米民主党候補指名争いはバイデン氏とサンダース氏の一騎打ち~野球で言えばまだ3回の裏

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(3月6日放送)に上智大学教授・政治学者の前嶋和弘が出演。アメリカ大統領選、民主党の予備選候補者指名争いについて解説した。

「スーパーチューズデー」で予備選が行われた米カリフォルニア州ロサンゼルスでの集会で、聴衆に笑顔をみせるバイデン前副大統領。スーパーチューズデーで獲得代議員数を積みあげ、「本命」に返り咲いた=2020年3月3日 ©産経新聞社

アメリカ大統領選の民主党候補指名争い~ウォーレン氏が撤退表明

アメリカ大統領選挙に向け、野党・民主党の候補者指名を目指していた左派のウォーレン上院議員が、選挙戦からの撤退を表明した。左派の間ではウォーレン氏が同じ左派のサンダース氏を支持するよう求める声が高まっているが、ウォーレン氏は明言を避けている。

飯田)普通は撤退と同時に、誰かを支持するものなのですか?

前嶋)この2人は討論会で戦っていて、かなり舌戦でしたからね。ウォーレンさんは「あなたは『女性は大統領になれない』と言った」と、わざと大きなところで言ったりもしています。対立のあと、すぐに「サンダースさんを応援します」とは言いにくいのだと思います。

飯田)しこりが残っていると。

前嶋)ただ、今後はいろいろな形で応援して行くのだと思われます。そして、もしサンダース政権ができたとしたら、どこに置くかと。副大統領はないと思いますが、財務長官あたりでしょうか。本人もやりたがっていると思うので、応援するには何かのポストという話になるのかも知れません。バイデンさんの方は、クロブシャーさんやブティジェッジさんが一気に応援に入りましたが、あの辺りもポストを考えているような気がします。

ブティジェッジ氏は次を狙っての撤退か

飯田)ブティジェッジさんは、初戦で勝って華々しく出て来たではないですか。それがスーパーチューズデーを前にして、「え? 撤退してしまうのか」と思いましたが。

前嶋)最初はブティジェッジさんの作戦勝ちだったのですけれど、後が続かなかったのです。逆に言うと、アイオワではバイデンさんの作戦負けだったのです。アイオワとニューハンプシャーは、アメリカの予備選段階で報道の半分くらいが集中するのですよ。注目されて、そこで勝つとすごく伸びるように見える。お金も入って来るし、ある程度は選挙戦も続けられます。まさにブティジェッジさんはそうだったのですが、それ以降、南部でまったく運動をやっていなかったのです。アイオワ一発勝負、オールインだったのです。そこでは成功したけれど、それ以降は続かない、そんな感じだと思います。だからむしろバイデンさんを応援した方が、バイデン政権ができたら入れるかも知れないし、2024年の選挙戦につながるかも知れない。

飯田)次の選挙戦。

前嶋)4年後でも42歳で、まだ若手ですからね。

飯田)ケネディさんの就任が43歳でした。フレッシュさは4年後でも保てる。

前嶋)保てるし、「あのときにアイオワで勝った男だね」というバッジがあります。

飯田)全米に名を売ったということになるのですか?

前嶋)全世界でしょうね。

支持者にあいさつするブティジェッジ氏=2020年2月4日、米ニューハンプシャー州(ゲッティ=共同) ©共同通信社

バイデン氏とサンダース氏の一騎打ちに~野球で言えばいまは3回の裏

飯田)僕みたいな極東のアナウンサーでも、名前を言えるわけですものね。こうなるとサンダースさんかバイデンさん、一騎討ちかという報道もされていますが、そういう流れになりますか?

前嶋)一騎討ちですが、ポイントとしては代議員の過半数を獲れるかどうかですね。毎年変わるのですが、今回の場合は過半数を超えると1991人、ここまで行くかどうか。いまはおよそバイデンさんが550、サンダースさんが500です。現在の戦いがどこまで行ったかというと、スーパーチューズデーで33%くらいの大きさなのですが、前の数字と合わせてまだ4割くらいです。野球で言うと3回裏か、4回の頭です。

飯田)まだ序盤の序盤ですね。

前嶋)多少複雑ですが申し上げますと、7月13日のミルウォーキーの党大会で過半数を1回目の投票で獲れないと、後は話し合いになるのです。特別代議員も入って来るので、サンダースさんとしては絶対にここで1991人を確保しないといけない。バイデンさんの場合は、ここで確保しなくてもスーパーデリゲート(特別代議員)が推してくれるし、話し合いだったら自分の方が強いと思っています。

飯田)主流派だと。

米中西部アイオワ州シーダーラピッズ市の集会で支持を訴える、急進左派のバーニー・サンダース上院議員=2020年2月1日 ©産経新聞社

バイデン氏が常に有利に行く

前嶋)ですので、バイデンさんが常に優位に行くのではないでしょうか。

飯田)4年前を考えても、サンダースさんが肉薄した上で「特別代議員はクリントンさん贔屓ではないか。そもそものスタンスがおかしい」ということを問題提起していましたよね。

前嶋)その特別代議員がおかしいから、今回は1回目の投票まで黙っているのですよね。でも2回目からラスボスが出て来る。よく考えてみたら、この流れは2016年とそっくりなのです。そうなると、「同じことを繰り返すのか。民主党ではエスタブリッシュメントがみんなでバイデンさんを応援している、許せない」という動きも今後は出て来ると思います。この辺りが12月に向けて、民主党としては怖いところです。逆に、トランプさんにとってみればラッキーになるでしょう。熱意がまだ足りないのですよ。どちらが盛り上がって行けるかがポイントになると思います。

同じ積極財政でも「狙いが違う」。サナエノミクスとアベノミクス

ニュースキャスターの長野智子がパーソナリティを務める「長野智子アップデート」(文化放送・月曜日15時~17時、火~金曜日15時~17時35分)、10月15日の放送にノンフィクション作家の常井健一が出演。高市早苗首相の掲げる経済政策「サナエノミクス」に現在について、城内実大臣へのインタビュー経験も踏まえて解説した。

常井健一「リフレ政策のリフレはリレーションの略で。簡単に言うとデフレから脱却するために金融緩和などによって需要を刺激して物価を適度に上げよう、という政策です。いわゆるリフレ派が主導した安倍晋三政権のアベノミクスでは、日銀による異次元の金融緩和が大きな柱でした。ところが現在、物価高が国民の生活を圧迫しています。日銀も金融政策を変えて金利は上がっている。そんな中、これまで安倍政権の継承を訴えてきた高市早苗政権の閣僚が、相次いでリフレ政策を否定していると」

長野智子「うん」

常井「特に城内実大臣は生前の安倍さんが高市陣営に送り込んだ参謀で。いまや自民党内に150人以上いる積極財政派のラスボスと目されています。実際、安倍さんに近かったリフレ派のブレーンたちを継承して7月の骨太の方針や成長戦略を策定してきた。当然、発言の真意に注目されているわけです」

長野「アメリカのベッセント財務長官が、リフレ生活はもう限界だ、やめるべきだ、と言いました。それに反応しているんですか?」

常井「まさにそれを(東洋経済オンラインの取材で)城内大臣に直撃して。『政権のスタンスはまったく変わっていない』と否定されました。強調していたのがサナエノミクスとアベノミクスの違いです。大きな違いは経済環境にあると。デフレ脱却のために大規模な金融緩和を続けたアベノミクスとは違って、いまは物価も金利も上がっています。政府としては『いつまでも異次元緩和を前提に経済政策を考える時代ではない』と言ってきたんです」

長野「なるほどね。だけどアベノミクスと同じ『積極財政』という言葉を掲げている」

常井「そうなんです。城内さん、『リフレ政策の局面は終わったが責任ある積極財政は続ける』と。アベノミクスは金融緩和によって需要を刺激することが柱でした。だけど今度のサナエノミクスは供給力だ、国内でモノやサービスをつくる力を強化するために官民で投資するんだ、と。同じ積極財政でもサナエノミクスとアベノミクスでは狙いが違う、ということですね。もう1つ、『米中の対立やパンデミックも経済環境を大きく変えた』と言っていて。東洋経済オンラインに掲載した発言を一部、ご紹介します」

長野「はい」

常井「『かつての小泉(純一郎)・竹中(平蔵)時代に象徴されるような新自由主義的な市場原理だけにゆだねる発想では、今日(こんにち)の経済安全保障や巨額の先行投資を必要とする分野に充分は対応できない、という現実がある』と。日本企業はひと昔前にコスト重視で、海外に製造拠点を移しましたね。あれが現在は地政学的に大きなリスクになっている、と指摘した。城内さんは『市場原理だけに任せる時代は終わった』と言い切っていて」

長野「ほう」

常井「こうした考え方は反・小泉という、大臣自身の独特な政治人生や色濃く反映されているな、という印象を持ちましたね。いまから21年前です。2005年の郵政選挙で当時、城内さんは1年生議員でした。郵政民営化に反対して、自民党の公認を得られず。無所属で戦った。そのとき小泉首相が送り込んだ刺客が、当時、財務官僚だった片山さつきさんですね」

長野「そうだったか」

常井「城内さん、片山さんに748票差で負ける。それから4年間、リュックサック1つで天竜川を上流から下流にくだるように選挙区をくまなく歩いた。今度は片山さんに7万票差で勝った。片山さんは静岡から追い出されて、参議院の全国比例に鞍替えしたんです」

放送では城内大臣と片山大臣の因縁、サナエノミクスのさらなる詳細などについても常井が語った。

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