茂木健一郎「試験に落ちたとしても、人生には“合格”することができる」「大事なのは結果ではなくプロセス」
そのスピンオフ番組「茂木健一郎のポジティブ脳教室」が、TOKYO FMとJFN系列38局の音声配信プラットフォーム「AuDee(オーディー)」にて配信中です。
この番組では、リスナーから寄せられたお悩みに対し、茂木が脳科学的な視点から回答して「ポジティブな考え方」を伝授していきます。
4月5日(土)の配信では、「気持ちの切り替え方」に関する相談に応えました。

パーソナリティの茂木健一郎
<リスナーからの質問>
この春、国家試験に挑戦しましたが、体調不良により残念ながら不合格となってしまいました。挑戦の過程には悔いはないものの、次の道へなかなか気持ちを切り替えることができず、悩んでいます。
現在は人生の岐路に立っていると感じており、よりよい方向へ進むための脳科学的アドバイスをいただけたら嬉しいです。
<茂木の回答>
国家試験に挑戦されたこと自体、素晴らしいことだと思います。これは私がいつもお話ししていることですが、脳にとって大切なのは「結果」ではなく「プロセス」なんです。
もちろん、合格したほうがいいに越したことはありません。でも、それ以上に大切なのは「目標に向かって努力した」という事実です。
ポジティブ心理学という分野では、「ポジティブな思考」は“プロセスを重視する姿勢”から生まれると考えられています。極端な話、合否という結果に関係なく、目標に向かって努力したプロセスこそが尊く、人生にとって意味のあるものなんです。
とはいえ、不本意な結果に落ち込んでしまうこともありますよね。そんなときに活躍するのが、脳の「前頭前野」と呼ばれる部分です。試験には合格できなかったかもしれませんが、そこまで努力してきた自分がいる。その努力の姿勢や心のあり方は、これからの人生で必ず役立ちます。
「では、その努力を次にどう活かすか?」と考える――。それが前頭前野の大事な働きであり、気持ちを切り替えるヒントになります。
あなたの場合、国家試験に挑戦できたというだけで、本当に素晴らしいことです。努力をしてきたプロセスを別の道に活かすことができれば、そこから新しい可能性が広がっていくと思います。
試験には落ちたとしても、人生には“合格”することができる。
そんなこともあるんですよ。逆に、試験に受かっても人生につまずいてしまう人もいます。だから、ぜひ前向きに切り替えて、新たな挑戦を続けてみてください。
そして、「なかなか気持ちを切り替えられない」というのも、立派な個性です。無理に切り替えようとしなくてもいいんです。ひとつのことを深く考え抜ける力も、また素晴らしい個性。
だからこそ、そうした自分の特性も含めて、ぜひご自身をまるごと受け入れてあげてくださいね。
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音声版「茂木健一郎のポジティブ脳教室」
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<番組情報>
番組名:茂木健一郎のポジティブ脳教室
配信日時:毎週土曜 22:30配信(予定)
パーソナリティ:茂木健一郎