内戦続くシリア、市民の悲痛な叫び「一体、テロリストって誰のことなのか」

10月、トルコ軍がシリア北部のクルド人勢力に対して軍事作戦を展開し、人道危機が深刻化している。11月6日(水)放送の『JAM THE WORLD』のワンコーナー「UP CLOSE」では、現在シリアを巡ってどんな動きが起きているのかを、シリア・イラクなど中東の取材を終えたばかりの安田と考えた。

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■シリアを巡る混乱が続いている

まずは現在のシリアを巡る動きについて安田が解説した。シリアでは2011年から内戦が続いている。そこには政府軍と反政府軍だけではなく、過激派勢力も加わり、そのひとつにはIS(イスラム国)も含まれる。また、アメリカが支援をし続けてきたISを掃討しようとするシリア北部に暮らす少数民族・クルド人部隊の勢力がある。

さまざまな勢力が混在するなか、アメリカがシリア北部のクルド人勢力を支援することに、国境を接するトルコが反発。シリア側のクルド人が勢力を伸ばすことで、自国にいるクルド人の独立の機運が再燃したり、対立したりするのではないかと懸念を抱いていた。

10月半ばに、アメリカ・トランプ大統領がシリアの米軍の撤退を表明。それと同時期にクルド人部隊が支配するシリア北部にトルコ軍が侵攻。そこでシリア政府の後ろ盾をしていた大国のひとつであるロシアがトルコに交渉をし、クルド人の部隊をトルコの国境から30キロメートル南側に撤退させることで合意した。


■家族や個人を孤独にさせない支援を
 

 


安田は今回の中東取材で、イラク北部にあるクルド自治区の病院に身を寄せている8歳の少女とその母親にインタビューを行った。

その母親は、10月10日の15時に家族で避難準備をしていたところに砲弾とおもわれるものが建物の外を直撃したと振り返る。そのことにより、13歳の長男はほぼ即死。8歳の娘は右足がちぎれ、左足の骨が砕けてしまった。そして11歳の次男は右目に重傷を負い、このままだと失明の恐れが高い。悲惨な状況を伝え、今の思いをこう語った。

母親:息子は13歳で亡くなってしまった。彼のことを忘れることは絶対にできない。いつだってその顔が浮かびます。ただ、私の人生はたったこの5分で壊されてしまいました。今の私は死んでいるのも同然です。でも、娘を支えられるように強くなりたいです。彼女が歩けるようになってほしい。長男は死んでしまったけど、娘までは失いたくない。私たちと同じような悲劇が他の人たちに起こらないことを強く望みます。

安田は、現地の子どもたち自身が過酷な状況に追い込まれている一方で、それを支える大人にも大きな負荷がかかっていると感じたという。だからこそ、家族や個人を孤独にさせないような多方面の支援が必要だと述べた。


■傷付くのはいつも市民

安田は、トルコ国境から約2キロメートルにあるシリア国内で暮らす安田の友人、サラーにも取材を行った。彼はこの地域にどのように戦車がやってきて、どのように地域が攻撃を受けたのかを説明しつつ、こう語った。

サラー:私たちは攻撃そのものを恐れはしないんだ。大人はいざとなれば軍に入り武器を取って戦うこともできるかもしれない。でも、子どもたちはどうなるのかを真っ先に考える。私たちは「一体、テロリストって誰のことなのか」と考えなければいけない。テロリストの定義とは何なのか。誰がテロリストなのか。トルコ側がテロリストとの戦いと言うならば、なぜ彼らはこうして私たち市民を攻撃するのだろうか。

安田はシリアを巡る動きについて「侵攻を受けたシリア北部のクルド人部隊に強硬的な部分があるので、どちらの軍が正義だとは言えない」としながらも「少なくともトルコ軍の侵攻を受けたことで、傷付くのはいつも市民であることに私たちがどう向き合うのかが今問われている」と語った。


■大切なのは日本からできる支援を知ること

安田は今回の取材中に「この事態に対して日本は何もしないの?」「日本は何も発言しないの?」といろいろな人から問われたという。

安田:今すぐ支援がほしいというわけではなく、言葉を発するだけでも私たちに届くものになると現地の人から繰り返し言われました。

この厳しい情勢を少しでも改善するために、私たち一人ひとりは何ができるのだろうか。

安田:誰しもが現地に行って直接的に支援をすることは難しいかもしれない。でも、現地で支える人を日本から支えることは私たちにもできます。例えば、シリア人が暮らす難民キャンプを支援する「ピースウィンズ・ジャパン」や、シリアの危機に対して緊急支援を行う「JIM-NET」などの団体もあります。そういった日本からできる支援を知り、それぞれ自分で判断することが必要です。

番組では他にも、1万人以上のシリア人が暮らすイラクの難民キャンプや、トルコ国境から2キロメートルほどにあるシリア国内の学校が戦争の拠点となり、がれきに包まれている状況など、現地の様子を伝えた。こちらもradikoで聴いてみてほしい。

J-WAVE『JAM THE WORLD』のコーナー「UP CLOSE」では、社会の問題に切り込む。放送時間は月曜~木曜の20時20分頃から。お聴き逃しなく。

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【番組情報】
番組名:『JAM THE WORLD』
放送日時:月・火・水・木曜 19時-21時
オフィシャルサイト: https://www.j-wave.co.jp/original/jamtheworld/

 

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同じ積極財政でも「狙いが違う」。サナエノミクスとアベノミクス

ニュースキャスターの長野智子がパーソナリティを務める「長野智子アップデート」(文化放送・月曜日15時~17時、火~金曜日15時~17時35分)、10月15日の放送にノンフィクション作家の常井健一が出演。高市早苗首相の掲げる経済政策「サナエノミクス」に現在について、城内実大臣へのインタビュー経験も踏まえて解説した。

常井健一「リフレ政策のリフレはリレーションの略で。簡単に言うとデフレから脱却するために金融緩和などによって需要を刺激して物価を適度に上げよう、という政策です。いわゆるリフレ派が主導した安倍晋三政権のアベノミクスでは、日銀による異次元の金融緩和が大きな柱でした。ところが現在、物価高が国民の生活を圧迫しています。日銀も金融政策を変えて金利は上がっている。そんな中、これまで安倍政権の継承を訴えてきた高市早苗政権の閣僚が、相次いでリフレ政策を否定していると」

長野智子「うん」

常井「特に城内実大臣は生前の安倍さんが高市陣営に送り込んだ参謀で。いまや自民党内に150人以上いる積極財政派のラスボスと目されています。実際、安倍さんに近かったリフレ派のブレーンたちを継承して7月の骨太の方針や成長戦略を策定してきた。当然、発言の真意に注目されているわけです」

長野「アメリカのベッセント財務長官が、リフレ生活はもう限界だ、やめるべきだ、と言いました。それに反応しているんですか?」

常井「まさにそれを(東洋経済オンラインの取材で)城内大臣に直撃して。『政権のスタンスはまったく変わっていない』と否定されました。強調していたのがサナエノミクスとアベノミクスの違いです。大きな違いは経済環境にあると。デフレ脱却のために大規模な金融緩和を続けたアベノミクスとは違って、いまは物価も金利も上がっています。政府としては『いつまでも異次元緩和を前提に経済政策を考える時代ではない』と言ってきたんです」

長野「なるほどね。だけどアベノミクスと同じ『積極財政』という言葉を掲げている」

常井「そうなんです。城内さん、『リフレ政策の局面は終わったが責任ある積極財政は続ける』と。アベノミクスは金融緩和によって需要を刺激することが柱でした。だけど今度のサナエノミクスは供給力だ、国内でモノやサービスをつくる力を強化するために官民で投資するんだ、と。同じ積極財政でもサナエノミクスとアベノミクスでは狙いが違う、ということですね。もう1つ、『米中の対立やパンデミックも経済環境を大きく変えた』と言っていて。東洋経済オンラインに掲載した発言を一部、ご紹介します」

長野「はい」

常井「『かつての小泉(純一郎)・竹中(平蔵)時代に象徴されるような新自由主義的な市場原理だけにゆだねる発想では、今日(こんにち)の経済安全保障や巨額の先行投資を必要とする分野に充分は対応できない、という現実がある』と。日本企業はひと昔前にコスト重視で、海外に製造拠点を移しましたね。あれが現在は地政学的に大きなリスクになっている、と指摘した。城内さんは『市場原理だけに任せる時代は終わった』と言い切っていて」

長野「ほう」

常井「こうした考え方は反・小泉という、大臣自身の独特な政治人生や色濃く反映されているな、という印象を持ちましたね。いまから21年前です。2005年の郵政選挙で当時、城内さんは1年生議員でした。郵政民営化に反対して、自民党の公認を得られず。無所属で戦った。そのとき小泉首相が送り込んだ刺客が、当時、財務官僚だった片山さつきさんですね」

長野「そうだったか」

常井「城内さん、片山さんに748票差で負ける。それから4年間、リュックサック1つで天竜川を上流から下流にくだるように選挙区をくまなく歩いた。今度は片山さんに7万票差で勝った。片山さんは静岡から追い出されて、参議院の全国比例に鞍替えしたんです」

放送では城内大臣と片山大臣の因縁、サナエノミクスのさらなる詳細などについても常井が語った。

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