GWは不思議な世界へ! 箱崎みどりアナウンサーおすすめ展覧会 ~今日、観に行きたい展覧会2選

【箱崎みどりのおさんぽアート】美術館や博物館へ足を運ぶのが大好きなニッポン放送アナウンサー・箱崎みどりが、おすすめの展覧会をご紹介します

今回はゴールデンウイークにおすすめの展覧会を一挙にご紹介します。日本編に続き、西洋編です。

出版160周年記念 不思議の国のアリス展 を訪れた、箱崎みどりアナウンサー

出版160周年記念 不思議の国のアリス展

ひとつめが、横浜高島屋8階にある横浜高島屋ギャラリーで開催中の「出版160周年記念 不思議の国のアリス展」。

出版160周年記念 不思議の国のアリス展

ルイス・キャロルと4人の画家がアリスの物語に添えた挿絵をお話の順に楽しめます。お馴染みのブルーではなく、赤いドレスのアリスもいますよ。

挿絵を描いた4人それぞれの比較ができるですが、私はルイス・キャロル本人の挿絵も好きです。

出版160周年記念 不思議の国のアリス展

『鏡の国のアリス』の鏡に入るシーンでは、1枚の紙の表裏に挿絵を印刷するという当時は難しいこだわりも。

出版160周年記念 不思議の国のアリス展

フォトスポットも豊富で、グッズ売り場でお土産を選ぶのも楽しいです。

ぜひあなたも、不思議の国や鏡の国に、遊びに行ってみてくださいね。

※主催者の許可を得て撮影しています。
(C) MPIL THE MACMILLAN ALICE TM
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デ・キリコ展 展示風景

デ・キリコ展

続いて、上野の東京都美術館で開催中の「デ・キリコ展」。

世界各地から集まった100点以上の作品で、デ・キリコ芸術の全体像に迫る大回顧展です。

私は、デ・キリコに、シュールレアリスムの作家というイメージを持っていたのですが、今回のデ・キリコ展を観て、そのイメージが変わりました。

白鳥のいる神秘的な水浴、1958年、ジョルジョ・エ・イーザ・デ・キリコ財団(ローマ)

ピカソと同じように、時代によって作風が変わり、試行錯誤を続けたデ・キリコ。今回は、作風ごとに作品がまとめられているので、見やすく、見応えがあります。

南の歌、1930年頃、ウフィツィ美術館群ピッティ宮近代美術館(フィレンツェ)

こちらは、ルノアール風のデ・キリコ作品です。

デ・キリコ展 展示風景

彫刻や、

デ・キリコ展 展示風景

舞台衣装も紹介し、まさにデ・キリコの芸術が一堂に会した展覧会です。

城への帰還、1969年、ジョルジョ・エ・イーザ・デ・キリコ財団(ローマ)

デ・キリコの多くの作品を通して、画家の飽くなき探求心・向上心に触れてください。何だか、観ているだけでもデ・キリコのパワーをもらえて、やる気が出てきますよ!

『デ・キリコ展』は、東京都美術館で、8月29日(日)までです。

※写真は、主催者の許可を得て掲載しています。
(C)Giorgio de Chirico, by SIAE 2024

 

出版160周年記念 不思議の国のアリス展
会期 4月17日(水)~5月6日(月・休)
入場時間 10:00〜18:30(19時閉場)※ 最終日は16:30まで(17:00閉場)
▼横浜高島屋ギャラリー<8階>
〒220-8601 横浜市西区南幸1丁目6番31号
■横浜駅西口より徒歩1分
(C)MPIL THE MACMILLAN ALICE TM

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デ・キリコ展
2024年4月27日(土)~8月29日(木)
休室日 月曜日、5月7日(火)、7月9日(火)~16日(火)
※ただし、4月29日(月・祝)、5月6日(月・休)、7月8日(月)、8月12日(月・休)は開室
開室時間 9:30~17:30、金曜日は20:00まで(入室は閉室の30分前まで)
▼東京都美術館
〒110-0007東京都台東区上野公園8-36
■JR上野駅「公園改札」より徒歩7分
■東京メトロ銀座線・日比谷線上野駅「7番出口」より徒歩10分
■京成電鉄京成上野駅より徒歩10分

絶対権力の歪さと、それに翻弄される市井の人々……『エドガルド・モルターラ ある少年の数奇な運命』

ニッポン放送「ひろたみゆ紀のサンデー早起き有楽町」(日曜朝5時~)で、おススメの最新映画をご紹介しているコーナー『サンデー早起キネマ』。4月28日は、素晴らしい監督に感情を揺さぶられる3本をご紹介しました。

その1本には、実話にひたすら驚き、理不尽さにやりきれない気持ちになりました。イタリア史上最大級の波紋を呼んだ衝撃の史実を巨匠マルコ・ベロッキオ監督が映画化 『エドガルド・モルターラ ある少年の数奇な運命』。

『エドガルド・モルターラ ある少年の数奇な運命』  (C)IBC MOVIE / KAVAC FILM / AD VITAM PRODUCTION / MATCH FACTORY PRODUCTIONS (2023)

時は、イタリア統一に向けて世の中が揺れていた1858年。当時はローマ教皇を君主とする教皇国家に属していたボローニャのユダヤ人街で平穏に暮らしていた男の子が、教皇領の警察に突如連れ去られた「エドガルド・モルターラ誘拐事件」。悲嘆に暮れながらも息子を取り戻そうと奔走する両親と、権力強化のため決して返還に応じようとしない教会側の争いは、イタリアをはじめ時の皇帝ナポレオンやロスチャイルド家ら、全世界を巻き込んだ論争を紛糾させました。

この実話にスティーヴン・スピルバーグが魅了され映像化しようとしましたが、実現したのはイタリアの巨匠マルコ・ベロッキオでした。

『エドガルド・モルターラ ある少年の数奇な運命』  (C)IBC MOVIE / KAVAC FILM / AD VITAM PRODUCTION / MATCH FACTORY PRODUCTIONS (2023)

ある日、モルターラ家に押し入る教皇直属の兵士達。6歳の息子エドガルドを連れ去るのが目的でした。実は、彼は生後間もない頃、父母が知らぬ間にベビーシッターから勝手に洗礼を授けられていたのです。教皇の命令は絶対であり、洗礼者はカトリック教育を受けなければなりません。「この少年を誘拐するのは神の思し召しである。ましてや親元に返すなどあり得ない。洗礼を受けたこの子は、永遠にカトリック教徒なのだ」……時の教皇ピウス9世の断固たる意志表示でした。取り乱したエドガルドの両親は、息子を取り戻すためにあらゆる手を尽くします。

世論と国際的なユダヤ人社会に支えられ、モルターラ夫妻の闘いは政治的な局面を迎えることに。しかし、教会とローマ教皇は、ますます揺らぎつつある権力を強化するために、エドガルドの返還に応じようとはしませんでした……。

『エドガルド・モルターラ ある少年の数奇な運命』  (C)IBC MOVIE / KAVAC FILM / AD VITAM PRODUCTION / MATCH FACTORY PRODUCTIONS (2023)

教皇権力の尊重から自由の尊重へと変化しつつあった時代に、権威の崩壊を食い止めようとした誘拐事件により、エドガルドが、理解どころか想像さえできない人生を歩んだ、歩まされたという現実が、166年後の私たちに重くのしかかります。

『エドガルド・モルターラ ある少年の数奇な運命』  (C)IBC MOVIE / KAVAC FILM / AD VITAM PRODUCTION / MATCH FACTORY PRODUCTIONS (2023)

信仰まで覆されたエドガルドの人生への責任は、一体誰がとれたというのでしょうか。いや、誰もとりはしないのです。絶対権力の歪さとそれに翻弄される市井の人々……度合いは違っても今も繰り返される現実は、人間の業なのでしょうか? そして、被害を被った人間はどうなってしまうのか? 人間の心の不思議さを感じずにはいられません。

『エドガルド・モルターラ ある少年の数奇な運命』  (C)IBC MOVIE / KAVAC FILM / AD VITAM PRODUCTION / MATCH FACTORY PRODUCTIONS (2023)

『エドガルド・モルターラ ある少年の数奇な運命』
4月26日(金)よりYEBISU GARDEN CINEMA、新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ有楽町他にてロードショー

監督:マルコ・ベロッキオ
脚本:マルコ・ベロッキオ、スザンナ・ニッキャレッリ
出演:パオロ・ピエロボン、ファウスト・ルッソ・アレジ『シチリアーノ 裏切りの美学』、バルバラ・ロンキ『甘き人生』、エネア・サラ、レオナルド・マルテーゼ『蟻の王』
2023/イタリア、フランス、ドイツ/カラー/イタリア語/134分/原題:Rapito/映倫:G
配給:ファインフィルムズ

(C)IBC MOVIE / KAVAC FILM / AD VITAM PRODUCTION / MATCH FACTORY PRODUCTIONS (2023)

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