作家・小川洋子 社会人生活で得た“視点”「小説を書くためには、自分の中に色々なものを溜め込んでおかないと」

フリーアナウンサーの唐橋ユミがパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「NOEVIR Color of Life」(毎週土曜9:00~9:30)。“生きること、輝くこと、そして人生を楽しむこと”をテーマにした、トークと音楽が満載のプログラムです。各界を代表して活躍する女性ゲストが、自らの言葉でメッセージを伝えます。

今回の放送ゲストは、作家・小川洋子さんです。社会人生活を経て得た視点などについて語ってくれました。


小川洋子さん



小川さんは岡山市生まれ、早稲田大学文学部卒。1988年「揚羽蝶が壊れる時」で海燕新人文学賞を受賞。1991年「妊娠カレンダー」で芥川賞、2004年「博士の愛した数式」で読売文学賞、本屋大賞を受賞するなど、数多くの小説・エッセイを執筆しています。

唐橋:小川さんは大学卒業後、川崎医科大学中央教員秘書室に就職されたのですね。

小川:そうですね、よく秘書をやれたなと思います(笑)。お給料をもらいながら、世の中の常識を教えていただいた時期でした。コピーの取り方から電話の受け答え、自分は社会人として本当に何も知らない、なんてダメな人間なんだ……ということを教えていただきました。自分の人生には必要なことでした。

唐橋:そこで気づかされたのですね。

小川:小説を書くというのは、どうしても1人で完結してしまうので、みんなに協力してもらったり先輩に意見を伺ったり、医学部の先生方に、どう満足していただくかを考えたり。他者と関わることも必要な体験でした。やはり就職して社会に出て、だんだん視野を広げていく。小説を書くためには、自分のなかにいろいろなものを溜め込んでおかないと。自分がどれだけ人間として想像力を働かせることができるかどうか、それはいろいろな人と関わって蓄えておかないと、(小説は)書けないですね。

唐橋:お仕事をしながらも、ずっと筆は止めることなく小説は書かれていたのですか?

小川:それだけが楽しみでしたね。先輩に怒られてしゅんとして、トボトボ家に帰っても、小説の続きを書く。それがどんなに下手くそな小説であっても、「ようやく自分の場所に戻って来られたな」という感じでした。

3月のマンスリーゲストは庄野真代さんです。

<番組概要>
番組名:NOEVIR Color of Life
放送日時:毎週土曜 9:00~9:30
パーソナリティ:唐橋ユミ
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/color/
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日本が“デジタル先進国”になるための活路とは?三菱マテリアル株式会社CIOが言及「“IT+人”の組み合わせになると“世界ナンバーワン”」

笹川友里がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「DIGITAL VORN Future Pix」(毎週土曜 20:00~20:30)。この番組では、デジタルシーンのフロントランナーをゲストに迎え、私たちを待ち受ける未来の社会について話を伺っていきます。3月15日(土)の放送は、前回に引き続き、三菱マテリアル株式会社 CIO システム戦略部長の板野則弘(いたの・のりひろ)さんをゲストに迎え、お届けしました。


(左から)板野則弘さん、笹川友里



岡山県倉敷市生まれの板野さん。1989年に三菱化成(現:三菱ケミカル)株式会社に入社。1996年にアメリカ・シリコンバレー駐在を経験し、以降は情報システム部にて日本の化学業界におけるeビジネスの推進を担います。2021年に三菱マテリアル株式会社CIOに就任し、2024年より三菱マテリアルITソリューションズ代表取締役社長を兼任しています。

◆日本におけるDXで大事なことは?

今回は、笹川が「日本がデジタル先進国になっていくためにはどのように進めていくのがいいと思いますか?」と尋ねると、板野さんは「DXの目的って2つあると思います。1つは“効率化・自動化をもたらすデジタル化”。これが圧倒的に多いですし(デジタル化することで)業務は劇的に変化するので、ここは徹底的にやらないといけない」と話します。

一方、2つ目には“可視化”と挙げ、「ここが日本のお家芸になるのではないかと思うのですが、DXとITの違いは何かというと“いかに新しいものを創造するか”だと思っています。アナログ時代に“気付きの種”が我々の前にいっぱい転がっていましたが、徹底的にデジタル化を推進することで、それが一気に可視化されて、それを見た一人ひとりの想像力を発揮させるのがDXだと思うのです。この一人ひとりは誰かというと全従業員で、つまり、誰でもチャンスがあるのです。これができる人が何人いるかが会社の競争力に大きな影響を与えると思います」と持論を展開。

さらに、OECD(経済協力開発機構)によると、日本人の社会人能力の高さは世界でもトップクラスであることを引き合いにし、「ITだけだと(世界から)遅れているように見えますが、“IT+人”の組み合わせになると世界ナンバーワンになる。ここが日本の一つの活路だと思います」と声を大にします。

また、日本は先進国のなかで生産性が低いと言われていますが、職種別に見ると製造業はそれほど悪くないと言い、「製造業がなぜ頑張れているかというと、テクノロジーと人とがうまく組み合わさっているから。日本人はITやデジタルの使い方がうまいんですよ」と強調します。

◆日本が目指すべきところは?

続いて、今後の私たちのライフスタイルについて聞いてみると「まず大前提として、“すべてのテクノロジーは人々を幸せにするもの”というスタンスは絶対に崩してはいけない」と板野さん。

そのうえで、「これまで、新しいテクノロジーが実装されるたびに業務の効率化が飛躍的に上がっていきましたが、そのぶん1人あたりの仕事量が増えたので、従業員の感覚として“仕事が楽になった”と言う人はほとんどいないと思います。今後はテクノロジーの上手な活用で仕事を早く済ませて、自分の時間や家族の時間を創出することを目指す。“ワーク・ライフ・バランス”ではなく、“ワーク・イン・ライフ”で本物のウェルビーイングを実践できたら一番いいと思っています」と語ります。

そして最後に、板野さんがイメージする“近未来の風景”を尋ねてみると、「今、我々が試されていることが1つあると思うのです。それは、地球環境を守りながら“あのときからビジネスが始まったよね”と言われるかどうか。私はここに日本が果たすべきポイントがあると思っています」と言及。

そこで、日本では縄文時代にあたる約1万3,000年前を例に挙げ、「大陸では世界文明が生まれて農耕牧畜を始めていた一方で、縄文人たちは弥生時代までの間ずっと狩猟採集を延々と続けました。その結果、縄文人たちはすべての恵みは自然から来るもの、共存共栄するものと考えていた。つまり、リスペクトの対象が“自然”なのです。そして今、地球温暖化対策やSDGs、カーボンニュートラルが叫ばれていますが、これは日本人にしてみれば、言われてやるものではなく、むしろ我々が率先してやるべきことなのです。圧倒的な進化を遂げるデジタルの世界と約1万年前から刻まれた日本人の自然を敬い、共存共栄を目指す姿勢を図る姿勢との融合に私は期待しています」と話していました。

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3月15日放送分より(radiko.jpのタイムフリー)
聴取期限 2025年3月23日(日) AM 4:59 まで
※放送エリア外の方は、プレミアム会員の登録でご利用いただけます。

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<番組概要>
番組名:DIGITAL VORN Future Pix
放送日時:毎週土曜 20:00~20:30
パーソナリティ:笹川友里

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