chelmico「メジャーデビューから1年、いい意味で頑固になってきた」

chelmico ©InterFM897

InterFM897が金曜よるに送るストリートカルチャープログラム『Tokyo Scene』(DJs: MC RYU, YonYon)。9時台のゲストコーナーには、chelmicoが登場しました。この日、MC RYUは体調不良のためお休み。代わって、東京を拠点に活動するプロデューサー/ギタリストのShin SakiuraがYonYonの相手役を務めました。

『Fishing』は今までやってきたことの強化版

Rachel:よろしくお願いします!まさかShin(Sakiura)さんとYonYonちゃんに会えるなんて。

YonYon:よろしくお願いします!8月21日に2枚目のアルバム「Fishing」をリリースされましたね。

Shin Sakiura(以下、Shin):よろしくお願いします!どうですか、アルバムリリースして。

Rachel:反響が結構あって、「秘密」って曲がすごく評判がよくて嬉しいです。

YonYon:新アルバム「Fishing」では2曲、Shinさんがプロデュースしてるんですよね。

Shin:そうです。「秘密」と「balloon」の2曲のギターとベースを。

Rachel:前から面識はあったけど、曲で携わるのは初めてだったよね。お仕事見学で恥ずかしかった。Shin君と私は、一緒に「コーチェラ」(米・音楽フェスティバル)行ったりとか、仲良いよね。

Shin:そうそう。

YonYon:今回のアルバム「Fishing」は、chelmicoにとってどんな作品ですか?

Rachel:前回のパワーというアルバムは、けっこうライブ映えを意識した盛り上がる曲を入れていたけど、今回はしっとりしたようなミドルテンポの曲も入ってるので、イヤホンとかでじっくり聴けるような、長く愛されるアルバムになって欲しい作品です。

Mamiko:chelmicoらしさや新しい面が見せられたし、今までやってきたことの強化版って感じに仕上がりましたね。

YonYon:大人になっていきますね。

Rachel:イヤほんと、歳重ねるとね(笑)。

意識が高くなってきたし、いい意味で頑固になってきた

Shin:曲ももちろんだけど、ジャケットとか細かいところも好きで、デザインいいですよね。

Rachel:そうなんですよ。今回もよく仕上がってね。

YonYon:デザイナーさんは毎回変わってる?

Rachel:デザイナーさんは一緒で、今回はイラストで初めての方と一緒にやりました。

Shin:そういうのって、2人のどっちから「こういうのにしようぜ」って提案するの?

Rachel:半々というか。でも話し合いをしていって、お互い通ってきてるカルチャーが一緒だから、「これいいよね」「私もこれ好き」とかそんな感じで。

YonYon:じゃあ、ぶつかることはまずないんだ。好みが似てるからかな?

Rachel:MVとかアートワークは好みが似てるから。

Shin:すごいねえ。

YonYon:メジャーデビューして一年経って、ミュージシャンとしての意識が変わった部分ってありますか?

Rachel:色々意識高くなってるのかな?いい意味で頑固になったし、やってるうちに、なんかいいとかなんかヤダとか、そういう抽象的な感情を言語化できるようになってきたというか。ゴールに向かって一緒に進んでいく力がついてきたというか。

Mamiko:そうだね。だからうちら、めんどくさくなってると思う。トラックメーカー陣からしたら(笑)。

YonYon:「balloon」を作る時ってどういう感じで作ったんですか?

Shin:原案は三毛猫ホームレス(音楽デュオ)の方ですでにあって、それをベースに生っぽい感じに、ゆっくりだけど踊れる感じにやりましょうってなった感じですね。

YonYon:トラックが先なんだ。

Rachel:そうです。大元はトラックで、ラップを乗せてShinくんと一緒に作り上げていくって感じです。

YonYon:セッションみたいな感じですね。

Shin:めちゃめちゃ投げ合ったね。

YonYon:喧嘩した?喧嘩した?

Rachel:してない(笑)。曖昧な曲作りましょうっていうのがテーマで、三毛猫ホームレスさんがそれの一点張りで。どういうことなのか、わかんないまま曖昧で(笑)。

Shin:全ての判断軸が”曖昧さ”で(笑)。

Rachel:でも、投げ合ってくうちに曖昧の正体がわかりかけてくるっていう(笑)。

TOKYO SCENE
放送局:interfm
放送日時:毎週金曜 20時00分~23時00分
出演者:Shin Sakiura、 YonYon
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メール:club@interfm.jp
ハッシュタグ:#TokyoScene

※該当回の聴取期間は終了しました。

自動車修理工場の女性社長が「自動販売機のハンバーガー」を開発

トラックなどのドライバーさんのなかには、昭和の頃は、よく幹線道路沿いにあった自動販売機のハンバーガーで、お腹を満たした経験がある方もいらっしゃることでしょう。じつは最近、令和版の「自動販売機のハンバーガー」がじわりじわりと増えているんです。今回は、この自動販売機のハンバーガーを手掛けている自動車修理工場の方のお話です。

ハンバーガー自販機と小林さん

それぞれの朝は、それぞれの物語を連れてやってきます。

東京・新宿から中央道の高速バス、または新幹線と飯田線の特急「伊那路」を乗り継いで、およそ4時間の長野県飯田市に「ガレージいじりや」という自動車修理工場があります。敷地内には、トヨタ・パプリカ、マツダ・シャンテをはじめ、昭和の車がズラリ。しかも、工場の前にある懐かしい自動販売機コーナーが目を引きます。

お店の代表・小林由季さんは、埼玉県出身の41歳。小さい頃、ちょうどミニ四駆が大人気だったこともあって、クルマに興味を持ちました。19歳でオートマチック車限定の運転免許を取ると、街を颯爽と駆け抜けていった、白い「マツダ・RX7」に心躍ります。

『カッコいい!あのクルマに乗りたい!!』

そう思った小林さんは、知り合いの自動車関係者に相談すると、軽くあしらわれました。「RX7? アンタ、あのクルマ、マニュアルだし、ロータリーエンジンって知ってるの? 乗りたいなら、自分で自動車が整備出来ないと、まず無理だよ」

愛車のマツダ・シャンテと小林さん

マニュアルもロータリーエンジンも、全くチンプンカンプンだった小林さんですが、乗りたい思いが高まって、マニュアルで免許を取り直し、自動車整備士を目指します。男社会の自動車修理工場で、厳しい試練を乗り越えて、見事、整備士資格を取得。縁あって信州に移り住むと、趣味で借りたガレージで、ノーマルタイヤからスタッドレスタイヤへの履き替えを請け負ったことをきっかけに、2010年、自ら自動車修理工場を立ち上げました。

やがて、工場のスタッフが昭和43年製・スバル360の修復を成し遂げたことから、小林さんも古い車に興味を持ち、旧車が続々持ち込まれて、車雑誌にも注目されます。あれよあれよと、旧車好きならまず知らない人はいない工場に成長。小林さんは雑誌連載企画で、旧車でレトロな自動販売機巡りをすることになりました。

ところが、ここで小林さんは大変なことが起きていたことに気付くんです。

『大きな道路沿いにたくさんあったハンバーガーやうどん・そばの自動販売機コーナーがどんどん無くなっている……』

24時間営業のコンビニエンスストアが増えた一方で、自動販売機は経年劣化、オーナーさんの高齢化も進んで、自動販売機コーナーは次々と姿を消していたんです。そんな折、小林さんはお祖父さまを亡くしたことで、小さい頃、自動販売機のハンバーガーをなかなか買ってもらえなかった記憶がよみがえりました。

『あの思い出の、自動販売機のハンバーガーを残したい。ならば、ハンバーガーを作っている食品メーカーを助けよう!』

自動販売機コーナー

そうひらめいた小林さんは、さっそく自動販売機用のハンバーガーを仕入れます。自動車工場の前に冷蔵機能付きの自動販売機と電子レンジを設置して販売を始めると、ちょうどコロナ禍と重なったことで、テイクアウトのニーズをつかんで大繁盛。各地のレトロ自動販売機で売れたハンバーガーのおよそ4倍を1台で売り上げました。

小林さんはもうイケイケドンドン、自動販売機を増やして各地で大人気となりますが、あまりの売れ行きにハンバーガーメーカーのほうが悲鳴を上げてしまいます。安定した納品が出来ないので、もう勘弁してくれませんか、と言われてしまったのです。代わる製造業者も無く、困り果てた小林さん、思い切りました。

『ハンバーガーを作ってくれる会社が無いなら、自分の会社で作ってしまおう!』

もちろん、小林さんは自動車整備士ではありますが、食品の知識は全くゼロ。体当たりで、様々な食品製造に関する許可や食品衛生を、片っ端から学んでいきます。食品部門の「いじりやフードサービス」も立ち上げ、ハンバーガーを作ってみましたが、パンはパサつき、肉の脂は溶け出し、レタスなどの生野菜は安全性の面で使えません。しかも、自動車修理工場と食品工場の二刀流で、睡眠時間3時間の日々が続きました。

ふんわりバンズのチーズバーガー

それでも試行錯誤を繰り返し、味やソースにもこだわったチーズバーガーに辿り着いて、安定した製造、出荷も出来るようになりました。今は、全国で39台の自動販売機が元気に稼働中。自動車修理工場生まれの自動販売機とハンバーガーは、各地域で話題になっています。

「気合と根性でやってきました」と笑う小林さんですが、やりたいことはいっぱいです。

「レストランもやってみたいですし、クルマのテーマパークがあっても面白いですよね。ハンバーガー片手にみんなに巡ってもらって。夢は大きく持てば、きっと叶います!」

「RX7に乗りたい」から始まった小林さんの夢、今はまだ、その途中です。

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