中国からの入国を禁止しておくべきだったのでは~新型コロナ“逆流”警戒で日本を隔離対象にする中国

ニッポン放送「ザ・フォーカス」(3月4日放送)に産経新聞客員論説委員・国際医療福祉大学の山本秀也が出演。世界各地の新型コロナウイルスの感染状況について解説した。

「住民以外の出入りを禁じる」といった張り紙がなされた北京市内の「社区」の入り口 撮影日:2020年02月09日 ©産経新聞社

新型コロナウイルス~国内の感染者が1000人を超える

4日も各地で新型コロナウイルスの感染が明らかになり、国内の感染者が1000人を突破し、1006人となった。内訳は、クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の乗船者が706人、武漢からチャーター機で帰国した人が14人、さらに27の都道府県や検疫官ら合わせて286人となっている。

森田耕次解説委員)新型コロナウイルスによる肺炎が拡大している問題、4日も新たに北海道で3人など感染者が増えていまして、国内の感染者は1006人、死者は12人となっています。地域別で見ますと、感染拡大がもっとも深刻なのは北海道で、道内全域で82人に上っています。北海道の鈴木知事は2月28日に緊急事態を宣言しておりまして、道民に外出の自粛要請をしてウイルスの封じ込めを狙っています。このほか、東京、神奈川、愛知でそれぞれ30人以上となっています。一方、厚生労働省の2日の集計ではほぼ全員が入院していて、210人がすでに退院したということです。和歌山県湯浅町の済生会有田病院は4日から外来診療を再開しています。

伊藤秀一院長)この2月の病院の収益は1億円近く落ち込んでおりますが、ここまで徹底して感染の拡大防止を図った医療機関はほとんどないのではないかと思っております。

森田)病院経営を顧みず、2月は収益が1億円落ち込んだということですが、感染拡大防止に全力を注いだということで患者らの検査は全員陰性で、3日までの2週間に新たに陽性も出なかったということで安全を宣言しました。ここの病院では職員や入院患者ら474人の検査を行って、2月25日までに全員の陰性を確認していました。この病院は医者や患者、家族ら11人の感染が確認されて、70代の男性1人が亡くなっています。4日には外来診療再開ということで、雨が降っていましたが、午前8時過ぎから外来患者も訪れ始めたということです。診療再開、多少明るい雰囲気になりますね。

山本)ポジティブな話でいいですね。しかし、1000人を超えたというのは1つの節目ですね。

森田)北海道ではまた感染者が3人増えている状況なのですよね。

山本)いちばん心配なのは北海道です。そして、対外的なイメージだと「ダイヤモンド・プリンセス」の件が連日海外メディアで報道されてしまったのが、いまの日本のイメージをつくってしまっています。国内の対策では、まず北海道を徹底して抑え込まなければいけません。

新型肺炎拡大 複数の感染者が確認されたライブハウス 撮影日:2020年3月1日午後 大阪市都島区 ©産経新聞社

中国の新規感染者は減少~一方で日本は隔離対象

森田)世界の動きですが、WHO(世界保健機関)のテドロス委員長によると、世界全体での感染者は9万893人ということなのですが、過去24時間以内の新しい感染者を見ると、中国は120人くらいで1月の下旬以降もっとも少なくなっています。それ以外の世界各地で見ると、およそ1800人増えていて15倍ということですから、中国の感染者が減っているのは事実なのでしょうか。

山本)省別の統計は全然信用していないのですが、感染が先行して始まった分、しかも強権政治で抑え込みが可能ですから、ある程度抑制の方向へ移ってきたのは事実でしょう。しかし、ちょっと頭にくるのですよ。最近、中国は日本を感染拡大地域と見て、中国に着くやいなや検疫にひっかけて、やれ2週間家から出るな、旅行者であればホテルへ直行させるという話を聞いています。あれはいかがなものでしょうか。1月末の段階で、春節商戦を考えずに中国を全面的な入国禁止にしておいた方がよかったのですよ。忖度をしたのはいいけれど、じゃあ現状中国は日本に何か忖度してくれているでしょうか。ありませんよ。

森田)まったくその通りです。

山本)検疫上必要な処分だというのはわかるのですが、検疫という厳然たる対処が必要な事態になる前に忖度は無駄だということです。そして、相変わらず買えないマスク。日本には中国産のものが多いのです。

森田)中国産のマスクが多かったから、不足してしまったのですよね。

山本)「夏までに日本に出すマスクはない」とも言っているようですよね。一方で、日本の国内メーカーには「5倍で買いたいから売ってくれないか」と言ってきたようです。これはメーカーさんが断ったようですが。爆買いも筋が違いますよね。

森田)相変わらず北京では、完全な企業の活動再開にはなっていないのでしょうか。

山本)なっていませんね。北京は完全に抑え込みたいというので身構えているのですが、一方でこれ以上企業を止めれば経済が落ち込みます。そして、痛いのは農業です。この時期に作物をまいてしまわないと、収穫に影響が出ます。中国はまだ農業経済の比率が高いですから、そこで感染の抑止と生産の再開の両天秤で頭を悩ませているようです。

森田)農業に影響が出てくる可能性があるのですね。

山本)それは避けたいのですよ。完全自給の食料もかなり限られてきているのですが、そうは言ってもあれだけの人口に食わせなければいけないのは間違いありません。

急ピッチで建設された武漢火神山医院。習近平(しゅう・きんぺい)中国共産党中央委員会総書記の委託を受けた孫春蘭(そん・しゅんらん)中国共産党中央政治局委員・国務院副総理の率いる中央指導小組が病院の施設や設備などを視察した。(武漢=新華社記者/陳曄華)=2020(令和2)年2月2日<新華社/共同通信イメージズ> ©共同通信社

血清を患者に投与する危険な医療体制

森田)武漢の急造の病院は1つ閉じたという報道もありますね。

山本)必要がなくなれば、ですよね。それから、あれは個室対応ができていないというか、大部屋に人を入れたりもしています。2段ベッドを使ってテントのようにして、なるべく個室っぽくはしているのですが、あれはにわかづくりのものです。

森田)中国ではワクチンの開発などは進めているのでしょうか。

山本)やっています。漢方薬の処方を公開したり、治った人に義務的に献血を求めて、血清をつくって重症の患者さんを中心に投与したりしています。

森田)それで効果があるのでしょうか。

山本)効果というより、逆にこれはリスキーではないかと思います。

森田)実験もせずにやっていそうですよね。

山本)広がったのは12月、1月の話です。この前出た9回目のお触れでは「血清を必ずつくって次の人に注射を」と書いていますが、これはインフルエンザやエイズの薬を使うのとは話が違ってきますよね。

森田)乱暴なことをしますね。そういう国ではありますが。WHOのテドロス委員長の話だと、現在20以上のワクチンが開発段階だということです。本来はワクチンができればいいのですが、時間はかかりそうですね。

山本)10年以上前に流行ったSARSのワクチンがないでしょう。ワクチン開発というのは言うほど簡単ではないはずなので、それよりも有効な治療薬を見つけるのが先でしょうね。

森田)あとは、感染経路を見つけて封じ込めていくというのが必要なことになってくるのでしょうね。

山本)それしかないでしょうね。それが王道だと思います。

ホワイトハウスで、記者団に話すドナルド・トランプ米大統領(アメリカ・ワシントン)=2019年10月3日 ©時事通信

トランプ大統領が日本も渡航制限引き上げの検討対象に

森田)トランプ大統領が渡航規制強化についてイタリアや韓国に求めているのですが、日本の状況も非常に注視していて「検討対象にする」と言っていますね。

山本)いまは4段階の下から2番目ですが、これを引き上げてくるとアメリカ人の渡航にかなりブレーキがかかるというのと、それと並行して日本人のアメリカ渡航に制限がかかる可能性が出てきます。日米の往来という点から見ると、かなり注意しなければいけないですね。

森田)この辺はかなり影響が広がりますからね。

「正直に言うと、やりたいですよ」新型コロナでライブ中止、尾崎世界観の葛藤

TBSラジオ「ACTION」月~金曜日の15時30分から生放送。火曜パーソナリティはクリープハイプの尾崎世界観さん。

2020年3月3日(火)のACTION。オープニングではクリープハイプの尾崎世界観さんが、新型コロナウィルスの影響で、自身のライブが延期・中止の危機になっていることについて語りました。

尾崎:もうやってらんねぇよ、本当に…。

幸坂:どうしましたか?

尾崎:ライブが延期になったりして。

幸坂:コロナの影響ですね・・・。

尾崎:小雨のときに街を歩いていて、傘をさしたいんだけど、周りの人がさしていないとさしづらい、あの感じがする。自分は濡れたくないと思ってるけど、「ここでさしたら恥ずかしいと思われるのかなぁ」という感じがするんですよね。まぁ、日常があってこそのエンタメというのは分かっているんですけどね。健康と安全が確保されたうえで芸術を楽しむ点は理解できるんですけど。誰が悪いわけではないけど、本心としては、正直に言うと、ライブをやりたいですよ。嫌だ。延期にしたくないし、中止にしたくない。で、こういうことを言うのも今って変な感じじゃないですか?結果的に、クリープハイプという僕のやっているバンドはライブをずっと延期にしているし。

この番組でもプロジェクトで進めてきた台湾公演も、もう言っちゃうけど、まだ発表になっていないんですが、中止になるんです。それがね、すごく悔しいですね。で、中止にしたり延期にしたりしてるけど、「悔しい」とか「やりたい」とかも言っちゃいけない空気でしょ?それは言いますよ。結果的に苦渋の決断をしているけど、なんでその決断をしたのか、どういう気持ちで決断をしたのかは言っていいと思うんです。

で、チケットを持って楽しみにしていた人も、なんとなく我慢しなきゃいけない空気になっていると思うけど、「行きたかった」って言えばいいと思うし。「見たい」って。そうしたらそのアーティストも「そういうことがあるなら、なかなか会場取れないけど、頑張ってやろうかな」と思うかもしれないし。

本当に会場が取れなくてね、特にでかい会場を見てもらえたら分かると思うんですが、アリーナクラスはほとんど延期じゃなくて中止になっちゃうんですね。で、僕らみたいな個人事務所の人たちってなかなか会場も押さえられないんです。本当に苦労して今回、幕張メッセと大阪城ホールっていう一番大きな会場をツアー後半でセミファイナルとファイナルと最後2本あったんですが、その2本の会場を押さえるのが本当に苦労して。

大阪城ホールなんて2年以上前から決まっていて。「どうやって1万人以上のキャパを埋めていくか?」ということで、ちょっとずついいタイミングで発表してみたいな、いろんな段取りをして。それでチケットも売り切れて、本当に支えだったんですよね。今まで売ったことがない数のチケットですよ。いろんな辛いことがあっても、これだけチケットが売れている、これだけ未来に賭けてくれているお客さんがいるということを支えにね。

まだ幕張メッセと大阪城ホールも分からないんですけど、やっぱりやりたいし、「やりたい」と言っていかないとダメですね。

中止にしたら事務所が潰れますよ。会場費だけじゃなくて、チケット払い戻しの手数料も莫大なお金になっちゃうので、何万人となると。エンタメ業界で仕事している人はいっぱいいますからね。どうしても楽しませるというイメージがあるから、仕事になかなか簡単に結びつかないと思うんですが、出番直前まではシビアに頑張って準備して、いろんなことを考えてやっていくなかで、ライブが始まったら楽しくやりますけど。

なかなか裏側を見せることがないから、そこを理解はしづらいかと思うのですが、ものすごい数の人が仕事を失っているので。傘をさすのと一緒で、やっぱりライブのスタッフさんって大勢いるので、「じゃあいいですよ、ギャラはいりません」とか、「こういう時ですからお金はいりませんよ」って言わざるを得ない空気になってきますよね。そこは難しいところで。誰が悪いってわけじゃないですが。確実に苦しい人は増えてますよね。もちろんウィルスも流行して大変な思いをしている人もいるから、そっちもすごく大変だし。だからどう落とし所を見つけたらいいのか分からないんだけど。

スポーツとかはまだ無観客で試合ができるから。(野球の)オープン戦も始まって見てたりしてたんですが、それはそれで普段聞こえないベンチの音や、打球音とかが聞こえたりしていいなと思ったり。あと相撲も無観客でやったり。でもああいうのって相手がいるじゃないですか?悔しさや虚しさみたいなものを試合、勝負を通して相手に話せたりできるかなと思うんですが、ライブはどこに向けていいか分からないですよね。

謝ることしかできないのが情けないし、改めて無力だなって思い知らされますね。ただやっぱり、さっきも言いましたが、想いはどんどん発信していっていいと思うし、言ったってしょうがないんですが、単純になにも言わないで「中止になりました、延期になりました」となるのと、「納得できなかったけど中止になりました」と言うのは、子供じみているかもしれないけど、そういう自分の内側にある想いまでも消す必要はないかなって本当に思いますね。

あとライブに関しては生配信したアーティストも結構いましたね。そのときに実力の差が出てきますね。すぐフットワーク軽く、「配信しましょう」となって配信で見せられるというのは実力のある人たちでしょうね。そこで早く行動できるのはいいことだと思うのですが、ただ配信と生のライブは全然違うものだし。その行動力と勇気はすごく羨ましいと思うけど、自分が見せたいのはそうではないですね。

ライブのある程度閉じた空間、好きでいてくれてチケットを取ってくれて、楽しみに待ってくれていた人に届けるということを本当にやりたいし。もしこれでやれたらもっと頑張るだろうなって。「こうなる前から思っておけよ」という話なんですが、もっとやれることがあったなと今更ながら思ったりするので、一刻も早く日常が戻って楽しくライブしたいと思いますね。

ライブを強行して批判されているアーティストもいますけど、でも分からないですよね。それが正解かもしれないし、今後もっと酷くなって、もっとやりづらくなってくるかもしれないから、「あのときにやってみてよかった」と言われるかもしれないし、こればっかりはなんとも言えないですよ。まぁ、延期・中止になっていない公演に関してはまだ諦めていないし、やるときには全力でやりたいと思います。で、こういうときにラジオは強いと思うので、楽しくやりたいですね。

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