重症になる確率と対処法~医師・おおたわ史絵が解説「新型コロナウイルス感染症」

総合内科専門医のおおたわ史絵氏が、新型コロナウイルスの現在の感染状況や対処法などについて解説した。

2019-nCoVの電子顕微鏡写真(国立感染症研究所 提供)

おおたわ氏は、2月26日のニッポン放送「原田龍二DAYS」(毎週水曜13時~)に電話出演。新型コロナウイルス感染症について、自身も知人から多くの相談を受けていることや、久しく連絡を取り合ってなかった人からも問い合わせが来るような状況になっていることを明かしたうえで、「あまりに大きな騒ぎになって不安になっている方がとても多い」として「現段階のことを、落ち着いてまとめましょう」と、以下のように解説した。

<重症になる確率>

日本では症例が少ないため、中国の症例数で検証。4万4672の症例のうち、重症は4.7%で軽症が80.9%と紹介したうえで「軽くて済んでいる方が8割以上」であることを説明。男女比の違いはないと語った。

また、致命率(命にかかわる確率)については「これから変わる可能性はあります」と補足したうえで、今のところ2.3%だと解説。そしてこの2.3%の年齢別の割合は、59歳以下は0.5%以下で、80代以上が14.8%であることを紹介し、命に関わる可能性について「50代以下の場合は、今のところほとんど無いのではないか」と、現段階での見解を述べた。

<重症化しやすいケース>

基礎疾患を持つ人については、「その持病の種類によって死亡率が違ってくることがわかっています」としたうえで、狭心症や心筋梗塞などの心血管障害を持つ人の致命率は10.5%、糖尿病が7.3%、肺気腫やぜんそくなど呼吸器の疾患は6.3%、高血圧は6.0%、癌などで闘病中の人が5.6%であると、順に解説した。

<現在とるべき行動>

「こういう状況になると不安を煽るようなネット情報などが飛び交います。『これを飲むだけで大丈夫』とか『これを買っておけば防げます』というような商法がたくさん暗躍しています。それは信じないでください」と警鐘を鳴らした。

<身辺に感染者が出た場合の対処>

「厚生労働省なり国なり、その管轄の医療機関の指示に従うしかない」と基本的な行動について説明したうえで、「今後(感染の)人数がもっと増えた場合、全感染者が入院の適用となるとは限らない時期が来ると思います」と、状況によっては各機関の対応が変化する可能性もあると述べた。

radikoのタイムフリーを聴く

習近平氏の国賓来日は止めて国内対策に専念すべき~中国ウイルス対策チームのおかしさ

ニッポン放送「ザ・フォーカス」(2月26日放送)に産経新聞客員論説委員・国際医療福祉大学の山本秀也が出演。新型肺炎の中国国内の感染状況について解説した。

北京市中心部のビジネス地区・国貿では、帰宅時間帯にも関わらず人の姿がまばらな状態が続いている=2020年2月18日 ©産経新聞社

中国本土の死者が2715人に

中国政府は、新型コロナウイルスによる中国全土の死者が52人増えて、2715人になったと発表した。中国では日本の国会にあたる全人代が延期されるなど政治的な混乱も続いているが、習近平国家主席の国賓来日については、外交担当トップの楊潔篪(ようけつち)氏が28日~29日にかけて来日し、日程を調整する予定で、4月に来日という方針を変えていない。

森田耕次解説委員)中国本土での死者が2700人を超え、感染者は7万8000人以上になっています。ほとんどが湖北省のようです。北京市は25日に対策会議を開き、新型コロナウイルスが市外から持ち込まれ、市内で拡散するのを防ぐため、一層厳格な措置を取る方針を確認しています。スーパーで客が寄り集まって、行列に並ぶような状況を解消するよう指示を出したということで、中国国内ではまだ感染者が増えている状況が続いているようです。

山本)北京は中央政府の所在地だということで、北京の防衛については格段の措置を取るよう政治局の号令が出ており、首都防衛戦の様相を呈しています。実は中国の統計自体があやふやになって来ていて、統計基準がころころ変わっているのです。不可解なのは、中心になっている武漢で2月24日に「都市封鎖を解除する」というお触れが、お昼前に1回出たのですよ。でも3時間後くらいに間違いだったと撤回して、また閉鎖することになり、行政の迷走ぶりが出て来ています。首都の北京を守らなければという意識なのでしょうが、こういうところで変に巧まない方がいいと思います。新疆ウイグル自治区では2月19日~25日まで、感染者がまったく増えていないという発表になっているのです。中国全土でこれだけ広がっているのに、新疆だけ増えないというのはおかしな話です。少し前に、刑務所で集団感染が相次いでいるというニュースがありました。新疆の場合は、問題となっているウイグル人の強制収容所が大人数を入れていますから、あそこで感染すればものすごい勢いで広がっているはずです。それがゼロとはどういうことなのか、私のなかでは大きな疑問です。

森田)収容所は感染者がたくさん出そうですものね。

山本)もともと刑務所は風通しが悪く、人が固まって入っているために病気が起こりやすいのですよ。そこであの状態ですから、本当に新疆がゼロなのかは疑わしいです。

談話を発表する台湾の蔡英文総統。中国からの選挙介入を防止する「反浸透法」に署名し公布したことを明らかにした=2020年1月15日 台北の総統府 ©産経新聞社

毅然とした対応をした台湾・蔡英文総統、支持率上がる

森田)WHOの専門家が武漢の視察に行ったようですが、「武漢市の病院でも外来患者が減って来ている」と言っていたり、「中国が取った武漢市の閉鎖措置が他の地域への感染防止には有効だった」、「感染者の隔離など、大胆な措置を取ることの有効性が大事だ」と持ち上げていますね。

山本)そこを否定する気はなくて、感染拡大の初期には思い切った手立てを取らなければいけないのは間違いありません。それから、広がっていない台湾などはうまく抑えています。中台関係の冷え込みがうまく作用して、中国大陸からお客が来ていません。さらにこれをコントロールすることで、蔡英文政権はまた支持率が上がりました。

森田)支持率が9割近くになっているようですね。

山本)選挙のときから、さらに伸びましたね。支持率が下がり気味の安倍政権は、羨ましいと思ったらもっと頑張っていただきたいところです。

各地に対策チーム派遣  新型肺炎の〝発生源〟とみられ、閉鎖されている中国湖北省武漢市の海鮮市場=2020年1月17日(共同) ©共同通信社

全人代の常務委員会が野生動物の違法取引を禁止

森田)26日の産経新聞によると、全人代の常務委員会が、野生動物を食べる悪習の根絶や違法取引の全面禁止を決めたようです。

山本)これは、アルマジロに似ているセンザンコウですね。

森田)最初はコウモリが宿主で、そこからセンザンコウにうつった可能性が指摘されています。

山本)中国ではコウモリも食べる人は食べるそうですが、センザンコウは鱗が媚薬になるとか、肉が体にいいなどの言い伝えがあって、ありがたがって食べてしまうそうです。おかしなものを食べる悪い習慣、陋習(ろうしゅう)はやめようということを、今更議会で言わなければいけないほど広がっているのかという話ですが。

森田)SARSのときも、ハクビシンの取引をやめようと言っていましたよね。

山本)言ってはいましたが、止まっていないですね。それから、野生動物をどこまで食べるのかという議論があります。中華料理でよく使うカエルやヘビなどは、広東料理を食べに行くと出て来ます。これを禁止するのかどうかはよくわかりません。

森田)しかし、徹底できるかどうかですよね。

山本)禁止して食べるのをやめられるなら、とっくの昔にやめているはずです。パンダを食べて死刑になった人がいる国ですよ。

森田)死刑になったのですか?

山本)なりました。

森田)すごいですね。ウサギやハトは人工的に養殖して食べているようですね。

山本)これは普通の料理ですね。

森田)ここをちゃんとやめてもらわないといけません。

山本)やめた方がいいと思います。

米国国務長官レックス・ティラーソンとの2017年の会合(楊潔チ-Wikipediaより)

習近平氏来日に向けた外交トップの来日は変わらず

森田)楊潔篪(ようけつち)国務委員が、28日から来日することは変わっていませんね。

山本)変わっていないし、未だに日程調整の話に来るという建前も変わっていません。中国の外交環境を見ると、いまの日本との関係は非常に大事なので、何とかつなぎ止めたいという意識があります。ここで話し合いの糸口をなくすと、外交環境全体に影響が出て来ます。中国のウイルス対策の最高チームがあるのですが、これがヘンテコなチームで、病気の専門家が1人も入っていないのです。その代わり外交や政治、警察の人ばかり入っています。何を重視しているのかよくわかりますよね。

森田)習近平国家主席の国賓来日について、菅官房長官は25日に「現時点では予定通りだ」と言っています。

山本)お互いにそう言っていますが、いまはやめて国内対策に専念した方がいいと思いますけれどね。

森田)こんな状況で来られても困るし、向こうだって来ている場合ではないと思います。

radikoのタイムフリーを聴く

Facebook

ページトップへ