常連客から22年続くうどん屋店主に! 一から修行した男性の決意

番組スタッフが取材した「聴いて思わずグッとくるGOODな話」を毎週お届けしている【10時のグッとストーリー】

「うどんの本場」と言えば、やはり関西。その関西のうどんを研究して、東京でお店を開き、都内屈指の名店にしたご主人が高齢のためお店をたたむことに……。それを聞いて「自分が継ぎます!」と、ある若い常連客が手を挙げました。きょうは、一から修行を積み、のれん継承を許された男性のグッとストーリーをご紹介します。

うどんの名店「花坊」店内

東京・世田谷区……小田急線沿線の街・経堂。駅を降りて、東京農業大学に向かう農大通り商店街を進み、最初の路地を左に曲がるとすぐ「手作りうどん」の看板が見えます。

この場所に開店して、今年で22年目になるのが関西うどんの名店「花坊(はなぼう)」。先代のご主人で、創業者の正田辰夫さんはかつて関西に住み、比叡山のお寺で修行した異色の経歴の持ち主。関西でうどんの研究を重ね、58歳のとき経堂に店を構えました。

「花坊」という店名は、比叡山の僧侶から授かったものです。澄んだうどんつゆは、上質のかつお節など何種類もの素材を重ね、うまみがたっぷり。さらに店内でご主人自ら打つうどんは、コシがあり、ツルツルとのどごしも最高。うどん好きの間で評判になり、たちまち人気店になりました。

ところがおととし、80歳手前になった正田さんは「毎日うどんを打つのは体力的に限界」と、お店をたたむことを決意。その話を聞いてショックを受けたのが、何度も通っていた常連客の1人、山城裕輔さん・37歳です。

「花坊」2代目店主・山城裕輔さん

「仕事が終わると『花坊』に寄って、天ぷらを肴に日本酒を飲みながら、最後はうどんで〆めるのが至福のひとときだったんです。それがなくなってしまうなんて……」

山城さんは、もともとアパレルの会社に勤めていましたが、「いつかお店をやってみたい」と一念発起。会社を辞めて、和食系の居酒屋で5年、さらに天ぷらの名店で3年働き、修業を積んでいました。その頃、経堂に住み始めた山城さん。たまたま見つけた「花坊」のうどんと美味しい天ぷら、お店の雰囲気も気に入り、足繁く通うようになったのです。

「花坊うどん」と野菜天ぷら

ご主人・正田さんも、山城さんの飲みっぷりの良さと人柄が気に入って、お客さんが引けた後、独立を目指す山城さんの相談に乗ってくれるようになりました。それだけに正田さんが店をたたむと聞かされ、大きなショックを受けた山城さんでしたが、ある日、正田さんから突然こんな提案を受けました。

「山城くん、店をやるんだったらどうだろう……ここで、うどん屋をやってみないか?」

突然の提案に驚いた山城さん。天ぷらと魚料理の経験はあるものの、うどん作りは全くの未経験。「ちょっと考えさせてください」と答えを保留しましたが、数日後……経堂の街を歩いていると、正田さんに偶然バッタリ出くわしました。

「山城くん、あの話、考えてくれたかな? 実はね……『ぜひ店を譲ってほしい』って言って来てる人もいるんだ」

「花坊」の一品料理メニュー

正田さんが、他に譲る話をいったん保留してくれていることを知り、山城さんは決心しました。

「大将、うどん作りを一から僕に教えてください!」
「わかった! ただし、『花坊』の名前を譲るかどうかは君の頑張り次第だからね」

山城さんは言います。「やっぱり『花坊』がなくなるのは、どうしても嫌だったんです。同じように思っているお客さんたちも大勢いるだろうし、だったら自分が継ごう、と」

さっそく正田さんの指導のもと、猛特訓が始まりました。うどんの生地を手でこね、しっかりと足で何度も踏み、長く伸ばして刻みます。

「うどんは生き物。その日の気温や湿度によって打ち方を変えないといけないんです。とくに乾燥が大敵なんですよ」

各地の銘酒も取り揃えています

ダシは何種類もの素材を重ねてとって行きますが、そのレシピは正田さんが編み出した秘伝中の秘伝。間違いなく教えられた通りにやっているはずなのに、味が違うのはなぜだろう? よく観察すると、正田さんが火加減を微妙に調節しているからだと気がつきました。

そんなふうに日々の試行錯誤を重ね、半年ほど経ったある日、正田さんからこんな一言が……「よし、これなら大丈夫だ!」。「のれん継承」を許され、山城さんは去年(2018年)の1月1日から、正式に『花坊』の2代目主人になりました。

山城さんは言います。「厨房に入って来て、『この味じゃないよ!』と指摘してくださる昔からの常連さんもいらっしゃいます。先代から受け継いだ味を守りつつ、ゆくゆくは自分なりの工夫を加えて『花坊』のうどんを進化させて行きたいですね」

「花坊」
東京都世田谷区経堂1-12-14 中谷ビル1F
TEL:03-3706-1278
営業時間:
■昼 11:45〜14:00
■夜 18:00〜21:00
※水曜日は定休日です。

八木亜希子 LOVE&MELODY
FM93AM1242ニッポン放送 土曜 8:00-10:50

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春風亭一之輔 × 草彅剛 初対面で意気投合 「今日から友達」「もちろんですよ!」と固い握手

俳優・草彅剛が5月17日(金)、落語家・春風亭一之輔がパーソナリティを務めるラジオ番組『春風亭一之輔 あなたとハッピー!』(ニッポン放送 毎週金曜8時~11時)に生出演、初対面ながら2人のトークは盛り上がり、「今日から友達」宣言のもと、固い握手を交わした。

春風亭一之輔、草彅剛

史に刻まれた古典落語の名作「柳田格之進」を白石和彌監督が完全映画化した草彅剛主演の時代劇映画『碁盤斬り』が5月17日(金)に公開となったが、「柳田格之進」は誇り高い武士の生きざまを描いた人情噺で、一之輔も同作品を口演している。

ひと足早く映画を鑑賞している一之輔が、柳田格之進という人物について、草彅自身の性格との相違を訊くと、「全然違いますね。(演じているとき)イライラしましたね」と明かす草彅。「すごく実直で、曲がったことが大嫌い」と一之輔がその役柄を言及すると、「でも、(格之進の役を)やっているうちに、僕の中にそういうものがないし、もしかすると現代に忘れ去られてるような、この格之進の貫き通す気持ちというのは大事なんじゃないかなと思えてきた」と語り、「そこからもう、このポスターの顔ですよ」と、同映画のポスタービジュアルで厳しい表情をしている経緯を明かした。

映画『碁盤斬り』 (C)2024「碁盤斬り」製作委員会

そして「ある男が言いました」として、伝えられた感想を次のように語った。「この映画は言葉の一言一言に重みがある。今、携帯とかテクノロジーが発達した時代だけど、この時代は携帯電話もないし、手紙を書いたりそこまで足を運んだりする。そういった意味では今この時代だからこそ見る映画なんじゃないかなと」……これが誰の発言なのかを一之輔が訊ねると、「香取慎吾くんが昨日言ってました。いい言葉だなと思ってジンとしちゃって」と明かした草彅。

また、稲垣吾郎についても「『新しい剛の顔が見られる』と映画コラムですごく褒めていただいて」と、嬉しそうに語ると、「『碁盤斬り』を見ると新しい草彅さんがわかる」と、一之輔も同意した。

春風亭一之輔、草彅剛、ニッポン放送・増山さやかアナウンサー

そして草彅が「ぜひ一之輔さんの『柳田格之進』を聴きたい」と熱望すると、「やりますよ。一対一で」と即答する一之輔。草彅が埼玉県春日部市出身であり、一之輔が埼玉県立春日部高校出身であるという共通点でも盛り上がると、初対面だった2人の距離はぐっと縮まり、「今日から僕たち、友達ということで」(一之輔)、「もちろんですよ!」(草彅)と言葉をかけあうと、固く握手を交わす2人であった。

 

映画『碁盤斬り』 (C)2024「碁盤斬り」製作委員会

映画『碁盤斬り』 5月17日(金)全国公開
(C)2024「碁盤斬り」製作委員会
配給:キノフィルムズ

STORY
浪人・柳田格之進は身に覚えのない罪をきせられた上に妻も喪い、故郷の彦根藩を追われ、娘のお絹とふたり、江戸の貧乏長屋で暮らしている。しかし、かねてから嗜む囲碁にもその実直な人柄が表れ、嘘偽りない勝負を心掛けている。ある日、旧知の藩士により、悲劇の冤罪事件の真相を知らされた格之進とお絹は、復讐を決意する。お絹は仇討ち決行のために、自らが犠牲になる道を選び……。父と娘の、誇りをかけた闘いが始まる!

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