King GnuのMVにも出演の菊池日菜子、映画との“芝居の違い”を語る。映画『月の満ち欠け』撮影裏側も

音楽好きにはKing Gnu『雨燦々』やTHE 2『恋のジャーナル』へのMV出演で知られる、注目の若手女優・菊池日菜子。そんな菊池が大泉洋主演の映画『月の満ち欠け』(12月2日金曜公開)で物語のキーとなる小山内瑠璃を好演している。原作は、作家・佐藤正午が第157回直木賞を受賞した感涙のベストセラー小説。“もう一度逢いたい”と願う純粋な想いが、27年の時を超えて奇跡を起こす──。この物語の撮影秘話はもちろんのこと、坂ダッシュ、ハンマー投げ、中島みゆき、神宿などのワードを交えながら、菊池が20歳の自分を形作るものを教えてくれた。

映画『月の満ち欠け』本予告【12月2日 (金) 全国公開】

大泉洋&柴咲コウの印象は?

──映画出演2作目にして重要なキャラクターに抜擢されましたね! 菊池さんの表現の幅の広がりも感じました!

小山内瑠璃は二面性のみならず三面性をも持っている複雑さを抱えた女性で、ただの女子高生ではありません。これまで演じたことのないようなキャラクターだったので、撮影に入るまではとても不安でした。その不安を大泉洋さんに打ち明けたところ「瑠璃は抱えているものはありつつも、家族が好きでそれを幸せだと思っていることは嘘ではない」とアドバイスをいただきました。その言葉がとても腑に落ちて、瑠璃がどんな状況でどんな感情を抱いていたとしても「家族の愛」という軸がブレないように心がけながら撮影に臨みました。

──ご両親役の大泉洋さんと柴咲コウさんにはどのような印象を持たれましたか?

大泉さんは、私が小さい頃からテレビの画面越しで見ていたそのままの大泉洋さんでした。撮影中もずっと笑わせてくださる面白い方で、そのユーモアのお陰で瑠璃の誕生日パーティーの団らん感もナチュラルに映し出されているような気がします。柴咲コウさんは常ににこやかな方で、私のどうでもいい会話にも付き合ってくださって、今考えるともっと中身のある話をすればよかったなと反省しています(笑)。母という設定にかけるならば、柴咲さんはまさに聖母のような方でした。
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©2022「月の満ち欠け」製作委員会

田中圭が引き出してくれた表情

──瑠璃を追いかける正木竜之介役の田中圭さんは怖かったですね! 怯えと怒りが入り混じった菊池さんの表情もリアルでした!

田中圭さんと対峙する場面での私の表情は、田中さんに引き出していただいたと言っても過言ではありません。というのも田中さんに目を慣らしておこうと思い、撮影に入る前に田中さんが出演する作品を何作品か観ました。その作品の選択が偏っていたこともあり、田中さん=怖いというイメージのまま対峙する場面の撮影に入りました。田中さんから腕を掴まれた瞬間は、瑠璃としても私としても「怖い!」と感じて呼吸も上がってしまい、必然的にシリアスな映像になったのではないかと思います。もちろん本番以外の田中さんはとても優しくて温かい方でした!
──菊池さんが田中さんの手を振り解いて逃げる際のフォームが美しく、陸上歴7年の経験値を感じました!

走って逃げる場所はちょうど坂道だったので、陸上部時代の坂ダッシュを体が思い出していたのかもしれません(笑)。

──ちなみに菊池さんは高校時代にハンマー投げで九州大会6位の成績なんですよね?今の仕事で部活経験はどのように活きていますか?

部活動が今の仕事に活きていると思うこと、それは根性と具体的な目標を見定める力だと思います。ハンマー投げの場合は、投げる距離を具体的な目標にして練習に打ち込みます。今の仕事も作品の完成のために頑張るという具体的な目標に向かって進むので、目標を掲げてそこを目指すという計画の立て方はハンマー投げと共通しているように感じます。

──仕事で気合いを入れたいときに、ついつい丸いものを投げちゃったりとかは…?

したことはないですが、ちょっとやってみたいかもしれません……(笑)。ハンマー投げをテーマにした作品があったら、リアリティを持って演じることが出来そうです。自分で脚本を書いてみようかな? ……冗談です(笑)。
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思わず涙が溢れた瞬間

──映画の後半で瑠璃が涙を流す場面がありますね! どのような感情で涙腺を緩ませていったのでしょうか?

脚本には泣くということは書かれていなかったのですが、校舎の窓から見える美しい自然を見つめていたら思わず涙が流れました。実は、本編で使用されているのはテイク2のもので、廣木隆一監督は改めて別日を用意してくださり、照明の明るさなどベストな状態で再撮影をしてくださいました。でもそういうときに限って涙が出なかったんです。ヤバい…と焦っていたら廣木監督がスッと私の横に来て、そのときの瑠璃の状況と心境を優しく説明してくださったんです。その途端に涙が溢れて……。それが本編に使用されているものです。廣木監督の声は耳を通り越して脳に直接語り掛けるようなトーンでした。私としても思い入れのあるシーンなので、観てくださる方々にも注目していただきたいです。

──完成した作品にはどのような感想をお持ちですか?

私の演技はまだまだですが、素晴らしい脚本のイメージをさらに超える大泉さんたちの芝居と美しい映像が相まって、「儚い」という言葉が合うシーンがいくつもありました。個人的には、月明かりに照らされながら有村架純さんと目黒蓮さんが肩を寄せ合うシーンが美しくて大好きです。壮大な奇跡が描かれるストーリーも見応えがありますし、胸に迫る余韻に浸れる作品でもあると思いました。
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MVと映画、芝居はどう異なる?

──菊池さんはKing Gnu『雨燦々』やTHE 2『恋のジャーナル』のMVにも出演されていますね! MVでの演技のアプローチは映画やドラマとは違うものですか?

MVの場合は、役柄というよりも撮りたい画を伝えられてそこに向かってアプローチをする感覚で、キャラクターやセリフを与えられてのお芝居とはまた違うなと思っていて。ドラマや映画だと物語の中にいる人間に入り込む感覚ですが、MVの場合は別物です。自分の今までの経験の中からイメージを普段の数倍に膨らませて楽曲のトーンに合った感情を引っ張りだすことが多いので、難しいと感じることも少なくありません。感情の引き出し方などは勉強になるので、演技の経験として幅を広げてくれるものだとも感じます。

King Gnu - 雨燦々

THE 2 / 恋のジャーナル

──普段はどのような音楽を聴いていますか?

自分の好きな音楽を意識して聴くようになったのは中学1年くらいのころで、初めて好きになったアーティストはMy Hair is Badさんやクリープハイプさんです。その後は女性アイドルグループにもハマり出して、2人組の生ハムと焼うどんさんを好きになったりして、音楽の嗜好はかなり雑食かもしれません。大阪を拠点に活動するガールズ3ピースロックバンド・カネヨリマサルさんも好きで、来年メジャーデビューされることにワクワクしています。ラジオが好きなので、新しい音楽もラジオで聴いて調べてダウンロードするという流れが多いです。

──『月の満ち欠け』の撮影期間中に聴いていた曲はありますか?

『月の満ち欠け』の撮影期間中は気持ちを上げるために、中島みゆきさんの『ファイト!』を聴いていました。偶然YouTubeで耳にして、聴いた瞬間に大号泣(笑)。撮影に向けて不安だったこともあり、歌詞と自分の心境がリンクしたようで感動しました。気持ちを鼓舞してくれる曲だったので、撮影現場に向かう際にイヤホンでずっと聴いていました。

──それでは1日の始まりにはどんな曲を聴いていますか?

最近は朝一で鏡を見て「クマが目立つな……」などと気持ちが沈むのが嫌なので(笑)、自己肯定感を上げるべく、朝の準備時間には神宿さんの『グリズリーに襲われたら』を聴いています。自分を可愛いものとして肯定しているような歌詞とアップテンポで可愛らしい曲なので、気持ちも上がります。

神宿「グリズリーに襲われたら」

──最後の質問です。2022年も残りわずかですが、どのように締めくくっていきたいですか?

気づいたら今年も残りわずか……。時間経過の早さに焦っています(笑)。でも最後まで貪欲に、いただけるお仕事に対しては齧り付いていきたいと思います。オーディション一つにしてもほかの人と差をつけられるようにしっかり準備をして挑んだりして、この仕事に固執しながら2022年を終えて新しい年を迎えたいです。

(取材・文:石井隼人/ヘアメイク:猪股真衣子(TRON)、スタイリスト:松川総)
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東京オリンピック・パラリンピックのテスト大会を巡る談合事件 総額は192億円

11月28日、東京オリンピック・パラリンピックのテスト大会に関する業務の入札をめぐる談合事件で、新たに大手広告代理店博報堂をはじめとする4社が独占禁止法の疑いで捜索対象となった。11月29日の「おはよう寺ちゃん」(文化放送)では、このニュースについて、火曜コメンテーターで上武大学教授の田中秀臣氏が寺島尚正アナウンサーと意見を交わした。

「日本企業のみなし公務員に対する意識の低さが露呈」

電通や博報堂などを含む9社と1つの共同企業体が落札した、各競技のテスト大会に関連する業務の入札をめぐり、東京地検特捜部と公正取引委員会は業者間で談合が行われた疑いがあるとして、独占禁止法違反の疑いで捜査を進めている。電通はすでに25日に家宅捜索を受けており、今回新たに博報堂、東急エージェンシー、イベント制作会社のセイムトゥーとフジクリエイティブコーポレーションが捜査対象となった。

容疑の対象は、大会組織委員会が各競技のテスト大会の計画立案業務の委託先を選ぶために2018年に実施した26件の入札。落札した各社はその後入札を伴わない随意契約の形でテスト大会の実施・運営や本大会の運営業務などを受注し、その総額は公表されているだけで192億円に及ぶという。

このニュースについて、田中氏は「これだけ各種の業態を巻き込んでくると、全貌を知りたくなっちゃいますよね。どこまで広がるのか、政治のほうにも広がるのかどうか、関心を持っています。古典的な談合をやっていて、しかも日本の代表的なスポーツイベントになったオリンピックを舞台によくやるなあと。金額もかなり大きいですし、どうしちゃったのかなという気がしますよね」と、事の深刻さを感じさせるコメントを残した。

さらに、発注元の組織委員会に電通から出向した職員がいたことに注目。「つまり、発注元と発注先が同じ人間だということですね。これを初期の段階で防げなかったこと自体が甘いんでしょうね」と一刀両断。寺島アナは「大会組織委員会はみなし公務員ですからね」と補足すると、田中氏は「みなし公務員に対する日本の企業の意識の低さ、そしてコンプライアンスの滅茶苦茶ぶりがよくわかりましたね」とコメントした。

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