいいです。根底に差別がありますが、そういったことを考えずに、この映画には入り込んでほしいなと感じました。

さらに、本作の印象的なシーンを挙げてもらいました。

担当者:ネタバレになるので大きくは言えませんが、インテリでピアニストとしての品格を保っていたシャーリーが、感情的になる大雨のシーンがあります。そこは胸を突かれるというか、心にドシンと入ってくる素晴らしいシーンです。また、個人的に観ていただきたのは、ふくよかなトニーが劇中でひたすら食べまくるのですが、彼のピザの食べ方が画期的なので、そこにも注目してほしいです。

70年代後半と80年代前半をNYで過ごしたナビゲーターのレイチェルも、自身が差別を受けた経験を踏まえ次のように語りました。

レイチェル:60年代のアメリカでの差別は私とは比ではない状況で、北部と南部の州で法律も違い、相当な苦労があったと思います。普通に差別があった時代を描きながら、ふたりの友情や人間的な交流をしっかり描いていて「この映画を観てよかったな」と思いました。

ヴィゴ・モーテンセンのイタリア系アメリカ人を再現した見事なアクセントや、オスカーを受賞したマハーシャラ・アリの演技も見どころの『グリーンブック』は、現在全国で上映中です。ぜひ足を運んでみてください。

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グリーンブック

 


【番組情報】
番組名:『SUNRISE FUNRISE』
放送日時:毎週日曜 6時ー9時
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/sunrise/

 

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